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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

夢日記 20200531

2020-05-31 23:43:10 | 日記
 今日は久しぶりの公休だったので、昼近くまで寝ていたのだが、疲れていると逆に眠りが浅くなるものだ。
 そして、そういう時だからこそ夢を見る事が多々ある。
 聞いた話、夢日記を付けると不吉な目に遭うという。
 私が日蓮正宗の信徒でなければそれを真に受けて黙っているところだが、なまじっか特定の宗教に入って信仰していると、その点怖いもの知らずになってしまう。
 ある意味、これも洗脳なのかもしれないね。
 ま、良い意味だと捉えることにするよ。
 で、夢の内容なのだが、これまた信心絡み。

 まだ私がさいたま市に住んでいた時、大宮駅西口で顕正会婦人部員とやり合ったことがある。
 もっとも、実際にやり合ったのはトチロ~さんの方で、これはトチロ~さんも自身のツイッターにアップされている。
 この婦人部員が夢に出て来た。
 場所は何故か大宮駅またはその近辺ではなく、東武東上線のときわ台駅前。
 これは顕正会東京会館の最寄り駅であり、かつてそこは本部会館であった所でもある。
 で、どういうわけだかその婦人部員、JK2人も連れて来ていた。
 日蓮正宗や創価学会の関係者なら首を傾げる組み合わせだが、顕正会では珍しいことではない。
 例えJKでも紹介者が婦人部員であれば、婦人部に所属することになるのである(が、最近はもしかしたらその後で女子部に引き継ぎとかはされるのかもしれない。少なくとも男子部はそう)。
 恐らくJKが出たのは、ただ単に私の性欲だと思う。
 今月は残業職人をやることになり、なかなかヌく暇と体力と気力が残されていなかったからである。
 で、夢の中の私の対応はどうかというと……逃走した。
 恐らく、3対1で勝てないとでも判断したのだろう。
 別に殴り合いのケンカをするわけでもないのにね。
 間一髪、駅前のタクシーに飛び乗って逃走には成功した。
 ま、申し訳ないが夢の中でさえこの体たらくなのだ。
 現実でも、法論は(少なくとも私1人では)カンベンしてもらいたいね。

 で、夢はまだ覚めてはいない。
 次に場面が代わり、今度はどこかの会議室。
 喫茶室ルノワール辺りの貸会議室か?
 夢の中なので、こういう所は曖昧だ。
 今度の相手は、かつて顕正会に所属していた時にお世話になった上長達。
 結局法論する羽目になったのかというと、そうでもない。
 何故か私のブログの話になり、そこで出た内容が……。

 上長A:「雲羽君(夢の中では私の本名)の作品では、日本人女性が殆ど出て来ないんだけど、何で?」
 雲羽:「外国人女性の方が扱いやすいからです。というか、日本人女性は私の作品で扱いにくい」
 上長B:「しかも更に白人ばっかりだ。どうして?」
 雲羽:「ポルノ女優をモデルにすると、どうしても白人が多いからですよ。条件は作者の私でも分かる英語圏の国ですから」
 上長A:「キリスト教をやり玉に挙げているのは折伏のつもり?」
 雲羽:「そう捉えて頂いても結構です。が、魔女狩りは殆どフィクションですよ。遠巻きに、『人種差別主義の諸悪の根源である』ことを書いているんですけど」
 上長B:「というと?」
 雲羽:「キリスト教を破折したことがある人なら分かりますよ。白人たるマリアが日本人である稲生勇太に惚れたのは、『キリスト教の信仰を捨て、つまりその差別主義の呪縛から解放された』ことを意味しているんですけど、誰も気づいてくれない」
 上長A:「分かるかーい!」

 という所で目が覚めた。
 目が覚めた後で、しばらく笑いが止まりませんでしたな。
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“大魔道師の弟子” 「サウスエンド監獄」

2020-05-31 20:06:25 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月8日09:00.アルカディアシティ南端村 魔界稲荷神社→サウスエンド監獄 視点:稲生勇太]

