報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Sisters” 「北海道紀行」

2017-05-28 19:41:12 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月1日14:00.天候:曇 東京都内某所 某ラジオ局]

 ラジオ局でゴールデンウィークのイベントの告知をするMEGAbyteのメンバー達。

 結月ゆかり:「5月3日から札幌ドームで、『北海道ボーカロイドフェスティバル』が行われます!」
 Lily:「私達、MEGAbyteも参加させて頂きますので、皆さんよろしくお願いします」
 未夢:「楽しいイベントなので、是非来てくださいね〜」
 パーソナリティ:「MEGAbyteの皆さんも参加されるということですが、あえて五大ドームツアーでなく、札幌ドームのみでのイベントにしたのはどうしてなんでしょう?」
 Lily:「初音ミクさんなど、大元の開発メーカーが北海道にあるんです。言わば、北海道はボーカロイド発祥の地でもあるんです。それに因んだそうです」
 パーソナリティ:「そうなんですね。MEGAbyteの皆さんとしては……」

[同日同時刻 天候:曇 ラジオ局の外]

 ラジオ局の外に止まっている1台のクラウン。
 車内のラジオからは、今正にMEGAbyteが出演しているラジオ番組が受信されていた。

 鷲田:「明日から出発なのか?敷島社長」
 敷島:「ええ、そうですよ」

 敷島はリアシートに座って、運転席と助手席に座る鷲田警視と村中課長と話をしていた。

 鷲田:「いい加減、そろそろ無茶ぶりはやめてもらいたいものだね」
 敷島:「私はボーカロイド達の運用責任者としての責務を果たすだけですよ」
 村中:「はははっ!そう言うと聞こえはいいがね」
 鷲田:「ボーカロイドだけではないだろう?社長の秘書さんにも関することではないかね?」
 敷島:「どうですかねぇ……」

 車の外ではエミリーが周囲を警戒していた。

 鷲田:「私としては、まだ金髪の方が話が通じそうでいいと思うんだがね」
 村中:「そうですか?あのクールな人もいいと思いますよ」
 鷲田:「村中君!」
 村中:「おっと、失礼!」
 敷島:「北海道にはエミリーやシンディも連れて行きます」
 鷲田:「ほお?いいのかね?奥さんの方の護衛は……」
 敷島:「アリスは結構強いですし」
 村中:「はははっ!」
 敷島:「それに身の周りの世話の方はメイドロイドがいますし、警備に関してはあいつ自作のマリオとルイージがいます」
 鷲田:「なるほど。人間は信用できんということか」
 敷島:「あいにくと。ロボットをテロに使おうとする人間かいたのは事実です」
 村中:「ま、気持ちは分かる」
 敷島:「何かあったら連絡はしますよ?」
 鷲田:「そうしてもらいたいものだね。何しろ、KR団の首領らしい者をまだ検挙しておらん」
 敷島:「そうですね」

 するとエミリーがこちらを向いた。

 敷島:「すいませんが、そろそろ時間のようです」
 村中:「ああ。余計な時間を取らせて済まなかったね。とにかく、気をつけて」
 敷島:「どうも」
 鷲田:「会社に帰ったら、今回の旅行の行程表と日程表を送ってほしいのだが?」
 敷島:「ええ。ファックスにします?それともメール?」
 村中:「メールで」
 鷲田:「ファックスだ。メールだとどこで流出するか分からん」
 敷島:「分かりました」

 敷島がリアドアを開けた。
 スッと降りてすぐにドアを閉める。
 鷲田達が乗ったシルバーのクラウンは、スーッと都道を走り去って行った。

 エミリー:「社長、大丈夫でしたか?」
 敷島:「ああ。まさか、ここで警視庁の特別捜査班に職質食らうなんてな」
 エミリー:「MEGAbyteのラジオ出演がまもなく終わる予定です」
 敷島:「井辺君に教えてあげよう」

 敷島は自分のスマホを出した。

 敷島:「井辺君に急な別件が入ったもんだから、代わりに俺が来てみたものの、どうやらその必要は無かったみたいだな」
 エミリー:「はい」

[同日17:00.天候:曇 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー]

