報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「温泉からの帰り路」 2

2024-05-31 21:41:07 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日16時10分 天候:晴 神奈川県横須賀市久里浜 東京湾フェリーバス停→京浜急行バス久7系統車内]

 

 温泉施設から出たリサ達は、再び東京湾フェリーのターミナルの方に向かって歩いた。
 ターミナル前のバス停から、久里浜駅行きのバスに乗る為である。
 このバス停からは、京急久里浜駅行きが出ている。
 JR久里浜駅前にもバス停はあるが、このバス停からそこまで行くバスは出ていない。
 リサ達のようにJR久里浜駅に行きたい者は、京急久里浜駅から歩いて行くことになる。
 もっとも、そこからは徒歩5分ほどであるが。
 東京湾フェリーは京浜急行電鉄の子会社である為、なるべくライバル企業のJRの方に利用客を送り込みたくないというのがあるのだろうし、そもそも、横須賀市内から東京方面への需要が殆ど京浜急行に流れているからというのもあるだろう。
 ここから出ている系統は久7系統と久8系統。
 どちらも京急久里浜駅まで行くが、途中経路が違う。
 また、久7系統はこのバス停が始発なのに対し、久8系統は別の場所、野比海岸という所からやってくる。
 前者は東京湾フェリーのダイヤに接続しており、後者はそれは考慮していないようだ。

 

 バスがやってきて、リサ達はバスに乗り込んだ。

 愛原「後ろから乗るんだ」
 リサ「埼玉や仙台のバスみたいだね」
 愛原「そう。乗る時にカードをタッチする所も同じだ」

 案の定、フェリーターミナルからやってきた乗客達がぞろぞろと後から乗り込んで来る。
 今はどうだか不明だが、まだ東京湾アクアラインが開通する前、もっと東京湾フェリーが賑わっていた頃は、バスも臨時の続行便を出すほどだったという。

〔「お待たせ致しました。行政センター前経由、京急久里浜駅行き、発車致します」〕

 バスはダイヤ通りに停留所を発車した。

〔ピンポーン♪ ご乗車ありがとうございます。このバスは久里浜行政センター前経由、京急久里浜駅行きでございます。次は久里浜港、久里浜港でございます〕

 愛原「いやあ~、温泉に入ったおかげか、肩こりや腰痛も治った気がするなぁ……」
 高橋「良かったっスね。でも、リサの電撃のせいじゃないスか?」
 リサ「お兄ちゃん!」
 愛原「電撃?静電気の間違いだろ?静電気程度の電力で、肩こりや腰痛が治るとは思えんが……」
 リサ「そうだよね。温泉の効果だよ」
 愛原「だよな」

 そして、リサは……。

 リサ「BSAAに報告したの!?」
 レイチェル「見逃すわけにはいきまセンね。でも、『制御はできている』とは言っておきました」
 リサ「それでフォローできてるかなぁ……」
 レイチェル「『尚、電撃は愛原センセイが浮気した時のみ、発動されるもよう』とも言っておきましたよ」
 リサ「ム、そうか……。それなら……。本部は何て?」
 レイチェル「司令員がボブだったのですが、『レイチェルも季節外れのJokeが言えるようになったかー!HAHAHA!』と笑っていたので明日、お尻にハンドガンを撃ち込んでやろうと思っています」
 リサ「BSAA、いつの間にお笑い芸人の事務所になったの?」

[同日16時20分 天候:晴 同地区内 京急久里浜駅前]

〔ピンポーン♪ ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、京急久里浜駅、京急久里浜駅でございます。日蓮正宗恵光山法照寺へは、横須賀中央駅から徒歩10分です。連絡乗車券をお持ちのお客様は、お降りの際、乗務員にお見せください。どなた様も、お忘れ物の無いよう、お支度願います。京浜急行バスをご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 最初は海沿いを走っていたバスも、今では街中を走行している。
 浜金谷よりも都会的な雰囲気のある久里浜であったが、やはりこちらの方が栄えているようだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、京急久里浜駅、京急久里浜駅でございます。お忘れ物の無いよう、ご注意ください」〕

