[5月7日20時15分 天候:雨 東京都大田区羽田空港 羽田空港第1ターミナル・ファーストキャビン]
大浴場から出た私と高橋は、男女共用ラウンジに移動した。
自販機コーナーで、風呂上がりの飲み物を購入する。
ラウンジにはテレビも点いている。
愛原「あー、やっぱり食べ物の自販機があるな。ここで食べて行ってもいいかな」
高橋「おにぎりとカロリーメイトだけじゃ、腹空かないっスか?」
愛原「そこはリサのネタを使う。あくまでも、腹が減らない程度の対策だよ」
高橋「空弁っスか」
愛原「リサほどガッツリ食うつもりは無いが、道中腹が減っては引率できぬだよ」
高橋「探偵の心得っスね!メモっておきます!!」
愛原「いや、別に……。あくまで、今回の目的は……」
???「引率はただのサブ。メインは我那覇絵恋に会って、斉藤早苗の情報を聞き出すということじゃな?」
愛原「!?」
高橋「こ、この声は……!?」
愛原公一「はーろー」
愛原学「いや、何が『はーろー』だよ!?」
公一「ワシからも情報提供に来たに決まっとるじゃろ」
学「だったら俺じゃなくて、デイライトやBSAAにすればいいじゃん」
公一「そうもイカン。ワシを拘束しに来るのがオチよ。それに、オマエが情報提供すれば、オマエの手柄になるじゃろう。可愛い甥っ子の為ぢゃよ」
高橋「ホントかよ~」
学「まあ、そう信じてあげよう。親戚として」
公一「すまんな。……あのな、斉藤早苗はもう白井伝三郎ではないぞ」
学「は!?」
公一「さすがに、男が女の体を使うことにはおのずと限界があるじゃろうて。それに……早苗のヤツ、白井を取り込む勢いじゃったようじゃ。白井としても、それは困るのじゃろう。ヤツめ、結局は好きな女にフラれてしまったということじゃ」
学「それは、どこの情報なの?」
公一「“青いアンブレラ”に決まっとろうがい。何せ、元アンブレラの構成員が結成した組織ぢゃ。情報は早い。ましてや、白井は元日本アンブレラの幹部研究員じゃった男」
学「それで、斉藤早苗はどうなったの?」
公一「ん?そっちが気になるのか?まあいい。お前の『自称嫁さん』と同じじゃよ」
学「リサと?」
公一「Gウィルスこそ無いものの、特異菌とTウィルス、それにTアビスなど、それまで世界を震撼させたウィルスの集合体と見て良い。普段は人間の姿をしている、な……」
高橋「ウィルスの数だけ見たら、リサより強そうっスね」
公一「うむ……。しかも、リサと違って人食いもしているようじゃしなぁ……」
学「マジか……」
公一「リサも人食いさせれば、強くなるぞ?」
学「いや、それはダメだよ」
公一「ハハ、言うと思った。ならば、人肉無しに強くする方法が必要じゃな」
学「BSAAに任せればいいんじゃ?」
公一「そのBSAA、欧州本部では内紛が起きているという噂じゃ。イザという時は、頼らん方がいい。頼るなら、まだ“青いアンブレラ”のクリスじゃろう」
高橋「クリス・レッドフィールド。伝説の男……」
学「あの人もBSAAなんじゃ?」
公一「内紛に嫌気が差して、今では“青いアンブレラ”の協力者じゃよ。イザとなったら、こちらを頼るのじゃ。連絡先なら、分かるじゃろう?」
学「高野君……」
高橋「アネゴ……」
公一「とにかく、リサを強くするというのも現実的じゃな。修学旅行が終わって、時間があるようなら、ここを訪ねてみると良い」
伯父さんは、とある名刺を差し出した。
それは、東北地方にある酒造メーカーの名前だった。
このメーカーには、見覚えがある。
“鬼ころし”を製造しているメーカーだ。
“鬼ころし”は、それ自体が商標登録されていない為、全国的に多くのメーカーが製造している。
だいたいが普通酒だったりするのだが、中には吟醸酒並みの高品質を製造するメーカーもある。
学「なに、これ?」
公一「知り合いの酒蔵なのじゃが、最近になって、“鬼ころし”の更に上を行く吟醸酒を造ったらしいのじゃ。“鬼ころし”で力が抑えられるのなら、逆に力を付ける酒もあるんじゃないかとな」
学「そう、上手くいくかね?」
高橋「鹿児島の“魔王”なんて飲ませたら、強くなるんじゃないスか?」
学「鹿児島まで行くの!?」
公一「あれはネーミングが、キリスト教の悪魔としての魔王から取っているので、リサが飲んでも意味が無いじゃろう」