 敷島:「どうかな?」
 整備士:「はい、特に異常ありません」
 敷島:「よしよし」

 明日に備えてボーカロイド達の整備は怠らない。
 もっとも、平賀が専属整備役として同行してくれることになっている。
 最後の整備をしていたのは、巡音ルカ。

 敷島:「ルカ、どうだ?調子は?」
 ルカ:「あ、はい。特に異常ありません」
 敷島:「明日から、よろしく頼むな?」
 ルカ:「はい、お任せください」

 もっとも、明日は移動だけで、実際はその次の日からである。

 敷島:「ん?」

 ボーカロイドが発声練習(という名の調整)を行う部屋は、ちゃんと防音が施されている。
 それでも鉄扉の外には聞こえるものだ。
 初音ミクの声がした。

 敷島:「この歌は……?」

 敷島は鉄扉のドアを開けた。

 初音ミク:「……騒ぐな海鳥♪波よ♪船を揺らすな〜♪今夜は〜♪ぐーっすりと〜♪寝ぇかせてーおやりよ〜♪今夜は〜♪ぐーっすりと〜♪寝ぇかせてーおやりよ〜♪」

 歌い終わった後で、ミクがハッと後ろを振り向く。

 ミク:「たかお社長!」
 敷島:「調整は上手く行ってるみたいだな」
 ミク:「はい、おかげさまで」
 敷島:「いつ聴いても、お前の歌は素晴らしい」
 ミク:「ありがとうございます」
 敷島:「何度も言うように、お前は兵器じゃない。歌を聴いた人間を幸せにするボーカロイドなんだからな。何も気にせず、持ち歌をきちんと歌えばいい」
 ミク:「はい!」

 敷島は社長室に戻った。

 敷島:「明日1日のことは、矢沢専務にお願いしたし……。あとは大丈夫かな?」
 エミリー:「はい、大丈夫です。……あっ、井辺プロデューサーが戻られたようです」
 敷島:「そうか。井辺君も明日から北海道まで来てくれることになっているからな、ちょっと話をしてこよう」

 敷島は今度は隣の事務室へ向かった。

[5月2日05:32.天候:曇 東京都江東区東雲 TWR東雲駅]

 敷島:「朝早いな。今日は1日、移動だけだ」
 エミリー:「そうですね」

 敷島とエミリーは始発電車を待っていた。

 エミリー:「社長、タクシーで東京駅まで行っても良かったんですよ?」
 敷島:「いや、無駄な金は使いたくない。都営バスの始発が6時半くらいだとは……」

〔まもなく2番線に、電車が到着します。危ないですから、黄色い線までお下がりください〕

 東雲駅は高架駅であるが、屋根の無い場所で待っていると、首都高を走る車の喧騒な音で放送の声が聞こえにくい。

〔2番線の電車は、各駅停車、新木場行きです〕

 りんかい線の車両が入線してくる。

〔しののめ、東雲。2番線は、各駅停車、新木場行きです〕

 まだガラガラの始発電車に乗り込んだ。
 途中駅のせいか、発車メロディが僅か数秒しか鳴らない。

〔2番線から、電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕

 ドアチャイムの音と共にドアが閉まる。
 ガラガラの車内でもエミリーは座席には座らず、敷島の横に立つだけである。
 尚、大きなキャリーケースを持っているが、エミリーにとっては空のダンボール箱のようなものである。

〔「次は新木場、新木場、終点です。JR京葉線、東京メトロ有楽町線はお乗り換えです」〕

 電車はほぼ直線の線路を東へ向かってグングンと進む。
 昇り始めた朝日は雲間から僅かに覗く程度であるものの、けして幸先は悪くないスタートだった。

 敷島:「ボーカロイド達は直接、東京駅に行くんだったな」
 エミリー:「そうです。井辺プロデューサーもです」
 敷島:「うん」
 エミリー:「シンディは大宮駅から、平賀博士は仙台駅から乗られます」
 敷島:「予定通りに行くといいな」
 エミリー:「はい」
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“Gynoid Multitype Sisters” 登場人物登場人物についておさらい 3

2017-05-28 13:56:07 | アンドロイドマスターシリーズ
 1号機のエミリー:

