報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「東京から長野へ」

2017-05-27 16:49:01 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月29日09:10.天候:晴 JR渋谷駅前]

 ハチ公口付近に1台のハイエースが停車する。

 運転手:「はい、着きました。ありがとうございました」

 スライドドアが開くと、乗車していた宿泊客が降り始めた。
 車はホテルがやっている『お送りサービス』だった。

 稲生:「ありがとうございました」
 イリーナ:「Спасибо.」
 マリア:「Thanks.」

 1番後ろに乗っていた稲生達が最後に降りる。

 稲生:「自動通訳(魔法)、よく切れますね」
 イリーナ:「フリーWi-Fiが飛び交ってると切れやすいね」
 マリア:「見も蓋も無いこと言わないでくださいよ」
 稲生:「ま、とにかく電車に乗りましょう」

 稲生達は休日で賑わう渋谷駅の中に入った。

 稲生:「本当にタクシーじゃなくていいんですか?」
 イリーナ:「ええ。日本の鉄道は安全だしね」
 マリア:(タクシーで行こうとすると何か障害がある予知でもしたか?)
 稲生:「先ほどお渡ししたキップで、そのまま改札口を通れます」
 イリーナ:「了解」

 新宿から特急に乗り換えるが、乗車券は新宿ではなく、東京都区内になっている為。
 白馬までだと軽く片道200キロ以上となるので、乗車券はそうなる(200キロ以下だと東京山手線内となる)。

〔まもなく1番線に、新宿、池袋方面行きが到着します。危ないですから、黄色い線までお下がりください〕

 渋谷駅はホームが曲がっていて見通しが悪い為、ホームに駅員が2人立っている。
 やってきた電車は主力のE231系500番台(つまり、新型じゃない方)で、電子警笛を鳴らしながらやってきた。

〔しぶや、渋谷。ご乗車、ありがとうございます〕
〔「電車とホームの間が広く空いている所があります。足元にご注意ください」〕

 多くの乗客が降りてくる。
 因みに渋谷駅には、まだホームドアが無い。

 稲生:「久しぶりに渋谷駅から乗るなぁ……」

 稲生は運転室の後ろの窓に陣取った。
 発車メロディ(曲名:小川のせせらぎ)が鳴り響く。

〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕

 ホームが曲がっている為、稲生達が乗り込んだ先頭車は最後尾にいる車掌からは見えない。
 そこで、ホームの前方に立っている駅員と後方に立っている駅員が連携して客扱い監視をしている。
 そして、ドアが閉まる。
 運転室内からは、運転士がハンドルをガチャガチャと手前に引く音が聞こえて来た。

 稲生:「ユウタ、どのくらいで着く?」
 マリア:「ものの5〜6分程度です」
 稲生:「そうなのか」

 電車が走り出してから、そんなやり取りがあった。

〔この電車は山手線外回り、新宿、池袋方面行きです。次は原宿、原宿。お出口は、右側です。地下鉄千代田線と地下鉄副都心線は、お乗り換えです〕

 稲生:「あの、マリアさん……」
 マリア:「なに?」
 稲生:「そのブレザーですが……」
 マリア:「師匠に何か言われた?」

 マリアはチラッと後ろを見た。
 イリーナは座席に座っている。

 稲生:「マリアさんのブレザー、勝手に一晩預かってて、すいませんでした」
 マリア:「いや、いいよ。酔っ払って脱ぎ捨てた私が悪い」

 マリアのブレザーは緑色と言っても、今乗っている山手線のラインカラーであるウグイス色(車体色名。正式名称としては「国鉄黄緑6号」というので、「黄緑色」と呼んでも良いことになる)ではなく、埼京線の緑色(国鉄緑15号)に近い。
 他に実際、黄緑色に近いものやエメラルドグリーン(国鉄青緑1号)、更にはJR東日本のコーポレートカラーに近い緑(いわゆる、モスグリーン)のものも持っている。
 これはマリアが表向き好きな色が緑色だからというのもあるのだが、実際は契約悪魔であるベルフェゴールのシンボルカラーが緑だからである。
 ベルフェゴールから多大な魔力を受けている為、その証としてシンボルカラーを服飾の一部として使用しているだけに過ぎない。
 その為、イリーナも契約悪魔がレヴィアタンなのだが、こちらはピンク色がシンボルである為、今着ているドレスコートがピンク色なのはその為である(実際は鴇色や桃色としてのピンク色ではなく、レッドパープルに近い)。
 エレーナもマモンと契約したが、マモンは青色である為、それまでは魔女らしい黒い服を着ていたのだが、青い服を用意している。
 で、稲生が内々定している“色欲の悪魔”だが、こちらは紫色らしい。

