ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

日蓮正宗や顕正会では絶対にやらない。

2017-04-30 20:56:36 | 日記
1回3000円「お寺婚活」に男女が殺到する理由 マナー守れぬ会員は、スパルタ禅僧が「一喝!」

 少子高齢化が現実的な日本において、政府は抜本的な策を出せずにいる。
 野党の中には安易に移民政策を考えている所もあり、到底支持できるものではない。
 因みに私は“アンドロイドマスター”シリーズのように、人手不足の所はロボット化を進める案を支持している。

 さて、この安易な移民政策、日蓮正宗や顕正会も考えているのだから困りものだ。
 私が日蓮正宗での信心を辞めようと決意した理由は色々あるが、蓄積した不満の1つがそれだ。
 世界広宣流布を推進しているように見えて、私には日本国内での布教活動が進まないので、安易に外国人を入れているだけのように見えてしょうがなかった。
 実際、大石寺に登山しても、日本語が周辺から聞こえない日があったほどだ。
 もちろん、海外信徒を増やすなというつもりは無い。
 だが、未だ日本で日蓮正宗の名前すらそんなに知られていないのに、外国人だけ増やしてどうするのだろうという疑問は拭えなかった。
 紹介者に相談しても、

「それなら雲羽さんが日本人を折伏すればいいんですよ」

 と、当たり前過ぎて却って納得できない答えが返って来るだけだった。
 恐らく、桜梅桃李さん辺りならもう少し上手い返し方をしてくれたのかもしれないが……。
 ま、今となってはどうでも良いことだ。

 少なくとも日蓮正宗の寺院でも、冒頭の記事のようなことができたら私も辞めずに済んだだろうと思った。
 私が参加するしないの問題ではなく、こういうイベントを行えるような余裕が欲しかったというものだ。
 恐らく、日蓮正宗はもちろん、顕正会でもこういうことはやらないだろう。
 “フェイク”や創価新報が叩いてくるかもしれないが、移民政策を推進する公明党は支持できないし、それの支持母体もあまり信用できない。
 いや、んっ?さんには申し訳無いのだが。

 ただ……万が一仮に『寺婚』『会館婚』が行えたとしてもだ。
 絶対、参加票と称して入信願書や入信報告書を書かせる“イベント折伏”に成り下がってしまう気がするのは私だけだろうか。

 https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-169677.html

 こんな記事もある。
 私としては是非とも安易な移民化ではなく、ロボット化を進めてもらって、歳を取ったらエミリーかシンディみたいな『美人過ぎるガイノイド』に介護してもらいたいものだ。
 “Gynoid Multitype Cindy”において、敷島孝之亟はシンディに添い寝してもらってそのまま永眠したわけだが、実はあれ、私が求めている死に方を表現したものである。
 ロボット(ロイド)にしても魔道師にしても普通の人間ではないから、日蓮正宗系としては入信の対象にはできないだろう。
 前者はそもそも機械だから罪障だの功徳だの成仏だのという概念が通用しないし、後者はそもそも不老不死だし。
 特に後者は不老不死(数百年掛けて肉体は老いるのだが、魔法で若返らせることは可能。イリーナなど師匠クラスが正にそう)なので、その時点で宗祖を超えてしまっている。
 もちろん私は普通の人間だから、イリーナのように1000年超えの人生は無理だ。
 ポテンヒットさんだったらご存知かと思うけど、人間に看取られたから幸せな死に方とは限らない。
 だったらまだ『美人過ぎるガイノイド』に看取られて臨終した方が幸せだと思うのだ。

 それはつまり、人間を信用していないということでもある。
 日蓮正宗に入ってから、ますます信用できなくなったね。
 ダメだ。あの団体に寄り集まっている信徒も坊さんも。
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“大魔道師の弟子” 「再・学校であった怖い話」 〜無限廊下〜

2017-04-29 20:52:28 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月2日23:55.天候:雷 東京都台東区 東京中央学園上野高校・新校舎]

 2階の姿見には何やら仕掛けがあったようであり、これはイリーナが何かした。
 稲生は後ろで見ていたのだが、稲生の目にはイリーナが魔法の杖を翳して短く呪文を唱えただけのように見えた。
 とにかく、これで魔界への入口が開くフラグ立てはできたようだ。