 そしてバスは、駅前のバスプール内に到着した。

 

 高橋「何か、都会の駅っスね」
 愛原「ああ。俺達の地元路線、都営新宿線で言うと、東側の終点の本八幡駅くらいの規模じゃないか?」

 

 愛原「こんな立派な駅ビルが建ってるくらいだもんな」
 高橋「でも、この駅から電車には乗らないんスね?」
 愛原「京急じゃ、直接錦糸町駅まで行けないし、それに……」
 高橋「それに?」
 愛原「この時間、京急久里浜始発の電車が無いんだ」
 高橋「凄い拘りっスね……」
 愛原「まあ、そう言うな。JR久里浜駅は、ここから歩いて行けるから」
 高橋「はあ……」
 レイチェル「皆さん、私はここでお別れです」
 愛原「えっ?」
 レイチェル「HQから緊急連絡がありました。急いでHQまで戻らないといけません」
 愛原「なるほど。JRだと遠回りだから、京急に乗れってことだな?」
 レイチェル「そういう事です」
 リサ「そうなの!?」
 愛原「そう。横須賀市の人達が、何故JRではなく、京急で横浜や品川方面に行くのかというと、JRは遠回りな上、運賃が高いからだ。俺達みたいに総武快速線の方まで行きたいとか、鎌倉の方に行きたいとかあれば乗るんだろうがな」

 鎌倉は京急では行けない。

 レイチェル「そういうわけで、私はここで失礼します」
 愛原「ああ、分かった。気を付けて」
 リサ「一体、何があったの?」
 レイチェル「機密です」
 リサ「そんなに!?」
 レイチェル「ハイ。それじゃリサ、また明日、学校で」
 リサ「う、うん。無事に会えるといいね」

 リサ達はレイチェルと別れ、JR久里浜駅の方へ。

 リサ(ま、まさか、わたしの電撃の特技が問題視されたんじゃ……。やっぱり、内緒にしといた方が良かったかなぁ……)

 一方、京急久里浜駅に入ったレイチェルは……。

 レイチェル「こちらレイチェル。これからKeikyuで帰還する。どうぞ」

 インカムでHQと連絡を取る。

 ボブ「了解。超A級の任務を背負っていることを忘れるな」
 レイチェル「その任務の内容、まだ聞いてないんだけど?」
 ボブ「何を言ってる。もう既に遂行中じゃないか」
 レイチェル「Huh?」
 ボブ「俺達に日本のネイビーのCurryを届けるという重大な任務だ。急いで帰ってこいよ」
 レイチェル「……了解。着いたらケツにハンドガン撃ち込んでやるから覚悟しといて」
 ボブ「Huh?What?(ん?何か言ったか?)」
 レイチェル「……Nothing.(別に)」
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“愛原リサの日常” 「温泉からの帰り路」

2024-05-31 14:38:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日14時00分 天候:晴 神奈川県横須賀市久里浜 海辺の湯・久里浜店2階]

 愛原「いやー、飲み過ぎ~た♪飲み過ぎた♪飲み過ぎーた……」
 リサ「だから言ったのに!ガブッ!」

 調子乗ってビールのお代わりをした結果、酔い潰れ掛かった愛原。
 そんな愛原に対し、リサが噛み付き攻撃。

 愛原「いでっ!!」

 愛原は『ごろ寝スペース』で眠ってしまった。

 愛原「16時10分のバスに乗るから、しばらくゆっくりしててくれー……グー……
 レイチェル「愛原センセイ、寝ちゃいましたよ?」
 リサ「しょうがない。わたしもここで休む」
 レイチェル「寝るんですか?」
 リサ「いや、マンガでも読んでるよ。レイチェルはどうする?」
 レイチェル「私もそうします」
 リサ「日本語のマンガ、読めるの?」
 レイチェル「日本語の勉強です」
 高橋「俺達は外でタバコ吸って来るよ。時間になったら、先生を起こそうぜ」
 リサ「時間って、何時にする?」
 パール「先生は16時10分のバスと仰っていたので、その30分前にしましょうか」
 リサ「なるほど、分かった」
 高橋「ジュースくらい飲んでてもいいんじゃねーか?」

