ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

Soraちゃんのトロット

2007-12-05 23:12:43 | アジア


 ”Pledge Eternal Love Promise to Love Each Other Forever” by Jang sora

 どうもそんな流れが出来かけているんじゃないか、なんて事を書いた記憶があるんだけど、どうやら本当にそんな流行が来ているみたいな韓国音楽シーンであります。
 どんな流れって、日本ではアイドル歌手としてとうぜん扱われるようなタイプの、可愛いルックスの子を次々にトロット、つまりド演歌歌手としてデビューさせてしまう、というブーム。

 まあ、こちらとしては韓国のトロットは好きだし、それを歌うのが若いかわいい女の子であると言うのならますます大歓迎で何も問題はないんだけど、これはどういうブームなの?という疑問はある。日本でもたまにある民族文化回帰的気風とアイドル嗜好が変な風に結びついた?まあ、そんなところなんだろうけれど。

 気がついている、ブームの特徴を挙げてみます。

 1)ディスコアレンジ、それも安易なアゲアゲ・ムードのディスコアレンジである。
 2)取り上げられる曲は、あくまでもオーソドックスな演歌や歌謡曲である。
 3)アレンジは常に一本調子で、あまり劇的展開なしで進行する。
 4)それ以前の大前提として、ともかく可愛い子に歌わせる。

 こんなところで。いや、たいした発見はないですね(笑)

 と言うわけで今回も韓国のトロット・アイドル、 Jang Soraちゃんを紹介いたします。

 これがデビューアルバム、そしてルックス的にはこの子あたりが私は一番好みかなあ。上に挙げたジャケ写真ではなんか高島礼子みたいな顔に写ってますが、中ジャケの各写真(歌詞カードが、ほとんどミニ写真集みたいな構造になっている)では、もっと今日風の陰影を感じさせるルックスです。

 彼女はこれまで紹介してきたかわい子ちゃん系トロット歌手のような、ディスコのビートに乗ってハードに演歌を吠える鉄火肌の硬派な歌い手たちとは、ちょっと違う個性を持っている。実力派であるに違いはないんだけど、演歌というよりはやや歌謡曲よりの女性的な泣き節が、その歌声の中心にあるんですな。
 そんな彼女の個性に合わせて、収められている曲目もこの種のものとしては歌謡曲寄りの選曲となっており、アレンジも、この種のものとしては多彩な奥行きが楽しめる。

 もちろんこちらは韓国語は理解不能なんで何を歌っているのかは分からないんだけど、日本の昭和30年代のもののような、そうでもないような曲調のベタな歌謡曲が打ち込みのリズムに乗り、”いまどきの若い子”の歌声で、なおかつ意味の分からない異郷の言葉で次々に歌い流されて行く。

 そいつを聴いていると、過去と未来、懐かしい情景と見たこともない風景がゴタマゼになった奇妙な未来都市が、キムチとヤキイカの匂いを漂わせて玄界灘を船出して行く、そんな幻覚を見る思いなのであります。