報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「羽田空港で前泊」 2

2024-08-17 11:45:29 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月7日20時15分 天候:雨 東京都大田区羽田空港 羽田空港第1ターミナル・ファーストキャビン]

 大浴場から出た私と高橋は、男女共用ラウンジに移動した。
 自販機コーナーで、風呂上がりの飲み物を購入する。
 ラウンジにはテレビも点いている。

 愛原「あー、やっぱり食べ物の自販機があるな。ここで食べて行ってもいいかな」
 高橋「おにぎりとカロリーメイトだけじゃ、腹空かないっスか?」
 愛原「そこはリサのネタを使う。あくまでも、腹が減らない程度の対策だよ」
 高橋「空弁っスか」
 愛原「リサほどガッツリ食うつもりは無いが、道中腹が減っては引率できぬだよ」
 高橋「探偵の心得っスね!メモっておきます!!」
 愛原「いや、別に……。あくまで、今回の目的は……」
 ???「引率はただのサブ。メインは我那覇絵恋に会って、斉藤早苗の情報を聞き出すということじゃな?」
 愛原「!?」
 高橋「こ、この声は……!?」
 愛原公一「はーろー」
 愛原学「いや、何が『はーろー』だよ!?」
 公一「ワシからも情報提供に来たに決まっとるじゃろ」
 学「だったら俺じゃなくて、デイライトやBSAAにすればいいじゃん」
 公一「そうもイカン。ワシを拘束しに来るのがオチよ。それに、オマエが情報提供すれば、オマエの手柄になるじゃろう。可愛い甥っ子の為ぢゃよ」
 高橋「ホントかよ~」
 学「まあ、そう信じてあげよう。親戚として」
 公一「すまんな。……あのな、斉藤早苗はもう白井伝三郎ではないぞ」
 学「は!?」
 公一「さすがに、男が女の体を使うことにはおのずと限界があるじゃろうて。それに……早苗のヤツ、白井を取り込む勢いじゃったようじゃ。白井としても、それは困るのじゃろう。ヤツめ、結局は好きな女にフラれてしまったということじゃ」
 学「それは、どこの情報なの?」
 公一「“青いアンブレラ”に決まっとろうがい。何せ、元アンブレラの構成員が結成した組織ぢゃ。情報は早い。ましてや、白井は元日本アンブレラの幹部研究員じゃった男」
 学「それで、斉藤早苗はどうなったの?」
 公一「ん?そっちが気になるのか?まあいい。お前の『自称嫁さん』と同じじゃよ」
 学「リサと?」
 公一「Gウィルスこそ無いものの、特異菌とTウィルス、それにTアビスなど、それまで世界を震撼させたウィルスの集合体と見て良い。普段は人間の姿をしている、な……」
 高橋「ウィルスの数だけ見たら、リサより強そうっスね」
 公一「うむ……。しかも、リサと違って人食いもしているようじゃしなぁ……」
 学「マジか……」
 公一「リサも人食いさせれば、強くなるぞ?」
 学「いや、それはダメだよ」
 公一「ハハ、言うと思った。ならば、人肉無しに強くする方法が必要じゃな」
 学「BSAAに任せればいいんじゃ?」
 公一「そのBSAA、欧州本部では内紛が起きているという噂じゃ。イザという時は、頼らん方がいい。頼るなら、まだ“青いアンブレラ”のクリスじゃろう」
 高橋「クリス・レッドフィールド。伝説の男……」
 学「あの人もBSAAなんじゃ?」
 公一「内紛に嫌気が差して、今では“青いアンブレラ”の協力者じゃよ。イザとなったら、こちらを頼るのじゃ。連絡先なら、分かるじゃろう?」
 学「高野君……」
 高橋「アネゴ……」
 公一「とにかく、リサを強くするというのも現実的じゃな。修学旅行が終わって、時間があるようなら、ここを訪ねてみると良い」

 伯父さんは、とある名刺を差し出した。
 それは、東北地方にある酒造メーカーの名前だった。
 このメーカーには、見覚えがある。
 “鬼ころし”を製造しているメーカーだ。
 “鬼ころし”は、それ自体が商標登録されていない為、全国的に多くのメーカーが製造している。
 だいたいが普通酒だったりするのだが、中には吟醸酒並みの高品質を製造するメーカーもある。

 学「なに、これ?」
 公一「知り合いの酒蔵なのじゃが、最近になって、“鬼ころし”の更に上を行く吟醸酒を造ったらしいのじゃ。“鬼ころし”で力が抑えられるのなら、逆に力を付ける酒もあるんじゃないかとな」
 学「そう、上手くいくかね?」
 高橋「鹿児島の“魔王”なんて飲ませたら、強くなるんじゃないスか?」
 学「鹿児島まで行くの!?」
 公一「あれはネーミングが、キリスト教の悪魔としての魔王から取っているので、リサが飲んでも意味が無いじゃろう」
 学「名前は何て言うの?」
 公一「確か、“鬼つよし”とか言ったような……」
 学「あー……なるほど。鬼が強くなりそうな名前だねぇ……」
 公一「ま、時間があって、興味があるのなら、行ってみる価値があるじゃろう。実家に帰りがてら、寄ってみるのはどうぢゃ?」
 学「まあ、ねぇ……。でも、ゴールデンウィークが終わってからの連休って、もう夏休みに入っちゃうからね」
 公一「まあ、状況を見て行くことぢゃな。敵は待ってくれんぞ」
 学「分かったよ。参考にさせて頂く」

 私は名刺を名刺入れにしまった。
 自分用のではなく、顧客などから頂く用の方である。

 公一「うむ。それじゃ、話はこんな所で良いかな」

 公一は席を立った。

 学「ん?泊まらないの?」
 公一「こう見えてもワシは、BSAAやデイライトから追われてる身。……まあ、今更BSAAはともかく、デイライトのお役人達がちと厄介なものでな。ワシは電車があるうちに移動させてもらうよ」
 学「電車移動なの!?」
 公一「あー!見送りなどはいらんぞ!オマエ達の動きも、GPSで監視されとるからの。それじゃ、気をつけて沖縄に行くのじゃぞ」
 学「あ……うん」
 高橋「お、お疲れ様っス!」

 公一伯父さんはそう言って、フロントの方に向かって行った。
 デイユース利用だったのだろうか?
 ……一応、善場係長からの依頼である為、伯父さんの姿が見えなくなってから、善場係長にはメールしておいた。
 係長的には、もうその場で拘束して引き渡して欲しいのだろうが、さすがに親族を裏切るわけにはなぁ……。
 係長もそれは斟酌してくれているので、言葉では注意しても、それ以上私を咎めるようなことはしてこない。
 それに、実は親族は犯人隠避の罪が免除されるのだ。
 裁判官の判断によるらしいのだが、先例主義の日本の司法においては、私だけ例外ということはないだろう。
 今日は日曜日ということもあり、また、係長も伊豆諸島近海のバイオハザード事件で多忙のせいか、すぐに返信が来るようなことはなかった。

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1 コメント

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Unknown (雲羽百三)
2024-08-17 15:18:24
https://x.com/luvsho13/status/1824682782381183157?t=j3Lpuj0EkKonEBj-ZTYp9A&s=19

……愛原には、他にやらなければならないことがあった。
自分を捕えている鬼娘どもの下着の洗濯だ。
鬼のパンツが虎柄は、昭和の感覚らしい。
令和の鬼娘達は、人間の娘と同じパンティを穿くのだと思い知らされた。
そしてこの後は、身から出た錆とはいえ、大量のブルマーの洗濯が待ち受けているのだった。
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