わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

新釉の話48 自分で釉を作る17 灰釉2(調合1)

2013-09-28 21:58:28 | 新釉(薬)の話

釉の調合に於いて、天然灰を使うのを灰釉(かいゆ、はいゆ)、又は灰立と言い、合成灰や石灰石を

使う釉を石灰立と言って区別する事もあります。

同じ自然灰であっても、その成分にバラツキが多く、ゼーゲル式には馴染めません。

石灰石を釉に用いる以前には、灰釉が使われていました。多くの場合その灰は廃物利用として利用

されていた物です。即ち、有機質であるならば、その灰は釉として使う事が出来るのですが、当然

ある一定量の灰が取れる事が必要です。有機物を燃やすと、その体積は数万分の一になってしまい

一定量集める事は意外と難しいです。

各窯場には当地の粘土や磁土に、当地で調達した灰を混ぜ合わせた、その窯場独自の釉が存在

していました。その調合は割合簡単な組み合わせでなされているのが普通です。

1) 灰の種類と特徴: 灰の種類は多いですので、代表的な灰に付いて述べます。

  ) 松灰: 一番多く使われる灰です。多くは、薪窯で使われる赤松の灰を利用します。

    a) 鉄分などの無機質の不純物を含み、福島長石と半々(50%)に混ぜると、綺麗な釉に

      成ります。還元焼成では、流れ難い深緑色になります。

    b) 松灰が70%程度になると艶消し釉となり、落ち着いた淡い色調になります。

  ) 樫(かし)灰: 比較的多く使われる灰色の灰です。

    a) 福島長石 70、樫灰 30%: 艶のある綺麗に澄んだ色調になります。酸化焼成でやや

       明るい黄色味を帯、還元焼成で淡い青色になります。

    b) 福島長石 50、樫灰 50%: 綺麗に澄んだ釉に成りますが、熔けて少し流れます。

    c) 福島長石 30、樫灰 70%: 一段と熔け易くなり、完全に流れ落ちてしまいます。

  ) 栗皮釉: 建築材として不要な栗の樹皮を燃やした灰です。

     やや黄色味を帯びた綺麗な灰で、鉄分などの雑味も少ない灰です。

    a) 福島長石 70、栗皮灰 30%: 酸化で薄い黄色、還元で淡い綺麗な青紫色になります。

       厚めに施釉すると、わずかに白濁します。

    b) 福島長石 50、栗皮灰 50%: 綺麗な釉肌ですが、流れ易く成ります。

    c) 栗皮灰が多くなるに従い、釉は流れ落ちてしまいます。

  ) 橡(くぬぎ)釉: 黒い粒子の粗めの灰で、雑味成分も多く、釉調も複雑に変化します。

      一般的な灰では無いので、陶芸材料店でも入手困難な場合があります。

    a) 福島長石 70、橡灰 30%: 乳濁成分を含む為、厚く施釉した部分は少し艶消し状で

      乳濁します。

    b) 福島長石 50、橡灰 50%: 熔融温度も高くなり、厚掛けした部分は、熔けきらず

      かさついた状態になります。

    c)  福島長石 30、橡灰 70%:灰に含まれる雑味で、艶も無く黒っぽい濁った釉になります。

      一応熔けます。

   ) 藁灰: 真っ黒い灰ですが、釉に使うと、真っ白に成ります。乳濁剤として広い範囲で、

      多く使われています。

   ) 土灰(どばい): 雑木の灰で、その成分は一定していません。その為合成土灰を使う事も

       多いです。

2) 灰系透明釉について。

以下次回に続きます。

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