 南端村で戦いの準備を整えた稲生達は、再び魔界稲荷神社へと戻った。
 といっても、階段を上った先ではなく、その下で威吹は待っていた。

 威吹:「準備はできたかい?」
 稲生:「うん」
 威吹:「ここから監獄まではそんなに遠くない。この道を進んで林の中に入ると、隧道がある。それを潜った先に監獄はある」
 マリア:「話だけ聞くと、随分近いように聞こえるけど?」
 威吹:「この社自体、村の端にあるからな。そういうことだよ」

 それでは尚更、中世の騎士風の亡霊を警戒するわけだ。

 威吹:「こいつを代わりに連れて行ってくれ」

 威吹が紹介したのは今朝方、稲生の勤行を聞いてしまい、吐き気を催した妖狐の少年であった。
 見た目には15歳程度に見える。
 銀髪を肩の所で切っており、くせ毛になっている。
 緑色の着物に焦げ茶色の袴を穿いており、一振りの刀を差していた。

 威吹:「こいつは茶取。多少先走る所はあるが、剣の腕前自体は坂吹に次ぐものだと思っている」
 茶取:「茶取です。今日はよろしくお願いします」
 稲生:「稲生勇太です。よろしく」
 マリア:「マリアンナ・ベルフェゴール・スカーレット。よろしく」
 威吹:「監獄の入口までは茶取が詳しい。監獄の中に入らずとも、その周りからして既に怪しい気配が漂っている。絶対に油断しないでくれよ」
 稲生:「分かった」

 3人はサウスエンド監獄に向かった。
 既に空は今にも降り出してきそうなほどに、厚い雲が掛かっていた。

[同日09:30.南端村・林の中→隧道 視点:稲生勇太]

 林という割には随分と鬱蒼なものだった。

 マリア:「道は続いてるから分かるけど、そうでなきゃ魔の森みたいだ」
 茶取:「何の何の。起伏が無いだけマシですよ」

 茶取は軽い足取りで先導する。
 どうやら歩き慣れているようだ。
 一本道かと思いきや、途中で道が分岐している。

 茶取:「こっちです、こっち」

 茶取、迷わず右の道を進む。

 稲生:「そっちの道は?」
 茶取:「そっちは妖狐の里に通じるトンネルがあります」
 稲生:「妖狐の里って、こっちにあったの!」
 茶取:「魔界ではなく、魔境です。里の者はアルカディアシティのことを魔京と呼びます」
 稲生:「魔京か。得てして妙だ」
 マリア:「日本語は難しい……」

 右の道を進んでしばらく進むと、素掘りのトンネルが現れた。

 稲生:「屋敷の入口のトンネルでさえレンガ造りなのに、こっちは素掘りか……」

 中は真っ暗である。

 茶取:「明かりならあります」

 茶取は右手から狐火を出した。
 青白い鬼火である。
 マグネシウムを燃やしたかのように明るい。

 茶取:「行けっ」

 茶取が狐火を飛ばす。
 狐火は真っ暗な隧道の中を照らした。
 隧道は意外と長い。
 そして、途中から鉄道の線路が現れた。

 稲生:「何だろう、これ?」
 マリア:「トロッコでも通ってたのか?」
 茶取:「位置的には……このトンネルの向こうに鉄道の操車場があります。一説によると、監獄へ収監する囚人列車が走っていたことがあるとのことです」
 稲生:「これ、鉄道のトンネルだったのか!」
 マリア:「恐らく、アウシュビッツ強制収容所への収監者を送った列車のようなものだろう」
 稲生:「徹底してたんだなぁ……」

 そこを抜けると、風景が一変した。
 マリアが表現したアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所は平地の上に建っているが、こちらは岩山に沿うように建っていた。
 そして、監獄へは鉄橋を渡った先にあった。

 稲生:「だ、大丈夫かな?崩れたりしないよね?」
 マリア:「1つ思ったんだけど……」
 稲生:「何ですか?」
 マリア:「その橋と、後ろのトンネル崩落させれば、亡霊も来れないんじゃない?」
 茶取:「亡霊じゃなく、ただの魔物であればそうしてましたよ。だけど、ボク達は亡霊ではありませんが、ボク達でさえそんなことされた所で突破できる自信があります。多分、労力の無駄なだけじゃないかと」
 マリア:「あ、そう」

