ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

中国ローカル自動車メーカーの状況

2018年11月22日 | 中国生活
2018年広州モーターショーを見てきた。
平日だったせいか、さほどの混雑もなく見ることができたが、中国の展示会場はバカでかく非常に疲れた。
また、これは中国に限らずアジア圏はどこもそうだが、モーターショーは個人ユーザーとの商談の場であり、マジに車を買う気で来ている来場者に売る気満々のセールスマンが群がるという、日本のモーターショーとはまるで違う状況。

一番人気が高いのはドイツ車のブース。BMW、ベンツ、アウディ、VW、どのブランドも中国企業との合弁による現地生産。特にベンツ、アウディ、BMWのブースはかなり混雑していた。続いてはトヨタ、ホンダの日系。中国ローカルブランドの展示ブースはほとんど人がいない状況。また、現代、KIAの韓国ブランドも閑散としてたのが印象的。

広州等沿岸の裕福な地域では純ローカルブランドは「田舎の人の車」という感覚が強く、車を買うお金があるなら日系、欧系ブランドを選ぶという人が多いのでローカルブランドのブースが閑散としていることは驚くに値しない。しかし内陸部では依然として安いローカルブランドが主流でありマーケット規模も非常に大きいので、こうしたブランドもまだまだ生き残っていける。
しかし、10年先を考えると相当淘汰されるのではないかと思う。

ローカルブランドも決して馬鹿にできない。ローカルブランドで最も売れている車の一つにHAVAL H6がある。
これは長城汽車のSUVブランド哈弗が出している中型SUVだが、車格、作り、内装と10万元(160万円)そこそこという価格は相当に魅力的だ。とくにHAVALはローカルブランドとしては高品質という評判で、故障しないのであれば日用使いなら私もこの車で十分だと思う。

もう一つ、そしてここからが今回の本題なのだが、ローカルブランドが展開する新ブランドに注目したい。

前述のとおり、一汽、東風、長城、北汽、吉利、広汽、BYD、奇瑞といったローカルブランドとそのロゴには「田舎の人の車」というイメージが定着してしまっている。
そこで中国各社は新ブランドの開拓に乗り出している。
先の長城によるHAVALブランドの切り離しもそうだし、上海汽車はすでにブランド展開をしている。
また欧州のブランド買収によるブランド化としてはMGブランド(上汽)やボルグヴァルド(福田汽車)の例があるがこれはそれほど成功してはいない。
当ブログ記事「ボルグヴァルドというドイツメーカーの謎

むしろ成功している、または成功しそうなのはスタイリッシュなデザインとハイテク機能を売りに若者向けにイメージを振った新ブランドだ。
代表的なのはLynk&Co.。(写真)
これは吉利汽車とボルボによる合弁ブランドだが、ボルボ自体吉利傘下なので実質吉利といっていいだろう。
ただ、Lynk&Coの場合は欧州ボルボの人材がかなりの主導権をもって車・ブランド作りをしているように感じる。いわば、日本で企画設計されるLenoboのThinkpadのような感じ。
車の名前というよりはファッションブランドのようなその名前と、非常にスタイリッシュな外観、内装。さらにコネクテッドによるライフスタイル提案と、かなりのレベルに仕上がっている。
広州モーターショーでも若い人を中心にブースは賑わっていた。
あとは、長城のWEYブランド。これもデザインにこだわったハイクラスのSUVに特化している。

欧系、日系と合弁をしているローカル企業はそれらの車作り、品質管理手法を学び自社ブランドの車のレベルもここ数年でかなり進歩している。
中国ローカル車というとデザイン100%コピーとか、衝突試験をしたら★一個だった、などの笑い話的イメージが未だにあると思うがそれはもう10年前のことで今は相当に進化している。

私が中国に来た2012年、中国ブランドのアンドロイドスマホは全く購入対象外、HTC、モトローラ、ソニエリあたりが選択肢だった。それからわずか6年。いまやHTC、モトローラ、ソニーは跡形もなく、当時は歩歩高ブランドだったOPPOやまだ端末に参入したばかりだったHUAWEIが今や市場を独占している。そしてこれらは性能、品質的にも非常に優れており、海外にも進出している。

スマホより遥かに複雑な車の世界でこれが直ちに起きるとは言わないが、この先10年を考えるとなにが起きるかわからない。EVや自動運転を視野に入れ無くてはならないがそうしたハイテク分野でも中国は侮れない。
日本メーカーが走り続ければ絶対に追いつかれることはないが、イノベーションを怠ったら危ない。


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