 稲生:「次は3階ですね」
 マリア:「ユウタ、この建物は4階建てのようだけど、4階には無いのか?」
 稲生:「そうなんです。どういうわけだか、4階には無いんですよ」
 マリア:「なるほど……」

 マリアはニッと笑った。
 どうやらその意味を予想したようである。
 3階に到着すると、そこには異様な空気が漂っていた。

 稲生:「これは……!?」
 イリーナ:「ほほぉ……。ユウタ君も感じるかい?」
 稲生:「はい」
 マリア:「この廊下、何かある。ここに伝わる怪談は?」
 エレーナ:「無限ループ廊下になってる。それ?」
 稲生:「ほぼネタバレですね。そう、正しくそれです。旧校舎にも似たようなものがありましたが、新校舎にもあるんです」
 イリーナ:「それはどんな話だい?」
 稲生:「ええ。今から20年くらい前の話ですけど、そこの教室で放課後、補習が行われていたらしいんです。要はテストで赤点を取った人がプリントを渡されて、それを終えたら帰って良いというものでした。最後に1人だけ残った男子生徒が行方不明になってしまったんです。学校から出た形跡は無くて……。何でも、逢魔が時には、この廊下に巣くう妖怪が獲物を求めるのだという言い伝えです。それに捕まってしまったんだろうとのことでした」
 イリーナ:「うん、分かった。じゃ、ちょっとだけ追体験してみましょうか」
 稲生:「えっ?」
 マリア:「行くんですか?この廊下を……」
 イリーナ:「ええ」
 エレーナ:「いいんスか?どうせ私達じゃ、向こうが怖くなって逃げちゃいますよ?」
 イリーナ:「平気平気」

 魔道師達はわざと無限廊下の中に入った。
 無限廊下の罠に掛かると、どうなるのか。
 それは、廊下の向こう側に辿り着かないのである。
 永遠と右手に暗闇の広がる窓、そして左手には誰もいなくて真っ暗の教室が続くのである。

 稲生:「こ、こんなことが……」
 イリーナ:「おやおや。本当に私達に追体験させてくれるみたいだねぇ……」
 エレーナ:「いい度胸してますよ」
 マリア:「魔法で黒焦げにしてやるまでだ」

 確かに廊下の向こう側には、いつまで経っても辿り着かなかった。

 イリーナ:「それとも、これも私達の社会科見学の一環として協力してくれているのかねぇ……?」
 エレーナ:「いや。んな気遣いできるモンスター達じゃないと思います」
 マリア:「ここで、後ろを振り返ってみて」
 稲生:「は、はい!」

 後ろを振り返る稲生。
 しかし、後ろには何も無かった。
 というか、確かに今まで歩いて来た分の長さを感じる廊下が広がっていた。

 稲生:「ええ〜!?」
 イリーナ:「ユウタ君の知ってる話の主人公も、こういうのを体験してしまったってわけさ。学校の廊下の形をした亜空間にね」
 稲生:「え?それじゃ、するともうここが魔界の入口なんですか?」
 イリーナ:「ある意味では。でも、これだと私達の本当の目的地には行けない。私達が魔界のちゃんとした目的地に行くには、やっぱり姿見の仕掛けを解いてからじゃないとね」
 稲生:「じゃあ、どうするんです?」
 エレーナ:「おっ、何かいますよ。私達に挨拶してくれるのかな?」
 稲生:「ええっ!?」

 廊下には非常口誘導灯の明かりと消火栓の赤ランプしか明かりが無い。
 そこを稲生が懐中電灯を照らして進んでいたわけだ。
 少し先の廊下の片隅に、誰かがうずくまっていた。

 稲生:「だ、誰だ!?」

 稲生は懐中電灯を照らした。
 そこにいたのは黒い服を着た女?