 マリアは年下の少年に面と向かって反論されたことで、少しイラッと来た。

 稲生:「ま、まあ、とにかく橋を渡ろう」

 稲生が一歩足を踏み出した時だった。

 ゴブリンA:「グヘヘヘヘ……」
 ゴブリンB:「ココヲ通リタカッタラ、ミグルミ置イテケ!」
 ゴブリンC:「ミグルミ!ミグルミ!」
 マリア:「ったく。6番街のアホ盗賊団みたいなこと言いやがって……」

 マリアと稲生は魔法の杖を構えた。
 茶取はスラッと日本刀を抜いた。
 これには妖気が帯びている。

 茶取:「でやーっ!」

 茶取、大きく踏み込んでゴブリンAの首に刀を突き刺し、貫通させた。

 ゴブリンA:「グェッ……!」
 稲生:「強い!」
 マリア:「Fi la!」

 マリアも負けじと杖から炎を出してゴブリン達を焼き払う。
 稲生も見習いの弱い魔法とはいえ、爆発系の攻撃魔法を杖から放ってゴブリン達を倒した。

 稲生:「よし、倒した!」
 マリア:「次もこの調子!」
 茶取:「余裕です」

 因みにドロップアイテムを探すのは戦士ならでは。

 茶取:「ポーションとエーテルを持ってました」
 稲生:「はは、了解」

 そして3人は橋を渡った。
 こんな鉄道橋でも整備はしなくてはならなかっただろうから、ちゃんと作業員用の通路が確保されていた。
 だが、廃止されてからは全く整備されなくなった為か、所々朽ちている。

 マリア:「帰りは師匠に迎えに来てもらった方がいいかもなぁ……」
 稲生:「『行きは良い良い、帰りは恐い』って言いますからね」
 茶取:「『通りゃんせ』ですか。川越の三芳野神社のことらしいですね」
 稲生:「それも1つの説だね。何か、色んな説があるんだって」

 気になるのが、『歌詞の「行きはよいよい 帰りはこわい」が、被差別への一本道を意味しているとする説があるため、東京では放送できるが大阪では放送できず排除される形となっている』(ウィキペディアより)とのことだ。
 東日本の人間が触れてはいけない何かが、そこにはあるようである。

 稲生:「コンクリート造りの、いかにも収容所って感じだな」

 鉄橋を渡り切ると、線路は重厚な正門へと続いていた。
 だが、肝心の門扉は硬く閉ざされており、ビクともしなかった。
 高さも10メートルはあり、とても飛び越えられそうにない。

 稲生:「別の入口を探しましょう。この収容所も老朽化していますから、仮に閉まっていても、こじ開けられるドアとかあるかもしれません」
 マリア:「そうだな」
 茶取:「搬入口とか、職員通用口とかを探してみますか」
 稲生:「それはいいかもね」
 マリア:「最悪、どこか穴でも開ければいいさ」

 マリアは気軽に言い放った。
 恐らく、この監獄は魔道士は収監していなかったのかもしれない。
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“大魔道師の弟子” 「威吹の依頼」

2020-05-31 11:39:29 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月8日07:00.アルカディアシティ南端村 魔界稲荷神社 視点:マリアンナ・ベルフェゴール・スカーレット]

 マリア:「師匠、朝ですよ。起きてください」
 イリーナ:「うーん……あと5分」
 マリア:「シルバーフォックス達に食い殺されても知りませんよ」

 マリアは起き上がった。
 寝巻に浴衣が貸し出されたがそれは着ず、緑色のTシャツと黒いショートパンツで寝た。
 イリーナは浴衣のサイズが合わなかった為、ランジェリーのまま寝ている。