学「名前は何て言うの?」
公一「確か、“鬼つよし”とか言ったような……」
学「あー……なるほど。鬼が強くなりそうな名前だねぇ……」
公一「ま、時間があって、興味があるのなら、行ってみる価値があるじゃろう。実家に帰りがてら、寄ってみるのはどうぢゃ?」
学「まあ、ねぇ……。でも、ゴールデンウィークが終わってからの連休って、もう夏休みに入っちゃうからね」
公一「まあ、状況を見て行くことぢゃな。敵は待ってくれんぞ」
学「分かったよ。参考にさせて頂く」
私は名刺を名刺入れにしまった。
自分用のではなく、顧客などから頂く用の方である。
公一「うむ。それじゃ、話はこんな所で良いかな」
公一は席を立った。
学「ん?泊まらないの?」
公一「こう見えてもワシは、BSAAやデイライトから追われてる身。……まあ、今更BSAAはともかく、デイライトのお役人達がちと厄介なものでな。ワシは電車があるうちに移動させてもらうよ」
学「電車移動なの!?」
公一「あー!見送りなどはいらんぞ!オマエ達の動きも、GPSで監視されとるからの。それじゃ、気をつけて沖縄に行くのじゃぞ」
学「あ……うん」
高橋「お、お疲れ様っス!」
公一伯父さんはそう言って、フロントの方に向かって行った。
デイユース利用だったのだろうか?
……一応、善場係長からの依頼である為、伯父さんの姿が見えなくなってから、善場係長にはメールしておいた。
係長的には、もうその場で拘束して引き渡して欲しいのだろうが、さすがに親族を裏切るわけにはなぁ……。
係長もそれは斟酌してくれているので、言葉では注意しても、それ以上私を咎めるようなことはしてこない。
それに、実は親族は犯人隠避の罪が免除されるのだ。
裁判官の判断によるらしいのだが、先例主義の日本の司法においては、私だけ例外ということはないだろう。
今日は日曜日ということもあり、また、係長も伊豆諸島近海のバイオハザード事件で多忙のせいか、すぐに返信が来るようなことはなかった。
大浴場から出た私と高橋は、男女共用ラウンジに移動した。
自販機コーナーで、風呂上がりの飲み物を購入する。
ラウンジにはテレビも点いている。
愛原「あー、やっぱり食べ物の自販機があるな。ここで食べて行ってもいいかな」
高橋「おにぎりとカロリーメイトだけじゃ、腹空かないっスか?」
愛原「そこはリサのネタを使う。あくまでも、腹が減らない程度の対策だよ」
高橋「空弁っスか」
愛原「リサほどガッツリ食うつもりは無いが、道中腹が減っては引率できぬだよ」
高橋「探偵の心得っスね!メモっておきます!!」
愛原「いや、別に……。あくまで、今回の目的は……」
???「引率はただのサブ。メインは我那覇絵恋に会って、斉藤早苗の情報を聞き出すということじゃな?」
愛原「!?」
高橋「こ、この声は……!?」
愛原公一「はーろー」
愛原学「いや、何が『はーろー』だよ!?」
公一「ワシからも情報提供に来たに決まっとるじゃろ」
学「だったら俺じゃなくて、デイライトやBSAAにすればいいじゃん」
公一「そうもイカン。ワシを拘束しに来るのがオチよ。それに、オマエが情報提供すれば、オマエの手柄になるじゃろう。可愛い甥っ子の為ぢゃよ」
高橋「ホントかよ~」
学「まあ、そう信じてあげよう。親戚として」
公一「すまんな。……あのな、斉藤早苗はもう白井伝三郎ではないぞ」
学「は!?」
公一「さすがに、男が女の体を使うことにはおのずと限界があるじゃろうて。それに……早苗のヤツ、白井を取り込む勢いじゃったようじゃ。白井としても、それは困るのじゃろう。ヤツめ、結局は好きな女にフラれてしまったということじゃ」
学「それは、どこの情報なの?」
公一「“青いアンブレラ”に決まっとろうがい。何せ、元アンブレラの構成員が結成した組織ぢゃ。情報は早い。ましてや、白井は元日本アンブレラの幹部研究員じゃった男」
学「それで、斉藤早苗はどうなったの?」
公一「ん?そっちが気になるのか?まあいい。お前の『自称嫁さん』と同じじゃよ」
学「リサと?」
公一「Gウィルスこそ無いものの、特異菌とTウィルス、それにTアビスなど、それまで世界を震撼させたウィルスの集合体と見て良い。普段は人間の姿をしている、な……」