 “アンドロイドマスター”シリーズ初期から登場。
 というか、敷島が1番最初に会ったアンドロイドである。
 製作者は南里志郎。
 赤みとウェーブのあるショートボブの髪型に、ノースリーブのスリットの深いロングスカートの黒いワンピースを着ている。
 マルチタイプのトップナンバーということで、シンディも頭が上がらない相手である。
 マルチタイプの中では唯一、ローテンポのロボット喋り(文節ごとに区切った喋り方)をしていた。
 また、『自分で考えて行動できる』ロイドでありながら、『与えられた命令しかやらない』ロボットであり続けた。
 後にそれは「本当に仕えるべき」人間を見定めるが故の「演技」であったことが判明する。
 敷島が正に「本当に仕えるべきアンドロイドマスター」だと認め、喋り方も滑らかな口調になり、思考も自分で考えて行動するものに切り替える。
 南里の遺言上、オーナー登録を平賀から変えることはできなかったが、ユーザー登録を平賀奈津子から敷島に変えたことで、実質的に希望が叶ったことになった。
 それまでは妹のシンディが敷島の秘書、家ではメイドを務めていたが、今ではエミリーに交替している。
 但し、エミリーが検査や他の用件で離れる場合はシンディに交替してもらっている。
 マルチタイプである為、他のロボット達からの最上位種であり、メイドロイドやバージョンシリーズからは跪かれる側。
 但し、人間に対しては基本的に低姿勢である。
 ボーカロイド達からの信頼も厚い。
 かつてはマシンガン、ショットガン、マグナム、火炎放射器を右手に仕込んでいたが、国家公安委員会の通達により、火炎放射器以外の銃器を取り外された。
 代わりにレーザーガン(光線銃)を仕込んでいる。
 人間とは比べものにならないほどの耐久力と馬力、腕力を持っており、普通自動車くらいなら片手で軽々と持ち上げられるほど。
 マルチタイプの呼び名に相応しく、メイドからテロ対策まで何でもソツなくこなすことができるが、歌だけは歌えない。
 ピアノを弾くのが特技で、南里志郎研究所や東北工科大学の南里志郎記念館に展示されていた時は毎日17時にピアノ演奏をしていた。
 ロボットのフリをしていた頃は、ボーカロイドのMEIKOにバカにされてケンカするほどだったが、ロボットの仮面を脱ぎ捨てて、本当にマルチタイプとしての本性を見せると、MEIKOからケンカを売って来ることはなくなった。
 余談だが彼女らの着ているワンピース自体が鎧のようなものであり、防刃性・防弾性に優れている。
 前期型ボディの初期の頃は、その下に競泳水着のような装甲板を着けていた。
 後に露出が高くなり、今ではその服の下は同じ色のビキニになっている(これもまた防刃性・防弾性に特化した素材で作られている)。
 身長は175cm以上180cm未満である(足のパーツを交換する度に身長が数センチ前後する)、自重は製造当初は200キロくらいあったらしく、ボディブローだけで暗殺が可能だったくらい。
 現在は軽量化がかなり進んで150キロくらいまでになった。
 平賀に言わせると、もう少し更に軽量化が可能とのこと(但し、耐久性との兼ね合いがある)。
 ロボットだった頃は相手が敷島でも必要以上のことは喋らず、スキンシップも自分からはしなかったが、本性を出してからはシンディほど多弁ではないものの、自分から喋るようになり、自慢の巨乳を敷島に押し付けたりするなど積極性が増した。
 そのことを、知らない者に対しては「ソフトウェア変更によるもの」ということにしている。
 尚、平賀によってボディを一新されている為、今現在の状態を「後期型」と呼ぶこともある(「前期型」のデザインをほぼそのまま踏襲したので、見た目は殆ど変わっていない)。
 テーマ曲はロボットだった頃は“人形裁判 〜人の形弄びし少女”だったが、マルチタイプとしての本性を出してからは“パンデモニックプラネット”に変更になった(髪型と髪の色がヘカーティア・ラピスラズリに似ている)。

 マルチタイプ2号機:

 本作品未登場。
 エミリーが長姉なら、こちらは長兄という。
 男兄弟の中ではムードメーカーらしいが、作者のノートの中には姉弟達に対するスキンシップの度が過ぎているらしい。
 エミリーの「姉に・セクハラ・するなと・何度・言ったら・分かる?」と睨まれ、シンディには、「妹にセクハラすんなって何万回言わせんだっ、アニキ!!」と怒鳴れているシーンが書かれている。
 5号機のキール(をモデルにした執事ロイド)が登場した為、登場することは無かった。

 3号機のシンディ:

