化粧土を作品に塗る理由は、色の付いた素地の欠点を覆い隠す事ですが、更に、絵付けの白い
下地を作る事や、掻き落としや飛鉋(とびかんな)などの装飾を施す為の、前処理として行われます。
化粧土を塗る方法は、前回までにお話した、刷毛塗りと粉引が代表的な方法です。
その他に、流し掛け(柄杓掛け)やイッチン(スポイト掛け)等の方法があります。
流し掛けは大きな作品や、作品の一部に化粧を施すのに便利な方法です。
尚、イッチンに付いては、次回にお話しします。
4) 流し掛け(柄杓掛け)の方法。
原理的には、釉(薬)の流し掛けと同じ方法で行います。
化粧土に流動性が無ければ成りません。即ち水分を多くするか、水ガラス等を添加する必要が
有ります。又、化粧掛する前には良く攪拌し、濃度を均一にておく事です。
流し掛けの利点は、短時間で広い面積を、比較的均一に塗る事が出来る点です。
) 短時間で済ませる。
a) 刷毛塗りでは数分かかり、粉引でも数(2~3)秒を要します。一気に掛け流しますのでは
1~2秒で終わってしまいます。不要に成った化粧土は流れ落ちてしまいますので、その分、
素地に与える水分は少なくなります。
b) 作品の端を持ち、やや斜めにして柄杓に取った化粧土を流し掛けますが、柄杓の先端は
なるべく作品の近くに持っていくべきです。離れてしまうと化粧土の掛かる場所が不安定に
なります。 但し、施泥を行う際、途中で躊躇(ちゅうちょ)してはいけません。予め塗るべき所は
考えておく必要があり、一気に流し掛ける事です。
) 流し掛けでは、好みの位置に塗る事が出来ます。
a) 柄杓に化粧土を取る量によって、広い面積から、細い線まで掛ける事が出来ます。
場合によっては、異なった掛け方で、二度三度と掛ける事も出来ます。但し化粧土が重なった
部分は肉厚になり、「剥がれ」等の問題が発生しますので注意が必要です。
b) 掛ける場合手の方を移動する方法と、作品の方を移動させる方法があります。
大きな作品では手轆轤に乗せて、回転させながら流し掛けします。
但し、流れ落ちた化粧土を貯めおく容器と、容器から作品を浮かせる台が必要です。
c) マスキングする事で、好みの形に化粧土を付ける事も出来ます。
マスキングの方法は、テープを貼ったり、撥水剤を使う方法もあります。
) 流れる方向に注意。
a) 上から下に向かうのはごごく自然現象なので、どの面を上にし、どの面を下にするかによって
流した表情が変わります。化粧土の量が少ないと、途中で二筋三筋と枝分かれしますので、
広い範囲に流すときは、タップリ柄杓に取ります。
b) 特に、平面でなく凸凹した面に流し掛けする祭には、流れの方向が予想困難な場合も
有りますし、塗り残しも起き易いです。
) 流す方向によって、化粧土の厚みに若干の差が出ます。
斜めにした作品や轆轤上の作品を真上から流し掛けると、下側に成った部分ほど、化粧土に
触れる時間が長くなり、濃目に成ります。更に、流れ落ちる際、滴状となって最下部に残り
易いです。これは取り除く必要があります。
以下次回に続きます。
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