 高橋は券売機を見た。
 休憩所ではあるが、食事処でもある。
 1階の漁師料理店とは別だ。

 リサ「なるほど。……あ、そうだ。やっぱり1階に行こう」
 レイチェル「?」
 リサ「1階でお土産買う」
 高橋「先生もこれじゃ、土産なんか買えそうに無ェからな。オメーが代わりに買ってやれ」
 リサ「分かった。というわけで、お金」
 高橋「おい!」
 パール「……先生は『海軍カレー』がお望みです。いいのを買ってあげてください」
 リサ「もち!」

 リサはパールから現金を受け取った。

[同日14時30分 天候:晴 同地区 同施設1階おみやげ市場]

 高橋とパールは外の喫煙所に、リサとレイチェルは土産物を買いに行く。

 リサ「えーと……カレー、カレー……って!?」

 

 リサ「カレーの圧スッゲェ……」
 レイチェル「日本のネイビーのCurryがこんなにいっぱい……。軍隊のCurryなんですが、日本では人気なんですか?」
 リサ「そうみたいだねぇ……」

 高橋からは人数分買って来るように言われたのだが、こんなに種類があると……。

 レイチェル「私も買っていきましょう」
 リサ「興味あるの?」
 レイチェル「実は噂には聞いていました。ですが、冗談好きのボブが言ってたので、季節外れのJokeかと思ってました。ところが、まさか本当に売っているとは……」
 リサ「! 軍人さんとして、どのカレーがいいと思う!?」

 リサ、ついに自分で選ぶことを放棄し、BSAA養成員のレイチェルに選択権を丸投げする。

 レイチェル「そ、そうですねぇ……」

 レイチェルはインカムを取り出した。
 そして、リサには聴き取れない英語で何かを喋る。
 HQという単語が聞こえてきたのと、ボディカメラで商品を映したりしている。

 レイチェル「……Yes,sir!」
 リサ「な、何だって?」
 レイチェル「HQに相談したところ、『全種類購入せよ』とのことです」
 リサ「ぜ、ぜんしゅる……ええーっ!?……持ち切れる!?」
 レイチェル「腕力を鍛えよ、という訓練かもしれませんね」
 リサ「で、わたしはどれを選べばいい?」
 レイチェル「BSAAが『全種類購入』を判断したのです。リサもそうすれば?」
 リサ「いやいや、ムリムリ!お金無い!」

 幸い箱の裏に見本の写真があるのと、『よこすか海軍カレー』があったので、それを購入することにした。

 リサ「わたし的には、肉がいっぱい入ってるヤツがいいな」
 レイチェル「探してみましょう」

 やはり、レイチェルの土産は相当な量になったようである。

 レイチェル「BSAAのレーションは、あまり美味しくないんですよ。せめて、日本のネイビーのCurryが参考になるといいのですが……」
 リサ「紙袋2つ分って……お金はどうしたの?」
 レイチェル「カードで払います。料金はBSAAから後でもらいます」
 リサ「お金もらえるの」
 レイチェル「これはHQから与えられた任務ですから」
 リサ「レイチェル、真面目~」

 トールオークスのバイオハザードが無かったとしても、きっと真面目な性格に育っていたに違いない。

 リサ「アメリカ人って、もっとフランクだと思ってたけど」
 レイチェル「よく言われます。でも、性格だからしょうがないです」
 リサ「そっか……」

[同日15時40分 天候:晴 同施設2階・無料休憩所]

