ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

メタバースは線香花火か

2022年06月05日 | モバイル・ウエアラブル

メタバースがバズワードになって一年くらいたつけど、私はどうにもこのブーム(?)に懐疑的。

メタバースとは、コンピューターネットワーク上での仮想空間、特にVRヘッドセットをつけて入り込む3次元のバーチャル空間。VR3次元でないものはもう15年以上前から存在し、「セカンドライフ」なんて懐かしいものもあるし、アバターになって他者とコミュニケーションする世界はMMOゲームが既に存在する。

メタバースと、それら既存のサービスとの違いは「VRヘッドセットを使う」ことと、「おおむね2021年以降に参入してきたものである」ということくらいだろうか。

なので概念としては全く新しいものではないのに、メディアではなにか革命的なもののように取り扱われている。

ここで、メタバース+流行らない 等のワードで検索をかけるとそれを必死に否定するブログが結構見つかる。
面白いことにどのブログをみても「フェースブックが社名をメタにした」「大手企業が続々参入している」とまるでテンプレートを使っているかのように反論が同じで、なおかつ仮想通貨などの自身のアフィリエイトへのリンクがお約束のように張り巡らされていること。

実は、これが線香花火臭を発散させているのだ。情報商材屋やオンラインサロンのような、儲け話に群がる連中がさっそく目をつけている。
仮想通貨が良い例で、メタバース空間では仮想通貨しか使えないからこの先爆上がりするとか、今のうちにもっておくべし、等の言説もでている。
まあこうした勧誘ならまだいいが、この先詐欺まがいの物も出てくる可能性がある。
結果、焼け野原のようになってしまうだろう。

そうはいってもメタバースそれ自身に将来性があるのなら、こうした立ち上がり時の混乱は時間がたてば収まるだろう。
しかし私にはそうも思えない。

メタバース否定論者は「セカンドライフ」も成功しなかっただろう、といい、推進派はそれはハードの限界があったからで、10年でコンピューター処理速度、通信速度は飛躍的に向上した、という。
「セカンドライフ」をやってみて数回ログインして飽きてしまった私は前者の立場だ。当時でもさほどストレスのない仮想空間だったし、アバターとなってコミュニケーションしたり買い物やビジネスしたりできた。本質的にはメタバース=セカンドライフといって間違いない。
私がすぐ飽きた理由はハード性能が貧弱だったからではない。キラーコンテンツが見当たらなかったから、としか言いようがない。
メタバースも大手企業が参入してビジネスチャンスを窺っているようだけど、それって消費者(参加者?住民?)にとってはキラーコンテンツではない。人は買い物だけに生きているわけじゃない。売り手目線でしか語られてないと感じる。

ショッピング以外のコンテンツはどうか。よく他者とのコミュニケーションがあげられるが、本当にそんなことしたいのか?と思う。仮想の世界にまで面倒な人間関係を持ち込みたいとは、私は全く思わない。(これは人それぞれだろうけど)

ということで、VR にしてもMMO型のコミュニケーション可能な仮想空間にしても、それ専用に企画されたゲームコンテンツが存在し、一定のユーザーを獲得している。
それの発展形としてVRゴーグルを使ったよりリアルな商品をメタバースと呼ぶならそれは正常進化としてまったく有りな話だし、教育等の局所的な場面でのVRは有効だと思うけど、メタバースそれ自身に社会を変革する何かがある、ということではないだろう。


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