 稲生:「やっぱりマリアさんには緑色が似合います」
 マリア:「ベルフェゴールが寂しがるもんでね。別に、嫌いな色ってわけじゃないんだけど」

 その為、夏はさすがに暑いのでブレザーは着ないが、代わりに薄緑色のブラウスを着るなどして対応している。

 稲生:「僕は紫かぁ……」

 稲生は東京メトロ半蔵門線のラインカラーを思い出した。

 稲生:「僕には似合いそうに無いなぁ……」
 マリア:「別に、パープル一辺倒でなくてもいい。大昔はだいぶこだわっていた悪魔達だけども、今はそこまで拘らないみたい」
 稲生:「そうなんですか」
 マリア:「よく見たら師匠の服、マゼンタだぞ。どちらかというと紫系の」
 稲生:「ありゃ?」
 マリア:「確か、ユウタが持っているスーツで、紺色のヤツがあるだろう?」
 稲生:「1着ありますね」
 マリア:「黒に近い紫色……何て言うのか知らないけど、そういう色のスーツでも買って着ればいいんだよ」
 稲生:「なるほど」

 稲生はポンと手を叩いた。
 後ろではあまり納得してなさそうな某色欲の悪魔がいたが、マリアが冷たい視線を送った。

 マリア:「他に契約してくれる魔道師もいないんだから、それくらい妥協しろ」

 と言った。

[同日10:04.天候:晴 JR新宿駅→特急“あずさ”55号8号車内]

 隣のホームから定期列車の“スーパーあずさ”11号が発車していく。
 稲生達が乗っている臨時列車はその後追いをしていくわけだが、先発列車と比べて停車駅が多いので、ダイヤ通りであるなら追い付くことはない。

 稲生:「新宿駅で少し時間があるからということで、少しエキナカを回ったわけですが……」

 稲生はグリーン席上の網棚に荷物を置いた。

 稲生:「最後の最後で『爆買い』しましたね」
 マリア:「何かきっかけが無いと、なかなか家の外に出ないからね。買い物は人形やユウタが行ってくれるからいいんだけど……」
 稲生:「村の中心部へ向かうバスが1日3本しか無い状態ですからねぇ……」

 それも、屋敷の最寄りバス停が、明らかに稲生くらいしか利用しないような所だ。
 網棚に乗せた荷物は、購入した日用品が入っているバッグだった。

〔「お待たせ致しました。10時4分発、中央本線特急“あずさ”55号、白馬行き、まもなく発車致します」〕

 ホームから発車メロディが微かに聞こえてくる。
 タイトルは“see you again”という、正に長距離列車に相応しい曲名なのだが。
 列車は新型車両のVVVFインバータの音を響かせて発車した。
 前に座るイリーナはリクライニングを倒して、早速寝入っている。

 稲生:「何だか大変な旅行でした」
 マリア:「大師匠様が、よくゾーイの幻影から逃れられたと驚かれていたみたいだな」
 稲生:「まあ、脱出ゲームは既に何度もやって……」
 マリア:「は?」
 稲生:「あ、いや、何でも無いです」

 マリアの屋敷において、自室として与えられた稲生の部屋に、テレビゲームが設置されていることはあまり大っぴらにしたくない稲生だった。

 マリア:「ま、師匠も寝てるし、帰りは何事も無く着けるだろう」
 稲生:「そうですね」

 臨時列車はそろそろ暑くなってくる日差しを背に、まずは北、それからすぐに西へと進路を取った。
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“大魔道師の弟子” 「一夜明けて」

2017-05-27 11:17:13 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月29日07:00.天候:晴 東京都渋谷区 ドーミーイン渋谷神宮前]

 イリーナ:「うーん……」

 イリーナは設定したモーニングコールで目を覚ました。

 イリーナ:(魔力が強いってのも楽じゃないねぇ……)

 隣のベッドでは直弟子のマリアが酔い潰れて眠っている。
 さすがにもう酔いは醒めただろうか?
 イリーナは起き上がると、ライティングデスクの上に乗せた白紙の手帳に何かをロシア語で書き込んだ。
 それは夢日記。
 イリーナは予知夢をよく見るので、それを手帳に書き込んでいるのだ。
 人によって見る夢の背景は、モノクロだったりカラーだったりする。
 イリーナの場合、どちらも見るが、それだけなら大勢に影響は無い。
 要注意なのは、その背景が赤色になっている場合。
 ほぼ100%の確率で発生するフラグといっても良いもので、しかも大凶夢である。
 イリーナはそれを『赤い夢』と呼んでいるが、今回はそれが無かった。
 もちろん予知夢である為、それを見た後で、自分は回避することは可能。
 多くの場合は、イリーナ1人では食い止めることができない場合が殆ど。
 食い止めることができる場合、もう『赤い夢』として見ることが無い。
 実は今見た夢の中に、稲生の死亡フラグがあったのだが、ほぼ簡単に回避できるものだったので、『赤い夢』としては登場しなかった。

