南斗屋のブログ

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高次脳機能障害の労働能力をどう考えるか

2007年02月26日 | 高次脳機能障害
高次脳機能障害の知能の検査方法のひとつに、WAIS-R(ウエクスラー式知能検査)というものがあります(詳細については、私のホームページの「高次脳機能障害 検査方法」をご参照ください)。
 この検査は、IQ検査をするものです。
ある教科書によると、
 IQ100 が中心となる値
 IQ85以上あれば 正常値
ということになっていて、IQ85以上だと知能には異常がないというふうに判断されてしまいます。

 訴訟をしていても、よく加害者サイドから、「被害者のWAIS-Rの値は正常値だから障害があるとしても大したことがないんだ」というような主張が見られます。
 しかし、これは間違いです。

 高次脳機能障害は、
   認知障害+行動障害、人格変化
だといわれています。
 WAIS-R(ウエクスラー式知能検査)は、このうち、認知障害の方の検査方法のひとつにすぎません。
 行動障害、人格変化の方は、WAIS-R(ウエクスラー式知能検査)でははかれないのです。

 高次脳機能障害 認定システム検討委員会報告書でも、
「就労を阻害する要因としては、認知障害だけでなく、行動障害及び人格変化を原因とした社会的行動障害を重視すべきである。社会的行動障害があれば労働能力をかなりの程度喪失すると考えるべきである」と述べています。

 その理由として、「知能指数が正常範囲に保たれていても、行動障害及び人格変化に基づく社会的行動障害によって、対人関係形成に困難があり、通常の社会及び日常生活への適応に難渋している」ということが述べられています。


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