報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Sisters” 「“はやぶさ”1号」

2017-05-30 20:09:11 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月2日06:58.天候:晴 JR大宮駅新幹線ホーム]

 シンディが手に荷物を持って、新幹線ホームへの階段を上る。
 シンディの荷物は、アリスが敷島に渡せと持たせたものである。
 その為、乗車はグランクラスのある10号車から乗る必要があった。

 シンディ:「ん?」

 “はやぶさ”1号は、その前方に“こまち”1号を併結している。
 隣の11号車がそのグリーン車になっているのだが、そこに1機のメイドロイドがいた。
 メイド服を着ているので、すぐに分かる。
 規格上は『平賀規格』であろうが、髪型にはバリエーションが持たされており、シンディが見かけたロイドは金髪のロングをツインテールにしていた。
 もしすぐ近くにマスターたる人間がいれば見て見ぬふりをするところだが、見当たらなかったので声を掛けてみることにした。

 シンディ:「よっ、任務中?」
 メイドロイド:「あっ、シンディ様!どうも!今、御主人様がお手洗いに行かれたので、ここで待っている所です」
 シンディ:「そうか。ご苦労さん」
 メイドロイド:「いえ。私達なんてガラクタ扱いのマルチタイプ様に声を掛けてもらえるなんて光栄です」
 シンディ:「そんなことないよ。エミリーはどう思ってるか知らないけど、私は少なくとも今はあなた達を『下等で愚かな機種』とは思っていないよ」

 つまり、昔はそう思っていたということ。

 メイドロイド:「そうなんですか?」
 シンディ:「少なくとも、あなた達のハウスキーパー(※)に私は思い知れされたわ」

 ※本来は1つの家に複数雇われているメイドのリーダー格のこと。メイド長と言えばこれ。転じて量産されたメイドロイドにとっては、当初の試作機で今も尚稼働しているベテラン機がそう呼ばれて尊敬されている。何機かが該当するが、ここでは七海のこと。

〔17番線に、6時58分発、“はやぶさ”1号、新函館北斗行きと“こまち”1号、秋田行きが17両編成で参ります。……〕

 ホームに接近放送が鳴り響く。

 メイドロイド:「御主人様が戻られます」

 メイドロイドは階段の方を見て言った。

 シンディ:「じゃ、私はそっちに戻るわ。悪かったね。任務中に邪魔して」
 メイドロイド:「いえ、滅相もございません」

 シンディは10号車の方に向かった。
 もっとも、10号車の乗車口に並ぶ者はいなかった。
 11号車の方を見ると、意外にもアリスと同年代と思しき若い女性がいた。
 けして、裕福な老夫婦だけがユーザーではないということだ。

 シンディ:(七海の意外な抵抗か……)

 列車が眩いヘッドライドを光らせて入線してくる。
 その風にシンディの金髪ポニーテールと、スリットの深いロングスカートの裾が靡く。
 “東京決戦”の際に平賀を捕捉した前期型のシンディ、手持ちの大型ナイフで平賀を刺殺しようとしたが、力が雲泥の差である七海の抵抗にあった。
 もちろんシンディは、すぐに七海の首根っこを掴んで頭からコンクリートの壁に突っ込ませるなどの攻撃をしたが、それでも怯まなかったことを思い出した。

 シンディ:(あいつらが束になって抵抗してきたら、さすがの私も手こずるかもしれないね……)

 マシンガンで一斉掃射すれば一網打尽にできるかもしれないが、今はそれを取り外されてしまっている。

〔「17番線に到着の電車は、東北新幹線、北海道新幹線直通“はやぶさ”1号、新函館北斗行きと秋田新幹線直通の“こまち”1号、秋田行きでございます。次は、仙台に止まります。……」〕