 時間になったが、まだ愛原は起きない。

 リサ「しょうがない。わたしが起こそう」
 高橋「先生を黒焦げにすんなよ?」
 リサ「火は使わないよ~」

 リサは愛原を揺さぶるが、やっぱり起きない。

 リサ「早く起きるっちゃー!」

 バリバリバリバリバリバリバリ

 愛原「あばばばばばば!」

 リサ、持っているスマホや腕時計などの電子機器、金属類を外すと、愛原に電撃を食らわした。

 高橋「お前、電撃も使えるのかよ!?」
 リサ「内緒だよ?」
 レイチェル「とりまHQに報告を」
 リサ「電撃のせいでスマホや時計が壊れるから、あんまり使いたくないんだよ。まだ、火を吹く方が安全」
 高橋「アホか!」
 愛原「な、何だよ……」
 リサ「あ、先生、おはよう」
 高橋「先生、リサのヤツ、電撃も使えるみたいですよ?何かおかしいと思ってたんだ」
 愛原「な、なに!?……静電気だけじゃなかったのかよ……」
 リサ「何か、上手くできちゃったねぇ……。先生、バスが出る30分前だよ」
 愛原「あー、分かった分かった。出る準備しよう。おかげで、目が覚めたよ」
 リサ「それは良かった」

 愛原は起き上がった。

 高橋「おい、リサ。先生のスマホとかは壊してねーだろうな?」
 リサ「それは大丈夫」
 愛原「貴重品ボックスの中に入れっぱだった。取りに行って来る」
 リサ「行ってらっしゃい」
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“愛原リサの日常” 「久里浜温泉」

2024-05-30 20:39:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日11時30分 天候:晴 神奈川県横須賀市久里浜 海辺の湯・久里浜店3階大浴場(女湯)]

 レイチェル「さすがにマズいですよ。愛原センセイと一緒に入るのは」
 リサ「えー?どうせわたし人間じゃないんだから、タイーホされないでしょう?」
 パール「誤解された愛原先生が逮捕される恐れがあるのです」
 リサ「マジ!?」
 パール「マジですよ」

 
(元・斉藤家メイド『パール』こと霧崎真珠。今は高橋真珠か)

 パールはシャツを脱いだ。
 私服姿もそうだが、ピアスなどを見ていると、とてもメイドとして働いていたとは思えない。

 パール「迂闊なことはなさらない方が宜しいかと」
 レイチェル「リサ。パールの言う通りです。愛原センセイに迷惑を掛けてはイケマセン」
 リサ「分かったよぉ……」

 一糸纏わぬ姿になった3人は、早速大浴場の中に入った。

 パール「まずは体を洗いましょう。それから私は、サウナに行ってきます」
 リサ「行ってらっしゃい」

 大浴場で体を洗う。

 レイチェル「愛原センセイは、高橋サンに体を洗われているのでしょうか?」
 リサ「『あ!不肖にして永遠の愛弟子!あ!高橋正義が!あぁ!?無二の師匠!愛原大先生のォお背中ぅをををををっ!お流し奉り候~也~ぃッ!あぁっ!?』ってやってるよ、今頃」
 レイチェル「な、何ですか、それ?Kabuki?」
 パール「なんちゃって歌舞伎ですね。まあ、マサならやりかねません。あれほど、『愛原先生に恥をかかせるな』と自分で言っておいて、全く……」
 レイチェル「皆さん、愛原センセイの事が好きなんですね」
 リサ「うん!大好き!」
 パール「私もリサさんやマサには負けますが、メイドとして新しい御主人様としてお仕えしたい気にはなります」
 リサ「うんうん」

 その後、パールはサウナへ。
 リサとレイチェルは露天風呂へ。

 リサ「あそこに海上保安庁の船が止まってるけど、わたしの警備かな?」
 レイチェル「そんな情報は入ってないですね。恐らく、ただの巡視だと思いますよ」
 リサ「そっか……」
 レイチェル「リサの監視は、今は私が実施していることになっていますので」
 リサ「そうなの!?」
 レイチェル「ハイ。リサが何も無ければ、BSAAがヘリを飛ばしてくることはありません」
 リサ「そうなんだ」
 レイチェル「今日はどこを回って来たのですか?」
 リサ「電車で千葉の方から回って来た。で、浜金谷って駅で降りて、そこから東京湾フェリーでここまで来たの」
 レイチェル「HumHum...どうやら、予定通りのコースのようですね。これはもう、全くの異常無しです」
 リサ「うんうん、通常通常」

 ここの温泉のお湯は濁っておらず、比較的透明である。
 パールの髪の長さなら巻き上げる必要は無いが、肩まで伸ばしているリサは一応、髪を上に束ねている。
 髪を下ろせばロングになるレイチェルは、完全に巻き上げていた。
 で、さっきからリサの横にいるレイチェルの豊胸が視界に入るリサ。

