「哀れなるものたち」
ヴィクトリア朝時代のロンドン。天才的な科学者デクスター博士は、自殺した女性の脳を彼女が身ごもっていた胎児のものと取り換え、赤ん坊の心で蘇生した女性をベラと名付け養育する。幼児から少女へと精神が成長したベラは、屋敷から出られないことに反発と不満を募らせ、弁護士のダンカンの誘惑に乗って彼と共にリスボンへと出奔するが…
独特すぎる作風が一度ハマるとクセになる、ギリシアの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督の新作を、ようやく観に行くことができました(^^♪前作「女王陛下のお気に入り」も強烈でしたが、この最新作はさらにスケールアップ、パワーアップしていて、まさに驚異とインパクトのカオス状態でした。内容も演出も演技も、すべてが文字通りぶっとんでます。まさにクレイジーファンタジー。ポリコレ、コンプラ時代の今、よくこんな映画作れたな~と感嘆あるのみな、下ネタ満載のエログロ映画でした。清く正しい紳士淑女は観ないほうがいいかもしれません。私はこういう映画、大好き!めっちゃくちゃ面白かったです!
ヒロインの自分探し、成長の物語ってありふれたテーマですが、この映画は前代未聞なほどに斬新で特異。ありえないほどの怪奇な方法で爆誕したベラは、まさにニュータイプのヒロイン。ベラの冒険が、めくるめくような華美さとグロテスクさ、そして大胆不敵な愉快痛快さで描かれています。ベラの固定観念とか常識、モラルにとらわれない自由さ、勇敢さに圧倒され唖然ボー然となりつつ、これこそ女性の理想の生き方なのではと憧れも。恐れ知らずの行動力、実践力で世界を知り自我に目覚めるベラですが、性への探求心の貪欲さにはただもう畏怖、そして爆笑!ダンカンとヤリまくるだけでは満足できず、パリで娼婦になっていろんな男ともヤリまくり、その過程で考察を深めていくベラのトンデモ社会勉強が笑えました。男性優位な社会の矛盾や理不尽さ、女性の自立や自由も、ストレートに大真面目に描くのはもう廃れた手法で、「バービー」やベラみたいな異形のヒロインが非現実的な世界で目覚めて行動する、という描き方がトレンドになってるんですね。
この映画、何といってもベラ役のエマ・ストーンですよ。いったいどうしちゃったの?!と仰天する怪演、そして脱ぎっぷりヤリっぷり。ハリウッドの今をときめくトップ女優のエマ石が、おっぱいもヘアも丸出しであられもなく下品に卑猥に、そしてあっけらかんと痴態を繰り広げてるんです。すごいわエマ石。彼女ほどの人気女優になったら、フツーは守りに入って無難な仕事しかしなくなるはずなのに。オスカーを受賞した「ラ・ラ・ランド」なんか比ではない女優魂の炸裂ぶり。その攻めまくった演技、あっぱれの一言です。ドギツいコメディ演技なところもまた非凡。日本の同世代女優には絶対不可能な、ウルトラC級の激烈演技でした。ギョロ目と大きな口という漫画顔も、怪奇映画のヒロインにぴったり。今年のアカデミー主演女優賞、「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のリリー・グラッドストーンとの一騎打ちみたいですが、リリグラ石の演技が真珠なら、エマ石のは誰も行ったことがない惑星の石、みたいな。
ダンカン役は、大好きなマーク・ラファロ。彼の珍演もなかなかのものでした。うさん臭いヤリチン色魔役なんて、マークもよく引き受けたな~。でもそんな役でも実力と魅力を発揮し、卓越した俳優であることを証明してるマークです。マークも毛むくじゃらな全裸をさらしてヤリまくってます。ベラを弄ぶつもりが逆に骨抜きにされ、いい男風だったのが身も心もボロボロになっていく姿が滑稽。あのメンタル崩壊っぷり、オスカーの助演男優賞候補も納得の珍妙さでした。笑えるシーンいっぱいあるのですが、特に笑えたのはダンスホールでベラと踊るシーン。変なダンス!女王陛下のお気に入りでも、変ダンスありましたね。
モンスターな風貌と悲しい父性愛のデクスター博士役、ウィレム・デフォーもオスカー候補になるべきだった名演と存在感。博士が語る、父親に人体実験のモルモットにされた幼少期のエピソードが、非道すぎてホラーでした。豪華客船でベラが仲良くなる老婦人役で、ドイツの名女優ハンナ・シグラが登場して驚きました。博士の屋敷にいるアヒル犬がファニーなヤバさ。
トンデモな話や演技だけでなく、映像と美術、衣装も独創的で目に楽しいです。ロンドンやリスボン、パリが舞台になってるけど、ほとんど架空の世界のような、妖しい近未来っぽい風景がシュールです。体力気力がある時に、また観たい映画です。それはそうと。脳みそを取り換えるという設定は、楳図かずお先生の名作怪奇漫画「洗礼」を思い出させました。
↑ まずありえないけど、続編作ってほしい(笑)
ヴィクトリア朝時代のロンドン。天才的な科学者デクスター博士は、自殺した女性の脳を彼女が身ごもっていた胎児のものと取り換え、赤ん坊の心で蘇生した女性をベラと名付け養育する。幼児から少女へと精神が成長したベラは、屋敷から出られないことに反発と不満を募らせ、弁護士のダンカンの誘惑に乗って彼と共にリスボンへと出奔するが…
独特すぎる作風が一度ハマるとクセになる、ギリシアの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督の新作を、ようやく観に行くことができました(^^♪前作「女王陛下のお気に入り」も強烈でしたが、この最新作はさらにスケールアップ、パワーアップしていて、まさに驚異とインパクトのカオス状態でした。内容も演出も演技も、すべてが文字通りぶっとんでます。まさにクレイジーファンタジー。ポリコレ、コンプラ時代の今、よくこんな映画作れたな~と感嘆あるのみな、下ネタ満載のエログロ映画でした。清く正しい紳士淑女は観ないほうがいいかもしれません。私はこういう映画、大好き!めっちゃくちゃ面白かったです!
