ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

こんな日もあるさ

2009年09月26日 | 友達とわたし
今日はぐんと気温が下がって、最高気温でさえ15℃ぐらい。
こう肌寒くなると、途端に衣替えに気持ちが向かってしまいます。
タイミング良く、コンサートも間近。例の『そんなことなにも今しなくても症候群』がムクムクと発症し……、
埃アレルギーのため、鼻水ずるずる、くしゃみ連発に見舞われながら、窓を開け放してせっせと衣替えに励みました。
今回は特に、ここ数年やっぱり一回も着なかった服、というのを潔く寄付することがテーマ。
かなり迷ったのもありましたが、そうやって迷い続けて場所を提供してきた自分に嫌気がさしていたので、エイッとばかりに決心しました。
あとはユニクロのヒートテック製品がバーゲンになるのを待って、少しずつ買い揃え、ガレージセールで集めた古着を処分する。
これでさらにタンスの中がすっきりするはずです。

衣替えが終わった寝室の窓を閉め、今度は空気清浄機の出番。
衣替えの間に洗濯をし、仕舞っていた夏の間にシワがよった冬物の服にアイロンかけをしました。
これで気分は『ドンと来い冬!!』


近所の美術館で開催している『アンディー・ウォーホル絵画展』を観に、アンドリューとマーリーがブルックリンから来ていたので、
その帰りにうちに寄り、隣町にあるマレーシアレストランに夕食を食べに行きました。
マレーシア料理のレストランは初めてのわたし達。どのメニューにも興味が出て困りました。
しょうがないので、3種類の料理(ビーフのグリーンカレー煮、バジル麺、海鮮をタロ芋の巣で囲んだ物)を頼み、皆で分けんこしました。
どれもこれも美味しくて大満足。また行きたいお店です。

お店から戻り、家にあるチョコレートとほうじ茶(わたしは夕方以降カフェインが飲めないのでルイボス茶)で口直し。
この台所をどういうふうに改装するか論で盛り上がるアンドリュー。
なんでそこまでよそんちの台所に熱くなるん?と思いながら、彼のアイディアを根気よく聞かせてもらいました。
ま、そんなことができるようになるまでには、ま~だまだ時間がかかるので、のんびり行こうよアンドリュー。

そして〆は即興演奏ごっこ。コンガとギターとピアノを取っ替え引っ替え、好きなように演奏します。
これが実はアンドリューの一番の楽しみ。前回はサボって、マーリーと台所でおしゃべりに花を咲かせていたのを散々文句言われたので、今回はパスすることはできず、ギター以外はちゃんと演奏いたしました。
めちゃんこ楽しかったけど、あ~あ、今日はとうとう、ちゃんと練習しなかったなあ……と内緒で反省。
明日はやるぞぉ~!おぉ~!


最終通しリハ

2009年09月26日 | 音楽とわたし
早寝もなんも、夜の8時からマンハッタンでリハがあって、ついさっき戻ってきたところです。
今夜のが最終、先月の末にあったリハとの聞き比べだったので、またまた批評を書き入れる用紙が出演者全員に配られました。
さて、ジェーンとわたしは、細かいところではいろいろあったけど、『危険過ぎるペア』などと??なお褒めの言葉をいただき、まずは無事終了。
わたし達が最も懸念していたタンゴダンサーと共演するヴァイオリンとチェロとピアノチームのチェロ奏者さんのピッチ、全然全く皆目改善されていませんでした……
ジェーンとわたしはこっそり控え室のトイレに行き、チェロのオンチ演奏に合わせて『のたうちダンス』を踊りました。
壁に両手をつき、音程がヘロヘロするのに合わせてあへあへ~と体をくねらすと、悪かった気分がヘラヘラと上昇!
本番、わたしらふたりで、手話のボランティアさんみたいに舞台の両脇に立って、このダンス踊ったらどうかなあ、
そしたらあの不快感がなんとなく紛らわされて、それほど気にならんようになるかも……などとヒソヒソと企む怪し過ぎるわたし達。

コンサートのトリを演奏するのは、イチロー似の天才ヴァイオリニスト、タイソンと会長のアルベルト。
タイソンはもう、なにを弾かせてもドンと来いの若者で、今回もすごく多彩な芸を魅せてくれるのだけど、
如何せん、アルベルトのピアノがうっさぁ~い!!半端じゃなくうっさぁ~い!!
興奮し過ぎたピアニストほど危険なものはありません。ガーシュインの『ウェストサイドストーリー』がラフマニノフ組曲に……
あまりにうるさかったので、タイソンに、「ちょっと、はっきり言うた方がいいで」と言うと、
「もう半年も前に、っていうか、合わせ練習のはじめの日からはっきり言ってる、何回も」って……あ、そう……
「ボク、ピアノも弾けるでしょ(確かに、彼はピアノもヴィオラもメチャうま)、だからバランスのこととかうるさい口なんやけど……」
どうやら、散々言ってきたような様子なので、そっか、じゃ、ここはこのおねえさん?に任せなはれ!と心の中で慰めました。

あと本番まで丸々1週間。まだ間に合います。まだまだ良くなるはずです。
明日はまたジェーンと合わせをします。今日の問題点をまた掘り下げて、もっと楽しめる曲に仕上げたいと思います


今夜、ニュージャージーに戻る電車の中で、本当はいけないのだけれど、携帯で話し始めた女性がいました。
はじめは普通の様子でしたが、途中からいきなり『OH MY GOD!』『No! 』『I'm sorry!』などと叫び始め、とうとう激しく泣き出しました。
「今朝はイヤなことを言ってしまった」とか、「わたしの態度は良くなかった」とか、そんなことを言ってはまた泣いています。
尋常ではない様子に、周りの人がざわざわし始め、車掌がやって来ました。
「大丈夫?どうかしたの?」
「わたしの父が、今、死んでしまったんです!」
そう言ってまた泣き崩れる若い女性を、どうすればいいのか分からないまま、大勢の人の視線が見守っていました。
突然父親を亡くしてしまった彼女の、深い悲しみをひしひしと感じながら、その車両から降りました。


電車に乗ったり、演奏したり、のたうちダンスを踊ったり、階段でこっそりお寿司を食べたり、家族を失って泣き叫ぶ人の声を聞いたり、
生きていることはもうそれだけで、とてもすごいことなんだと、明日をまた無事に迎えることができたら、手を合わせて感謝しよう、
そんなことをしみじみと思った日でした。