 リサ「……何でアメリカ人はこんなデカいんだ」
 レイチェル「Huh?何がですか?」
 リサ「何でもない!それより、レイチェルも今度の修学旅行は一緒に行くでしょ?」
 レイチェル「沖縄ですね。もちろん、私も行きますよ。リサの監視任務を本部から言い渡されると思います」
 リサ「監視目的か……」
 レイチェル「幸い沖縄には、アメリカ軍の基地があります。そこにBSAA北米支部の部隊も駐留するみたいですし、リサの警備は万全です」
 リサ「わたしか暴走したら、いつでも出動できるようにって意味でしょ。何だかなぁ……」
 レイチェル「部隊は展開しても、何事も無ければそれでいいのですよ。警備隊とは、そういうものです」
 リサ「試しに、ちょっと暴れてみようか?戦闘訓練もかねて」
 レイチェル「あなたの命の保証が無くなりますので、オススメできまセン」
 リサ「ハハ、それはキビシイ」

[同日12時30分 天候:晴 同地区内 漁師料理よこすか]

 大浴場を出たリサ達は、先に上がっていた愛原や高橋と2階で合流。
 それから昼食を食べに、同じ建物内にある漁師料理店に向かった。
 お昼時で混雑している為、やや待たされる。
 それから、テーブル席に通された。

 愛原「さーて、何にしようかな……」
 高橋「なかなかいい値段しますね」
 愛原「高級魚とか、平気で出してくるからな。……よーし、俺は天ぷら定食セットにするかな」
 リサ「肉が無い……」
 愛原「そりゃ無いよ。肉は夕食だ」
 レイチェル「リサ。フライの方が肉感ありますよ」
 リサ「なるほど、そうか……。レイチェルは何にするの?」
 レイチェル「私はカキフライ定食にします」
 リサ「レイチェルは牡蛎が好きだね」
 愛原「そうなの?」
 リサ「学食でもカキフライ定食とか出る時、必ず頼むもんね」
 レイチェル「ClamもShellも好きなんですよ。ママの作るクラムチャウダーは最高でしたね……」

 するとレイチェル、突然俯いてポロポロと涙を零した。
 どうやら、トールオークス市で起きたバイオハザードで死亡した両親のことを思い出してしまったらしい。

 リサ「レイチェル!」

 リサは慌ててティッシュをレイチェルに渡した。

 レイチェル「Solly...」

 2013年に起きたCウィルス蔓延によるバイオハザード。
 当時、レイチェルはまだ小学校に入り立ての幼女であったが、ラクーンシティのバイオハザードで死んだ親戚の墓参りに行っていて難を逃れたらしい。
 別の親戚に、レイチェルが慕う従兄がいて、そちらの親戚と何日か過ごしてからトールオークスに戻る予定であり、両親は先に帰ってしまった為、明暗が分かれてしまったという。

 愛原「と、とにかく注文しよう。すいませーん!」

 私は従業員を呼ぶと、注文を開始した。
 尚、高橋とパールは海鮮丼を注文していた。
 ドリンクは、私はビールを注文した。

 リサ「また飲むの?」

 リサ、赤い瞳を僅かに光らせて愛原を冷たい目で見る。

 愛原「ジョッキ一杯だけだから……」
 リサ「そう言って、帰りの電車の中でも缶ビール空けるんでしょ?」
 愛原「分かった!お前にも何か買ってやるから!」
 リサ「わぁい」
 レイチェル「リサ、知能犯ですね……」
コメント (3)
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“私立探偵 愛原学” 「久里浜温泉」

2024-05-30 16:25:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月9日11時10分 天候:晴 神奈川県横須賀市久里浜 東京湾フェリー“かなや丸”船内→久里浜港]

