”TANGOS INSÓLITOS”by Haydée Schvartz & Gabriela Bernasconi
ストラビンスキィ、ショスタコヴィッチ、クルト・ヴァイル、ジョン・ケージ、エリック・サティ、といった主にクラシック方面の、いかにもややこしそうな(?)人々が作った、”タンゴ”という単語がタイトルに入ったピアノ曲を集め、それをタンゴの本場アルゼンチンのピアニストが弾きまくった、という鋭いような勘違いのような不思議なアルバム。
予期していた通り、各自、やりたい放題のかくし芸大会状態である。
関係ないだろう、という方向へ行く奴(ケージのなんか予想通りに半分はピアノをコブシで叩く音で構成されている)冒頭はタンゴのリズムを生かすが、隙を見て自分の世界に入ってしまう奴、タンゴの哀感あるメロディの感触は伝えるが、やはり隙を見て12音階の小路に飛び込み、自分の美学を展開しまくる奴。
なんだか各作曲家の脳内をスキャンした画像を見比べながら聴いている気分になってくるのだった。彼らの意識の裏通りを探索したみたいな、へんちくりんな曲ばっかりなんだもん。
やっぱりタンゴと言うのは人の心を静かに狂気に誘う音楽と考えるべきなんだろう。しかも、いたこともない土地、遥かなる南の草原へのノスタルジアという奇妙なセンティメントをまき散らしながら。
所詮、世俗のダンスミュージックだからと気安いノリとなり、ふと心を許した巨匠がたが、心の内のうっかり見せたらまずいものを大開陳したアルバム。なのかもしれませんぜ。
このアルバムの音はYou-tubeでは見つかりませんでした。しょうがないからそこにあった弾き人知らずのストラビンスキィの”ピアノのためのタンゴ”など貼ってみます。