 マリア:「今日は曇りか……」
 イリーナ:「もしかしたら、雨が降るかもね……」
 マリア:「喋れるのなら起きてください。ほら、あんた達」

 マリアはミク人形とハク人形を人間形態に変えると、イリーナを起こさせた。
 まるで老人介護だ。

 イリーナ:「このまま着替えさせて」
 マリア:「自分で着替えてください!見た目はカントクの年齢とそんなに変わらないんですから!」

 マリアは客間を出ると、洗面所に向かった。

 マリア:「全く。朝から……」

 隣の客間を覗くと、稲生は既に起きており、畳の上に正座して勤行をやっていた。

 妖狐:「うっぷ……!」

 その時、近くにいた妖狐の1人が吐き気を堪えているのが分かった。

 マリア:「Hey,what’s wrong?Are you ok?」
 妖狐:「え、えーと……」

 マリアは自動通訳魔法具を客間に置いてきたことを思い出した。

 マリア:「何カあったノ?」
 妖狐:「あ、あれ……」

 妖狐が指さしたのは稲生を客間。

 マリア:「……Oh!I see.(あー、なるほど)」
 妖狐:「ぼ、ボク失礼します……」
 マリア:「Good bye.(お大事に)」

 ヨロヨロと立ち去る妖狐を見送ると、マリアは笑みをこぼしながら洗面所に向かった。

 マリア:(勇太の読経は破邪の効果があるという。そして、ここにいるのは破邪される側のモンスター達。だからか)

 トイレは客間のある建屋の方は洋式なので助かった。

 威吹:「だから、朝はユタが勤行やってるから近づくなと言っただろう!」

 後で威吹の説教が聞こえて来た。

[同日07:30.威吹の家 視点:稲生勇太]

 稲生:「ええっ、僕の勤行で?そりゃ悪かったね」
 威吹:「いや、いいんだ。ボクの注意を聞かなかった茶取が悪い。……ああ、あいつの名前ね」

 朝食を食べる。
 おかずに白身魚が出て来た。
 やはり魚が多いのだろうか。

 稲生:「これは何の魚だろう?」
 威吹:「ニジマスだよ。裏の川で取れるんだ」
 稲生:「魔界にもニジマスがいるんだ~」
 威吹:「当番で川に入って魚を取るんだ。これは坂吹が入って今朝取ってきた」
 稲生:「へえ!凄いね」

 稲生は威吹と一緒に住んでいた時期が長かったからか、普通に釣り糸を垂らして釣ったものだと想像したが、マリアはまるで妖狐達が熊のように魚を取った姿を想像した。

 威吹:「あいにくと肉の方は店で買わないといけない。それが高くてね」
 稲生:「今度、お中元で肉を送らせてもらうよ」
 威吹:「かたじけない」

 あの弟子達の分まで考えると、牛1頭分で足りるかどうかといったところだが……。
 朝食を食べ終わると、威吹の部屋に移動した。

 威吹:「それで、依頼の方なんだけど……」
 稲生:「いつでもいいよ」
 威吹:「この村の東端に監獄がある。帝政時代に反乱分子をブチ込んでいた所で、今は使われていない」
 イリーナ:「新しい刑務所を魔の森の近くに造ったのよね」
 威吹:「ところがそこに……何だ。『幽霊』が住み着いたらしい」
 マリア:「what’s!?」
 威吹:「いや、ボクも信じられなかったさ。まあ、そこは噂だから、弟子達の何人かを調査に行かせたんだ。そしたら……」
 稲生:「そしたら?」
 威吹:「半死半生で戻って来た」
 稲生:「そうなの!?」
 威吹:「弟子達の話によれば、それまで監獄に侵入した人間達の死体……もう殆ど白骨化しているが、それらも転がっていたらしいんだ。もちろん、監獄にさえ入らなければいいんだろうが、いつ調子に乗って監獄の外に出てくるか分からないからね。今のうちに退治しておいた方がいいと思うんだ」
 稲生:「いいと思うよ」
 マリア:「どんな幽霊だ?」
 威吹:「馬に乗った騎士のような姿らしい。あそこは帝政時代、拷問や処刑も頻繁に行われていた場所らしいから、そういう亡霊が出てもおかしくはないんだが……。馬に乗っているだけに素早く、幽霊なだけに消えては現れ、現れては消えてを繰り返す。だから、普通の攻撃は当たらない。狐妖術で何とかできるような気はしたが、何ぶん弟子達では強い妖術は使えない」
 マリア:「イブキが行けばいいんじゃん」
 威吹:「オレが行くと現れないんだ。卑怯なヤツだよ」
 マリア:「何だそりゃ……」
 威吹:「オレの力を恐れているのなら大丈夫だ。決してユタ達に倒せない相手じゃないはず。そしてヤツはユタ達のことは知らないだろうから、きっと現れる。そこを倒して欲しい」
 マリア:「その幽霊が賞金首なんだな?」
 威吹:「そういうことだ」
 稲生:「馬に乗った中世の騎士の幽霊か。確かに強そうだな」
 マリア:「魔王軍の亡霊ですかね?」
 イリーナ:「かもね。魔王軍の中にもバァルの爺さんのやり方に反発する者とか、或いは作戦上退いただけなのに、敵前逃亡の疑いを掛けられて収監された騎士もいたらしいから、それ関係かもね」
 稲生:「僕達で倒せますかね?」
 イリーナ:「いざとなったら、バァルのクソジジィに責任取ってもらうわ」
 マリア:「気軽に前の魔王をクソジジィ呼ばわりできる師匠も凄いです」

