まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

野望の総回診!

2009-11-08 | 日本映画
 山崎豊子祭④
 「白い巨塔」
 これも唐沢寿明主演で連ドラ化されましたね。往年の田宮二郎バージョンは今も名作の誉れが高いので、私もぜひ観たいと思っています。田宮二郎がTVドラマよりも前に主人公の財前五郎を熱演した映画版を、先に観ることができました。
 名門の浪速大学医学部。敏腕外科医の財前五郎助教授は、近々引退する東教授の後釜を狙っていた。自信家で傲慢不遜な財前を嫌う東教授は、外部の大学から自分の後任を呼ぼうと画策するが...
 面白かったです。大名のお家騒動ものみたいで。どこの世界でも、権力って人間を浅ましく熱くしちゃうんですね。教授の座をめぐって病院は魑魅魍魎&百鬼夜行の館と化し、上も下もみんな必死になって右往左往、権謀術数に明け暮れる姿が、エキサイティングかつ滑稽でした。
 それにしても。お医者さんって、高潔なイメージがあるけど...こんなドクター嫌だ~!な連中ばかりで呆れた。すごい権力志向、私利私欲の塊!選挙運動や裁判対策への時間と労力の十分の一でも、患者さんのために割いてあげてよ~と悲しくなりました。
 財前五郎のギラギラぶりが圧巻。それにしても。彼があそこまでアクの強い男でなかったら、案外スムーズに教授になれたんだろうなあ。あんまり実力も魅力もありすぎると、生きるのが返って難しくなるんだろうなあ、と財前を見てて思いました。いちおう東教授の前では殊勝に腰を低くしてるけど、俺のほうが医者としても男としても勝ってるぜ!オーラ全開な財前は、確かに同性の反感や嫉妬を買うタイプ。東教授や他の教授が財前を嫌うのも道理。でも、他人に警戒され恐れられるほどの実力と魅力、備えてみたいものです。
 でもホント財前さん、実は善いところも人間的弱さもある、なんて甘っちょろさなどカケラもない男。権力欲に憑かれた悪鬼のようだった。あのバイタリティと貪婪さ、今の世の中に必要かも。財前五郎を一世一代の当たり役にした田宮二郎が、まさに入魂の演技でした。ダークでブラックでニヒルで、ねっとりとした男の脂でギトギトしてて、とにかく濃ゆい!最近の薄い草食男子を見慣れてる目には、疲労感をもたらすほど素敵すぎる肉食男ぶりでした。教授になって口髭を生やした財前教授も、シブさと胡散臭さを増してチョベリグ(死語)♪田宮二郎の関西弁も好き。
 ちょこっと調べてみたら、田宮二郎は当時31歳!?ええ~!?アダルティすぎる~!今の近畿キッズとかと同じ年頃だなんて、ありえねー!近畿キッズなんて、子供のまま腐乱しちゃった感じだもんね。やっぱ、年とっても成熟した色気がない男って、キツいですよねえ。
 
 脇役も、濃い存在感と好演。
 東教授役は、水戸黄門さまこと東野英治郎。悪人、というより、ひねくれてて頑固で意固地な爺さんって感じでした。財前のやることなすこと全てが癇にさわる様子や、財前への刺々しいイヤミ攻撃が笑えた。またまた助演男優賞ものだったのが、鵜飼教授役の小沢栄太郎。自分の利益になることしか考えてないズルいセコい狸爺ぶりで、いい味だしてました。東も鵜飼もヘコヘコ畏れる大物教授役、滝沢修のクールな貫禄も素晴らしい。ラストの法廷では、まさにゴッド降臨って感じの威厳でカッコよかった。
 唯一まともなドクター、里見助教授役の男優って誰かな?どっかで見たことある人だけど、優しそうで可愛い人だなあと思ってたら、田村高廣だった!マサカズよりお兄ちゃんのほうが好き。
 あと、財前の舅さんが強烈なキャラだった。このひとホントに医者!?ほとんどコテコテ大阪商人。銭で勝負やー!と、娘婿を教授にするために金をばらまきまくる俗悪な拝金主義ぶりも、何か微笑ましいほどオチャメなハゲ親父でした。
コメント (2)
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