わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯を築く 9 施工1

2016-08-16 17:53:14 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業

 ① 窯の周囲を鉄骨で支える。

  昔の窯では、耐火煉瓦や道具土のみで、窯が築かれている事が多いのですが、現在の窯では、

  鉄骨や鉄板などで窯の周囲をしっかり押さえ込み、強度を持たせている構造になっています。

  地震や不慮の爆発事故などで、窯自体が崩壊するのを防ぐ目的と、窯の底面を床から浮かせる為

  鉄骨などを使い、窯底を持ち上げています。

  ⅰ) ガス窯や灯油窯などでは、窯の底面から燃料を送り込む構造が多いです。その為、バーナー

   等も窯底近辺に設置する事になり、窯底に空間を設ける必要があります。必然的に窯底を鉄骨

   などで支える事に成ります。又、窯入れや窯出しの際にも、取り出し口が適度の高さであれば、

   作業もやり易く、無理な姿勢による作業で腰を痛める事も少なくなります。

  ⅱ) 鉄骨は市販品の「L字鋼」(又は類似品)などを利用する。

   垣根のフェンスなどの支柱に使われる物を利用するのも、方法の一つで、調達も容易です。

   鉄骨は強度が必要で板の厚みも2mm以上は欲しいです。金鋸で容易に切断できる事も大切

   です。鉄骨に塗装が施されていれば良いのですが、ご自分でも塗装する事が出来ます。

  ⅲ) 窯の外形に合わせて(四角等の)箱を組み立てます。

   角窯の場合には、サイコロ状に12本の鉄骨で組み立てます。四隅に鉄骨を立て、最上部と

   最下部に水平状態の横棒を各4本入れます。溶接の技術が有れば、鉄骨同士を溶接するので

   すが、溶接技術が無ければ、「ネジとナット」の組み合わせでも十分です。

   各鉄骨の交差部分には、筋交いを入れ、捩れ等を防ぎ強度を持たせる必要があります。

   当然ですが、この段階で「グラツク」様な事があるのは論外です。

  ⅳ) 窯の底になる高さに「ロ」の字型に鉄骨を4本水平に取り付ける。

   「L」字型の下辺が内側を向く様に取り付けます。この「L」字の内側でレンガを支える事に

    なります。

  ⅴ) 耐火煉瓦を支える鉄骨を、レンガの長手方向の寸法に合わせて、数本平行に取り付けます

   レンガはなるべく切断する事無く使いたいですので、レンガの両端が鉄骨に乗る様にします。

   なるべくならば、隣り合わせのレンガで、鉄骨の幅の半分づつを使う間隔にします。

   「L」字鋼の場合、レンガの邪魔に成らない為に、上面は平らになる様に使います。

  ⅵ) 扉を取り付ける位置に縦二本の柱を、上記サイコロ状の構造物に取り付けます。

    (前扉横方向に開閉する場合を想定して、お話します。)

   二本の間隔は扉の横幅を勘案して決めます。この段階では、扉の開閉方向が決っていなければ

   成りません。一方の柱には蝶番(ちょうつがい)付き、他方には窯の扉を開閉し固定するネジ

   が必要に成ります。

  ⅶ) 煙道を窯の底に「ぶら下る」様に設置する場合には、煙道を下から支える鉄骨が必要です

   下から支える鉄骨は4本の足で支えます。上端は窯の底の高さにし、足と足の間に煙道の長さ

   と、煙道の高さに合わせた横棒を2本渡し、長方形を作ります。

   煙道の内側の幅は、耐火レンガの長手方向の寸法とし、高さは横方の寸法にすると構造も

   簡単になります。煙道の外側は耐火レンガが積み上がりますので、実際にはかなりの大きさに

   なります。

  ⅷ)ガスや灯油等のバーナー等も取り付けますので、設置場所も決めておく必要があります。

   実際には、配管などの影響で、現物合わせの場合が多いですので、予め考えておく程度で

   十分です。

  ⅸ) 鉄骨を組む際には、常に水平度を測る事が大切です。又ネジ止めの場合にはしっかり

   締め付ける必要があります。更に、緩み止めの為、スフリングワッシャーを利用する事です。

   組み立て途中で鉄骨を分解する必要が出て来る可能性もありますので、ネジロックは最後に

   した方が安心です。

 ② 耐火レンガを積む。

以下次回に続きます。
  
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