 これもイリーナの師匠がバァルと旧知の仲であり(今ではゴルフ仲間)、イリーナ自身もそのバァル大帝の下で働いていたことがあるからである。

 稲生:「早速準備しましょう」
 威吹:「物が足りないなら、駅前の商店街で調達できるはずだ。準備ができたら教えてくれ」
 イリーナ:「分かったわ。じゃ、行ってらっしゃい」
 威吹:「あ!?」
 イリーナ:「私は採点する側だもの。直接は戦えないわよ」
 威吹:「課題にする気か……」

 呆れる威吹の耳元でイリーナは囁いた。

 イリーナ:「恐らく私はその亡霊の正体を知ってる。あとは、あのコ達がそれに気づいて対処できるかどうかよ」
 威吹:「ほお……。では、イザとなったらアンタに行ってもらおう」
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“大魔道師の弟子” 「魔界稲荷神社 威吹道場」 2

2020-05-30 23:03:53 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 ※突然ですが、この話より「天候」表記は廃止し、代わりにプレイヤーキャラが誰か(誰視点か)を表記することにします。

[5月7日20:00.アルカディアシティ南端村 魔界稲荷神社 視点:稲生勇太]

 夕食を終えた稲生達。
 因みに食事は弟子の妖狐達は道場で食べて、稲生達は威吹達の住まいで食べた。

 威吹:「すまぬな。酒といっても、清酒と焼酎しか持ち合わせが無くてな」
 イリーナ:「別にいいのよ。たまにはSAKEも美味しいものだわ」
 稲生:「僕はあまり飲めないかなぁ……」
 マリア:「私はもっとムリ」

 ワインやウィスキーとアルコール度数は同じでも、日本酒や焼酎だと悪酔いするマリア。
 なので、威吹の酒にまともに付き合えるのはイリーナだけであった。

 威吹:「今、風呂を用意させている故、今暫し待たれよ」
 イリーナ:「ありがとう。威吹君の御弟子さん達はお風呂いいの?」
 威吹:「あいつらには道場の風呂に入ってもらう。共同生活で規律を学ばせるのも重要だよ」
 稲生:「…………」

 威吹の言葉に対し、何か言おうとした稲生はその言葉を飲み込んだ。
 それは威吹は気づいていた。

 威吹:「マリアとユタには食後の茶を出させよう」
 稲生:「申し訳ないね」

 6番街でワインやアルコール度数が比較的高めに作られたカクテルを飲んでも平気なマリアが、日本酒の御猪口一杯だけで顔が赤くなってしまう。
 こんなところで酔い潰れるわけにはいかないと、そこで飲むのをやめたマリア。
 なので今、マリアの顔は赤い。
 自重したおかげで潰れることはなく、意識レベルは起動値を超えている。

 銀髪:「失礼します。お風呂の準備ができました」
 威吹:「うむ。御苦労」
 稲生:「ありがたいけど、威吹達も使うお風呂でしょ?威吹達が先に入ったら……」
 威吹:「ボクは1番後ででいい。それに、さくら達はもう入った」
 稲生:「あ、そうなの」
 威吹:「子供を寝かしつけないといけないので、風呂も早めだ」
 稲生:「大変だなぁ……」