 アンナ:「遅いじゃないですか、皆さん」
 マリア:「アンナ!?」

 それはアナスタシア組のアンナだった。
 黒い服は黒いローブに、黒いスーツを着ていたからだった。

 稲生:「びっくりした……」
 エレーナ:「いい演出してくれるじゃんよー。でも正に、そこにモンスターがいたっていうのが話の続きですよね?」
 イリーナ:「まあ、そうさね。そいつはどうしたの?」
 アンナ:「まだ私は会っていません。多分ですが、恐らく……」

 すると、廊下の向こうから何か聞こえて来た。

 稲生:「な、何だ?」
 マリア:「! ユウタは下がって!」
 稲生:「ええっ!?」

 それは男の叫び声だった。
 廊下の向こうから死に物狂いで走って来る、黄緑色のワイシャツを着てグレーのズボンをはいた男。
 正にそれは東京中央学園の男子生徒の夏服であった。

 男子生徒:「た、助けてくれぇぇぇぇぇっ!!」

 男子生徒は何かに追われているようだった。
 だが稲生には、その男子生徒が生きている人間には見えなかった。
 霊気を感じたからである。
 恐らく、幽霊と化してしまったのだろう。
 その男子生徒は何から逃げているのか。

 稲生:「な、何だあれは!?」

 それはセーラー服に身を包んだ……人間の女とは思えないほどの姿をしていた。
 セーラー服は東京中央学園の昔の旧制服に似ていた。
 ぎょろぎょろと大きく光る目、しぼんだように小さな顎にはひび割れた唇。
 しかも、1人だけではなかった。
 後ろから似たような姿の魔物達が、彼を両手両足を使うような奇妙な走り方で追い掛けているのだ。
 手はしなびていて、まるで老婆のよう。
 口々に意味不明なことを言いながら、今度は魔女達に向かってきた。

 イリーナ:「ヌィ・フ・ラゥム!」

 イリーナの魔法の杖から光が放たれ、セーラー服の魔物達を包み込む。
 光に包み込まれた魔物達は、次々と消え去って行った。
 だが、それでも光の攻撃を交わした個体がイリーナの脇をすり抜けて来る。

 エレーナ:「ヴェ・ギュ・ラマ!」
 マリア:「ヴェ・ギュ・ラマ!……って、真似すんな!」
 エレーナ:「いいじゃん、別に」
 アンナ:「稲生君、私から離れちゃダメよ。ヌィ・フ・ラゥム!」
 マリア:「コラーッ!」
 エレーナ:「修羅場だねぇ……」

 何とか魔物共を滅却、塵芥にした魔女達であった。

 男子生徒:「助かった……!ありがとう……ありがとう……」

 男子生徒の幽霊は恐怖から解放されたことで、スーッと消えていった。
 残されたのはソールピースである。
 見た目は紫色に光るゴルフボールのようだ。

 稲生:「これは……ソールピース。サンモンド船長を思い出すなぁ……」
 イリーナ:「それはユウタ君が持ってて」
 稲生:「いいんですか?」
 イリーナ:「今の男子生徒は稲生君を頼っていたようだからね」
 稲生:「僕は何もしてませんよ。というか……できなかった……」
 エレーナ:「大丈夫。1人でマフィアの本部に乗り込めば、度胸が付くって」
 マリア:「いや、それはオマエしかできない!」
 アンナ:「うんうん」

 さり気なく稲生の手を繋ごうとするアンナの手を叩くマリアだった。

 イリーナ:「みんな、いいかしら?無限廊下も解放したことだし、そろそろ本当の魔界の入口を開けるわよー」
 稲生:「あ、はい」
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“大魔道師の弟子” 「再・学校であった怖い話」

2017-04-28 22:58:53 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月2日23:30.天候:曇 東京都台東区某所 学校法人東京中央学園上野高校]

 曇り空の湿っぽい空気が漂う中、イリーナ組は稲生の母校の裏門前に着いた。

 稲生:「うわ……」

 今の稲生には、しっかり学校の敷地内全体に妖気や霊気が充満しているのが見えた。

 稲生:「せっかく魔界の穴、塞いだのになぁ……」
 イリーナ:「もちろん、ユウタ君達の努力は努力として認めるよ。でも、所詮は素人が付け焼刃でやったこと。だから、自ずと限界がある。何しろ、グランドマスターの私でさえ、完全に塞ぐことはできないんだから」
 稲生:「ええっ?」
 マリア:「師匠。日本人のユウタには、ちゃんとした日本語で話してください。『穴は自分の自由意志で塞ぐことができ、自由意志で開けることができる』の間違いですよね?」
 イリーナ:「ウソはついてないよ。完璧に閉じれないから、開けることができるんじゃない」
 稲生:「本当なんですか?」
 イリーナ:「でも、ここの魔界の穴を塞いだのは私じゃないからね。とにかく、行きましょう」

