わ! かった陶芸 (明窓窯)

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続 釉(薬)について3(透明、マット、乳濁1)

2018-02-13 21:29:33 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
釉はガラス質と述べましたが、それには三様の状態を呈します。

即ち、透明釉とマット(艶消し)釉、乳濁(白濁)釉です。後者を失透明釉と呼ぶ事もあり

ます。尚、各種色釉や結晶釉は、透明釉に金属色や結晶が出来た物で、広い意味で透明釉に

分類されます。

釉の原料は主に酸化アルミニウム、珪酸(シリカ)とアルカリ(塩基)成分です。

前二者はガラスの骨格を成す成分で、アルカリ成分は、釉を熔け易くする熔融剤と呼ばれて

います。

1) 釉として使用できるのは、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)成分の割合によって決

 まります。

 ① 光沢が有り、良く熔ける透明釉。

  アルカリ(塩基)はROと表します。ROを一定にしたの場合、経験上より、

  Al2O3:SiO2 = 1:7~8(モル)ぐらいと言われています。

 ② 釉を調合する場合や、釉のレシピが表示されている場合、注意する事はその単位です。

   体積比、重量比、モル比のいずれかで表示されています。この単位を間違えると、当然

   混合割合が異なってしまいます。

  ⅰ) 体積比は、桝(ます)などや計量カップ等で測った量です。

   古くから行われている簡便な方法で、一升桝や一合桝など当時は用意に手に入る物が使

   われています。現在その名残が3(合)号釉、4(合)号釉等と呼ばれている物で、

   木灰などアルカリ成分を桝で量って混入し、熔ける温度を調節しています。

   古いレシピ本で採用されている事が多いです。

  ⅱ) 重量比は秤(はかり)で重さを計った量です。単位はグラム(g)、Kgです。

   現在でも比較的多くのレシピ本で見る事があります。但し精密な秤が必要です。

  ⅲ) モル比とは、各材料の原子量から分子量を導き出し、その分子量(g)が1モルと

   し、割合をモルで表した物です。現在ではより化学的(理論的)ですので、釉の配合を

   表すゼーゲル式として利用されています。

   例えば、AlO2はAl(アルミニウム)二個の原子とO(酸素)の一個から成る分子です

    Alの原子量は27で、Oの原子量は16です。それ故27x2+16x3=102(g)が1モル

    に成ります。

   同様にしてSi02=28+16x2=60(g)が1モルです。

    注: 以前は原子量=原子番号(周期律表の整数)でしたが、現在ではより精密に

    測定された結果、原子量は整数ではなく、下二桁まで数値が判明しています。

    それ故、厳密にはAlO2=101.94, Si02=60.02gと成りますが、近似値を使用して

    もほとんど問題になりません。

   モルを使う事は、現在ではより化学的(理論的)ですので、釉の配合を表すゼーゲル

   式として利用されています。

   各材料の分子量は計算でも出ますが、計算された表も有りますので参考にすると良いで

   しよう尚、陶芸材料に使われる幾つかの分子量(1モル)を記載します。

   ・ カオリナイト(Al2O3.2SiO2.2H2O)=258g

   ・ 長石(正、カリ)= 556.5g ・ソーダ長石=558g・ 灰長石=279g 

   ・ 石灰(CaCO3)= 100g ・炭酸カリウム=138g ・炭酸ナトリウム=106g

   ・ 炭酸マグネシウム=84.3g ・ 硼酸=61.8g ・ 亜鉛華(酸化亜鉛)=81.4g

   ・ ジルコニア(酸化ジルコニウム)=122.6g

以下次回に続きます。

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