みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

王海著「我が闘いの生涯」(上)03

2013年07月23日 22時14分51秒 | 書籍
 「攻撃せよ!」私は攻撃から離脱しながら指揮し、後方の三機に射撃開始を命じた。
 私の後ろにいた焦景文と周鳳性はとっくに、発射ボタンに掛けた手がうずうずしている状態だった。私の命令を聞くや直ちに発射ボタンを押した。すぐに砲弾が勢いよく流れ出す。見ると、この満身創痍の敵機は墜落炎上という結末から逃れようと、なおもふらふらしながら古巣に向かって懸命に飛行している。
 この時、劉徳林が我々に追いついてきて、敵機を狙って続けて発砲した。しかしこれも撃墜するに至らなかった。時間は刻一刻と過ぎ、敵機は今にも「三十八度線」に逃げ込んでしまいそうだ。劉徳林は両眼をぎらつかせながら「お前を落とさん限り、俺様は今日は帰らんぞ!」と叫ぶ。彼は敵機の右に回り込んで射撃したかと思うと、今度は後ろに回り込んで尾部に射撃し、敵機を動く的の代わりにしているようだった。
 劉徳林が帰還して着陸した後、私や戦友達は急いで駆け寄り、異口同音に「撃墜したのか?」と尋ねた。彼は拳を振って、「へん、スッとしたぜ。あいつが火を噴きながら落ちて行くのを見てたんだ」と言う。その言葉を聞いて我々はやっと溜飲が下がった。
 第一大隊が戦果を挙げた。しかも四人が連続で射撃して、それぞれ敵機に命中させたのだ。勝利の知らせは飛行場全体沸き立たせ、師団長や連隊長、そして戦友達が我々の大隊を祝福してくれた。
 数回の作戦出動を通じて、私はつくづく悟った。空軍の指揮官として必要なのはただ勇敢さ頑強さだけではない。更に重要なのは、全大隊の全パイロットの「頭脳」となって、瞬時に変化する空戦において迅速に状況を判断し、チャンスを捉え、機敏かつ果断に指揮を執って、集団としての戦闘力を十分に発揮させることである。そうであってこそ、敵を倒し自己を守るという目的を真に達成することができるのである。(続)