「君の心に刻んだ名前」
戒厳令が解除された直後の台湾。高校生のアハンは、変わり者の同級生バーディと親しくなる。二人はしだいに友情を超えた想いを抱き合うようになるが…
BL先進国である台湾から、また佳作が届きました。この作品も、腐の琴線に触れまくる内容、そしてシーンの数々でした。
とにかく切なくて苦しくて痛くて甘い少年たちの恋。BLの基本と醍醐味って、やっぱスウィートペインですよ。最近は、いい意味でも悪い意味でも市民権を会得してるBLですが、あまりにも一般受けを狙いすぎてるというか、結局は男同士の恋愛って特殊なもの、キワモノで滑稽な描き方をしてるものが多いような気がします。あまりにもノーテンキでハッピーだと、BLを軽んじているようで嘆かわしい。まあ現実的なBL映画やドラマを観たい人なんて、そんなにいないと思うし仕方ないのかな。その点この作品は、ライトすぎずヘヴィすぎずなBL強度と濃度。どちらかと言えば甘さよりも苦さが強めなので、BL好きな人向けではあると思います。
真面目な優等生と自由なはみ出し者、真逆な少年同士が友情を超えた感情や欲情に苦悩、離れようとしても傷つけ合っても止まらない抑えられない想い…BLの設定的にはごくオーソドックスです。その鉄板さ、お約束こそBLの魅力。ヘンに奇をてらったBLものは、ワタシ的には邪道です。フツーの男女みたいな恋愛のBLにも違和感。やっぱ同性愛は禁断、いろんな障壁にぶつかり阻まれるからこそ切なく燃える、というのが理想的なBLなのです。この作品のアヘンとバーディも、あの時代だったからこその悲しい恋でした。LGBTへの理解が深まってる今なら、きっと幸せになれたはず。今の感覚で観ると、そこまで同性愛者であることを恐れたり否定しなくてもいいのでは、と思ってしまいます。でもちょっと前までは、同性愛者=反社会的な異常者、みたいな偏見や差別が一般常識だったんですよね。あんな非道い同性愛者へのいじめや蔑みを目の当たりにしながら生きてたら、よほど勇敢な反骨精神がないかぎり堂々とBLなんかできません。
先に好きになったのはバーディで、眠ってるアハンにキスしそうになったり。アハンもしだいにバーディのことで頭がいっぱいになり、性的な夢を見たりしたり。二人の交わし合う視線や笑顔は、まさに世界は二人だけのもの的な恋人同士のもの。その甘酸っぱさ、微熱感に腐はキュンキュンします。女の子と付き合うことでアハンを諦めようとするバーディ、女の子とイチャつくバーディに嫉妬して苦しむアハン。何をやっても結局は恋心を盛り上げてしまい、荒ぶる激情そして蒼い性的衝動…シャワールームでの行為と海への束の間の逃避行は、胸が痛くなる切なさでした。二人が賢い大人だったら、何食わぬ顔で隠れて恋人になれたかもしれない。それができなかった少年の純真さが、老いた目には瑞々しくまぶしかったです。
同じ台湾のBL佳作「花蓮の夏」と違い、こちらは女の子がそんなにBLに絡んでこないのがよかったです。それにしても。BLに出てくる女の子って、可哀想ですよね。BLカップルには当て馬にされるし、腐には邪魔者扱いされるし。BLにもいろんなジャンルがありますが、やはりDKものがいちばん爽やかで美しいです。若さって正義。まさに何しても許される特権。今どきのチャラついたDKではなく、素朴で清潔な風貌のDKなのがポイント高し。まるで少年院みたいな厳しい寮生活の中でも、みんな楽しそうでイキイキとしていて、ああ男子っていいなあ~と思いました。
主演の台湾俳優二人、アハン役のエドワード・チェンもバーディ役のツェン・ジンホアも、若者にしかない蒼いキラキラ感で魅せてくれました。エドワードは金城武+要潤、ツェン・ジンホアは美男になった松山ケンイチ、みたいな顔。二人とも脱ぎっぷりがいい!どちらもしなやかに引きしまったきれいなカラダです。ラスト近くの海での全裸が大胆でした。セックスシーンがなかったのが、ちょっと物足りなく惜しかったけど。ギリギリのところで踏みとどまれたのが驚異。あのシャワーと海のシチュエーションでヤらないとか、少年なのにすごい自制心。少年時代は悲痛な形で終わるのですが、年月を経ておじさんになったアハンに起きる奇跡、あれはどうなんでしょう?お涙ちょうだいな悲劇で終わらなくて安堵した反面、少年時代の切なさがかなり軽減されてしまったようなハッピーエンドでした。
戒厳令解除直後の台湾の様子も興味深く描かれてまいました。そんなに大昔でもないのに、すごい遠い時代のことのよう。亡くなった蒋介石を国をあげて悼むエピソードとか、まるで北朝鮮みたいな異様さだった。軍がまだ強権的で、学校にもその影響と支配力が色濃かったのも、日本と違う特異さでした。
↑ 台湾イケメンもいいですね~。韓流もいいけど、かつてのようにまた華流映画も公開されてほしいです