 イリーナ:「マリア、そろそろ起きなさい」
 マリア:「う……」

 イリーナが揺り動かすと、マリアはだるそうにしていた。

 マリア:「……あと5分……」
 イリーナ:「ダメよ。私がそう言った時、すぐに起こすでしょう?分かったら、あなたもすぐに起きなさい。ほら!」

 イリーナはマリアの上半身を起こした。
 ホテルに戻る前から良い潰れていたので、昨日着ていた服のまんまだ。

 マリア:「頭痛い……」
 イリーナ:「昨夜、飲み過ぎたからね。ポーションがあるから、それを飲みなさい」
 マリア:「昨夜……。えっと……」
 イリーナ:「深くは思い出さない方がいいよ。それより、早くその服着替えてお風呂に行こう。せっかくユウタ君が大きなお風呂のあるホテルを取ってくれたのに、まだ入ってない」
 マリア:「はあ……」

 マリアはベッドに座ると、しわしわになったブラウスを脱ぎ始めた。
 何の疑いも無く下着を替えていると、ふと気づいた。

 マリア:「師匠、私のブレザー知りませんか?」
 イリーナ:「あんた、酔っぱらってて暑いなんて言って、思いっ切り脱いでたじゃない」
 マリア:「は!?」
 イリーナ:「ユウタ君の前でスカートまで脱ごうとしたものだから、私が慌てて止めたんだからね」
 マリア:「……そうでしたっけ???(;゚Д゚)」
 イリーナ:「ユウタ君は昨日、お風呂に入ったのかな?ちょっと聞いてみましょう」

 イリーナはデスク上の電話機を取ると、それで稲生の部屋に掛けた。
 部屋同士、内線が掛けられる。

 イリーナ:「ん?あれ?」
 マリア:「どうしたんですか?」
 イリーナ:「なかなか出ないわねぇ……。まだ寝てるのかな?それとも……」
 マリア:「ユウタも酔い潰れてました?」
 イリーナ:「あなたが先に酔い潰れたものだから、それどころじゃなかったよ」
 マリア:「うっ……!」
 稲生:「はいっ、もしもし!稲生です!」
 イリーナ:「あっ、ユウタ君、おはよう。どうしたの、そんなに慌てて……」
 稲生:「あっ、いや、すいません!お待たせしました……」
 イリーナ:「別にいいのよ。昨夜は大変だったもんねぇ……」

 イリーナ、チラッとマリアを見る。

 マリア:「もうカンベンしてください……」
 イリーナ:「それでね、マリアったらまだお風呂入ってないから、これから行こうと思うんだけど、一緒に行く?」
 稲生:「あ、はい。行きます」

 その時、マリアがイリーナから受話器を奪い取った。

 マリア:「ユウタ!私のブレザー知らない!?」
 稲生:「ブっ、ブレザーですか!?じ、実はお預かりしています」
 マリア:「すぐ返して!」
 稲生:「わっ、分かりました!今、持っていきます!」

 イリーナはその間、稲生がどうして慌てたのか、どうしてすぐに電話に出なかったのかを水晶球で見てみた。

 イリーナ:「あー……若いっていいねぇ……」

[同日08:00.天候:晴 同ホテル]

 今回はマリア達の下着がパクられることは無かった。

 稲生:「ふう……」

 稲生は先に出て待っていたが、女湯から出て来たのはイリーナだけだった。

 稲生:「あっ、先生」
 イリーナ:「マリア、もうすぐ来るよ」
 稲生:「分かりました。このままホテルのレストランで朝食にしようかと思いますが、いいですか?」
 イリーナ:「そうしよう。今度は何でもいいよ」
 稲生:「はい」
 イリーナ:「昨夜は大変だったねぇ……」
 稲生:「そうですね。でもまあ、マリアさんの意外な一面が見れて……何か、良かったです」
 イリーナ:「うんうん、そうだね」