 “アンドロイドマスター”シリーズの2作目“アンドロイドマスター”より登場。
 服装はエミリーとほぼ一緒だが、エミリーの黒に対して青だった。
 金髪のロングで、向かって右側をサイドテールにしていた。
 前期型と呼ばれる、製作者であるウィリアム・フォレスト博士に付き従っていた頃は残虐なテロ・殺人兵器として稼働していた。
 南里志郎の葬儀の際にはウィリアムに命令されたとはいえ「御祝儀」を持って来て、平賀やエミリーの怒りを買った。
 “東京決戦”の際にはウィリアムのビルに侵入した平賀を追い詰め、ついには手持ちの大型ナイフで刺殺せんとした所まで行く。
 しかしメイドロイドの七海に妨害され、彼女を完膚なきまでに叩きのめした。
 再び平賀の殺害を決行しようとするものの、1番最初にウィリアムの所へ辿り着こうとした敷島がいた為、ウィリアムに呼び戻されて平賀は一命を取り留める。
 こんなことがあったものだから、後に後期型のボディを発見した敷島達によって回収されるものの、平賀などには再稼働を猛反対された。
 尚、前期型は暴走に暴走を重ね、ついにはブチギレながら製作者のウィリアムを惨殺するまでに至る。
 東京決戦終了後は、東京・多摩地区のスクラップ工場にて『死刑執行』された。
 こうして前期型としてのシンディは、完全にこの世から消えることになる。
 後にKR団との戦いの最中に発見した敷島達によって、予備として保管されていた後期型のボディを発見される。
 紆余曲折を経て再稼働を許された彼女だが、前期型の際に犯した罪の贖罪の為に、あえて前期型の記憶をインストールされている。
 後期型は何のウィルスにも汚染されていなかった為、本来の性格通り、多弁で高いコミュニケーション能力を発揮する。
 前期型のイメージを払拭する為、サイドテールから普通のポニーテールに変更した。
 いっそのことショートにするという案もあったが、オーナーであるアリスが反対した為、頓挫した。
 エミリーとは同型の姉妹機である為、性能などばほぼ同じである。
 得意な楽器はフルートなどの金管楽器。
 エミリーよりコミュ力が高い為、人によってはエミリーよりシンディの方が話しやすいらしい。
 姉とは違い、狙撃などの遠距離攻撃が得意な為、ショットガンではなくライフルを右手に仕込んでいたが、こちらも取り外されて光線銃に変わっている。
 テーマ曲は“千年幻想郷 〜History of the Moon”

 マルチタイプ4号機:

 5号機のキール:

 後に十条伝助博士によって製造される執事ロイド・キールのモデルになったマルチタイプ。
 証拠は無いが、実際に5号機のキールの製作者も伝助博士であると思われる。
 2号機の兄機と違ってクールな性格で、広範囲に及ぶ攻撃が得意だったとエミリーやシンディは述懐している。

 マルチタイプ6号機:

 7号機のレイチェル:

 オリジナルタイプは既に爆破破壊されているが、KR団によって復元された。
 1号機、3号機と違ってワンピースではなく、白いプラグスーツのような服を着ていた。
 大学生だった井辺を懐柔して組織のテロ活動の手伝いをさせたり、いくら末の妹とはいえ、諸元表的にはほぼ同じのシンディに苦戦させるほどの実力を見せた。
 体が半分ほど壊れてもまだ稼働できるほどの耐久性を見せていたが、従妹とも言える8号機のアルエットにとどめを刺されてようやく稼働を停止した。
 尚、本来の性格は博愛主義だったようで、年老いた十条達夫の介護をしている時が1番(人の役に立ったという意味で)嬉しかったという。

 8号機のアルエット:

 但し、オリジナルナンバーとしては7号機まで。
 8号機以降は仕様も全く変更されたものとなる。
 マルチタイプの軽量化・小型化を狙い、十条達夫博士に試作されたが、どう見てもロリ化です。本当にありがとうございました。
 見た目は鏡音姉弟のように中学生くらいの少女。
 燃料は水素電池である。
 その為、リチウムバッテリー駆動の他のロイド達と比べて毎日の充電は必要無いものの、水素電池であるが故に廃水が発生し、それをトイレで排水する必要があるという不便さが露呈した。
 エミリーやシンディを水素電池駆動に改造する案もあったが、これのせいで頓挫している。
 アルエット自身はエミリーやシンディを姉として慕い、エミリー達もそれを受け止めて可愛がってはいるが、姉達にとっては実妹というより従妹という感覚であるらしい。
 バージョン400(テロロボット、バージョン4.0の巨大化したもの)に乗って直接操作できたり、仕様変更機とはいえマルチタイプである為、下位機種のバージョン・シリーズに対して命令を出すことができる。
 通常は埼玉のロボット未来科学館に常設展示されている。