〔♪♪♪♪。ご案内致します。本船はまもなく、久里浜港に着岸致します。どなた様も、船内にお忘れ物ございませんよう、お確かめください。お客様に、下船についての御案内を申し上げます。船は着岸の際、多少揺れますので、十分ご注意ください。お車で御乗船のお客様は、船が完全に着岸するまでは、お客様の安全の為、お車には戻れませんので、着岸の船内放送があるまで、しばらくお待ちください。徒歩で御乗船のお客様は、客室タラップからの下船となります。下船後、京急久里浜駅方面は、ターミナル前より、連絡バスが出ております。また、JR久里浜駅は京急久里浜駅より、徒歩約4分で参ります。お煙草をお吸いのお客様にお願い申し上げます。下船時は、徒歩下船口及び旅客通路は禁煙となっておりますので、御協力のほどお願い申し上げます。本日は東京湾フェリーに御乗船頂きまして、真にありがとうございました〕

 目の前に久里浜港の岸壁が見えてくると、船内に自動放送が流れた。

 高橋「何とか、無事に到着できそうっスね、先生?」
 愛原「ああ、そうだな」

 私達は2階客室の4人席に腰かけ、リサは中央に座らせ、その両側をホールドしていた。
 危うく船上で狩りを始める始末だったからだ。
 このままでは、レイチェルだけでなく、他のBSAAも出動してくる騒ぎとなってしまうだろう。

 愛原「リサ、人間形態になったか?」
 リサ「何とか……」

 リサは生やしていた2本角を引っ込め、長く尖った爪も引っ込んで丸くなっている。
 すると船内放送にあった通り、ドスンと船が揺れる衝撃が伝わって来る。
 どうやら、港に接岸したようである。
 船首甲板に出ている船員が太いロープを岩壁にいる係員に渡し、その係員はロープの先をボラードに固定している。

 愛原「よし、降りよう」

 私達は客室を出ると、渡されたタラップを通って下船した。
 それから通路を進むと、途中に改札口がある。
 金谷港にあるのと違い、ブースではなく、通路上に係員が立っているといった感じ。

 係員「はい、ありがとうございました」

 係員が乗船券を回収しているので、それを渡す。
 それから更に通路を進んで、ターミナルの建物に入る。
 金谷港と違うのは、乗り場が金谷港が1階にあったのに対し、久里浜港は2階にあること。
 待合室を抜けると、階段とエスカレーターがあり、それで1階に降りた。
 金谷港よりも建物の規模が大きいのだろうか?

 

 1階には、金谷港にもあったような乗船券の有人窓口と券売機が置いてある。
 そこを抜けると、右手にはタクシー乗り場、左手にはバス停がある。

 愛原「帰りは、ここからバスに乗って駅まで向かうぞ」
 高橋「分かりました」
 愛原「ところで、レイチェルはどうした?」
 リサ「もうターミナルにいるはずなんだけどね、ちょっと連絡してみる」

 リサはスマホを取り出した。
 と、そこへ……。

 レイチェル「すいまセーン!お待たせしましたー!」

 タクシー乗り場の方から、レイチェルが走って来た。
 私服姿で、薄紫色のTシャツにトレーナー、下はジーンズを穿いている。

 愛原「おっ、私服だな?」
 リサ「訓練は終わったの?」
 レイチェル「はい!着替えてこっちに来ました」
 愛原「船で来たというのは?」
 レイチェル「訓練で使ったタグボートに乗せてもらったんですが、接岸ポイントが少し離れてて……。それで急いで来ました」
 愛原「そういうことだったのか」

 訓練の一環というわけでもなさそうだな。

 愛原「それじや、行くか。ここから歩いて近いから」
 高橋「何気に船から見えてましたね?」
 愛原「そういうこと」

[同日11時30分 天候:晴 同地区内 海辺の湯 久里浜店]

 リサ「魚の匂いがする」
 愛原「ここで海鮮料理とかも食べれるんだぞ。昼はそれにしようと思っている」
 リサ「そうかぁ……」

 リサはあまり魚料理が好きではないようだ。
 但し、肉よりはという意味で、別に嫌いというわけではない。
 食べる時は、それこそ骨まで食べる勢いだ。
 大浴場は3階にある為、エレベーターで向かう。
 但し、一気に3階まで上がれるわけではなく、2階で別にエレベーターに乗り換えないと行けない。

