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まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

熟女セラピストの寂寞診療室

2025-04-04 | フランス、ベルギー映画
  お松の独りフランス映画祭②
 「愛欲のセラピー」
 元作家の精神科医シビルは、執筆活動に戻るため診療から退くことを決意するが、若い女優マルゴのカウンセリングは続けることに。執拗に救いを求めるマルゴの不安定な精神状態は、シビルの心を触発し…
 「落下の解剖学」でカンヌ映画祭やアカデミー賞を席捲したジュスティーヌ・トリエ監督の旧作。内容はともかく、キャストが豪華です。ヒロインのシビル役は、今やフランスのトップ女優のひとりであるヴィルジニー・エフィラ。マルゴ役は、これまた売れっ子のアデル・エグザルコプロス。ドイツ人の映画監督ミカ役は、「落下の解剖学」でオスカー候補になったザンドラ・ヒュラー。マルゴの元カレでミカの今カレの俳優役は、故ギャスパー・ウリエル。シビルの元カレ役は、実生活でもヴィルジニー・エフィラの恋人であるニールス・シュナイダーと、なかなか華やかな顔ぶれ。

 わけのわからない言動をしながら痴情をもつれさせる男女の話は、いかにもフランス映画。私は身も心も淡白なので、男と女の激しい愛憎とか狂おしい欲望とか、あまり共感ができないんですよね~。命がけで恋愛や性愛にのめりこむ姿には、元気だな~と感心するのみです。こんな激しい感情や衝動、わかるわかる~な人になってみたいけど、それもしんどいな、やっぱイヤかもと、シビルやマルゴを見ていて思いました。そんな冷淡で索漠とした自分に安堵したり。劇中で繰り広げられる男女の修羅場や愛欲は、何かもう珍奇でありホラーでもありました。ひょっとしたら、そういうのを狙ってのかもしれない映画でもあります。それにしても。シビルみたいに心も体も女の業が深い女、私のような孤閨をかこつ者からすると、気持ち悪いです。男まみれすぎ。ハエのように男が寄ってくる女の色香なんて、腐臭と同じ。ぜんぜん羨ましくないです。

 シビル役のヴィルジニー・エフィラ、相変わらず脱ぎっぷりがよすぎ。むちむちな完熟裸体を惜しげもなく。男たちとのラブシーンも大胆。ラスト近くの、映画の試写会でのシビルの服が、何でそんな恰好で!?とドン引きするほどエロいです。熟女フェロモンをダダ漏れさせてますが、可愛い童顔や優しそうでぬくもりがある雰囲気、庶民的でお高くとまってないところに好感。見た目とフランス映画界におけるポジションは、ちょっとロミー・シュナイダーを思い出させる女優。ロミーを親しみやすくてエロくした感じ?マルゴ役のアデル・エグザルコプロスは、若いのにすでに熟女の倦怠と色気が。メンヘラ演技も迫力あり。情緒不安定な役だけど、ぜんぜん弱々しくは見えません。

 マルゴとミカの二股、さらにシビルともヤるヤリチン俳優役のギャスパー・ウリエル、この頃は脱イケメン、クズやゲスも演じられる個性派俳優として成功していたのにあらためて早すぎる死が惜しまれます。存命ならきっと、年齢を重ねながら味わい深い役者になっていったことでしょう。

 ミカ役のザンドラ・ヒュラーは、ちょっとコミカル。浮気男と寝取り女に怒り心頭だけど、撮影のためにガマンしてる様子が、そこはかとなく可笑しい。マルゴへの態度が、いい人を装いつつもイライラとイヤミたっぷりで笑えた。船上での撮影中、もうイヤー!!とプッツン、海に飛び込んで職場放棄するシーンも笑えました。「ありがとう、トニ・エルドマン」など、ストレスを鬱屈させてコワレかけてる女の役をやらせたら、天下一品なザンドラさんですね。彼女だけ台詞は英語。映画のロケ地であるイタリアのストロンボリ島の風景が美しかったです。