ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

氷結鍵盤伝説

2011-02-22 00:03:57 | エレクトロニカ、テクノなど
 ”Apparat Organ Quartet”

 クソ寒いですねえ、まだまだ。風がね、今日は。なんか真冬に帰ったみたいなえらい冷たい風が吹き抜けていた。不思議なもんだね、街を歩きながら、そんな風をふと首筋に感じたら、まだ一ヶ月と経っていない去年のクリスマスのことが妙に懐かしく思い出されたりした。
 ついこの間のことだってのに。人間の心は退行願望に多い尽くされているそうだけど、もう隙あらばノスタルジィに崩れ落ちようって寸法か。これも老化現象っスかね。
 そんな訳で、きっともっと寒い国、アイスランドのテクノ系バンドの話でも。

 さて、アイスランドのクラフトワーク、とか言われているようであります、Apparat Organ Quartet。確かにクラフトワークが売りにしていた”古めかしい未来派”っぽいイメージのピコピコした音作りの影響がそこここに透けて見える感じはある。
 けどこのバンドはあちらほどストイックではなく、ヘビメタっぽいヘヴィなリフを奏でたり、プログレっぽい壮大なイメージを奏でたりし始める。まあ、やりたい放題と言うか、クラフトワークより、もっと子供の心を持っている感じ。邪気というのか。始末に終えないいたずらっ子的な奔放さを感じる。

 申し遅れましたがこのバンド、キーボードが4人にドラムが一人、という妙な編成。キーボード組は昔GSが使っていたみたいなセコいコンボオルガンからロシア製のヴィンテージもののシンセまで、さまざまな獲物を並べ立て、空間を鍵盤音で埋め尽くします。
 ドラムが打ち込みじゃなくてナマの人間による手打ちってのも、このバンドのプログレ臭を強化しているようで。バンドの中央に全然マシーンっぽく叩こうとせず強力な肉体性を発揮しているドラマーがいるんで、いかにピコピコ音を発しようとヴォコーダーを通して声を発しようと、テクノにはなりきれない感じはある。

 でも第一に感ずるのは、やはりこのバンドの場合、邪気ですな。極寒の雪原でも元気よく跳ね回っているクソガキたちの手に負えない遊び心、そんなものが音の内側に脈打っているのが、実は彼らの最大の魅力じゃないでしょうか。




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