 マリアは部屋の時計を見た。
 ゼンマイ式の柱時計が規則正しく振り子を左右に振っている。

 マリア:(だいたい20時に寝かしつけるのか。フムフム……)
 稲生:「先生方、先に入ってくださいよ」
 イリーナ:「ありがとう。ま、その方が勇太君もマリアの残り湯に浸かれるかしら?」
 稲生:「先生」
 マリア:「師匠!もう酔っ払ったんですか!?……ック」
 イリーナ:「マリアもでしょ?」
 マリア:「SAKEってのは、後から回って来るから苦手なんですよ!」
 イリーナ:「あー、ハイハイ。さっさとお風呂入って寝ましょうね」
 威吹:「心配せずとも、風呂の水は交換してるよ」
 稲生:「え、そうなの!?」
 威吹:「この辺りは水が豊富なもので、どんなに使おうがタダなんだ。強いて言うなら、水道を動かす為のポンプの電気代が掛かるくらいだ」
 稲生:「へえ、そりゃいいな」

 魔界で確かに水不足という話は聞かない。
 恐らく人口が圧倒的に人間界より少ないので、水資源の消費量が少ないのだろう。
 もともとのパイが人間界と同じだとすれば。

 坂吹:「失礼します。お茶をお持ちしました」
 威吹:「御苦労」
 稲生:「ありがとう」

 イリーナとマリアが自分達の客間に戻ると、坂吹が緑茶を持って来た。

 坂吹:「失礼します」

 坂吹が退出した。

 威吹:「さっきはボクに何を言おうとしたの?」
 稲生:「ああ……。規律が守れなくて妖狐の里を追い出されたキミが、今ではそれを指導する側なんてなぁって思ったの」
 威吹:「フフフ、さすがはユタ。お見通しだな」
 稲生:「いや、失礼なことだと思うね。ごめんごめん」
 威吹:「いや、いいんだよ。ユタならそう思って当然だ。ま、ボクなりに反省して指導しているってところかな」
 稲生:「なるほど。本当は明日聞こうと思ってたんだけど、僕達への頼み事って何なの?」
 威吹:「ボク達も入れて25人の大所帯では、ちょっと生活が苦しくなってきてね。里の方から援助はあるんだが、何しろさくらが3人目をもうすぐ産むということで、何かと物入りなんだ」
 稲生:「お金か。分かった。僕から先生に頼んで、いくらか融通して……」
 威吹:「いや、そういうことじゃない。資金が云々なら、もう1つ当てがある。だが、一筋縄ではいかない。どうかそこの所、ユタ達の助力をお願いしたいというわけなんだ」
 稲生:「僕達にできることなら任せてよ」
 威吹:「ありがとう。詳細は明日話すが、要は賞金稼ぎに行ってもらいたいってことさ。それも、できればボクの弟子も一緒に連れて行ってもらってね」
 稲生:「威吹は来ないの?」
 威吹:「申し訳ないが、ボクはボクで別に金策に走らなくてはならない。ボクの金策と、ユタ達が賞金を稼いでくれれば、しばらくは安泰なんだ。要は、里からの援助が取り付くまでの間ね」
 稲生:「分かった。そういうことなら任せてよ」
 威吹:「かたじけない。しかしユタは承諾してくれたが、あの2人は承諾してくれるだろうか?」
 稲生:「マリアは反対しそうだけど、イリーナ先生が首を縦に振れば大丈夫だよ。ボク達はイリーナ先生からの課題を達成する為に魔界に来たんだからね。威吹の協力依頼が課題だっていうんなら、マリアも反対できないさ」
 威吹:「それは頼もしい。……っていうか、ユタ」
 稲生:「ん?」
 威吹:「いつの間にか、先輩魔女を呼び捨てにできるようになったんだね」
 稲生:「先生や他の人達がいる前では、『後輩』だよ」
 威吹:「それが2人きりの時とかは『恋人』……いや、『旦那』か?」
 稲生:「まだ結婚してないよ」
 威吹:「だが、もう『契り』は交わしたようだな。匂いで分かるぞ」
 稲生:「そ、そうなの!?」
 威吹:「ああ。(カマかけてみただけなんだが、どうやら当たりのようだ)」
 稲生:「あ、あの、話は変わるけど、賞金稼ぎの内容は?」
 威吹:「6番街と似たようなことをしてくれればいい。正義の味方として、ちょっと悪を懲らしめる的な」
 稲生:「そうなのか」