 萌:

 唯一の妖精型ロイド。
 名前はシリアルコードのMOE-409から取った。
 KR団最後の女性研究者、吉塚広美に製作された。
 東北地方の山あいにあるKR団最後のアジトに保管されていたが、井辺と一緒に脱出したことで、井辺を1番慕っている。
 羽で自由に空を飛ぶことができる為、科学館では人気者である。
 背中には折り畳み式の薙刀(手術用のメスのようなもの)とキーピックを背負っている。
 体高が30cmほどしか無い為、ダクトなどから侵入が可能であり、KR団としては潜入調査としての用途を目的として試作したものと思われる。
 入浴するのが大好きで、よく洗面台にぬるま湯を張っては入浴している。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“Gynoid Multitype Sisters” 登場人物登場人物についておさらい 2

2017-05-28 11:59:19 | アンドロイドマスターシリーズ
 ボーカロイドについては(株)クリプトン・フューチャー・メディアの公式設定に基づいている。
 当作品ではオリジナルの設定しているボーカロイドのみを紹介する。

 初音ミク:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイド1号機。
 敷島が当初勤務していた大日本電機(株)から急きょ出向先として指定された南里志郎研究所において、初めて出会ったボーカロイド。
 当初は持ち運びの為、体のパーツがバラバラの状態だった。
 製作者は南里志郎のようだが、『歌って踊れるアンドロイド』というだけで他の用途がよく分からないまま、敷島は彼女をプロデューサーとして売り込むことになる。
 もっとも、当初は初音ミク自体が歌えることを知らなかった。
 歌を聴いた人間の琴線に触れる何かを持っており、その歌を聴いて琴線に触れない人間はいないほどとされる。
 当初はロボットが歌うことに拒否反応を示されることが多かったが、現在では敷島エージェンシーのトップアイドルとしての地位を確固たるものにしている。
 後に電気信号を歌に換えて飛ばすことが可能ということが分かり、“東京決戦”では持ち歌の1つである『初音ミクの消失』(作詞・作曲:cosMo@暴走P)を歌って、テロロボット、バージョン・シリーズ軍団の動きの殆どを止めた(前期型シンディのすぐ近くにいた集団には効かなかった)。
 ライブではソロで歌ったり、他のボーカロイドと一緒に歌うことが多い。
 実は他のボーカロイドも含めて、歌うと人間の脳波に悪影響を与えるものが含まれていることが分かった。
 それが何なのかまでは分からなかったが、取りあえず、『鉄腕アトムのテーマ』だけが判明したので、それを歌うことを禁止している。
 最終的には人間の脳幹まで停止させる効果があることが分かり、初音ミクもまた兵器として開発されていたことが判明する。
 マルチタイプよりも危険ということでオホーツク海に海洋投棄されていたが、研究対象としては活用できると独断した平賀がエミリーに命じて回収させている。
 それ以降は平賀の責任で、ボーカロイドの研究を進めることになる。
 敷島に初音ミクの世話を命じたのは南里であっても、それ以降の口出しをしてこず、平賀が窓口になっていたのはその為。
 持ち歌の1つ『オホーツク旅情歌』(作詞:鈴木宗敏 作曲:彩木雅夫 編曲:HIROMU)の歌詞に重大な謎が隠されていたが、その理由は今もって不明。
 今のところ、稼働停止命令が外部から来たりしていることは無い為、敷島は今でも危険が発生しない程度で活動させている。
 イメージカラーはグリーン。

