ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

審査員狩りの夜

2007-12-04 04:15:46 | その他の評論


 なんかこれ、凄く気持ち悪い事件だなあ。優勝作品にクレームを付けた人たちって、作品内容が、とか運営方法が、とかいろいろ指摘しているようだけど、言いたいことは要するに「優しいサンタさんをいじめるなんて許せない!」って”義憤”なんでしょ?

 さまざまな苦情内容ってのは、その怒りに公共性を帯びさせるための、そして「自分はもっと高邁な理想を掲げているのだ」と自らに信じ込ませるための口実に過ぎないんじゃないの?

 で、人々はそいつを掲げ、”サンタ狩り”に大賞を与えてしまった審査員たちを”正義の刃を振るう聖戦士”の姿で攻撃している訳だ。「自分たちは正義のための戦いをしているのだから、反抗するものは悪魔だ」なんて大書された旗を振りつつ。

 何のことはない、それじゃ、”サンタ狩り”と同じことだよ。”審査員狩り”じゃないか。
 今度は自分たちが、映像の中でサンタに暴行している連中と同じ事を審査員たちに対してしてしまっている、その滑稽さ、グロテスクさに気がついていない。
 あなたが主演の”審査員狩り”は、果たして”サンタ狩り”より立派な作品といえるんだろうか?
 そんな”あくまでも正義”な人々の、ヒステリックに硬直した”ピュアさ”を私は大いに恐怖します。

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 ○7人の審査員」と「不特定多数の住民」の間で――第1回「ニコニコ映画祭」騒動
  (ITmediaニュース - 12月03日 14:20)

 「こんな動画を選ぶなんて」――ユーザーから募集したユニークな動画作品に賞を授与する「第1回 国際ニコニコ映画祭」の大賞受賞作が、「面白くない上に暴力的」などとユーザーから批判が殺到。審査員の1人のブログに対して批判コメントが相次ぎ、ブログで謝罪に追い込まれる事態に発展した。
 ニコニコ動画は、多数の一般ユーザーが盛り上げて急成長したサービス。人気動画は再生回数の多さで分かり、いわばユーザー全員が“審査”に参加しているとも言える点も人気を集めた理由だ。
 これに対して映画祭は、専門家など少数の審査員が優秀作を選ぶ形。一般ユーザーの声は反映されておらず、このギャップが受賞作に対する批判コメントの殺到で浮き彫りになった形だ。
 ニコニコ映画祭は、ユーザーからオリジナルの動画作品を募集し、ユニークな作品に賞を授与する企画。第1回は11月上旬に作品を募集し、204作品が応募。1次審査で28作品が選ばれ、タレントの松嶋初音さんや、ビジュアリストの手塚眞さん、ニワンゴ取締役で2ちゃんねる管理人の西村博之さんなど7人が最終審査に参加した。
 大賞に選んだのは、繁華街でサンタクロースを追いかけてつかまえ、馬乗りになって殴る――という内容の「サンタ狩り」。だが、この作品が受賞作として公表されると、ユーザーからは「暴力的」「いじめだ」「悲しい気分になった」「何が面白いか分からない」といったコメントが殺到した。
 審査の様子をまとめた動画にも批判コメントが殺到。「サンタ狩り」を審査しているシーンでは「これを選ぶなんて信じられない」といったコメントとともに、松嶋さんなど審査員への中傷が多数書き込まれた。
 中傷は松嶋さんのブログにも飛び火し、松嶋さんは「今回はわたしの発言で気分を害するようなことになってしまい、本当に申し訳ありませんでした」などとブログで謝罪し、サンタ狩りを推した理由などを丁寧に説明した。
 ニコニコ動画の開発者ブログは29日付けで、批判は「映画祭への期待が予想以上に大きかったためだと前向きに受け止めている」とした上で、大賞作品については「審査方法も結果も間違っていたとは考えていない」とした。
 ただ、「よりユーザーが楽しめるような映画祭になるよう、選考過程や基準についてもっと明確にするなど、運営方法を改善していきたい」と、反省点をふまえて映画祭の運営も見直す方針を明らかにした。

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