 その後、イリーナとマリアは風呂から出た。
 稲生は1人で入るつもりだったが、威吹も一緒に入って来た。
 男同士、裸で将来を語り合ったのだが、別に変な意味ではないので悪しからず。
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“大魔道師の弟子” 「魔界稲荷神社 威吹道場」

2020-05-29 21:03:54 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月7日18:00.天候:晴 アルカディアシティ南端村 魔界稲荷神社]

 魔界に稲荷神社なんて、物凄く不自然かもしれない。
 しかし、そこが日本人街たる所以でもある。
 妖狐は稲荷大明神の使いの狐という顔もあり、もちろん全員がそれというわけではないが、妖狐の威吹と巫女(当時)のさくらが住むには思いっ切りマッチした場所であった。
 現在は地元民の手により、境内の拡幅と建物の改修、増改築が行われている。
 さくらも神職ではない巫女から、禰宜になっている。

 銀髪:「稲生殿方、お疲れさまです!先生が待ちきれずに、まもなくやってきますよ」
 威吹:「ユターっ!!」

 鳥居の向こうから見覚えのある妖狐がバタバタと走って来た。

 稲生:「威吹……!」

 危うく飛び掛かって来られるところだったので、マリアが魔法の杖を構えたくらいだ。

 威吹:「久しぶりだね!何年ぶりかな!?」
 稲生:「いや、まだそんなに経っていないと思うけど……」

 威吹の歓喜の声に、周囲の弟子達はざわつく。

 銀髪:「あの厳しい先生が……」
 茶髪:「マジか……」
 妖狐A:「あの人間、何者だ?」
 妖狐B:「あれが先生のかつての“獲物”……」
 威吹:「さあさあ、中に入ってくれ!」
 稲生:「マリアさんとイリーナ先生もいいかい?」
 威吹:「う……正直ボクは気が乗らないが……」
 マリア:「何でだよ!」
 イリーナ:「もちろん、タダで泊めてとは言わないよ。ちゃんと宿代は物納で払うわ」

 イリーナは魔法を杖を取り出し、ダンテの呪文を唱えた。
 そして、空中から宝箱が何個か出てくる。

 イリーナ:「はい、どうぞ」
 威吹:「これは……缶詰とレトルト食品、そして保存用の水……って、もしかして非常用備蓄品か!?」
 イリーナ:「当ったりー!」
 銀髪:「先生、何ですか?この乾パンって?」
 茶髪:「こんな固い物が食えるのか?」

 茶髪は缶詰に牙を立てた。

 威吹:「それは中身を食うんだ。……ま、ボクもボンカレーと牛肉大和煮の缶詰は美味いと思う」
 稲生:「あ、今気づいた。牛丼と豚丼の缶詰も入ってた。さすが藤谷班長」
 威吹:「ああ。あいつの差し金か」
 稲生:「藤谷班長がお土産に持たせくれたんだ。これ全部あげるから、これでマリアさんとイリーナ先生も歓迎してくれるかな?」
 威吹:「うーむ……ユタの頼みとあらば断れないな。分かった。おい、お前達。せっかくユタ達を案内したんだ。ついでに客間をもう1つ用意して来い」
 銀髪:「分かりました!」
 茶髪:「行ってきます!」