 MEIKO:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイドの中では1番最初に製造された試作機であるが、量産型の初音ミクと同様に第一線で今でも活動している。
 試作機である為、当初はナンバリングが無かったが、今では0号機というナンバリングになっている。
 エミリーとはケンカするほど仲が良い関係だったが、エミリーが変わってからはあまり関わらなくなったもよう。
 公式イラストを見てもらえれば分かるが、ボーカロイドの中では最も衣装の露出度が高い。
 登場回数やセリフはミクよりも多かったりする。
 試作機ということもあってか、仕様がミク達より違う所がある。
 持ち歌の歌詞については成人女性ボーカロイドということもあってか、大人向けのものが多い。
 現在は主にディナーショーなどを中心に活動している。
 イメージカラーはレッド。

 KAITO:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 MEIKOと同じく試作機で、こちらは成人男性型。
 こちらもナンバリングが当初無かったが、現在は00号機となっている。
 1番登場回数が少なく、セリフも少ない。
 ラジオ番組でパーソナリティーを務めるなど、けして仕事は少なくないのだが、敷島エージェンシーでは影が薄い。
 ボーカロイド小説などでは初音ミクを寝取ったり、他の女性ボーカロイドをたらし込んだりする女殺しとしての設定が多々あるが、あまり当作品では触れない。
 イメージカラーはブルー。

 鏡音リン:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイド2号機(但し、レンと区別する為に『02-1』と表記されることもある)。
 事務所の中では最年少のボーカロイド。
 双子の弟機のレンでは姉機に当たる。
 語尾に「Yo」を付けたり、暇な時は事務所内で遊ぶなど無邪気さ加減ではトップ。
 但し、エミリーやシンディに怒られることも多く、その度にマルチタイプ姉妹を「鬼軍曹」と呼ぶ。
 弟思いなところがあり、レンが何かピンチに陥ると、プログラムを無視した行動を取ることが多々ある。
 設定年齢14歳ながら小節の効いた歌い方が得意で、演歌や和楽でも人気がある。
 ミュージカルやオペラにも出演したことがあり、主役の傲慢王女を演じた“悪ノ娘と召使”は大好評で全国公演にもなった。
 イメージカラーはイエロー。

 鏡音レン:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイド2号機(但し、リンと区別する為に『02-2』と表記されることもある)。
 元々は製造予定が無かったが、急きょリンの諸元をそのまま流用して設定年齢を男にした為、実質的に双子の弟になった。
 性格はリンよりもしっかりしていて、リンのイタズラをフォローすることが多い。
 リンと違って彼女にピンチが訪れたら、まず敷島に報告するなど、姉と比べればまだ冷静である。
 ボーカロイドの中では1番身体能力が高く、特にブーツに仕掛けたブースターを駆使して、ライブ中にバック転宙返りを披露するなど、盛り上がり役を担っている。
 まだ、“悪ノ娘と召使”でも準主役を担うほどの名優ぶりを見せた。
 尚、ギロチンで首を刎ねられるシーンがある為、首と胴体が切り離されても稼働できるように改造されている。
 本来それは公演終了後、元に戻される予定だったが、何故だかそのままになっている。
 だがそれが功を奏し、前期型シンディに首と胴体を引きちぎられても、全く平気だった(シンディにバレないよう、引きちぎられた直後は壊れたフリをした)。
 一時期、同年代の人間の少女と交流していたことがある(まだ売れる前)。
 イメージカラーはリンと同じくイエロー。

 巡音ルカ:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイド3号機。
 MEIKOと違ってミステリアスな大人の女性というイメージで売り出しているのだが、歌唱能力はミクより上ということもあってか、主にライブハウスなどでミクよりも売れていた。
 今でもソロで活動することが多い。
 口数の少ない設定になっている為か、パーソナリティーを務めるKAITOのラジオ番組に登場したことは無い。
 イメージカラーはピンク。

 MEGAbyte:

 新型ボーカロイドの結月ゆかり、ある程度稼働期間のあるLily、マルチタイプからの用途変更である未夢の3人ユニット。
 何もデータが蓄積されていないゆかりの前向きな姿勢、ボーカロイド劇場である程度人気を博していたのに財団崩壊で劇場が閉鎖されてしまったことを悔やむLily、稼働テストに失敗して廃棄処分寸前だった未夢という特殊な状態で活動を始めた。
 担当プロデューサーは井辺。
 全く売れていなかったが、ここ最近は週末のイベントやミク達の前座を務めるようにまではなった。
 その影の薄さに、KR団からは全く攻撃の対象にすらされていなかった。
 ナンバリングは別メーカーの為、設定されていない。
 イメージカラーについて、ゆかりは紫、リリィは黄色、未夢は白ということになっているが、Lilyの場合は鏡音リン・レンと被る恐れがあった為、もう一色加えて、黄・黒としている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“Gynoid Multitype Sisters” 登場人物についておさらい

