まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

悪夢の強制退去

2016-08-09 | 北米映画 15~21
 「ドリームホーム 99%を操る男たち」
 無職のシングルファーザーであるデニスは、ある日家を差し押さえられてしまう。家族のために家を取り戻したいデニスは、不動産ブローカーのカーバーに雇われ、自分と同じような窮状にある人たちを家から立ち退かせる仕事を与えられるが…
 恐ろしい映画でした!シビアで現実的すぎるわ。ホラーより怖い。所詮は絵空事!ぜったい私には起こり得ない!と笑ってスルーできない内容に、身につまされてしまいました。下手すりゃ、明日は我が身よ!
 それにしても…こんなことが、アメリカではフツーにまかり通ってたんですね~…でもアメリカだけの話では、決してないんだろうなあ。あそこまで露骨じゃないにしろ、日本だって似たようなことは日常茶飯事なんでしょうし。ほんと、貧乏人には生きづらい世の中ですよ。映画の中のように、いとも簡単に、問答無用に住んでた家から追い立てられ、文字通り路頭に迷うなんて。同じことがもし自分の身の上に降りかかってきたら…想像しただけで、絶望で生きる気力を失いそうになります

 『方舟に乗れるのは1%だけ、残りの99%は溺れ死ぬ』というカーバーの台詞が、私のようなワーキングプアの胸にはグサリと突き刺さる。何も悪いことはしてない、自分の能力のかぎり一生懸命生きてる、のにも関わらず、厳しい格差社会の中で足掻けば足掻くほど沼に沈んでいく人々の姿が、みじめで悲痛でした。負け犬、貧乏人は死ね!と言わんばかりの社会の非情さ歪さを、私も日々実感・痛感しています…

 借金を返さない奴らが悪い!家を奪われるのは当然!なんでしょうけど…返したくても返せない社会システムになってるんですよね~。いま、学生の奨学金も問題になってるけど…聞くところによると、奨学金ってほとんどアコギな高利貸しに近い気がする…政府にはもっと、杓子定規にならず現実に沿った対応をしてほしい。速攻で家没収!と言い渡す裁判も、負け犬どもがどうなろうと知ったこっちゃない的な、勝ち組の味方みたいだったし。貧乏人には、救いも希望もない、だから戦っても仕方ない、といった負のループを断ち切ることができない社会の闇は、とてつもなく重く深いです…
 負債者を家から追い出す追い立て屋も、つらい仕事だな~と を見ていて暗澹となりました。心を麻痺させないとできない汚れ仕事です。私も、駐車違反を取り締まる緑のおじさんとか、イヤな仕事だな~と嫌悪感を抱いてしまうけど、彼らだって好きでやってるわけじゃないんですよね~。それはよく理解してるのですが。デニスが憎悪や敵意を向けられるのが、当然だけど可哀想でもあった。
 主人公のデニス役は、久々に見たアンドリュー・ガーフィールド。「わたしを離さないで」以来?

 お!しばらく見ない間に、ますますいい男になりましたね!大人の男っぽくなってた。でも、あんな大きな息子がいるパパ役には、ちょっと違和感あった。年の離れた兄弟にしか見えなかった。まだまだ青年って感じ。でも、アンドリューみたいな若いパパ、いいですね~。家族思いのけなげさ、優しさに胸キュン。若いにのに扶養家族のために粉骨砕身、悪魔に魂を売る若者を熱演してました。彼も暗くて不幸な役しか似合わない俳優ですよね~。カープのクリス・ジョンソンにちょっと似て見えたのは私だけ?KJをイケメンにしたらアンドリュー、みたいな。
 冷酷な不動産会社社長カーバー役は、「レボリューショナリー・ロード」や「マン・オブ・スティール」などでの怪演も記憶に新しいマイケル・シャノン。ぱっと見だけで、怖い人と察知できます。悪役というより、冷酷、情がない役。屍に食らいつくハイエナみたいなキャラ。ハイエナはただもう本能で死肉を求めてるだけで、悪意とか邪気とかはないですよね~。彼もそんな感じの役でした。何が悪いの?と堂々と悪びれも言い訳もなく仕事してる姿が、エゲツなくも潔くもありました。
 デニスの母役のローラ・ダーン、彼女も孫がいる役をやるようになったんですね~。確かにお年は召してますが、アンドリューとは年の離れた姉弟に見えた。あの母子、そろって若くして子ども作っちゃったんですね~。親子ってそういうところも似ちゃうもんなんですね。辛酸なめても、家族を大切にしてる母子がけなげで感動的でした。

 ↑いい男になっていってるアンドリュー・ガーフィールドの新作は、巨匠マーティン・スコセッシ監督の“Silence”、遠藤周作の小説の映画化で、加瀬亮や浅野忠信といった日本人俳優も出演してます

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2 コメント

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Unknown (pu-ko)
2016-08-11 05:57:58
マイケル・シャノン出てると無条件に観たくなるのでレンタルしたのに、そのままになってた。
99%にはそういう意味があったんですね。
心底怖そうだなぁ。
ガーフィールド君がもうお父さん役!
観てみます。
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残暑お見舞い申し上げます (松たけ子)
2016-08-11 19:27:15
pu-koさん、こんばんは!
マイケル・シャノン、いい役者ですよね~。見た目も演技も強烈。主役を食っちゃう系ですよね~。
99%側の私は、今にも溺死しそうです…溺れるなら、恋に溺れたいです。
アンドリュー・ガーフィールドも、すっかり大人の男になっちゃって。パパ役も素敵でしたよ~。ぜひチェキラー☆彡
私は今日からお盆休み!思いっきり楽しみます!完全引きこもり生活を(^^♪
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