高橋「ウィルスの数だけ見たら、リサより強そうっスね」
公一「うむ……。しかも、リサと違って人食いもしているようじゃしなぁ……」
学「マジか……」
公一「リサも人食いさせれば、強くなるぞ?」
学「いや、それはダメだよ」
公一「ハハ、言うと思った。ならば、人肉無しに強くする方法が必要じゃな」
学「BSAAに任せればいいんじゃ?」
公一「そのBSAA、欧州本部では内紛が起きているという噂じゃ。イザという時は、頼らん方がいい。頼るなら、まだ“青いアンブレラ”のクリスじゃろう」
高橋「クリス・レッドフィールド。伝説の男……」
学「あの人もBSAAなんじゃ?」
公一「内紛に嫌気が差して、今では“青いアンブレラ”の協力者じゃよ。イザとなったら、こちらを頼るのじゃ。連絡先なら、分かるじゃろう?」
学「高野君……」
高橋「アネゴ……」
公一「とにかく、リサを強くするというのも現実的じゃな。修学旅行が終わって、時間があるようなら、ここを訪ねてみると良い」
伯父さんは、とある名刺を差し出した。
それは、東北地方にある酒造メーカーの名前だった。
このメーカーには、見覚えがある。
“鬼ころし”を製造しているメーカーだ。
“鬼ころし”は、それ自体が商標登録されていない為、全国的に多くのメーカーが製造している。
だいたいが普通酒だったりするのだが、中には吟醸酒並みの高品質を製造するメーカーもある。
学「なに、これ?」
公一「知り合いの酒蔵なのじゃが、最近になって、“鬼ころし”の更に上を行く吟醸酒を造ったらしいのじゃ。“鬼ころし”で力が抑えられるのなら、逆に力を付ける酒もあるんじゃないかとな」
学「そう、上手くいくかね?」
高橋「鹿児島の“魔王”なんて飲ませたら、強くなるんじゃないスか?」
学「鹿児島まで行くの!?」
公一「あれはネーミングが、キリスト教の悪魔としての魔王から取っているので、リサが飲んでも意味が無いじゃろう」
学「名前は何て言うの?」
公一「確か、“鬼つよし”とか言ったような……」
学「あー……なるほど。鬼が強くなりそうな名前だねぇ……」
公一「ま、時間があって、興味があるのなら、行ってみる価値があるじゃろう。実家に帰りがてら、寄ってみるのはどうぢゃ?」
学「まあ、ねぇ……。でも、ゴールデンウィークが終わってからの連休って、もう夏休みに入っちゃうからね」
公一「まあ、状況を見て行くことぢゃな。敵は待ってくれんぞ」
学「分かったよ。参考にさせて頂く」
私は名刺を名刺入れにしまった。
自分用のではなく、顧客などから頂く用の方である。
公一「うむ。それじゃ、話はこんな所で良いかな」
公一は席を立った。
学「ん?泊まらないの?」
公一「こう見えてもワシは、BSAAやデイライトから追われてる身。……まあ、今更BSAAはともかく、デイライトのお役人達がちと厄介なものでな。ワシは電車があるうちに移動させてもらうよ」
学「電車移動なの!?」
公一「あー!見送りなどはいらんぞ!オマエ達の動きも、GPSで監視されとるからの。それじゃ、気をつけて沖縄に行くのじゃぞ」
学「あ……うん」
高橋「お、お疲れ様っス!」
公一伯父さんはそう言って、フロントの方に向かって行った。
デイユース利用だったのだろうか?
……一応、善場係長からの依頼である為、伯父さんの姿が見えなくなってから、善場係長にはメールしておいた。
係長的には、もうその場で拘束して引き渡して欲しいのだろうが、さすがに親族を裏切るわけにはなぁ……。
係長もそれは斟酌してくれているので、言葉では注意しても、それ以上私を咎めるようなことはしてこない。
それに、実は親族は犯人隠避の罪が免除されるのだ。
裁判官の判断によるらしいのだが、先例主義の日本の司法においては、私だけ例外ということはないだろう。
今日は日曜日ということもあり、また、係長も伊豆諸島近海のバイオハザード事件で多忙のせいか、すぐに返信が来るようなことはなかった。
……愛原には、他にやらなければならないことがあった。
自分を捕えている鬼娘どもの下着の洗濯だ。
鬼のパンツが虎柄は、昭和の感覚らしい。
令和の鬼娘達は、人間の娘と同じパンティを穿くのだと思い知らされた。
そしてこの後は、身から出た錆とはいえ、大量のブルマーの洗濯が待ち受けているのだった。