2017-05-28 10:03:24 | アンドロイドマスターシリーズ
 敷島孝夫:

 ボーカロイド専門の芸能プロダクション、敷島エージェンシーの経営者。
 但し、出資金などは親会社の四季グループに出してもらっている。
 初音ミクなどのボーカロイドを抱えていたJARA財団が崩壊し、行き場を失ってヘタしたら廃棄処分になる恐れのあった彼女らを救うべく、敷島が本社に掛け合った。
 ロボットテロ組織ケイン・ローズウェル財団(略称、KR団)を崩壊させたが、今も尚その残党と思しき影と戦っている。
 親会社の親族から経営法などを教わりながらの会社経営だが、何とか売り上げは右肩上がりとなっている。
 その為、創業当初は墨田区菊川の雑居ビルに事務所を構えていたが、現在は江東区豊洲の高層ビル18階に事務所を移している。
 豊洲にした理由は不明だが、都内の高層ビルにしては珍しく、屋上が共有スペースになっているということで、マルチタイプ達の離着陸場として使えるかもと判断したから。
 但し、実際は1度も離着陸をしたことが無い。
 今まで謎に包まれていたボーカロイド達(特に、初音ミク)やマルチタイプ達の本性に近づきつつある。
 ゴールデンウィークに『北海道ボーカロイドフェスティバル』が行われる為、そこで何かをするつもりのようだ。
 アメリカ人妻アリスと息子のトニーと共に、さいたま市大宮区のマンションに現住所を構える。
 但し、平日は江東区東雲のマンスリーマンションで寝泊まりしている。
 会社から離れた場所に現住所を構えた理由は、アリスがさいたま市郊外のロボット研究所(現在は一般公開のパビリオン施設)に勤務している為。
 どんなテロに遭っても、ほとんど無傷で生還したり、逆にそのテロリストを人質に取ったりすることから、特に警察関係者からは『不死身の敷島』、テロ組織側からは『テロリストを泣かせる男』、イスラム過激派からは『アッラーをも恐れぬ男』と呼ばれている。
 四季グループ内では、『四季グループの“かりあげ君”』とも。
 実際の見た目は“かりあげ君”に似ていないが、いかにもテロの最中に自分1人だけ生還しそうな所からそう呼ばれたものと思われる。
 殺人テロロイドと化していた前期型シンディすら、その不死身さ加減にフリーズさせたほど。
 今でもロイド達からは、『実はサイボーグでは?』と疑われているが、彼女らがいくらスキャンしても『Human』と出る為、安心してください!人間ですよ!
 その為、人間型兵器としての用途にもなるマルチタイプ姉妹からも、敷島を倒せる確率がどう計算しても限り無くゼロに近く見積もられている。
 今まで『自分で考えて行動できる』ロイドでありながら、『与えられた命令しかやらない』ロボットであり続けたエミリーにその仮面を剝がさせ、本気で敷島に仕えたいと意思表示をさせた。
 前期型シンディが前面に立って敵対した“東京決戦”では、彼女に命令されて固まっていたテロロボット軍団の包囲をバスで特攻する根性を持つ。
 他にも色々あるのだが、主人公格の代わりとなる人間が他にいないのは事実である。

 井辺翔太:

