わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
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続 釉(薬)について7(媒熔剤と金属元素の色の変化)

2018-03-20 13:25:01 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
色釉を作るには、金属元素又はその酸化物を添加するのが一般的な方法です。

釉を作る際には、熔融剤(媒熔剤)として、アルカリ成分が使われますが、どの種類の物を

使うかによって、発色に違いがあります。又同じ熔融剤を使用しても窯の雰囲気(酸化、

還元)によって発色に違いが出ます。ここでは、ナトリウム(ソーダー)とカリウムの熔融

剤の場合に付いて述べます。

取り上げる金属(酸化物)は、鉄、銅、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、チタン、

ウラニウムです。尚、現在では鉛はほとんど使用する事は有りませんが、参考までに記して

おきます。

1) 鉄(酸化第一、第二酸化鉄=弁柄など)

 ① 熔融剤にナトリウム(ソーダー)を使用した場合、褐色掛かった黄色。

 ② 熔融剤にカリウムを使用した場合、褐色。

  いずれも鉄の成分が多くなるに従い、黒色に近付きます。

 ③ 熔融剤に鉛を使用した場合、明るい黄色又は赤褐色。

 ④ 酸化焔では、黒、黄褐色。

   還元焔では、褐色掛かった黒、青緑。

2) 銅(酸化銅、炭酸銅など)

 ① 熔融剤にナトリウム(ソーダー)を使用した場合、空色に近い青。

 ② 熔融剤にカリウムを使用した場合、トルコブルー。

 ③ 熔融剤に鉛を使用した場合、草緑。

 ④ 酸化焔では、緑、青緑、暗い緑。

   還元焔では、赤、紫掛かった褐色。

3) クロム(酸化クロムなど)

 ① 熔融剤にナトリウム(ソーダー)を使用した場合、草色に近い緑。

 ② 熔融剤にカリウムを使用した場合、黄色掛かった緑。

 ③ 熔融剤に鉛を使用した場合、赤味を帯びた黄色、朱赤。

 ④ 酸化焔では、黄色を帯びた緑、又は青緑。

   還元焔では、青緑。

4) マンガン(酸化マンガンなど)

 ① 熔融剤にナトリウム(ソーダー)を使用した場合、暗い黄色。

 ② 熔融剤にカリウムを使用した場合、紫。

 ③ 熔融剤に鉛を使用した場合、黒又は紫掛かった褐色。

 ④ 酸化焔では、黄褐色、黒褐色。

   還元焔では、褐色掛かった黒、黄褐色。

5) コバルト(酸化コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、燐酸コバルト、呉須など)

 ① 熔融剤にナトリウム(ソーダー)を使用した場合、草色ぽい青。

 ② 熔融剤にカリウムを使用した場合、緑掛かった青。

 ③ 熔融剤に鉛を使用した場合、青掛かった藍色(青藍)。

 ④ 酸化焔では、青藍。

   還元焔では、青藍、桃紅色。

6) ニッケル(酸化ニッケルなど)

 ① 熔融剤にナトリウム(ソーダー)を使用した場合、褐色。

 ② 熔融剤にカリウムを使用した場合、褐色。

 ③ 熔融剤に鉛を使用した場合、黄色掛かった緑。

 ④ 酸化焔では、緑。

   還元焔では、灰色。

7) チタン(酸化チタニウムなど)

 ① 熔融剤にナトリウム(ソーダー)を使用した場合、黄色。

 ② 熔融剤にカリウムを使用した場合、黄色。

 ③ 熔融剤に鉛を使用した場合、黄色。

 ④ 酸化焔では、橙(だいだい)黄色、茶褐色。

   還元焔では、暗い黄色、茶褐色。

8) ウラニウム(酸化ウラニウム)

 ① 熔融剤にナトリウム(ソーダー)を使用した場合、黄色。

 ② 熔融剤にカリウムを使用した場合、橙黄色。

 ③ 熔融剤に鉛を使用した場合、橙黄色、朱紅。

 ④ 酸化焔では、黄色、黄緑。

   還元焔では、黒色。

 注意事項: 上記はおおよそ(凡そ)の目安です。当然金属類の添加量によって色も

 変化しますし、熔融剤も単一の事は少なく、複数の物が混在しているのが一般的ですので

 上記の通りに発色する保障はありません。あくまで参考程度に頂ければ有り難いです。
 

以下次回に続きます。
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