みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

王海著「我が闘いの生涯」(下)03

2014年07月10日 00時01分47秒 | 書籍
 事前に決めてあった戦闘当直の順番により、師団飛行主任の張滋が慣れた様子で飛行用装備を身につけ、素早く飛行機に搭乗して、22時07分に準備を完了した。敵の機種は不明で、大型航空機としか分かっていなかったので、張滋は照準器の目標翼長設定ダイヤル〔原文は「翼展刻度」。wingspan adjustment dial。距離何メートルで機影が照準器上の目盛りの大きさに見えるかを、目標の大きさによってあらかじめ設定しておく〕を35メートルに合わせた。この時敵機は連続して国境を侵犯しており、22時16分浙江省永康の北26キロメートル地点の上空に達した。方位10度、高度3000メートル、速度毎時300魯メートルである。軍指揮所の命令を受けて、我が方の機も直ちに離陸した。地上管制員の誘導のもと、敵機の飛来する方向に向かったのである。
 任務分担によれば、離陸は師団指揮所の誘導により、そして我が機が航路に入ったら、軍指揮所が誘導を引き継ぐ。敵との接触が間近となると、レーダー誘導ステーションの誘導に変わる。この戦闘は、空中と地上の師団・軍レベルのとの緊密な指揮連携により、夜間の複雑な気象のもとで敵機を撃墜した典型的なケースとなった。
 我が方の機は22時16分30秒に離陸し、師団指揮所の誘導により方位220度で飛行し、雲を抜けて高度3000メートルに達し、戦闘コースに乗った。22分25秒、軍指揮所が誘導を引き継いだ。
 刻一刻と時間は流れ、司令室内は静まりかえっている。私と当直の誘導員達は息を殺し、瞬きもせずに、テーブル上に広げた敵味方の航跡表示を見つめて、この得がたいチャンスをパイロットが逃さぬように念じていた。
 パイロットは地上の誘導に従って敏速に操縦し、じりじりと目標に近づいていた。
 22時37分45秒、張滋は薄雲の向こうに点滅する四つの光を見つけ、「敵機発見、攻撃許可を請う!」と興奮して叫んだ。
 「攻撃せよ!」軍指揮所は直ちに命令を下した。(続)