ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

決められた時間の中で

2009年09月01日 | 音楽とわたし
先週の土曜日にあった公開リハーサル。
セントラルパークでの写真撮影は雨のため中止になり、リハーサルをするために借りていた教会の表玄関と来賓室で行われました。
ドレスを持ってくるようにって言われていたけれど、そもそもドレスなんて持ってないし、相方のジェーンもそんなん着る柄じゃないってんで、
そいじゃてきと~にとてきと~な服を着て行ったら……見事に上下黒の、パンツスタイルの、さも示し合わせたようなペアルック(←言い方古っ!)。
ま、ドレスだらけの中に居ると、それなりに違う意味で目立ってました。

4時からのリハーサルに合わせて、お客さまも続々と部屋に入って来られ、緊張感も漂い始める中、2枚の用紙とボールペンを手渡されました。
ここに、各演奏を聞いて、いいと感じたこと、修正した方がいいと思われることなんかを記入してください、とのこと。
第1回目の、本番1ヶ月前のリハーサルということで、出来具合は85%で良し。アンサンブルばかりなので、演奏準備にかかる時間も懸案のひとつでした。

ジェーンとわたしが選んだのは、ドボルザークの『レジェンド』から3番と5番、『スラビック舞曲』から8番の計3曲。
ソナタ形式によくあるような、急緩急の三部構成っぽく聞こえるように選びました。
問題は演奏にかかる時間。CDの演奏と全く同じテンポで弾いたとしても、2分強オーバーの12分。(持ち時間は基本的に10分なのです)
それを先日は、少し遅めのテンポで弾いたので、13分もかかってしまい、プレジデントのアルベルト氏から警告のメールをいただいたのでした。
ところが彼は、安直にと言ったら語弊があるかもしれないけれど、3曲を2曲にしたらいいじゃないか、としつっこく提案してきて、
いくら3曲をひとつの楽曲のように捉えている意味を説明しても、テンポの違いを説明しても、ただただひたすら2曲にしろよ~と押してきます。
まずは曲のいろんな部分を曲想や全体の雰囲気を壊さない程度にカットしてみて、テンポも仕上げのテンポまで上げてみて、
その状態で時間を許容範囲の11分まで縮めることができるかどうか試させて欲しいとお願いしているんですけど……。

もちろん、我々が協会のディレクターをやってるからって、好きなことをさせてもらえる、なんて全く思っていません。
ディレクターだからこそ、決まりをちゃんと守って、どちらかというと皆の模範になるような態度を示すべきだと思っています。
アルベルト氏の強硬な態度は多分、そういうところの不公平さを他のメンバーが感じないように、との配慮なんだと思います。

今週中になんとか時間を見つけて、ジェーンとふたりで削り作業に取り組まなければ。ほんでもってテンポを上げて、どこまで時間を縮められるか?

みんなと一緒のコンサートはある意味気楽でいいけれど、公平な演奏時間ということが引っかかって、曲選びにかなり苦心しなければなりません。
まあ、10分持ち時間があったって、結局は5分少々で終わるグループもちらほらいるのだけれど……。

決められた時間の中で、弾きたい曲を弾く。なかなか厳しいことではありますが、
キラキラとほとばしる感情の糸を、ふたりして紡いだり解きほぐしたり、アンサンブルはやっぱり楽しい!
できたらこれを機会に、ジェーンとふたり、いろんな連弾曲や2台ピアノ曲を仕上げて、どこかでコンサートを開きたいなあ、なんて夢見ています。
彼女は24才、タイ人のお父さんと中国人のお母さん、ご両親ともお医者さんで、彼女にも医学の道に進んでもらいたかったのだそうです。
でも、彼女はどうしても音楽の方に進みたくて、それで悩んで悩んで、長い間の葛藤の末、看護士の資格を取り、趣味で音楽を学ぶという形を選択しました。
わたし達は母と娘ほどの年齢差があるけれど、ピアノを弾いている間、お互いの気持ちがスルスルっと分かり合えるいいコンビです。

さてと、ちょっとまた練習しとこっと。