戒厳令が解除された直後の台湾。高校生のアハンは、変わり者の同級生バーディと親しくなる。二人はしだいに友情を超えた想いを抱き合うようになるが…
BL先進国である台湾から、また佳作が届きました。この作品も、腐の琴線に触れまくる内容、そしてシーンの数々でした。
とにかく切なくて苦しくて痛くて甘い少年たちの恋。BLの基本と醍醐味って、やっぱスウィートペインですよ。最近は、いい意味でも悪い意味でも市民権を会得してるBLですが、あまりにも一般受けを狙いすぎてるというか、結局は男同士の恋愛って特殊なもの、キワモノで滑稽な描き方をしてるものが多いような気がします。あまりにもノーテンキでハッピーだと、BLを軽んじているようで嘆かわしい。まあ現実的なBL映画やドラマを観たい人なんて、そんなにいないと思うし仕方ないのかな。その点この作品は、ライトすぎずヘヴィすぎずなBL強度と濃度。どちらかと言えば甘さよりも苦さが強めなので、BL好きな人向けではあると思います。
真面目な優等生と自由なはみ出し者、真逆な少年同士が友情を超えた感情や欲情に苦悩、離れようとしても傷つけ合っても止まらない抑えられない想い…BLの設定的にはごくオーソドックスです。その鉄板さ、お約束こそBLの魅力。ヘンに奇をてらったBLものは、ワタシ的には邪道です。フツーの男女みたいな恋愛のBLにも違和感。やっぱ同性愛は禁断、いろんな障壁にぶつかり阻まれるからこそ切なく燃える、というのが理想的なBLなのです。この作品のアヘンとバーディも、あの時代だったからこその悲しい恋でした。LGBTへの理解が深まってる今なら、きっと幸せになれたはず。今の感覚で観ると、そこまで同性愛者であることを恐れたり否定しなくてもいいのでは、と思ってしまいます。でもちょっと前までは、同性愛者=反社会的な異常者、みたいな偏見や差別が一般常識だったんですよね。あんな非道い同性愛者へのいじめや蔑みを目の当たりにしながら生きてたら、よほど勇敢な反骨精神がないかぎり堂々とBLなんかできません。
先に好きになったのはバーディで、眠ってるアハンにキスしそうになったり。アハンもしだいにバーディのことで頭がいっぱいになり、性的な夢を見たりしたり。二人の交わし合う視線や笑顔は、まさに世界は二人だけのもの的な恋人同士のもの。その甘酸っぱさ、微熱感に腐はキュンキュンします。女の子と付き合うことでアハンを諦めようとするバーディ、女の子とイチャつくバーディに嫉妬して苦しむアハン。何をやっても結局は恋心を盛り上げてしまい、荒ぶる激情そして蒼い性的衝動…シャワールームでの行為と海への束の間の逃避行は、胸が痛くなる切なさでした。二人が賢い大人だったら、何食わぬ顔で隠れて恋人になれたかもしれない。それができなかった少年の純真さが、老いた目には瑞々しくまぶしかったです。
同じ台湾のBL佳作「花蓮の夏」と違い、こちらは女の子がそんなにBLに絡んでこないのがよかったです。それにしても。BLに出てくる女の子って、可哀想ですよね。BLカップルには当て馬にされるし、腐には邪魔者扱いされるし。BLにもいろんなジャンルがありますが、やはりDKものがいちばん爽やかで美しいです。若さって正義。まさに何しても許される特権。今どきのチャラついたDKではなく、素朴で清潔な風貌のDKなのがポイント高し。まるで少年院みたいな厳しい寮生活の中でも、みんな楽しそうでイキイキとしていて、ああ男子っていいなあ~と思いました。
主演の台湾俳優二人、アハン役のエドワード・チェンもバーディ役のツェン・ジンホアも、若者にしかない蒼いキラキラ感で魅せてくれました。エドワードは金城武+要潤、ツェン・ジンホアは美男になった松山ケンイチ、みたいな顔。二人とも脱ぎっぷりがいい!どちらもしなやかに引きしまったきれいなカラダです。ラスト近くの海での全裸が大胆でした。セックスシーンがなかったのが、ちょっと物足りなく惜しかったけど。ギリギリのところで踏みとどまれたのが驚異。あのシャワーと海のシチュエーションでヤらないとか、少年なのにすごい自制心。少年時代は悲痛な形で終わるのですが、年月を経ておじさんになったアハンに起きる奇跡、あれはどうなんでしょう?お涙ちょうだいな悲劇で終わらなくて安堵した反面、少年時代の切なさがかなり軽減されてしまったようなハッピーエンドでした。
戒厳令解除直後の台湾の様子も興味深く描かれてまいました。そんなに大昔でもないのに、すごい遠い時代のことのよう。亡くなった蒋介石を国をあげて悼むエピソードとか、まるで北朝鮮みたいな異様さだった。軍がまだ強権的で、学校にもその影響と支配力が色濃かったのも、日本と違う特異さでした。
↑ 台湾イケメンもいいですね~。韓流もいいけど、かつてのようにまた華流映画も公開されてほしいです