 裏門は施錠されていたが、こんなもの魔道師の魔法を使えば簡単に開けることができる。
 昔はこの裏門の横には電話ボックスがあり、それにまつわる怪談話もあった。
 アンナは何故かこの話を知っていて、聞いた稲生を罠に掛ける準備をしていたことがあった。

 稲生:「ううっ……!何か出そうだなぁ……」
 イリーナ:「お化けの1つや2つは出てくるかもしれないね」

 因みに裏門には電話ボックスの怪の他、魔法の飴玉を生徒に渡す魔女の話もあった。
 しかし後者については、その正体はダンテ一門に属する魔道師であったことが判明している。
 ひねくれた性格の男子生徒が1人1個のはずの飴玉を3個も強奪して行き、復讐の為にその男子生徒の家……部屋の中にまでやってきて、その男子生徒の両目の眼球を【お察しください】。
 老魔女という話だったのだが、稲生達の前ではイリーナと同じく若作りの魔法で登場している。
 さすがにムカついたということだった。

 イリーナ:「どこ行くの、ユウタ君?こっちだよ」
 稲生:「えっ、新校舎!?姿見は旧校舎のはずじゃ?」
 イリーナ:「でも新校舎にも姿見はあるでしょう?」
 稲生:「ええ、まあ……」
 イリーナ:「今回の魔界の穴は、こっちの方だよ」
 稲生:「そうなんですか」

 新校舎の昇降口に辿り着く。
 さすがに施錠されていて、機械警備も入っているはずなのだが、それも魔道師の魔法で何とかなった。
 そして入ろうとすると、1人の魔女がホウキで舞い降りて来た。

 エレーナ:「こんばんは」
 稲生:「エレーナ!」
 エレーナ:「凄い妖気だね。これじゃ、ヘタすりゃ魔界からモンスターがやってくるかも」
 稲生:「マジか。カンベンしてほしいなぁ」
 エレーナ:「まあ、下等で愚かなザコモンスター、魔道師の私らに掛かればチョロいチョロい」
 マリア:「むしろ私達の姿を見て逃げ出すかもな」
 稲生:「凄いんですね、僕達……」
 エレーナ:「あ、稲生氏は今のところ人間扱いだから、あなただけ襲われるかもよ」
 稲生:「ええーっ!?」
 マリア:「エレーナ!……あ、私達と一緒に行動すれば心配無いから」
 稲生:「は、はあ……」
 イリーナ:「それより、あと1人来るはずなんだけどね、どうしたのかしら?」
 エレーナ:「アンナですか?もう先に来てるんじゃないっスかねー」
 イリーナ:「ま、別に一緒に行く約束してるわけでもないからね。さっさと行きましょうか」

 魔道師達は新校舎の中に入った。

 イリーナ:「ここからの案内役はユウタ君だよ。この学校にある姿見まで案内して頂戴」
 稲生:「わ、分かりました」
 エレーナ:「いつ、エンカウントしてもおかしくない状態だよ。稲生氏、前からいきなり襲ってくるかもしれないからねw」
 稲生:「ええ〜……!」
 マリア:「エレーナ、いい加減にしろ。ユウタ、心配無いから」
 稲生:「はあ……」