 ドアが開くが、全車両指定席の列車で、ここで下車する旅客などいるわけが無かった。

 シンディ:「社長、おはようございます」
 敷島:「おっ、シンディか。ちゃんと来たな」
 シンディ:「はい。それで、奥様がこれを社長にお渡しするようにと」

 シンディは持っていたアルミ製のアタッシュケースを渡した。

 敷島:「中身は何だ?」
 シンディ:「Rデコイです」
 敷島:「ブッ!」

 Rデコイとはアリスの開発した爆弾のこと。
 手榴弾を改造したもので、起爆スイッチを入れると、特殊な光やアラーム、信号が発せられる。
 人工知能の劣るロボットはそれに引き寄せられてしまう。
 そして、粗方引き寄せられたところで爆発するというものだ。
 バージョン・シリーズや、その他のテロロボットには効果てきめんであった。
 恐らく、北海道で遭遇した“黒いロボット”にも効くのではないかと思われる。

 シンディ:「奥様が、あの黒いロボットにも効くだろうとのことです」
 敷島:「効くかもしれんが、これ……サツに見つかったら一発でタイーホものだぞ。……これはお前が持っててくれ」
 シンディ:「分かりました。それじゃ、私は隣の車両に行きますので」
 敷島:「そうしてくれ」

 シンディが9号車のグリーン車に行ってしまうと、敷島は溜め息をついた。

 敷島:(アリスのヤツ……)

 確かに今回の北海道行きは、表向きはボーカロイド達の興行である。
 しかし実際は、他に目的がある。
 ミクの持ち歌に隠された謎。
 ミクだけが他のボーカロイド達とは一線を隔す特別な存在である理由。

 リン:「あっ、シンディ!おはよう!」

 シンディが9号車に行くと、リンがブンブンと手を降った。

 シンディ:「相変わらず、元気だね。アタシの席はここでいいの?」
 エミリー:「そう、ここ」

 エミリーは自分の隣の席を指さした。
 通路を挟んで隣の席では、ボーカロイド達が座席を向かい合わせにしている。
 と言っても、最近の鏡音姉弟は携帯ゲーム機の方にハマっているようだ。

 KAITO:「リン!手伝ってくれ!よそ見してる場合じゃない!協力して尾を切断するぞ!キミが頼りだ!」
 リン:「了解!んじゃ、合わせて行くよ!」
 シンディ:「KAITOもゲームにハマッたか……」
 MEIKO:「そうなのよ。『女性ばかりで落ち着かない』なんて言って、そっち側に行っちゃって……」
 シンディ:「イケメンボーカロイドとして女性ファン対応係の言うセリフじゃないよね、それ」
 エミリー:「ゲーム内でも信頼関係は厚いということだ」
 シンディ:「いいのかなぁ……。あ、プロデューサー、おはようございます」
 井辺:「あ、シンディさん。おはようございます。お久しぶりです」
 シンディ:「ええ。今じゃ、姉さんがいない時の代役に下がってしまいましたからね」
 井辺:「そんなことありませんよ。エミリーさんと同様、あなたも事務所の華でした。また、いつでもお待ちしておりますよ」
 シンディ:「ありがとう。でもあまり出しゃばると、姉さんにブッ飛ばされるからなぁ……」
 エミリー:「何か言ったか?」
 シンディ:「ホラホラ」
 井辺:「平和的にお願いしますよ」

 列車は徐行区間を過ぎていた為、最高速度を目指して一路北へと突き進む。
コメント (3)
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本日の雑感 20170530

2017-05-30 19:21:20 | 日記
 いや、今日は別に大したことはしていない。
 午前中にブログを1本更新した場合は、本業が公休日で何も予定が無い日だと思って頂いて差し支えない。
 せいぜい、自分の部屋の布団乾燥と掃除、ドラッグストアに買い物に行ってきただけである。
 家の近くにパチ屋があり、中から“海物語”のBGM(“あっぱれジャパン”ではなかった。今は流れてない?)でも流れて来たような気がしたが、友連れでない限りは入ることが無い。
 スロットではジャグラーをやっていたことがあったが、目押しが全然できないのですぐに止めた。
 警備員には必要な動体視力を鍛えるという点ではいいかもだけどね。
 だからって、警備員にパチスロ好きが多い理由はそれではありませんよ。

