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アメリカの映画賞「アカデミー賞」を考える

2016-01-30 23:55:16 | 文化・芸術・映画

「サヨナラ」のおじさんとして長くお茶の間に愛された映画解説者の淀川長治さんは生涯を通して3万3千本をこえる映画を見たといいます。映画は人間勉強の教室。それが持論でした。

「愛を知り、誠実を知り、冒険を学んだ。すべてがたとえようもなき人間教育だった」(『映画とともにいつまでも』)。映画から受けた底知れぬ人間美学。淀川さんは、銀幕を通し世界のさまざまな人生やいろんな文化にふれた、と述べました。

今年の米アカデミー賞が波紋を広げています。四つある演技部門の候補20人が2年連続ですべて白人だったことから「人種差別ではないか」と批判続出。著名な監督や俳優が授賞式のボイコットを表明する事態になっています。

賞を選考する映画芸術科学アカデミーの会員はおよそ6000人。地元紙は、その9割以上が白人で男性が7割を超えると伝えています。今後は白人以外や女性の会員を増やして多様性の確保に努めるといいますが、どこまで実現するか。

アカデミー賞はもともと労働組合対策から生まれました。1920年代にハリウッドを支配していた製作者たちが組合に先手を打ち、労使協調の映画人の組織を発足。それがアカデミーです。当初は付け足し的に加えられたものでした。

いまや世界中に影響を及ぼす巨大な映画産業に。今回の選考は米国社会の現実を反映しているといわれますが、アカデミー賞の発展は国際色の豊かさがあったから。多様な文化は人類共通の遺産。閉じられた世界に未来はありません。(しんぶん「赤旗」潮流より)