 銀髪と茶髪は急いで建物の中に入った。

 威吹:「客間の準備が整うまで、ボクの部屋で話そうか」
 稲生:「悪いね」

 稲生達は建物の中に入った。

 イリーナ:「おっと、そうだ。靴を脱がないと」
 マリア:「勇太の家と同じですよ」

 玄関で靴を脱いで中に入る。

 さくら:「稲生様方、お久しぶりでございます」

 着物姿のさくらが出迎えた。
 威吹の人間の妻で、かつては巫女、今はこの神社の禰宜である。
 そして、さくらのお腹が大きい。

 イリーナ:「何人目でいらっしゃいますの?」
 さくら:「3人目なんですよ。お恥ずかしい……」
 マリア:「何で魔界の連中は多産なんだ?」
 さくら:「は?」
 マリア:「な、何でも無い!」
 イリーナ:「マリア。途上国は多産でしょ?アルカディアもそうだということよ」
 マリア:「な、なるほど」
 稲生:「威織君と?」
 さくら:「神楽です。長女です」
 イリーナ:「なるほど。もし良かったら、そのお腹の中の子が男の子か女の子か占いましょうか?その方が準備も先にできると思いいますよ」
 さくら:「大丈夫です。もう既に2人産んでますから」
 イリーナ:「ああ、これは失礼」
 威吹:「さくらは無理せず休んでろよ。あとはオレ達でやるから」
 稲生:「オレ達って、威吹、料理できたっけ?」
 威吹:「いや、ボクの弟子達が作ってくれてる」
 稲生:「あらま!」
 威吹:「道場に寝泊まりしてるんだ。ボクやさくら付きの当番以外はね。因みに今日の当番は、客間の準備をしているあいつらさ」
 稲生:「そうだったのか」
 威吹:「坂吹、坂吹はいるか?」
 坂吹:「はっ、ここに」
 稲生:「坂吹君、久しぶりだね」
 坂吹:「御無沙汰してます」
 威吹:「ユタ達が土産の食料を大量に持って来てくれた。至急、中に運び込め」
 坂吹:「さすがは先生の元“獲物”。我が道場の食料事情を察して頂けるとは……」
 稲生:「えっ?」
 威吹:「シッ、黙ってろ!……いや、何でもないんだ、ユタ。あと誰か、このお客人にお茶を用意しろ」

 威吹の部屋に通される。
 畳敷きの8畳間である。
 巻物や本が収められた本棚が多くあるところを見ると、書斎のようなものだろう。
 座布団が敷かれ、テーブルを挟んで向かい合わせに座った。
 すぐに緑茶が運ばれてくる。

 威吹:「今日はどのような用件で魔界に?」
 稲生:「クエストの達成。つまり、課題をこなす為にね」

 稲生は6番街であったことを手短に話した。

 威吹:「そうだったのか。活躍したんだね。ていうか、6番街の代官が捕まった話は僕も聞いてる」
 稲生:「ニュースになっただろうからね」
 イリーナ:「それでね、威吹君にお願いがあるのよ」
 威吹:「それは奇遇だな。オレも6番街で活躍したユタにお願いをしようとしたところだ」
 イリーナ:「どうやら利害が一致しそうね。私はこのコ達に世の為、人の為の活躍をさせることで課題の採点をしたいのよ」
 威吹:「人間界でそれはできないのか?」
 イリーナ:「ダメ。人間界は事情が複雑過ぎて」
 威吹:「なるほど」
 稲生:「何か困り事でもあるのかい?」
 威吹:「こういう所に住んでいると、町の住民から色々な話は聞く。特にさくらは人の話を聞くのが上手だから、ちょっとした『お悩み相談室』みたいになってるんだ、ここ」
 稲生:「それはいいことだ」
 威吹:「今日の所はゆっくり休んでくれ。話は明日にしよう」
 イリーナ:「よろしく頼むわ。きっと色々役に立てると思うわよ」
 威吹:「期待している」

 と、そこへ、あの銀髪と茶髪が入って来た。

 銀髪:「失礼します。客間の準備が整いました」
 威吹:「御苦労。すぐに案内してあげてくれ」
 茶髪:「はい!では皆さん、どうぞこちらへ」
 威吹:「まもなく夕食が出来上がる。今夜は僕達と食べよう」
 稲生:「ええ?せっかく家族を持ったんだから、そっちの団欒を優先していいよ?」
 威吹:「今夜くらい、さくらも許してくれるさ。久しぶりの再会だし、手土産も頂戴したからにはな」
 稲生:(大量とはいえ、あんな非常食の余りでこんなに喜んでくれるなんて。やっぱり何か困ってるんだろうな)

 稲生はその辺、察知した。
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