 稲生は懐中電灯の明かりを点けて進んだ。
 稲生がローブの中に仕込んでいる道具の1つだ。

 稲生:「姿見は3つあるんですが、どこから行きますか?」
 イリーナ:「1番近い所から行こうか」
 稲生:「分かりました」

 1つはすぐにあった。
 それは昇降口のすぐ脇。

 イリーナ:「うん。早速、フラグ立てしてくれるじゃない」

 イリーナはニヤッと笑った。
 鏡の中のイリーナもニヤッと笑う。
 鏡の中なのだから、当たり前だ。

 イリーナ:「分かってるわね、稲生君?」
 稲生:「は?何がです?」

 懐中電灯を持つ稲生が目を丸くしてイリーナに聞いた。
 鏡の中の稲生も同じ行動をする。

 エレーナ:「なるほど。これは分かりやすい」

 エレーナも気づいたようだ。

 エレーナ:「イリーナ先生、もうネタばらししていいっスか?」
 イリーナ:「どうぞ」
 稲生:「一体、何が?」
 エレーナ:「コラ、いい加減にしろ。バレてんぞ」

 エレーナは持っていたホウキの柄の先で、鏡の中の稲生をトントンとつついた。

 稲生:「あれ!?」

 鏡の中の稲生が苦笑して頭をかきながら立ち去った。
 そしてしばらくすると、また稲生が現れた。

 イリーナ:「今のが本当の稲生君ね。さっきのは偽者よ」
 稲生:「どういうことですか?」
 エレーナ:「このまま気づかずに進んでたら、稲生氏だけこの鏡の中に閉じ込められて、さっきの偽者とすり替わってしまうってことさ」
 稲生:「そんなことが……」
 マリア:「この姿見に纏わる怖い話は無いのか?」
 稲生:「いやあ……聞いたことないですね」
 イリーナ:「多分今のヤツはここ数年の間に棲みついたヤツだろうね。ユウタ君が卒業してから棲みついたヤツだったとしたら、知らないのは当然よ」
 稲生:「それはそうですね」
 イリーナ:「よし。ここはもうOKよ。次の姿見はどこ?」
 稲生:「は、はい。今度は2階です」

 稲生達は近くの階段を上がった。
 懐中電灯の明かりが稲生達の行く先を照らす。

 マリア:「それにしても、アンナはどこに行ったんだ?」
 エレーナ:「アナスタシア先生から急に呼び出しでも食らったか、或いは先に来てここで待っているか、それともドジ踏んで奴らに捕まったか……」
 稲生:「奴らって?」
 エレーナ:「さっきの鏡の奴みたいなの。今、何気にエンカウント率が高いからね」
 稲生:「でも、さっきから会わないよ」
 マリア:「私達にビビッているんだ。もし生身の人間が入ろうものなら、とっくに捕まって何かされてるさ」
 稲生:「ひえー……」
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“大魔道師の弟子” 「新宿から上野へ」

2017-04-27 21:34:03 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月2日22:28.天候:曇 東京都渋谷区千駄ヶ谷 バスタ新宿3F]

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、バスタ新宿に到着致します。お降りの際はお忘れ物、落し物の無いよう、よくお確かめください。……」〕

 稲生達を乗せた高速バスがバスタ新宿3階の降車場に到着する。

 稲生:「到着しましたよ、先生」
 イリーナ:「んあっ……?ああ、着いたのね」
 稲生:「はい」

 大きなエアーの音がしてドアが開く。
 乗客達は一斉にドアの方に列を成した。

 稲生:「ちゃんとバッグの中に入ってないとダメだよー」

 稲生は普通に通路を歩こうとするミク人形とハク人形に言った。

 マリア:「全くもう……」

 マリアは両手で自作の人形を抱き抱えた。

 稲生:「それじゃ、ここで乗り換えです」

 バスを降りた稲生達。

 マリア:「何線?」
 稲生:「山手線です。外回り」
 イリーナ:「おお。もしかしたら、向こうの似たような電車に乗る機会があるかもだねー」
 稲生:「魔界高速電鉄……通称アルカディアメトロの環状線ですか?それだったら面白いですね」

 JR山手線を一周すると、約1時間掛かる。
 それに対し、アルカディアメトロ環状線は各駅停車で2時間掛かる。
 その為、向こうでは半周速達運転の準急電車や一周速達の急行電車が運転されている。

 マリア:(師匠の使い魔と会いに行くのに、乗る機会あるのか?)

