ITSを疑う

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AppleのVision Proで感じたメタバースの限界

2023年06月08日 | モバイル・ウエアラブル

ほぼ一年前に「メタバースは線香花火か」というエントリーを書いた。その後の一年間でメタバースに大きな進展があったようには思えない。
むしろ、社名をメタにかえたFACEBOOKがメタバース系事業で大いに苦戦をしている、というニュースが流れてきている。

しかし、まだ始まったばかりであり過度な期待による「幻滅期」に陥っているだけだという主張もある。

本当にそうだろうか?

私が子供の頃の未来予想では、21世紀には電話はすべてTV電話になるというのは鉄板の既定路線であり、おそらく誰もそれを疑っていなかったと思う。
しかしどうだろう。同じく言われていた「車が空を飛ぶ」は技術的・コスト的に不可能だが、TV電話に関してはソフト、ハード的には何ら問題なく、いや実際誰のスマホにもその機能が備わっているにもかかわらず普及していない。

むしろ、音声通話すら衰退し、コミュニケーションの主流はチャット等のテキストになっている。自分の時間を奪われる電話を好まない人が増え、それに配慮する人が増えているということだろう。
電話はTV電話に進化せず、逆に(即時性がある)手紙に退化したともいえる。

ここで注目するべきことは、電話がTV電話にならなかったのは決してハード的な制約からではなく、利用者のニーズによるものだということ。

それを考えると、TV電話よりさらに「濃い」コミュニケーションとなるメタバースに人々ははたして惹かれるのか、はなはだ疑問だとしか言いようがない。

特にメタバースでは知人友人とのリアルなコミュニケーションのほかに不特定多数とのコミュニケーションが言われているが、その需要ってそんなにあるのか?
現実世界の面倒な人間関係を趣味の世界にまで持ち込みたくないという人は多いだろう。だいたい日本人でパーティー等に参加し積極的に参加者に話しかける人がどれだけいるか。
アバターなら気軽にできるという見方もあるけど、そもそもそんなことはしたくないということなら現実もアバターも関係ない。

なんて考えていたら、Appleが2023の世界デペロッパーカンファレンスでVision Proというヘッドセットを発表した。
ここで注目するべきは、Appleは一言もメタバースという言葉を使っていないということ。実際このヘッドセットはVRではなくARヘッドセットで、仮想現実の世界に入るというよりは既存のiPhoneやMacの映像デバイスを拡張した、という位置づけになっている。

これは流行るかどうかはわからないが、すくなくともアップルはVR(メタバース)の方向にはいかない、ということは明らかになったと思う。



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