まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ヘイ、ジュード

2014-03-31 | イギリス、アイルランド映画
 お松の英国大女優映画祭②
 「日陰のふたり」
 19世紀末のイギリス。勤勉な青年ジュードは、奔放な妻と別れた後、美しく成長したいとこのスーと再会し、恋に落ちる。貧困の中、愛を貫こうとする二人の前に、ジュードの幼い息子が現れて…
 「テス」そして、この「日蔭者ヂュード」。因習と貧困の中で苦悩し、暗く過酷な運命に翻弄される主人公…英国の文豪トマス・ハーディ、その厭世的で陰鬱な作風にあんまりハマると、マジで生きるのがイヤになってしまう危険性あり。
 この映画の主人公ジュードも、テス同様、清らかな魂を持つゆえに、イバラの道をまっしぐら。容赦なく襲いかかる厳しく汚い現実の前では、優しさや美しい心など、何の役にも立たないというミもフタもない真理に、ズズ~ンと凹んでしまいます。
 それにしても…ジュードの、あまりにも優柔不断&おひとよしな性格と、融通がきかなすぎな生き方、イライラする~!何をやっても、誰と関わっても、結果は不幸と悲劇。全身から発散される強烈な負のオーラ、近寄ると感染しそうで怖い。まさに、疫病神に愛された男!トマス・ハーディは、テスに過酷な運命を与え悲惨な最期を迎えさせたように、ジュードにも地獄の悲劇を用意しています。ある意味、テスより残酷かも。ひどい!非道すぎる~!生まれてきたことが呪わしくなる、まさにメガトン級の悲劇!まさに、神も仏もあったもんじゃありません。

 ↑この子どもがあああああ~!!欝気のある人は、ぜったい観ないでください!
 気高く清い心…そんなものを持ち合わせていない自分は、ひょっとしたら幸福なのかもしれない、とジュードを見ていてシミジミ思ってしまいました。それも何だか悲しいっちゃあ悲しいけど…美しく清冽な映像で、この怒涛のザ・不幸物語を、じめじめと重苦しく描かなかった、マイケル・ウィンターボトム監督の瑞々しい感性が素晴らしいです。
 ジュード役のクリストファー・エクルストンは、イケメンではないけど朴訥な風貌と悲しい優しさにあふれる演技が秀逸です。そして、やはり何といっても…ジュードの恋人スーを演じた、若き日のケイト・ウィンスレット!

 おケイさん、その存在感ときたら!得意の時代劇、令嬢役よりも、断然庶民の娘役の方が似合います。その気が強そうで逞しい容貌は、因習に逆らう気丈なヒロインにピッタリ。そして、その役者魂には並々ならぬものが。オールヌードなどは、当たり前。大股開きの血まみれ出産シーンには、度肝を抜かれます。松嶋7子とか竹内U子とか、日本の大女優(笑)と同業者といっては、失礼にあたる。きれいなだけ、可愛いだけじゃない、観る人に強烈な忘れがたいインパクトやショック、感動を与え残せる演技ができてこそ、真の女優といえましょう。オスカーも受賞し、今や押しも押されぬ大女優となったおケイさんこそ、まさにtrue actress!

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