 マリアは懐疑的だった。
 少なくとも今のイリーナの発言は、予言ではなく、単なる予想にしか聞こえなかったからだ。

[同日22:41.天候:曇 JR新宿駅]

 平日なら未だに混雑する時間帯。
 日曜日の夜は、そこまで混雑しているわけではない。
 しかし、そこは眠らない街の中心駅。
 賑わいはそれなりだ。

〔「15番線、ご注意ください。池袋、上野方面行きが参ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください」〕

 山手線オリジナルのE231系500番台が風を切って入線してきた。
 因みに新宿駅の山手線ホームには、まだホームドアが設置されていない。
 同じ東京の繁華街である渋谷方面からやってきた外回り電車は、そこそこ混んでいた。

〔「ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。ドア付近のお客様は……」〕

 ぞろぞろと降りてくる乗客達。
 稲生達は最後尾の車両に乗り込んだ。
 バスタ新宿から乗り換えようとすると、どうしてもそうなってしまう。
 バスタ新宿は新宿駅の南側(特に新南口に接続)にあるため。
 また、東京中央学園に行く際、上野駅の北側ということもあり、その方が都合が良い。
 何より、先頭車より最後尾の方が空いている。

 マリア:「師匠また寝るといけないから、立たせておいた方がいいんじゃないか?」
 イリーナ:「えー」
 稲生:「いや、いいでしょう」
 イリーナ:「そうそう。どうせ、また一周戻ってくるしw」
 マリア:「いや、ダメでしょ!」
 稲生:「さすがにそれは困ります」

 ホームに軽快な発車メロディが鳴り響く(曲名:twilight)。

〔15番線の山手線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕
〔「15番線、この辺りでドアが閉まります。お体、お荷物を強くお引きください」〕

 ドアチャイムを3回鳴らしながらドアが閉まる。
 ホームドアが無い為、ちゃんと全扉が閉まるとすぐに発車した。
 駅の大規模改良が予定されている駅においては、ホームドアは設置されないことになっているという。

〔この電車は山手線外回り、池袋、上野方面行きです。次は新大久保、新大久保。お出口は、右側です。……〕

 稲生:「うーん……」

 稲生は鞄の中から魔界高速電鉄の路線図を取り出した。
 これもまた日本語版が存在する。
 そこの環状線はきれいな楕円形をしているのだが、山手線で新宿駅に当たる部分はインフェルノタウン駅という名前であり、中央線も交差するという点においては非常によく似ている。
 急行電車も停車するし、地下鉄や路面電車も乗り入れている。
 電鉄中央線は中野駅に相当する辺りでプッツリと切れているのだが、実際はその先も線路は繋がっており、冥界鉄道公社専用線である。

 マリア:「どうした?」
 稲生:「本当、よく似てるなぁと思いまして……」
 マリア:「内戦で壊滅した町を再建した際、安倍春明首相は日本の東京を真似て街づくりをしたそうだ。だからだろう」

 アルカディア王国の国土の形が東京都に似ているのも、何も無い魔界において暫定的に国境の形を決める際、東京都の形を参考にしたからだという。

 稲生:「あれ?でも、町田市の部分が【禁則事項です】。あれ、何だこれ?」
 マリア:「どうした?」
 稲生:「いや、よく見たらアルカディア王国、東京都の形に似ているのに、何故か町田市の部分が【禁則事項です】。何だ、この規制?町田市ってK【ぴー!】県?」
 マリア:「ユウタ、どうもこれ以上その先を言うと、何かマズいことになるようだ。変な魔法掛かってる」
 稲生:「そ、そうですか」

[同日23:07.天候:曇 JR上野駅]

 電車が池袋を出てから電車は段々と空いて来た。
 日曜日の夜で、しかも繁華街から離れて行くにつれて人も少なくなるのだろう。

〔「まもなく上野、上野です。お降りの際はお忘れ物、落し物にご注意ください。ご乗車ありがとうございました」〕

 電車が上野駅のホームに滑り込む。
 上野駅にはホームドアがあるので、停車してから数秒のブランクがあってドアが開いた。

〔「ご乗車ありがとうございました。上野、上野です。3番線の電車は山手線外回り、東京、品川方面行きです」〕

 稲生達は電車を降りると、後ろ側の階段を登った。

 マリア:「ちょっとトイレ行ってきます」
 イリーナ:「お、じゃ私も行こうかね」
 稲生:「僕も行ってきます」
 マリア&イリーナ:「どうぞどうぞw」
 稲生:「どこのお笑いですか!」