 敷島エージェンシー創立後の社員第一号。
 都内の大学を卒業した後、世界一周バックパッカーになることを企てていたが、両親から猛反対を受ける。
 仕方なく就職活動を始めたものの、既に大学卒業直前ではなかなか採用してくれる企業があるはずもなく……。
 そんな時、新入社員を求めて母校の大学を訪れていた敷島と偶然会い、敷島にスカウトされる形で入社する。
 つまり、敷島と井辺は大学の先輩・後輩でもある。
 体付きは学生時代は中肉中背だったが、話数を重ねるごとに高身長の大柄な体型という設定に変更となった。
 大学生時代、アメリカに一人旅に出た経験がある為、英語は得意。
 日本語ペラペラのアリスに対し、普通に英語で会話したほど。
 経緯は不明だが、KR団によって復元されたマルチタイプ7号機のレイチェルに騙されてテロに加担させられたことがある。
 実際は運転手役だったり(レイチェルが爆弾テロに巻き込まれたという形だった)、怪しまれない為の同行役(警察も日本人連れの白人女がテロリストだとは思わない為)だったりとフォローするだけであり、直接爆弾を仕掛けるようなことではなかったが。
 但し、記憶操作はされていたようで、後でレイチェルが敷島達の前に敵対してきた時もすぐには気付かなかった。
 会社での仕事ぶりはよくできる方で、敷島に教わりつつのプロデュース業務であったが、事務所が豊洲移転後は総合プロデューサーの肩書きでもって、ボーカロイド個人に付いたマネージャー達を管理する業務を行う。
 その傍ら、ボーカロイドの結月ゆかり、Lily、未夢(当作品オリジナル)の3人ユニット“MEGAbyte”のプロデューサーも務める。

 平賀太一:

 敷島と同様、“アンドロイドマスター”シリーズの初期から登場。
 仙台市西部にある東北工科大学(架空の大学。モデルは東北工業大学)の教授。
 子供の頃からロボットが好きで、それが高じて自分で造ってしまうほどの天賦の才を持っていた。
 最初は人間型のアンドロイドには興味が無く、子供らしくむしろ合体ロボに興味があったくらいだが、最愛の姉を交通事故で亡くす(後にそれはKR団が将来敵対する恐れのある天才少年を子供のうちに殺す作戦であり、弟を庇って死んだ姉が巻き添えになったものだと判明する)。
 それ以来、合体ロボではなく、姉にそっくりなアンドロイドを造る方へと転向する。
 日本で最初にできたメイドロボット(後にメイドロイドへと改称)七海が、平賀の姉の面影があるのはその為。
 平賀の才能を見出した南里志郎が平賀を弟子にしたが、その為に才能をぐんぐんと開花させていく。
 若くして大学教授になったり、デイライト・コーポレーションの外部役員になったりしているが、それに驕ることなく、日々ロボットの開発に取り組んでいる。
 敷島以上にロボットテロを強く憎んでいる。
 “東京決戦”の際は危うく前期型シンディに殺されかけたが、七海の捨て身の攻撃により何とか助かる。
 その為、敷島のように『不死身』ではない。
 宮城県仙台市内に一軒家を構え、南里研究所時代の同僚だった赤月奈津子と結婚、一男一女に恵まれている。
 テロとの戦いからは一線を退いているように見えるが、実際は東京都内の大学に客員教授として訪れたり、講演会に呼ばれたりする度に、ボーカロイドやマルチタイプの点検をするなど、サポート役を引き受けている。

 アリス敷島:

 敷島のアメリカ人妻。
 但し、結婚したことで日本国籍に変えている。
 元々は世界的なマッドサイエンティスト、ウィリアム・フォレストの養孫であった。
 当作品では公表していないが、エミリーを遠隔操作して敷島達を攻撃させたり、南里研究所のサーバーを完全にダウンさせるほどの攻撃を行ってきた。
 最終的に鏡音リン・レンの特異な作戦により、業務用冷凍庫に閉じ込められて完全に敗北する。
 それ以降は紆余曲折を経て、敷島と半ば強引に結婚する(何故そのような経緯に至ったのかは18禁になる為、省く)。
 敷島が無精子症であった為、子供ができないことにノイローゼにまでなってしまうが、後期型シンディが怒りの電撃を放ったことで電気ショックとなり、何故だか精子ができたことでやっとトニーを授かる(※もちろん、実際の無精子症はそんなんで治りません。悪しからず)。
 現在は埼玉県さいたま市西部の郊外に建つデイライト・コーポレーションの研究所で、研究員として勤務する。
 そこが一般公開施設のロボット未来科学館となり、研究施設としては縮小されても残っている。
 後期型シンディのオーナーとして登録しており、敷島をユーザー登録させる。
 表向きは敷島の秘書やマンスリーマンション内における身の回りの世話役としての用途にさせているが、実際は誘惑の多い芸能界において、浮気を監視させる為である。
 勤務先の研究所が幾度と無くKR団の攻撃対象にされても、シンディを含むロボット軍団を配備させて応戦するほど。
 旦那の敷島ほどではないが、敷島の旧友の平賀よりは体力面・精神面において強いもよう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする