針谷みきおの一言 集まり処「はんの木」情報 

集まり処「はんの木」にてスマホ・パソコン教室3時間千円貸出中コカリナ教室など📱070-5458-6220へ

「マスコミが問われている」を考える

2016-03-08 22:40:19 | マスコミ・報道

国民を戦争に駆り立てるのは簡単なことだ。「われわれは外国から攻撃されようとしている」と国民をあおり、平和主義者を「愛国心が欠けている」と非難すればいい―。このおぞましい手口、ヒトラーの側近ゲーリングが語った言葉として知られています

高市総務相の「電波停止」発言をはじめ、安倍政権が放送への介入に熱心なのはなぜか。「政府批判が偏向報道だと思い込みがある」「昨年の安保反対デモのようなことを参院選前にやられたくないのでは」。某キャスターの指摘です

なるほど、と思えることがあります。1933年3月、ヒトラー政権は「国民啓蒙宣伝省」を新設しました。国会放火事件をでっち上げ、共産党などを大弾圧する中での総選挙でも、宿願のナチ党単独過半数を取れなかった反省からです

同省は公営放送局の人事に介入し、政権に批判的なメディア関係者を弾圧する一方、国民向けの「啓蒙宣伝」を開始します

「政府宣伝のあり方が大きく変わった」(石田勇治著『ヒトラーとナチ・ドイツ』)。ヒトラーを祭り上げ、国家と社会のナチ化をはかる。不利な情報は伝えず、有利な情報だけ誇張、潤色して伝える…

放送はどうあるべきか。1946年、新生NHKの初代会長に選ばれた高野岩三郎氏の就任あいさつは、今につながります。「太平洋戦争中のように、もっぱら国家権力に駆使され、いわゆる国家目的のために利用されることは、厳にこれを慎み、権力に屈せず、ひたすら大衆のために奉仕すること」しんぶん「赤旗」より

※参考 高市早苗の“電波停止“発言に池上彰が「欧米なら政権が飛ぶ」と批判! 著名マスコミ人が抗議声明

池上氏は、テレビの現場から「総務省から停波命令が出ないように気をつけないとね」「なんだか上から無言のプレッシャーがかかってくるんですよね」との声が聞こえてくるという実情を伝えたうえで、高市発言をこのように厳しく批難している。

〈高市早苗総務相の発言は、見事に効力を発揮しているようです。国が放送局に電波停止を命じることができる。まるで中国政府がやるようなことを平然と言ってのける大臣がいる。驚くべきことです。欧米の民主主義国なら、政権がひっくり返ってしまいかねない発言です。〉

 池上氏がいうように、高市発言は、国が放送局を潰して言論封殺することを示唆したその一点だけでも、完全に国民の「知る権利」を著しく侵犯する行為。実際、海外では複数大手紙が高市大臣の発言を取り上げて問題視、安倍政権のメディア圧力を大々的に批判的しているとおり、まさにこれは、民主主義を標榜する国家ならば「政権がひっくり返ってしまいかねない」事態だろう。

 さらに池上氏は、高市発言に象徴される政府側の論理の破綻を冷静に追及。停波の拠り所としている「公平性」を判断しているのは、実のところ、政府側の、それも極端に"偏向"している人間なのだと、ズバリ指摘するのだ。

〈「特定の政治的見解に偏ることなく」「バランスのとれたもの」ということを判断するのは、誰か。総務相が判断するのです。総務相は政治家ですから、特定の政治的見解や信念を持っています。その人から見て「偏っている」と判断されたものは、本当に偏ったものなのか。疑義が出ます。〉

 まったくの正論である。とくに、高市氏といえば、かつて『ヒトラー選挙戦略』(小粥義雄/永田書房)なる自民党が関わった本に推薦文を寄せるほどの極右政治家。同書は、本サイトでも報じたとおり、ヒトラーが独裁を敷くために用いた様々な戦略を推奨するもので、堂々と「説得できない有権者は抹殺するべき」などと謳うものだ。こんな偏っている大臣がメディア報道を偏っているかどうか判断するというのは、恐怖でしかない。

 前述の朝日新聞コラムで池上氏は、他にも放送法は〈権力からの干渉を排し、放送局の自由な活動を保障したものであり、第4条は、その際の努力目標を示したものに過ぎないというのが学界の定説〉と解説したうえで、放送法第4条を放送局への政府命令の根拠とすることはできないと批判。〈まことに権力とは油断も隙もないものです。だからこそ、放送法が作られたのに〉と、最後まで高市総務相と安倍政権への苦言でコラムを締めている。

 念のため言っておくが、池上氏は「左翼」でも「反体制」でもない。むしろ良くも悪くも「政治的にバランス感覚がある」と評されるジャーナリストだ。そんな「中立」な池上氏がここまで苛烈に批判しているのは、安倍政権のメディア圧力がいかに常軌を逸しているかを示すひとつの証左だろう。

 そして、冒頭にも触れたように、「電波停止」発言に対する大きな危機感から行動に出たのは、池上氏ひとりではない。テレビジャーナリズムや報道番組の"顔"とも言える精鋭たちが共同で会見を行い、 「高市総務大臣「電波停止」発言に抗議する放送人の緊急アピール」と題した声明を出す。

 その「呼びかけ人有志」は、ジャーナリストの田原総一朗氏、鳥越俊太郎氏、岸井成格氏、田勢康弘氏、大谷昭宏氏、青木理氏、そしてTBS執行役員の金平茂紀氏。いずれも、現役でテレビの司会者、キャスター、コメンテーターとして活躍している面々だ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