わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

骨董入門 9 (古色に付いて)

2011-01-23 22:19:49 | 縄文土器の話、骨董の話
古い陶磁器には、時代を経た結果の、古色が付いています。

しかし、古ければ古い程、古色が濃く出ている訳では、ありませんし、古くても、古色が付き難い物や、

故意に、古色付けをした作品(贋作)も、多いです。

又、短期間の使用で、数百年経た様な、古色が付く場合も、有りますので、古色だけでは、その古さを、

証明する事は、出来ません。

 尚、古色とは、その作品の使用状態や、置かれた環境によって、自然に浸み込んだ汚れです。

 この汚れは、単に汚れていつるだけでなく、その物をより魅力する場合も、多いです。

1) 磁器は陶器に対して、古色が付き難い。

   一般に磁器は、吸湿性のある陶器よりも、古色は付き難いです。

   特に良く焼けた、官窯の上手(じょうて)の磁器は、民窯の下手(げて)の磁器よりも、シミや、

   傷、汚れなどの、古色が出難いと、言われています。

2) 陶器に、汚れが目立つ理由は、吸湿性を有する事も有りますが、釉の面に、貫入が入る事が大きな

   原因と成ります。

   使用していると、自然に貫入が、はっきり見える様に成ります。これは、貫入に汚れと成る物質

   (胎土や化粧土の、色素の一部、茶渋、油、その他の汚れ)が、入り込んだ結果です。

3) 「雨漏り」について

   粉引きの茶碗や徳利などに、「シミ」が出てくるのを、「雨漏り」と呼び、「景色」として珍重

   されます。逆に、「雨漏り」のない粉引きは、「つまらない物」と見なされる程です。

   それ故、使い込んで、「雨漏り」を出現させようともします。この様な行為を「焼き物を育てる」と

   言うそうです。

4) 風化、銀化による古色

 ① 風化とは、土に埋もれていたり、海水や、川の水中に、放置され、人が管理していない、状態で、

   水や風、光、酸化現象や、その他の自然現象により起こります。

   風化すると、以下の様な状態に、成り易いです。

  ) 表面が「ガサガサ」になる。釉の表面の、艶がなくなります。

  ) 全体に、白い粉を吹いた様に成ります。

  ) 貫入の線に沿って、白っぽく成ります。

     白くなる理由は、空気中や海水中の酸素によって、表面が酸化され、細かい空洞が出来、そこに、

     空気が入り込み、光が乱反射する為と、思もわれています。

  ) 白っぽく成らずに、鉄錆び色に、成る事も有ります。

     風化により、表面が荒らされた箇所に、土や錆びが、侵入した結果です。

   これら、風化された物は、余り歓迎されませんが、好まれる方もいます。

 ② 銀化とは、釉の上に銀幕を張った様な、発色をした物です。時には、表面が虹色を、呈する事も

   有ります。

   軟陶の緑色釉陶器は、「銀化」が出易いと、言われています。

   特に、漢代の緑釉に「銀化」した物が多く、ペルシャの青釉陶にも、見られるとも、言われています。

   「銀化」の出現は、置かれた環境によって左右され、2000年の月日を経て、出現された物とも

   言われています。

 5) 使い込むんだ結果の古色

   使い込む事により、茶渋が付いたり、角が丸く成ったり、良く触る部分の釉が、磨り減ったり、

   逆に、艶が出てきたり、細かい傷が出来たりする事で、好ましい変化に、成る場合も有ります。

 6) 人工的な古色

   何十年、何百年を経た様に、見せる為、人工的な古色を付ける事は、意外と多いそうです。

   その方法とは、以下の様な物がありまです。

   ① 濃い紅茶の中に、(一部又は、全部を)一週間ほど、漬けて置く。

     焼きの甘い作品は、容易です。貫入などの他、好みの場所に、古色を付ける事が出来ます。

   ② 薬品を使う。ガラスを溶かす、有害なフッカ水素を使い、釉の表面を荒し、釉が風化した様に、

     見せ掛けます。更に、泥や土を塗り込み、表面に汚れを刷り込みます。

   ③ 実際に土に埋める方法

     自然では、時間が掛かりますので、酸性や、アルカリ性の強い土など、土を細工して、短期間で、

     それらしく、古色をつけます。

  それ以外にも、色々な方法が、あると思いますが、当然、ほとんどは、秘密で公開されていません。

以下次回に続きます。 

古色付け   

 
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