 するとイリーナ、こそっと稲生の耳元に寄る。

 イリーナ:「ユウタ君、マリアの匂いは良かったかい?」
 稲生:「ええっ!?」
 イリーナ:「その人の体臭がいいと思えば、それは体の相性が合うってことだよ」
 稲生:「あの……その……」
 イリーナ:「私もそうだけど、マリアもコーカソイドだから、体臭は結構あるんだよね」
 稲生:「はあ……」
 イリーナ:「電話に出れなかったのは、ちょうど『絶頂』にいたからかい?悪かったね。とんでもない時に電話しちゃって」
 稲生:「すいませんでした」
 イリーナ:「いやいや、あなたが謝ることはないよ」
 稲生:「ちゃんとファブリーズしておきましたから」
 イリーナ:「あー、それは余計だったかもね」
 稲生:「えっ?」
 イリーナ:「さっきお風呂でマリアに、『あのブレザーが一晩、ユウタ君という男の子の部屋に預けられていた意味を考えてみましょう』という課題を与えてみたの。そしたらね、『しばらく洗いません』だって」
 稲生:「え……?」
 イリーナ:「そこで稲生君へ、私という先生からの課題。『その答えに対する意味を考えなさい』」
 稲生:「か、課題の提出期限は?」
 イリーナ:「自由よ。むしろ、提出してもしなくても構わない。いや、むしろ提出先は私じゃなくてマリアの方がいいかな?ま、とにかく課題に対する答えを出したという所をいつの日か見せてくれればいいわ」
 稲生:「わ、分かりました」

 すると、そこへようやくマリアがやってきた。

 マリア:「遅くなりました」
 イリーナ:「はいよ。それじゃ、今度は朝食と行こうかね」

 イリーナは相変わらずの調子で向かい、後に続く2人の弟子は何となくぎこちなかった。
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短いながらも雑感です。

2017-05-27 10:37:25 | 日記
 “フェイク”が大石寺で行われている夏期講習会のことを、「実りの無いもの」と叩いていたが、やはり衰退しているのか。
 私の場合、法道院に所属してから1度も参加したことが無い。
 平日の部が無かったから、参加しにくかったというのもあるしね。

 因みに今研修中の新しい職場は、前職場(法道院で信心していた時)よりも土日の休みが比較的取りやすくなっているというのが痛烈な皮肉だ。
 辞めてから1年も経たないうちに信心しやすい環境に異動となるとは!

 河童さんの“業務日誌de功徳〜(笑)”もお腹一杯だけど、破折ばかりで自分の功徳もブログや掲示板で語れない法華講員もイタいような気がする。

「いやいや、日々無病息災・家内安全などが功徳です」

 と、辛うじて反論する人もいるだろうけど、これってつまり、

「私の警備会社と契約して頂ければ、毎日安全・安心を御提供します!」

 と、言ったところで、

「それだけなら、他の警備会社と同じじゃん」

 と、言われるのと同じことなのである。
 他の警備会社と違う所、つまり何かのプラスαを営業しないと契約して頂けない時代だ。
 毎日が無病息災・家内安全だけなら、他の宗教と同じだ。
 もし日蓮正宗や顕正会に入信して欲しかったら、他の宗教と違うプラスαを語らなくてはならない。
 ただ単に、「うちだけが正しい」だけではダメなんだよ。
 正しい理由が御書を出して難しい古文をひけらかしたリ、代表者の指導を出したりしているけど、それだけでは納得できない。
 私の場合、手っ取り早いのが功徳の内容(それも他人のではなく、自分の)だと思ってはいるのだが、それだけでもまだ弱い部分はある。
 他の宗派でもやっていたりするからね。

 じゃあ、どうしろというのか。

 私はもうただ単に、これから所属してもらう支部(顕正会の場合は隊など)が如何に楽しい所かをアピールするのが良いと思う。
 もちろん、これだって他の宗派でもそうだよと言われればそれまでなのだが、しかしどうだろう?
 私はその部分が日蓮正宗や顕正会には欠けているような気がしてしょうがないのだ。

 んっ?さんに聞いてみたいんだけど、創価学会ではそういった点は恐らく大丈夫じゃないかなと。
 創価学会は創価学会で、それなりに一見して信心とは関係ないようなイベントを結構行っているような気がするのだが……。
 でも、それが無駄だとは思わない。
 それがきっかけで日蓮正宗の場合は所属寺院、顕正会なら所属組織の拠点となっている会館に足が運ぶようになればそれで良いではないか。
 ところが、どういうわけだか、それが無駄なことと斬り捨てる人達が多いんだよね。
 結局、そういう人達と揉めたのも辞めようと思ったきっかけでもあるのだが。

 楽しいイベントをやることって、そんなに無駄なことかい?

 「無駄なことだ!そんなヒマがあったら折伏しろ!誓願に間に合わんぞ!」

 と反論されるなら、やっぱり私には合わない宗派だったということになる。
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