 再び敷島孝夫の物語に戻ったわけだが、ぶっちゃけ敷島のキャラが立ち過ぎて、他のキャラが目立っていないような気がする。
 やはりそこは所詮、素人の作品というわけだ。
 実は今、中途半端な立ち位置の井辺翔太だが、彼が本来は敷島の後を継いで主人公になってもらう予定だったのだ。
 敷島には第一線を退いてもらい、あくまでもアドバイザー的な役割を果たすという役割だ。
 それに失敗したので、今度はロイドとしてはキャラが立っているシンディに主人公でもやってもらおうと思って、タイトルを彼女にしてみたのだが、やはり敷島がいないとキャラが立たないことが分かり、こちらも頓挫した。
 やはり、日本人版ブルース・ウィリスみたいなものだからねぇ……。

 当作品においては“ユタと愉快な仲間たち”シリーズの主人公、稲生勇太と同じく『歩く生存フラグ』なのである。
 せっかくだから、“ユタと愉快な仲間たち”シリーズについても、少し語ろう。
 ダンテ門流に登場する魔道師の中で、多くの白人女性が登場する理由だが、別に私自身が白人女性が好きというわけではなく、実は『殺しやすい』からである。
 洋画を観てもらえれば分かるが、実は意外と黒人は死んでいない(ゾンビ化や瀕死の重傷は負っていたりするけど)。
 1番死んでいるのは白人男性よりも、白人女性なのである。
 何故か?
 これが1番ドラマになる上、殺してもどこからも抗議が来ないからである。
 黒人だと、やれ『人種差別だ!』とか、どこからか文句が来るんだってさ。
 なので、私もこの流れに従っているわけである。
 尚、ゲーム版“バイオハザード”シリーズでは黒人がクリーチャーに殺される確率が映画版と比べて高いのだが、これはゲームの製作者が日本人だからだろう。
 何の差別意識も無く、たまたまそうなっただけである。
 ちゃんと操作プレイヤーとして活躍する黒人も存在する。

 生存フラグとしては、主人公が存在そのものが生存フラグというのは常識だ。
 そうでないと話が進まない。
 一部のマンガでは死亡してしまう主人公もいるが、死後の世界で活躍するというストーリーだったりするので、これは死亡フラグに含まれない。
 あいにくと私ら警備員は、存在そのものが死亡フラグであることが多い。
 映画やゲームなんかでは、真っ先に敵に殺されるのが王道だ。
 私なんか、後から活躍してくれるであろう主人公の為に攻略メモを残しておこうと考えているよ。

 一般人クラスで生存フラグというのなら、バーのマスター辺りは固いかも。
 バーのある場所が敵に占拠されたりした場合は別だが(ハート様に殺されたマスターが良い例)、それ以外の中立的な場所で、しかも主人公に情報を提供する側(ケンシロウやバットに情報を提供したジョニー)であったとしたら、これは物語最後まで生き残るパターンだ。
 そして主人公がどこかに旅立った後のエンディングで、後からやってきた客に主人公の動向を語り、場面が主人公が旅を続けるシーンに切り替わって終了するパターンだな。

