ロシア政府は今回のバイデン・アメリカ副大統領のロシア訪問によって、ロシアのWTO加盟問題およびジャクソンヴァニク修正条項撤廃問題に、進展が見られることを期待している。
少なくともバイデン副大統領は、長い経験と議会下院での広い人脈を持った人物だ。
それによって修正条項撤廃を主張するオバマ大統領の立場を、議会下院でしっかりと示し、ロシアのWTO加盟への障壁をなくすことが出来るだろう。
ロシアは17年間にわたってWTOへの加盟交渉を行っている。現在のところロシアは先進国のなかで唯一、WTOに加盟していない国となっている。その加盟のためには、153ヶ国加盟国すべての合意が必要となる。(※男性アナウンサーは「必要となり」で終わっている)
ジャクソンヴァニク修正条項は、1974年ソビエト連邦における移民の自由が制限されていたことから、アメリカ議会下院で採択されたもので、両国の貿易関係発展を妨げている。
すでにソビエト連邦の崩壊から長い時間が経ってはいるものの、アメリカ議会上院は条項の撤廃を行ってはいない。ただ1989年以来、毎年条項へのモラトリアムが導入されている。
メドヴェージェフ大統領は、バイデン副大統領と会談したなかで、そのような解決されていない問題によって、両国の経済関係が、政治分野の進展からは立ち遅れたものとなっていると強調している。
「ロシアがWTOに加盟していないことも、それを妨げている。今年中に加盟手続きが完了することを期待している。
アメリカによる実際の支援も期待している。我々は共に発展させていくべき大規模な経済プロジェクトを有している。
今日、スコルコヴォを訪問してくれたことを嬉しく思う。それはハイテク分野や新しいビジネス分野における協力であり、両国の経済が危機から立ち直っている時期において、特に重要なものだ」
メドヴェージェフ大統領は、このように話している。
現在スコルコヴォ・プロジェクトにおける大手国際パートナーの多くは、アメリカに本部をおいている。
昨年メドヴェージェフ大統領は、カリフォルニアのシリコンバレーを訪問し、大手企業やベンチャー企業の代表者らとの会談を行い、スコルコヴォへの関心を喚起した。
その結果、シスコやマイクロソフト、ボーイング、インテルなどのアメリカ企業が、すでにスコルコヴォ基金と合意を結んでおり、スコルコヴォに自社のセンターを開設する意向となっている。またgoogleやコダックなどとの間でも交渉が行われている。
その他にもマサチューセッツ工科大学や他のアメリカの大学も、スコルコヴォへの直接支援を行っている。
メドヴェージェフ大統領とバイデン副大統領の会談のなかでは、二国間の経済協力の他にも、ヨーロッパでの対ミサイル防衛システムに付いても検討された。
また地球的規模の問題に付いても議論された。
メドヴェージェフ大統領は、今年起こった問題に付いても、両国で協議していかなくてはならない。中東および北アフリカ諸国での事件をめぐる問題も含まれる。我々の作業が継続されることを願っている。と強調していた。
ロシアはアメリカとの戦略的関係を発展させる準備があると言えるだろう。
3月10日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル