除染は科学者の責任ー南相馬で支援続ける
東京大学の児玉龍彦教授(東大アイソトープ総合センター長)は5月末以来、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質の汚染で苦悩する福島県南相馬市を毎週のように訪問し、幼稚園や保育園の庭や校舎の放射線測定や除染活動に携わっています。南相馬市の現場で話を問きました。しんぶん「赤旗」11/16日付 (三木利博)
ー南相馬市での除染活動の支援を続けているのはどうしてですか。
「安全」言った教授
児玉 東京大学は今回の事態にすごく責任があると思っていますから。日本のなかで原子力工学の一つの流れをつくって、原発が安全だっていうことを言い続けてきた教授がたくさんいたわけです。東大のアイソトープの責任者としては東大の持てるリソース(資源)を福島の被災者のために用いるのは当然だと思っています。
ー緒に測って一緒に除染することが大事だと言っていますね。
児玉 現場に来ると具体的に問題があって、具体的に生活している人がいるわけです。専門家の務めというのはアイソトープセンターでも議論して、四つぐらいの原則を持っています。
1番目は、知っている知識は正確に伝える。2番目に、それをわかりやすく、ご理解いただけるようにする。数値がいくつですというだけじゃなしに。3番目に、だけど、強制はしない。4番目に、自分たちの意見と住民らの希望が違った場合に、住民の希望を応援すること。だから自分の意見を優先させない、というのを原則にしてやっています。みんな避難すべきだとか、もしくは除染しなくてもいいだとか、言っている人がいます。しかし、住民と 対話し、今日も質問された。いろんなことを持ち帰って調べたり、協力できることもあるとわかりますから、現場でやるということがすごく大事だと思います。
-福島における除染は日本の科学者の責任だと言っていますね。
児玉 科学者の責任はすごく大きくて、科学の社会的機能ということでは、科学者が全体に応えていかないといけない問題があると思います。科学者は事実にもとづいて、その事実を変えていくために、行動することによって議論も成り立つ。だから、事実にもとづいて事実を変えていくという科学者の責任が従来になく大きいと思っています。
ー最新の技術を投入した食品検査など政府へ提言しているのもそのためです
ー反省のない安全委
児玉 やはり今の国の対応はあまりに無関心、無責任、無気力に尽きていると思います。とくに1番いいかげんなのは原子力安全委員会。そもそも原発事故に対して何の反省もしていない。(動いていたのに情報の発表が遅かっヽだ)
SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)問題もいいかげん。その後の除染の対応も。本当は原子力安全委員会が原子力災害対策本部長に対応する組織なのに、そこが全く何もやっていないことで、日本の専門家の力が生きていない。21世紀の日本なのだから、それにふさわしい対応を国にぜひやってほしいと思っています。
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