 敵対側は基本的に死亡フラグであり、本来はシンディもスクラップにされて終了するはずだったのだが、某名誉監督が酔っ払った勢いで紆余曲折を経て後期型として復活することが急きょ決まった次第。
 何の脈絡も無く、廃墟ホテル跡でシンディの予備ボディが見つかったのが急きょであったという証拠である。
 あと、“ユタと愉快な仲間たち”シリーズのエレーナも、本来はイリーナ組との交戦に敗れて死亡するはずだった。
 私のノートには、静岡県上空でマリアと戦い、ホウキの扱いに慣れていないマリアの不利を見事に突いて一瞬勝利を掴みかける。
 しかし、イリーナの命令に応じて駆け付けたドラゴンのリシーツァ(ノートでは名前は無かったが、イリーナが使い魔としてドラゴンを飼っているというアイディアは結構前からあった)の炎の攻撃でホウキを焼かれ、慌てて地面に降下しようとするも途中で失速、全速力の“のぞみ”号に轢かれて死亡という迷惑極まりない死に方をするはずだったんだが。
 当時はバリバリの信徒だったもんで、仏罰を大聖人様に代わって下すという勢いもあったんだな、きっと。
 なるほど。日本海の向こうから渡って来た辺さんに、ファビョられるわけだ。

 とにかく、これからしばらくは『歩く生存フラグ』が活躍しますので、よろしくお願いします。
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“Gynoid Multitype Sisters” 「東京駅の朝」

2017-05-30 10:57:15 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月2日05:56.天候:曇 JR京葉線514Y電車内→東京駅]

 ワインレッドのラインカラーが目立つ電車が地下トンネルを突き進む。
 このトンネルは成田新幹線の建設計画の際に掘られたもので、当然ながらこの計画は頓挫してしまっている。
 残ったトンネルを京葉線に転用して活用しているわけである。

〔まもなく終点、東京、東京。お出口は、左側です。新幹線、東海道線、横須賀線、総武快速線、中央線、山手線、京浜東北線、上野東京ラインと地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 エミリー:「GPSによりますと、井辺プロデューサーも東京駅に接近しています」
 敷島:「そうか。井辺君は錦糸町から総武快速か。トンネルは違えど、同じ地下を進んでいるわけだな」
 エミリー:「はい」

 電車がホームに滑り込んだ。

〔とうきょう、東京。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 敷島達は多くの乗客と共に電車を降りた。

 敷島:「さあ、ここからが大変なんだ」

 電車は地下京葉線ホームに到着した。
 ここは地下深い所であり、地上の新幹線ホームまで行くのに15分は余裕を見なければならない。

 敷島:「待ち合わせ場所はどこだっけ?」
 エミリー:「新幹線南乗換口前です」
 敷島:「うん、そうか。……読者の皆さんの中で、それだけで場所が特定できた人は東京駅ヘビィユーザーです」
 エミリー:「誰に向かって言ってらっしゃるんですか?」

[同日06:10.天候:曇 JR東京駅構内]

 動く歩道を3つ越え、更に長いエスカレーターも昇って、ようやく地上に辿り着いた。

 エミリー:「やはりタクシーで向かわれた方が良かったのでは?」
 敷島:「いや、これも運動だ。何しろあとは、体を動かすことはあまり無いんだからな」
 エミリー:「社長のお体は社長お1人だけのものではないので、よろしくお願いしますよ」
 敷島:「井辺君みたいなこと言うなぁ……」

 待ち合わせ場所に行くと、既にボカロ達は集合していた。

 鏡音リン:「あ、社長!遅いYo〜!」
 敷島:「おいおい。新幹線が出発する時間には、まだ余裕があるだろう?」
 エミリー:「そうだ。社長は具体的な時間を指定されておられない」

 エミリーがギラッと両目を赤く光らせてリンを睨みつけた。

 リン:「怖っ!」

 因みに赤い光はサーチライトとは別であり、こちらは両目に装備されている。
 今でこそロイドは表情が豊かになってきたが、感情を表現する為のものとして装備されていた名残だ。

