1) ゼーゲル式とは、釉の三要素である媒熔剤のアルカリ類、ガラス質を作る二酸化珪素、それに
釉を安定化させるアルミナ類の調合を、重量%による比率ではなく、「モル」と呼ぶ化学単位で
表記した数式(方程式)です。ゼーゲル式に付いては、当ブログの中で、すでに「釉薬の話」の
中で述べていますので、興味のある方は参照して下さい。
・ 釉薬の話2(ゼーゲル式1): 2010-03-01 釉薬の調合と釉を掛ける。他
今回の話も上記の記事に重複しますが、ご了承下さい。
① 具体的には、次の式で表します。 RO ・ n Ai2O3 ・ m SiO2
尚、ROはアルカリ類を表し複数の物質が含まれますが、トウタル1モルに成る様します。
n又はmは、アルミナと二酸化珪酸の「モル」数を表します。
注: 「モル」とは分子量に重さの単位gを付けた数字です。
分子は各元素の集合体で、元素は各々固有の原子量を持っています。
例えば、酸素 O=16 アルミニウム Al=27 シリカ Si=28ですので
Al2O3= 27X2+16X3=54+48=102 即ち102gが1モルと成ります。
同様に、SiO2=28+16X2=28+32=60 60gが1モルに成ります。
参考までに:1モルとはその原子の数が602X10の21乗個の重さを言います。
尚、各々の原子量は化学の周期律表や、陶芸の本の他、インターネットなどで知る事が
できます。
② ゼーゲル式から何が解かるのか?
) 釉の熔ける温度が類推できます。
ゼーゲルはドイツの化学者で、ゼーゲル式を発明し、それを元にぜーゲル錐(コーン)を
発明します。 窯の温度を知る大切な物として、現在でも多く使われています。
600℃(SK-022)~2000℃(SK-42)までありますが、一般的には
SK-5a(1180℃)、SK-6a(1200)、SK-7(1230)、SK-8(1250)、SK-9
(1280)、SK-10(1300℃)が使われます。 コーンの使い方は後日お話する予定です
) 釉の性質即ち、透明、乳濁、マット、結晶釉であるかが推測できます。
即ち、n : m の比で決まります。詳細に付いては後日お話します。
) 式の一部を変化させる事により、熔け易い釉や熔け難い釉を作る事が出来ます。
) 釉の原料を他の材料と置き換える際、どの位の量にすれば良いかが解かり易いです。
但し、灰を原料とする灰釉の場合には、灰の含有成分がいまいちはっきりしませんので、
ゼーゲル式で表す事が出来ません。
以下次回に続きます。
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