 で、戻って来るのは稲生が1番早い。

 稲生:(女性はトイレゆっくりだからな……)

 稲生は近くの自販機で飲み物を買うと、魔女2人が戻って来るまでスマホを見ることにした。

 稲生:「ん?」

 稲生は何かの気配を感じ取り、周囲を見渡したが誰もいなかった。
 その気配は魔女のものというよりは、妖気や霊気に近かった。
 妖気は陽気、霊気は冷気。
 既に魔界の穴は開いている状態であり、そこを通れる資格のある者を招いているということなのだろうか。
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“大魔道師の弟子” 「イリーナ組の社会科見学」 〜中央高速バス〜

2017-04-25 19:43:16 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月2日17:00.天候:晴 白馬八方バスターミナル]

 バスターミナルも兼ねた案内所の前に1台の車が到着する。
 今回はイリーナが連れて行くということもあって、ベンツのSクラスであった。

 稲生:「それにしても、夕方に出発するなんて……」
 イリーナ:「ちょっと変わってるでしょ。魔界の入口を適当に開けるわけにはいかないからね」
 稲生:「適当にって……。えーっと……じゃあ、乗車券は1人ずつ持ちましょう。この時期は夜行便が無いから、実質的に最後のバスってことになりますね」
 イリーナ:「なるほど」
 マリア:「ちょっとトイレに行ってくる」
 稲生:「はい。途中休憩が2回あるので、夕食はこの時に買う必要がありそうです」
 イリーナ:「あー、そういうことになるか」
 稲生:「しかし、魔界の穴を通りに行くのに東京まで行くことになるとは……」
 イリーナ:「しょうがない。今回はたまたま開きやすい所がそこだったんだよ。何しろ、思い立ったが吉日って言うからね」
 稲生:「しかも、その場所が東京中央学園なんて……」
 イリーナ:「いや、ほんと、偶然だよね」
 稲生:「何か、偶然過ぎて怖いです」

[同日17:15.天候:晴 京王バス東高速バス車内]

〔「お待たせ致しました。バスタ新宿行き、発車致します」〕

 昼行便の最終便は長野県側のアルピコ交通ではなく、東京側の京王バスが担当する。
 白馬線もまた『中央高速バス』の1つであると分かる瞬間だ。
 4列シートではあるが、長距離便ということもあってか、貸切観光バスの座席よりも少し広めに造られている。
 さすがに、ドル箱の松本線で導入されているSシート(2列と1列のハイグレード席)は無かった。
 稲生とマリアで隣り合って座り、その前にイリーナが座る。
 前回の時と同様、イリーナはさっさと座席に座るとフードを被って寝る体勢を取った。
 夕暮れ迫る村内をバスが走り出す。

 稲生:「魔界の穴は塞いだはずなのに、どうしても僕の母校が出入口になってしまうんですか」
 マリア:「しょうがない。何かのきっかけで、どうしてもそうなってしまうんだよ」

 マリアはバスターミナルの自販機で買った飲み物を口に運んだ。

 マリア:「例えば肩を脱臼した経験のある者は、例え治ったとしても、また肩が外れやすいという。つまり、それと同じさ」
 稲生:「はあ……そういうもんですか」
 マリア:「1度その場で魔界の穴が開いてしまうと、例え後で塞がったとしても、また開いてしまいやすいということさ」
 稲生:「なるほど……。高校時代は、とんだ無駄なことをしてたんですねぇ、僕達……」
 マリア:「まあ、結果的には。だけど、素人の集団でよくあそこまでやったものだと思うぞ」
 稲生:「威吹とかも、いてくれましたしね」
 マリア:「いっそのこと、ユウタはあの狐妖怪をファミリアにしてしまったらどうだ?」
 稲生:「ええっ?いや、それは威吹に申し訳ないですよ。今、あいつは魔界で静かに暮らしているんですから」
 マリア:「魔道師の修行をしていたわけでもないのに、よくあんな危険な狐を手懐けていたものだ」
 稲生:「威吹はいいヤツですよ。とても、江戸時代は人喰い妖狐だったとは思えないくらい」
 マリア:「狐は人を化かす生き物だということは知ってるよね?……まあ、いいや。このバスが終点に着くのは何時くらい?」
 稲生:「バスタ新宿着、22時28分ですね」
 マリア:「うん、いい時間だ」
 稲生:「そこから山手線で上野に向かって……。まあ、23時過ぎには魔界の穴に辿り着けますか」
 マリア:「時差ボケに注意しないとな」
 稲生:「やっぱそうなりますか。魔界って、海外旅行みたいなものですねぇ……」
 マリア:「うん。何も、飛行機に乗るだけが海外旅行じゃないってことさ」
 稲生:「なるほど……。マリアさん、“ユーロスター”には乗りました?」
 マリア:「いや、まだ無い」

