ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

トヨタがMaaSに取り組む理由

2018年04月04日 | ITS
最近MaaSという言葉が業界では一種のBUZZワードになっている。Mobility as a Serviceの頭文字で、非常に簡単にいえば移動手段として車という所有するハードウエアを提供することから、移動手段自体を提供することへの変化と言って良いと思う。
広義で言えば従来からあるタクシーもその範疇に入るが、MaaSはそこにITプラットフォームを介在させて利便性を向上させたものと理解すればいいだろう。

そうした中、トヨタは東京地区の販売会社統合の発表(乗りものニュース記事)に際して、今後所有から利活用に消費者ニーズは変化することが考えられ、そのための新たなモビリティサービス提供によるビジネスモデル変革の一環である、と説明した。

販売会社統合に関しては、チャンネル政策がテリトリー制訪問販売時代にできたものだからこれは時代の流れだろう。一つのテリトリーに複数の販売会社が入り、複数の販売員が同一地区を担当することでシャアを拡大する事を狙ったものだが、すでに他社は殆どチャンネル制を廃止している。

本題の「新たなモビリティーサービス」だが、これはこのMonoistのインタビュー記事が詳しい。

要約すれば、日本で最大のシェアを持つトヨタが車両走行データというビッグデータを握るとともに、モビリティーサービスに関する各種アプリケーションのAPI(簡単にいえばアプリのプラットフォーム)を公開しサービス事業者に販売するという。勿論、自らもモビリティサービス事業には参入し、この分野のマーケットをくまなく手に入れるということだろう。

トヨタはアフターマーケットの重要性に着目し、ディーラーサービスの強化と同時にタクティーやジェームスというアフターマーケット市場も押さえに行った。それと似たようなことだ。

しかしアフターマーケットとは根本的に異なるのは、シェアリングビジネスが主流になると車種の選択がユーザーから事業者に移ってしまうということに有る。カーシェアの車が何であるか、あまり消費者は気にしない。またこうしたフリート販売は極めて薄利でカーメーカーにとってはあまりありがたいものではない。(沖縄のレンタカーは売れない車種ばかり、というのもそのあたりが理由)
このさき本格的に所有から利活用にニーズがシフトするなら、カーメーカーとしてはその根本を握っておく必要がある。当面カーシェアはタクシーや公共交通機関からのシフトが主流で所有を脅かすものではないだろうが、自動運転やフリーフローシステム等が導入されカーシェアの使い勝手が良くなれば所有は一気に衰退する可能性がある。

このトヨタの動きは進んでいるように見えるが、グローバルにいえばやっと、という感じだ。特にドイツのカーメーカーはかなり先を走っている。また、カーシェアのプラットフォームに関しては日本企業は出遅れていて、うっかりするとすでにかなりの規模でEVカーシェアが実運用されている中国のIT企業にも遅れを取る可能性がある。

言うまでもなく自動車は我が国の主要産業だ。ここはぜひトヨタに頑張ってもらいたい。


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