 リサ「混浴混浴
 愛原「あー、残念ながら混浴は無いぞ」
 リサ「むー……!」

 リサは頬を膨らませた。
 先に券売機で入浴券を買い、シューズロッカーで靴を預けて、フロントに向かう。

 レイチェル「タオルなら持ってます」
 愛原「そうか。じゃあ、レイチェルはレンタルのタオルはいいな」

 フェイスタオルだけは購入しなければならない。
 しっかりここの施設の名前が入っているタオルである。
 まあ、あとは家で使うとしよう。

 愛原「それじゃ、上がったら2階の休憩所で待ち合わせよう」
 パール「かしこまりました」
 リサ「わたしが先生の体洗いたかったのにぃ……」
 高橋「ざまぁミソラシド!先生のお体は、俺が隅々まで洗わせて頂いてやらぁ!」
 愛原「……いや、背中だけでいいからな?」
 リサ「わたしが体全体使って、先生のお肌をぉ……」(*´Д`)ハァハァ
 高橋「さて、先生、行きましょうか。性欲鬼が暴走する前に」
 愛原「う、うむ」

 私と高橋は、逃げるように男湯へと向かった。

 愛原「『鬼は風呂好き』という法則、上野利恵達で十分学んだつもりだ。何せ、自ら温泉ホテル経営してるくらいだからな」
 高橋「温泉旅行にかこつけて、先生を食うつもりですよ、あいつらは。十分気を付けてくださいよ」
 愛原「わ、分かってるって」

 そして、ロッカーに荷物や服を入れると、早速中へと入るのだった。
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“私立探偵 愛原学” 「東京湾フェリーの旅」 3

2024-05-28 20:16:05 | このブログについて
[4月9日10時30分 天候:晴 千葉県富津市 東京湾フェリー“かなや丸”船内]

 船は数分遅れで、金谷港を出港した。
 岩壁の釣り客の見送りを受けて、東京湾内の航路を進む。

〔♪♪♪♪。本日は、かなや丸に御乗船頂きまして、真にありがとうございます。皆様に、船内の御案内を申し上げます。売店、カフェテリアは2階客室フロアに。お手洗いは、1階客室フロアにございます。航海中、車両甲板は立入禁止です。また、客室内は禁煙となっておりますので、宜しく御協力お願い致します。本船では、常に船旅の安全に努力致しておりますが、万一、本船に非常事態が発生した場合は、非常ベル、船内放送などにより、皆様にお知らせ致しますので、その際は必ず係員の指示に従って、行動してくださいますよう、お願い致します。また、救命胴衣の保管場所やその着け方など、客室内に掲示しておりますので、お確かめください。ありがとうございました〕

 リサ「わたしが暴走したら?」
 愛原「まあ、それも非常事態の1つに入るだろうな。エブリンがそうだったんだから」
 リサ「まあ、研究所に連れて行かれると分かったら、暴走したくもなるよねぇ……」
 愛原「お前は連れて行かないから、暴走するなよ?」
 リサ「分かってるよ。わたしは、あんな欠陥特異菌の化け物じゃないんだし。崇高なるGウィルスの鬼だよ」
 愛原「それも制御に失敗すると、怖いんだよなぁ……。まあいいや。食べ終わったら、ちょっとデッキに出てみないか?」
 リサ「そうしよう!」

 食べ終わった空き容器などはゴミ箱に捨てて、洗面所で手を洗った。
 いや、サイダーが噴出した際、やっぱり少し手に掛かったからだ。

 リサ「それ、塩水?」
 愛原「いや、真水だよ」
 リサ「船のトイレの水は、海水を使うって聞いたことある」
 愛原「あー、そうかもしれないな」

 この船はどうだか知らないが。
 とはいえ、大なり小なり、船内では真水は貴重だろう。
 豪華客船だって、大枚はたいて乗船している客は入浴が制限されることはないし、何なら大浴場やプールまであるくらいだが、船員は船長などの高級船員以外はシャワーのみと聞いたことがある。
 船首甲板は立入禁止なので、船尾甲板に出てみる。

 リサ「おー!風が気持ちいい!」
 愛原「こういう経験、内陸に住んでたら滅多に無いな」

 