ヒロインの自分探し、成長の物語ってありふれたテーマですが、この映画は前代未聞なほどに斬新で特異。ありえないほどの怪奇な方法で爆誕したベラは、まさにニュータイプのヒロイン。ベラの冒険が、めくるめくような華美さとグロテスクさ、そして大胆不敵な愉快痛快さで描かれています。ベラの固定観念とか常識、モラルにとらわれない自由さ、勇敢さに圧倒され唖然ボー然となりつつ、これこそ女性の理想の生き方なのではと憧れも。恐れ知らずの行動力、実践力で世界を知り自我に目覚めるベラですが、性への探求心の貪欲さにはただもう畏怖、そして爆笑!ダンカンとヤリまくるだけでは満足できず、パリで娼婦になっていろんな男ともヤリまくり、その過程で考察を深めていくベラのトンデモ社会勉強が笑えました。男性優位な社会の矛盾や理不尽さ、女性の自立や自由も、ストレートに大真面目に描くのはもう廃れた手法で、「バービー」やベラみたいな異形のヒロインが非現実的な世界で目覚めて行動する、という描き方がトレンドになってるんですね。
この映画、何といってもベラ役のエマ・ストーンですよ。いったいどうしちゃったの?!と仰天する怪演、そして脱ぎっぷりヤリっぷり。ハリウッドの今をときめくトップ女優のエマ石が、おっぱいもヘアも丸出しであられもなく下品に卑猥に、そしてあっけらかんと痴態を繰り広げてるんです。すごいわエマ石。彼女ほどの人気女優になったら、フツーは守りに入って無難な仕事しかしなくなるはずなのに。オスカーを受賞した「ラ・ラ・ランド」なんか比ではない女優魂の炸裂ぶり。その攻めまくった演技、あっぱれの一言です。ドギツいコメディ演技なところもまた非凡。日本の同世代女優には絶対不可能な、ウルトラC級の激烈演技でした。ギョロ目と大きな口という漫画顔も、怪奇映画のヒロインにぴったり。今年のアカデミー主演女優賞、「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のリリー・グラッドストーンとの一騎打ちみたいですが、リリグラ石の演技が真珠なら、エマ石のは誰も行ったことがない惑星の石、みたいな。
ダンカン役は、大好きなマーク・ラファロ。彼の珍演もなかなかのものでした。うさん臭いヤリチン色魔役なんて、マークもよく引き受けたな~。でもそんな役でも実力と魅力を発揮し、卓越した俳優であることを証明してるマークです。マークも毛むくじゃらな全裸をさらしてヤリまくってます。ベラを弄ぶつもりが逆に骨抜きにされ、いい男風だったのが身も心もボロボロになっていく姿が滑稽。あのメンタル崩壊っぷり、オスカーの助演男優賞候補も納得の珍妙さでした。笑えるシーンいっぱいあるのですが、特に笑えたのはダンスホールでベラと踊るシーン。変なダンス!女王陛下のお気に入りでも、変ダンスありましたね。
モンスターな風貌と悲しい父性愛のデクスター博士役、ウィレム・デフォーもオスカー候補になるべきだった名演と存在感。博士が語る、父親に人体実験のモルモットにされた幼少期のエピソードが、非道すぎてホラーでした。豪華客船でベラが仲良くなる老婦人役で、ドイツの名女優ハンナ・シグラが登場して驚きました。博士の屋敷にいるアヒル犬がファニーなヤバさ。
トンデモな話や演技だけでなく、映像と美術、衣装も独創的で目に楽しいです。ロンドンやリスボン、パリが舞台になってるけど、ほとんど架空の世界のような、妖しい近未来っぽい風景がシュールです。体力気力がある時に、また観たい映画です。それはそうと。脳みそを取り換えるという設定は、楳図かずお先生の名作怪奇漫画「洗礼」を思い出させました。
↑ まずありえないけど、続編作ってほしい(笑)