ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

自動運転に関するまとめ その2

2015年01月25日 | 自動運転
承前

3.完全自動運転の世界

遠い将来像を描くなら,すべての車は通信機器を備え,行政が管理するサーバーで処理され,すべての交通流が自動運転でスムースに流れる様になる世界だろう。
ここまで来ると交通渋滞は殆ど解消される。例えば信号待ちからの発進はすべての車が同時にスタートする。
いや、もしかしたら交差点では双方からくる車がどちらも止まらずに通過できる様になるかもしれない。
これはかなり先の未来の話であり,私が目にすることは多分ないだろう。

しかし,いずれはそうなる。そうした世界では,少なくとも車両の運行制御はルールに基づいて画一化され,カーメーカーの独自技術やノウハウは意味を持たなくなる。公共交通機関の乗り物に近いイメージとなる。
こうした世界が実現すると,自動車という耐久消費財に対する考え方が根本から変わってくることになる。

まず,自宅の車庫という概念がいらなくなる。
車は乗りたいときに呼べば,家の前まで自分でやってくる。バットモービルの世界。
行政が地下にでも共同駐車場のようなものをつくり,走っていない車は常にそこに収納されていればいい。
出先でも同じことで,駐車場を探す必要はない。降りたら車は自分で駐車場に入る。

さらに,車という商品には走行性能による差別化がなくなる。
すべての車は同じ加速,同じ最高速度で走り,同じように減速しカーブを曲がり,同じように止まる。
高性能車を所有する意味は全く無くなる。実質的に差別化できるものは乗り心地,内装の快適性やインカーエンターテイメントだけになる。
自動車メーカーは商品企画に対する考え方を根本から変えなくてはならなくなる。

さらに言えば、自動車メーカーは主導権をにぎることができなくなるだろうという論調もある。
次回はこの辺を考えてみたい。