まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

僕のヤバイ秘書

2016-06-27 | フランス、ベルギー映画
 勝手にFESTIVAL !! イケメンで綴るフランス映画④
 「復讐のセクレタリー」
 トマは出産間近の妻を病院へ運ぶ途中、若い男を過って轢き殺してしまう。数年後、トマの秘書としてマリーという女性が雇われる。マリーはトマが事故で死なせた被害者の母親だった…
 ナタリー・バイとマリク・ジディ主演のサスペンス映画。二人とも大好きなので、以前からすごく観たかった映画。映画そのものは、ハリウッドのB級サスペンス映画、昔の火曜サスペンス劇場、みたいな感じです。内容はB級でも火サスでも、出演者がすぐれた俳優だと安っぽくならないのが役者マジックですね。

 トマ役のマリくんは、過去の事故や妻との不和、仕事の忙しさで心身ともに疲れた、ちょっとくたびれた役のせいか、かなり老けて見えたのですが(頭髪がかなりヤバい)、相変わらずカッコカワイイです。落ち着いてて知的な感じが好き。小学生の息子がいるパパ役だったのも、マリくんもそんな役やるようになったんだな~と感慨深いものが。でも、彼みたいなパパ、いいな~。子どもに優しいマリくんのパパっぷりが素敵でした。怪しいマリーになかなか心を許さず、ずっと胡散くさそうだったり冷淡だったり、このオバさんウザい!けど邪険にできないし、みたいな本音がよく分かる表情が秀逸でした。優しそうだけど、お人よしじゃないキャラがマリくんらしかった。スーツ姿も爽やかで、仕事できそうな雰囲気。

 マリー役、ナタリー・バイの貫禄と怪演が、この映画最大の見どころでしょう。優しそうでエレガントなナタリーおばさまが、サイコな熟女役、というのが意表をついてました。静かなるイカレっぷりが怖いです。秘書としての有能さと熟女の色香で、トマの家族に近づくマリーの怪しく危ない行動が、ヤバくて面白いです。はじめは息子を殺したトマへの復讐だったはずが、だんだんトマの息子を我物にすることが目的になっていって、そのために邪魔な奴らを容赦なく冷酷に始末していくマリー。愛する子どもを喪うことって、耐えがたい苦しみ、悲しみ。トマは秘書として現れたマリーとは初対面みたいな様子だったし、ちゃんと誠心誠意謝罪しなかったのか?そういう思いやりの欠けた不誠実さへの怒りも、狂気を煽ったのでしょうか。復讐したい気持ちは理解できるけど、せめてトマだけにしてあげてほしかった。マリーの復讐、いくら何でも冷酷で卑劣すぎる。トマの家族が、可哀想すぎる!マリーのやることが、乱暴で雑だったのが残念。狡猾で緻密な方法でトマに罠を仕掛け、彼を陥れる話にしてほしかったかも。

 色仕掛けもするマリーですが、トマは熟女好きじゃないみたいで引っかからず、ならばとトマの老父にハニートラップ!独り暮らしの寂しい老人は、コロっとマリーにメロメロ。こんな風に独居老人は詐欺に騙されるんですね!トマのパパが一番可哀想だった。聡明で優雅な熟女の顔と、狂気に蝕まれたイカレ女の顔を錯綜させるナタリーおばさま。もうおばあさんといっていい年齢ですが、女の色香を利用する役も不自然じゃないところが、さすが生涯現役なフランス女優。下着姿も披露するなど、熟女マニアにはたまらん映画かも若作りに必死になってるところがイタい60代女優と違い、加齢に逆らわないナタリーおばさまの60代ならではの美しさに憧れます。

 色あせない女性の美しさは、やっぱ内面の知性とか気品、自信と余裕なんだな~と、ナタリー・バイやヘレン・ミレンのような大女優を映画で見るたびに思い知ります。あと、背筋がピーンとしてて姿勢がいい、というのも大事ですね。ナタリーおばさまの、シンプルだけどフェミニンでもある白いシャツとか、上品なアンサンブルとか、趣味のいいファッションがさすがフランス女優。韓流の成金悪趣味さとは違います。トマの息子が、すごい可愛かった!内気で繊細そうな美少年。将来イケメンになりそう。

↑マリくんの最新作は、パリのテロリスト組織に潜入するジャーナリスト役を演じた問題作“Made in France”です

コメント (4)
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