 英仏海峡トンネルを通る国際列車である。
 人間としての人生を終えたマリアは、イリーナの瞬間移動魔法によって、まずは東欧に一っ飛びしたからである。
 政情不安な国の方が“魔の者”は追いにくいという性質に応えたものだ。
 人間に憑依したり操ったりするのだが、政情不安な国だと憑依先の人間が真っ先に殺される恐れが高い為。
 更に高飛びして政情は安定している日本まで来たが、さすがに遠すぎることもあって、“魔の者”はその眷属を送って寄越す程度しかできていない。

 マリア:「“魔の者”を倒したら、乗れるかもよ」
 稲生:「今はダメなんですか?」
 マリア:「トンネルに入った途端、“魔の者”はテロリストを操って、トンネルに爆弾を仕掛けさせるだろう。今ならイスラム教のせいにできるからな」
 稲生:「なるほど……」

 キリスト教は魔女狩り、イスラム教はテロで魔道師達を追い詰めてくる為、こちら側にとって世知辛い宗教であるようだ。
 傍観勢兼実況勢にあるのは仏教くらいか。

[同日21:00.天候:晴 中央自動車道上]

 バスは順調に中央自動車道の上り線を走行している。

 マリア:「げっ……!」
 稲生:「どうしました?」

 マリアが手持ちの水晶球を見て嫌そうな顔をした。

 マリア:「私達が向かう魔界の穴、行くのは私達だけじゃないみたいだぞ」
 稲生:「他に誰が行くんです?」
 マリア:「エレーナ……」
 稲生:「エレーナくらい、いいじゃないですか。ついでに、マスター昇格のお祝いの言葉でも掛けてあげましょうよ。昔は敵だったけど、今は僕達の味方になっているんですし……」
 マリア:「いや、エレーナは今さらどうでもいい。そうじゃなくて……」
 稲生:「リリィも一緒ですか?まあ、別に……」
 マリア:「リリィはいない。というか多分、もう魔界にいると思う。そうじゃくて、アンナと鉢合わせになりそう」
 稲生:「……マジですか?」
 マリア:「うん」
 稲生:「夜の学校の、それも閉鎖された旧校舎の怖さを倍増してくれる魔女さんですよねぇ……」
 マリア:「私達はむしろ、人間側に恐怖を与える側だが……」
 稲生:「僕だけ恐怖を味わうことになりそうです……。帰っていいですか?」
 マリア:「師匠とブラックジャックで勝ったら帰っていいんじゃない?」

 その言葉を聞いた稲生、更に血の気が引いた。

 稲生:「あー……」
 マリア:「ま、私が一緒にいるから。アンナの好き勝手にはさせないよ」
 稲生:「あ、ありがとうございます」

 魔女には魔女で対抗せよということだ。
 エレーナもいるからと思うが、恐らくこの場合、エレーナは実況役に徹するだけであろう。
 アンナはヤンデレ魔女で、どうも稲生を狙っているフシがある。
 もしもマリアという先約がいなかったら、とっくにアナスタシア組の師匠アナスタシアもびっくりの手法で引き入れたのではないかと思われる。
 表立ったケンカはしていない。
 門内破和の罪に問われ、最悪破門処分になるからだ。
 なのでアンナも表向きにはマリアに気を使って退いているのだが、あくまでも表向きは……という感じが拭えないのであった。
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