4) フリットの調合
食器用の釉に鉛が入る事は、一部楽焼を除き使用が認められていません。
その為、今日無鉛釉が使われています。しかしながら、現在でも酸化鉛に匹敵できる原料
が見つかっていないのが実情であると言われています。酸化鉛の良い点は、著しく光沢が
出、透光性があり、更に、顔料の発色と色調を良くする働きがあります。
無鉛フリットは、流動性に乏しく表面を平滑にするのに時間が掛ます。更に焼成温度範囲も
鉛フリットほど広くは取れません。顔料の発色もさほど良くもありません。
但し、現在は酸化鉛の変わりに、硼酸や硼砂などが多く用いられ、遜色の無い物と成って
います。
① 標準的な無鉛釉で使用される原料は以下の物です。
硼酸又は硼砂、石英、炭酸ソーダ、長石、石灰石、カオリン、亜鉛華、炭酸バリウムなど
です。
② 標準的なフリット釉の調合例。SK-2a(1120℃)~ SK-4a(1160℃)で作成
ⅰ) 硼砂: 57 部 硼酸 1 部 長石: 56 部 石英: 54部
石灰石: 35 部 注:部は体積ですが、合計は100部には成りません。
ⅱ) 硼砂: 22.2 % 長石: 16.6 % 炭酸ソーダ: 11.5 %
石英: 23.7 % 石灰石: 12.0 % カオリン: 11.0 %
注: 割合は体積比です。合計で約100%になります。
ⅲ) 硼砂: 14.7 % 長石: 16.9 % 炭酸ソーダ: 17.9 %
石英: 24.1 % 石灰石: 11.2% カオリン: 15.2 %
ⅳ) 低熔融用のフリット
硼酸: 21.4 % 炭酸ソーダ: 26.2 % 石英: 21.1 %
石灰石: 12.0% カオリン: 14.5 % 硝酸カリ:4.8 %
5) フリット色釉
釉は塩基成分(アルカリとアルカリ土金属の酸化物)と酸性成分(酸化物)が反応し
ガラス質を生成した物です。更にガラス質の性質を調整するアルミナを加えます。
① フリットを用いた色釉が比較的広く用いられているのは、以下の理由によります。
ⅰ) 塩基成分の種類と量を広く選択できる。
ⅱ) 焼成温度範囲が広い。
ⅲ) 硼酸が発色を良くする働きがある。
ⅳ) 酸化鉛を使う必要が無い。
但し、これらの効果は、顔料によって左右されます。
② フリット色釉を作るには。
基礎になるフリットに顔料を混合する。又は、フリットを作る際に顔料を添加する方法を
取ります。
6) 顔料(着色材)
陶芸材料メーカーや材料店では、釉に直接混入させて色釉が作れる各色の顔料が市販され
ています。それ故、必ずしも御自分で顔料を調合する必要は無いのですが、何かの参考に
して頂ければと考え、調合例を挙げたいと思います。
顔料は酸化鉄、酸化同、酸化錫、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロム等の金属類と
長石、石英、カオリン、石灰石などを適宜混合させて作ります。
各色の顔料に付いては次回にお話致します。
参考資料: 図解 工藝用陶磁器 -伝統から科学へー:
著者; 素木洋一(しらき よういち): 技報堂出版社
以下次回に続きます。
食器用の釉に鉛が入る事は、一部楽焼を除き使用が認められていません。
その為、今日無鉛釉が使われています。しかしながら、現在でも酸化鉛に匹敵できる原料
が見つかっていないのが実情であると言われています。酸化鉛の良い点は、著しく光沢が
出、透光性があり、更に、顔料の発色と色調を良くする働きがあります。
無鉛フリットは、流動性に乏しく表面を平滑にするのに時間が掛ます。更に焼成温度範囲も
鉛フリットほど広くは取れません。顔料の発色もさほど良くもありません。
但し、現在は酸化鉛の変わりに、硼酸や硼砂などが多く用いられ、遜色の無い物と成って
います。
① 標準的な無鉛釉で使用される原料は以下の物です。
硼酸又は硼砂、石英、炭酸ソーダ、長石、石灰石、カオリン、亜鉛華、炭酸バリウムなど
です。
② 標準的なフリット釉の調合例。SK-2a(1120℃)~ SK-4a(1160℃)で作成
ⅰ) 硼砂: 57 部 硼酸 1 部 長石: 56 部 石英: 54部
石灰石: 35 部 注:部は体積ですが、合計は100部には成りません。
ⅱ) 硼砂: 22.2 % 長石: 16.6 % 炭酸ソーダ: 11.5 %
石英: 23.7 % 石灰石: 12.0 % カオリン: 11.0 %
注: 割合は体積比です。合計で約100%になります。
ⅲ) 硼砂: 14.7 % 長石: 16.9 % 炭酸ソーダ: 17.9 %
石英: 24.1 % 石灰石: 11.2% カオリン: 15.2 %
ⅳ) 低熔融用のフリット
硼酸: 21.4 % 炭酸ソーダ: 26.2 % 石英: 21.1 %
石灰石: 12.0% カオリン: 14.5 % 硝酸カリ:4.8 %
5) フリット色釉
釉は塩基成分(アルカリとアルカリ土金属の酸化物)と酸性成分(酸化物)が反応し
ガラス質を生成した物です。更にガラス質の性質を調整するアルミナを加えます。
① フリットを用いた色釉が比較的広く用いられているのは、以下の理由によります。
ⅰ) 塩基成分の種類と量を広く選択できる。
ⅱ) 焼成温度範囲が広い。
ⅲ) 硼酸が発色を良くする働きがある。
ⅳ) 酸化鉛を使う必要が無い。
但し、これらの効果は、顔料によって左右されます。
② フリット色釉を作るには。
基礎になるフリットに顔料を混合する。又は、フリットを作る際に顔料を添加する方法を
取ります。
6) 顔料(着色材)
陶芸材料メーカーや材料店では、釉に直接混入させて色釉が作れる各色の顔料が市販され
ています。それ故、必ずしも御自分で顔料を調合する必要は無いのですが、何かの参考に
して頂ければと考え、調合例を挙げたいと思います。
顔料は酸化鉄、酸化同、酸化錫、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロム等の金属類と
長石、石英、カオリン、石灰石などを適宜混合させて作ります。
各色の顔料に付いては次回にお話致します。
参考資料: 図解 工藝用陶磁器 -伝統から科学へー:
著者; 素木洋一(しらき よういち): 技報堂出版社
以下次回に続きます。
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