 愛原「八丈島に行く時は夜行船だったから、のんびり海を眺めるなんてことはできなかったな」

 辛うじてレインボーブリッジの下を潜る所は見たが。
 海風がビュウッと時折強く吹いてくる。

 

 愛原「リサ、スカート気をつけろよ?」
 リサ「うん、分かってる」

 リサはそう言って、片手でスカートを押さえた。

 リサ「ねぇ、先生!わたしを撮ってよ」
 愛原「いいよ」

 リサは手すりに寄り掛かって、ポーズを取った。

 愛原「あいよ!」

 そして、リサを撮影する。

 リサ「先生と船旅なうって、『魔王軍』のタイムラインに載せるんだ」
 愛原「そういうことか。レイチェルには連絡したのか?」
 リサ「今、久里浜港に向かってるって」
 愛原「そうか。久里浜駅から少し離れてるから、駅からバスで行く方法とか分かるかな?」
 リサ「えっ?何か、『船で行く』みたいなことを言ってたよ?」
 愛原「えっ!?」
 リサ「まさか、軍艦で向かったりして?」
 愛原「いや、それは無理だろう。東京湾フェリーの港に、軍艦は入港できんぞ?」
 リサ「そうだよねぇ……」

 それとも何か?
 上陸用舟艇の操縦訓練でもやる気なのか?
 それはそれで、ちょっと見て見たい気もするが。

 愛原「……少し肌寒いな」
 リサ「そう?」

 日に当たれば暖かいのだが、まだ海風は冷たさを感じる。

 リサ「わたしは涼しくていいけどね」
 愛原「お前は体温が高いから、暑がりだもんなぁ……」
 リサ「そうかな?」
 愛原「ま、とにかく船室に戻ろう」

 船室に戻ろうとすると……。

 リサ「あっ、カモメ!」

 というより、ウミネコだ。
 まあ、ウミネコはカモメ科の鳥なので、間違いではない。
 もちろん、鳴き声が猫の鳴き声に似てるからその名が付いたというのは、誰でも皆知っていることである。

 愛原「ウミネコだな。都内でも、海に近い所ではよく見かける」
 リサ「美味しそう!おらぁーっ!!」
 愛原「狩るな!」

 リサ、いきなり鬼形態に変化し、長く尖った爪でウミネコを捕まえようとした。

 ウミネコ「クェッ!?」

 突然のリサの行動に驚くウミネコ。
 どうやら、魚を咥えていたらしく、驚いて魚を吐き出してしまった。
 それが甲板に落ちる。

 リサ「美味しそうな鳥肉ーっ!待てーっ!」
 愛原「美味そうな魚だな。何だこれは?」
 高橋「何やってんスか、先生?」
 愛原「これはアイナメかな?」
 高橋「どうですかね?」
 パール「それより、リサちゃんが狩りしてますけど?」
 リサ「捕まえたーっ!」
 ウミネコ「ギャー!ギャー!」
 愛原「放してあげなさい!」

 昼食は海鮮を楽しむつもりが、危うく鳥肉を食わされるところだった。
 私はリサを船室に連れて行った。

 高橋「先生、こいつは暫く、外に出さない方がいいですね」
 愛原「久里浜港に着くまでは、ここで大人しくしてるように!分かった?」
 リサ「はーい……」

 2階客室の後ろ半分は売店とカフェテリアになっているが、前半分は客席が並んでいる。
 そのうち、左舷と右舷の窓側はボックスシートになっていて、あとは進行方向の座席が並んでいる。
 やや背もたれは低く、リクライニングはしない。
 ボックスシートは既に先客で埋まっていたので、真ん中の座席に座った。

 愛原「お前達はどこに行ってたんだ?」
 高橋「喫煙所で一服と、1階の客室っスね。あそこ、自販機コーナーあるんで」
 愛原「そうなのか」

 船尾甲板の別の場所には喫煙所がある。
 また、2階客室には売店があるが、1階は1階で自販機コーナーがあるらしい。
 便によっては売店の営業が無い場合もあるので、その時は自販機コーナーを利用することになるのだろう。
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