 MEIKO:「時間は指定しておいた方が良かったんじゃない?」
 敷島:「そうか。すっかり忘れてたよ」

 もっともボカロ達には何時のどの新幹線に乗るかは伝えてあったので、何時に来れば良いかという計算は自分でしたようだ。

 巡音ルカ:「社長、まだ井辺プロデューサーが到着されておりませんが……」
 敷島:「あれ?おかしいな。エミリー、さっきGPSで分かったんだよな?」
 エミリー:「はい。位置的には総武快速線のトンネルを。今現在は東京駅構内を進んでいるようですが……」
 敷島:「何だ。てっきり、俺達より先に着いてると思ったよ」
 MEIKO:「ちょっと待って!エミリーのGPSで、そんな地下トンネルも入るの!?」
 エミリー:「見くびるな。私のGPSは他のロイドと互換性があり……ん?」
 MEIKO:「ん?」
 敷島:「他の何のロイドと互換性を持たせたんだ?」

 すると……。

 井辺:「おはようございます!申し訳ありません。遅くなりました」
 リン:「遅いYo、プロデューサー!」
 鏡音レン:「やめろって」
 敷島:「はは、おはよう。どうした?迷子になったんかい?」
 井辺:「そうなんです。すいません。私は道を知っていたのですが、萌がどうしても任せろというものですから……」
 萌:「へへ、どうも〜!」

 萌が井辺のスーツの内ポケットか現れた。

 敷島:「萌!」
 リン:「おお!モエモエじゃん!」
 エミリー:「何故お前がここにいる?」
 萌:「それは……井辺さんを愛してるからです!
 井辺:「萌、真面目に答えてください」
 リン:「やっぱり!」
 KAITO:「いわゆる、ファンシーキャラ萌えってヤツですね。分かりました」
 井辺:「意味が違います!」
 エミリー:「今すぐ科学館に戻れ!」
 萌:「えー」
 エミリー:「えーじゃない!」
 萌:「だって……」
 エミリー:「だってじゃない!言う事聞かないとへし折るぞ!」
 初音ミク:「たかお社長、そろそろホームに行かないと乗り遅れますよ」
 敷島:「っ、そうか!しょうがない。萌なら手荷物扱いの無料で乗れるだろうから、そのまま行こう!」
 井辺&エミリー:「いいんですか!?」
 敷島:「科学館には俺から説明するよ」
 萌:「わーい!わーい!😄」
 敷島:「確かに時間的に余裕が無さそうだ。このままだと、“ホームアローン”の家族みたいになっちまう!」
 エミリー:「向こうは飛行機ですけどね」

[同日06:32.天候:晴 JR東北新幹線“はやぶさ”1号]

 敷島エージェンシーで予約した車両は3両に跨っている。
 もちろん3両分貸し切ったわけではない。
 グランクラスが敷島と、仙台から乗る平賀。
 グリーン車が東京駅に集合したベテランのボカロ達と、総合プロデューサーの井辺、社長秘書のエミリー、そして大宮から乗るシンディ。
 普通車がMEGAbyteの3人である。

 リン:「社長、1人で寂しくない?」
 敷島:「いや、俺も後ろの車両でいいって言ったんだけど、敷島峰雄社長と矢沢専務が『分際を弁えろ』ってここを指定してきやがったんだ」
 エミリー:「ものの見事に序列が付いてますね」
 リン:「芸能界の悪しき慣習だねぃ」
 敷島:「そんなことは無いと思うけど……」
 エミリー:「時間が無くて食事が用意できませんでしたけど、如何しましょうか?」
 敷島:「幸いグランクラスには弁当が付くらしいから、それで何とかするよ。それに、車内販売もあるだろ」
 エミリー:「はい」

 エミリーとリンが9号車に戻って行くと、外から発車ベルの音が微かに聞こえて来た。

〔21番線から、“はやぶさ”1号、新函館北斗行きと“こまち”1号、秋田行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色い線まで、お下がりください〕

 敷島:「まあいいや」

 敷島は手持ちのノートPCを取り出した。

 敷島:(なるほど。俺達みたいなのが、こうやって乗りながら仕事できるようになっているのか……)

 こうして列車は定刻通りに東京駅を発車した。
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