まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

運転に集中できない男!

2015-10-27 | イギリス、アイルランド映画
 秋の英国男優祭④
 「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」
 工事現場を指揮するアイヴァンは、一夜限りの関係で妊娠した女性が出産しようとしているロンドンの病院へと車を走らせる。車内での部下への仕事の指示、帰りを待つ妻子、そして不倫相手との会話は、アイヴァンを精神的に追い詰めてゆくが…
 今をときめくトム・ハーディ主演作。この映画、トムハファンにとってはまさに、盆と正月がいっぺんに来たような美味しい作品なんですよ。何せ、トムハしか出てこない、トムハしか映ってない、究極のトムハ映画なのですから!どこを切ってもトムハ金太郎アメ映画なのですから!

 トムハ、やっぱ男前ですね~。あらためて思った。眉目秀麗だな~って。トムハって普段は、素直にイケメンしてくれないじゃないですか。バットマンに襲いかかる凶悪な怪人とか(「ダークナイト ライジング」)、イカレポンチな懲役太郎とか(「ブロンソン」)、屈折した格闘家とか(「ウォーリーアー」)、近未来世界の逃亡者とか(「マッドマックス 怒りのデス・ロード」)、どれもフツーじゃない、暴力と狂気に満ちたアナーキーで矯激な役ばかり。しかも、プロレスラーみたなイカちーゴリマッチョで、ウホウホフンガー!な見た目と演技は、女子受けなど全然狙ってなさそう。ジョニー・デップとかブラッド・ピットみたいに、素の美しさを見せたがらない傾向にあるけど、どの作品でも油断してると突然のパンチラのように、あ!イケメン!とハっとしてキュンとさせる。その独特さ巧妙さこそ、トムハをワラワラいるイケメン俳優とは十把ひとからげにできぬ存在にしているのではないでしょうか。

 いつもは珍奇珍妙な設定の中で、イカレたゴリマッチョを怪演激演してるトムハですが、この映画ではただ車の中で運転、電話で話してるだけのフツーの30代の男性役。特別なメイクも衣装もなし、大暴れもなしなトムハは、すごく新鮮でした。とにかく、フツーの男性役のトムハ、すごく優しそうで可愛かった!ヒゲ生やしておっさんぽくしてたけど、二人も大きな息子がいる役には見えないほど若々しい。いつものようにイケメン崩し、イケメン隠ししてないのが嬉しい。真顔で運転してる顔は、ほんと端正。横顔など、惚れ惚れするほど美しい。いちばんキュンときたのは、フニャ~っとポワ~っとした眠そうな顔。めっちゃ可愛かった。運転、代わってあげたくなりました。あと、ポロっと涙を流した時の表情。イカレたゴリマッチョな時のトムハも、あんなに無敵な最強っぷりなのに何か母性本能をくすぐる可愛さを醸してますが、この映画でもそれは不変です。

 この映画のトムハ、先述した通り、運転しながら家族や不倫相手、会社関係者と会話してるだけなのですが、すご~くそれが面白いんですよ!どいつもこいつも、トムハをギャーギャーゴチャゴチャと責め立て追いつめてくるのが何か笑えます。ひっきりなしにかかってくる電話に、あ~もう勘弁してくれよ~とウンザリしたり疲れ果てたりプッツンしたりしながらも、ひとつひとつ誠実に真剣に対応し解決していこうとするトムハが、いじましくて可愛い。たまに危ない独り言(死んだロクデナシの父ちゃんへの恨みつらみ)が不穏で狂気じみてて、そこがいつものトムハっぽかった。狭い空間、あまり体を動かせない状況、しかも共演者なしで独りで観客を最初から最後まで引っ張らねばならない演技、これって並大抵の生半可な俳優では不可能。北島マヤと姫川亜弓にも匹敵するトムハの独り芝居です。男前ぶりだけでなく、演技力の高さも遺憾なく発揮してるトムハです。

 出演者はひとりだけ、舞台は車の中だけ、で約1時間半を面白く観させた演出、脚本も秀逸です。トムハのような見た目も演技力も最高レベルの俳優じゃないと、成り立たない映画ではありますが。イケメン、美男なだけの大根俳優には到底無理だし、だからといって演技は巧いけどフツメン、ブサメンだと10分が鑑賞の限界。なので、トムハって本当にスゴい役者なんだ!と、彼への敬服、感服を深めた私です。
 夜のハイウェイも美しく撮られていて、観終わった後ちょっと高速飛ばしたくなりました。

 ↑トムハ、第2子ご誕生おめでとうございます双子役の“Legend”、レオナルド・ディカプリオ共演の「レヴェナント 蘇えりし者」の日本公開が待ち遠しいですね♪
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする