報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「意外な人物」

2023-03-30 20:34:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月5日07時58分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 JR仙台駅]

 東京から仙台までは、“やまびこ”で2時間を切っている。
 昔は2時間以上掛かるのが常識だったが、最高速度が上がったからか。
 尤も、山形新幹線を併結している場合は例外だ。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪ まもなく、仙台です。仙石線、仙山線、常磐線、仙石東北ライン、仙台空港アクセス線、仙台市地下鉄南北線と仙台市地下鉄東西線はお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。仙台の次は、古川に止まります〕

 列車は田園地帯から街中へと車窓を変えていく。
 また、カーブも多くなり、それに合わせて速度も落としている感じである。

〔「まもなく仙台、仙台です。11番線に入ります。お出口は、右側です。……」〕

 この後で、始発の“はやぶさ”と“こまち”が追い掛けてくるらしい。
 昔はこの駅で緩急接続をしていたが、今のダイヤでは“やまびこ”が待つことはなく、すぐに発車してしまう。
 ガクンとポイントの通過で列車が大きく揺れると、仙台駅の新幹線下り副線ホームに入線した。

〔「ご乗車ありがとうございました。仙台、仙台です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。11番線の列車は、8時ちょうど発の“やまびこ”51号、盛岡行きです。終点盛岡まで、各駅に止まります」〕

 私達は列車を降りた。
 ここから実家へは、地下鉄で向かうことができる。
 私の実家でも、地下に変な空間があったりと、色々あった。

 高橋「先生、一服して行っていいっスか?」
 リサ「トイレ行きたい」
 愛原「ああ、行ってこい」

 列車は全車両禁煙。
 ヘビースモーカーの高橋には、2時間近くの禁煙はキツいか。
 リサはリサで、3人席の窓側に座っていると、なかなかトイレに行きにくいのかもしれない。

[同日08時16分 天候:晴 同地区 仙台市地下鉄仙台駅→東西線電車内(列番不明)]

〔まもなく3番線に、荒井行き電車が到着します〕

 高橋の一服とリサのトイレが終わり、私達は地下鉄乗り場へと急いだ。

 愛原「よしっ、ちょうど来たところだ」

 往々にして地方の地下鉄は、本数が少ないことが多い。
 なので、タイミングを合わせる必要が出てくることもある。
 今回は上手くタイミングが合ったようだ。
 4両編成の電車がやってくる。
 1両当たりが15メートルほどしかない小型車両だが、東京メトロ銀座線よりも都営大江戸線のように見えるのは、車両の構造のせいだろうか。
 もっとも、銀座線は6両で、大江戸線は8両という違いはある。

〔せんだい、仙台。南北線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕

 ワンマン運転であるが、仙台駅などのターミナル駅では、運転士が乗務員室窓から顔を出して、直接ホーム確認をしている。
 私達は先頭車に乗り込んだ。
 沿線には高校もあるせいか、車内にはチラホラ高校生達の姿も見受けられる。
 今のリサは制服ではなく、私服姿だが、仙台には『鬼』はいないようで……。

〔3番線から、荒井行き電車が、発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕

 短い発車サイン音がホームに鳴り響く。

〔ドアが閉まります。ご注意ください〕

 運転士が運転席のドアスイッチではなく、乗務員室扉横の車掌スイッチでドアを閉める。
 仙台市地下鉄では、始終点駅と仙台駅のみ直接ホーム確認をするようである。

〔次は宮城野通、宮城野通。ユアテック本社前です〕

 電車が走り出す。
 他の地下鉄と比べて走行音がやかましくないのは、窓が開かないからだろう。
 コロナ禍で電車やバスの窓開けがされているが、仙台市地下鉄東西線2000系電車の客室の窓は開かない構造になっている。

 愛原「家には連絡しておいた。朝飯用意して待ってるってさ」
 高橋「そうですか。大歓迎ですね。……って、ええっ!?俺達、駅弁食っちゃいましたよ?」
 リサ「はいはーい!わたし、食べまーす!」
 愛原「言うと思った……」
 高橋「ガチで食う気かよ……」

[同日08時30分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家]

 最寄り駅の薬師堂駅は、聖和学園高校がある。
 昔は女子高だったが、今は共学化されたようだ。
 しかし私のイメージでは、未だに女子校である。
 実際、一緒に降りた高校生達は、ジャージを着たJKばかりであった。
 リサが目で注意をしてくる。
 もしくは……。

 リサ「先生。この電車、何ボルトで走ってるの?」

 と、暗に電撃の予告をしてきたり……。
 何とかリサの浮気センサーに引っ掛からず、電撃を食らうことなく、実家に辿り着いた。

 母親「お帰りなさい。仕事とはいえ、大変ねぇ」
 愛原学「いやいや、とんでもない」
 母親「朝ごはん、できてるわよ」
 学「それが、新幹線の中で駅弁食べてきちゃって……」
 母親「ええっ!?」
 リサ「わたしが代わりに頂きまーす!」

 リサは右手を大きく挙げて立候補した。

 学「リサ、お前は食べててくれ」
 母親「長旅だったんだし、少しは落ち着いたら?」
 学「時間が無いんだ。早速、卒アル見せてよ」
 母親「分かったわよ」

 もう60代半ばになろうとする母親。
 今から50年くらい前の中学校の卒アルに、本当に上野医師の妻が写っているのだろうか。
 顔は分からない。
 分かっているのは、名前だけ。

 学「いいか、高橋。名前と顔写真を照らし合わせるんだ」
 高橋「分かりました」

 母親達の世代の卒アルはクラスごとに集合写真を撮り、左のページに集合写真、右のページにそれぞれ名前が書かれているといった感じであった。

 学「名前は斉藤玲子」
 高橋「斉藤社長の親戚ですかね?」
 学「だったら、面白いもんだな」

 あいにくと斉藤という苗字は珍しい物ではないため、偶然であるかかもしれない。
 だが、私と高橋は、ここで斉藤社長というイメージを出してしまったが為に、別の人物を見落としてしまったのである。

 愛原「母さんの卒アルには無い!高橋の方はどうだ!?」

 高橋は高橋で、母親の後輩が持っていた卒アルを確認していた。
 母親が3年生だった時、1年生だったというから、2年後輩だ。

 高橋「いや、今確認中です。何しろ、人数が多くて……」
 愛原「戦後のベビーブーム世代だからな!しょうがない!……この頃のブルマって、提灯タイプしか無いんだな」
 高橋「……先生、どこを見てるんスか……。あった!ありました!いましたいました!」
 愛原「何っ!?」

 高橋がついに斉藤玲子を見つけた。
 その顔を見て、私と高橋は更に驚いたのである。
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“私立探偵 愛原学” 「東北探索紀行」

2023-03-30 16:22:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月5日05時42分 天候:曇 東京都千代田区丸の内 東京メトロ東京駅→JR東京駅]

 私達を乗せた丸ノ内線電車が、東京駅に到着する。

〔とうきょう、東京です。JR線は、お乗り換えです。1番線の電車は、荻窪行きです〕

 愛原「やっと着いた」
 高橋「今回はタクシーじゃないんスね?」
 愛原「なーんかね。もしかしたら、予算削減されたのかもよ?」
 高橋「マジっスか!?」
 愛原「オマエの免停が痛かったのかもな?」
 高橋「さ、サーセン……」
 リサ「眠い……」
 愛原「新幹線の中では寝ていいから」
 リサ「お腹も空いた」
 愛原「駅弁買ってやるから」
 リサ「おー!」

 改札口を出て、JR東京駅へと向かう。

 愛原「さすがにもう、始発に合わせて駅弁売るようになったな」

 在来線コンコースでも駅弁は売っているし、新幹線ホームでも売っている。

 愛原「リサは……肉系統か」
 リサ「うん」

 新幹線ホームに向かう前、在来線の発車標を見てみた。
 当然ながら、宇都宮線は宇都宮から先へ向かう列車はもう無い。
 かつては黒磯行きなんかもあったが、今はそれすら無い。
 愛称の『宇都宮線』の通り、宇都宮までしか行かない路線となってしまった。

 愛原「上野医師には、どうやら元の奥さんはいたらしい」
 高橋「死んだわけじゃないんですね?」
 愛原「ヤーさんに寝取られたらしいがな」
 リサ「NTR」
 愛原「ヤーさんのぶっとい【ぴー】で、目の前でヒィヒィ言ってる奥さんを見て絶望し、それで逃亡を図ったらしい」
 高橋「東北の方ですか……」
 愛原「今から50年前ということは、まだ東北新幹線は無かったはずだ。国鉄のストライキやら順法闘争の最中、長距離旅行は大変だっただろうけど、上野医師は東北に向かう列車に乗り込んだという」

 東北新幹線開通前、東北に向かう列車は夜行・昼行はもちろん、特急から普通に至るまで、様々な列車が運転されていた。
 今は全く見る影も無いが。
 だから上野医師が何時のどの列車に乗ったのかは分からない。
 ただ、東京駅から列車に乗ったのは確かなようだ。
 上野駅ではないか?という疑問もあるだろうが、東北新幹線開通前は東京駅からも東北方面への列車が出ていた。
 東北新幹線開通の際に用地を取られ、また、日暮里駅もトンネルの用地の為にホームが撤去されている(宇都宮線・高崎線が日暮里駅を通過するのはこの為)。
 また、東北本線だけでなく、常磐線でも東北へ向かう列車が運転されていた。
 今でもそれは、仙台行きの特急“ひたち”で名残を見ることができる。

 愛原「俺達もその軌跡を辿りたいところだが、上野医師がどの列車に乗ったのかは知らないし、そもそも今はそんな列車、1本も運転されていないんでね」
 高橋「はい」

 駅弁も購入したのかどうかは分からない。
 医師として致命的な医療ミスをヤクザ患者にやらかし、しかもその報復として、妻を目の前でレイプされ、逃げるようにして列車に飛び乗ったのだから、のんきに駅弁食べてる余裕は無いか。
 私達は駅弁を購入した。

[同日06時4分 天候:曇 JR東京駅→東北新幹線51B列車1号車内]

〔23番線に停車中の列車は、6時4分発、“やまびこ”51号、盛岡行きです。この列車は上野、大宮、宇都宮、郡山、福島、仙台と、仙台から先の各駅に停車します。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車、自由席は1号車から6号車です。尚、全車両禁煙です。……〕

 駅弁や飲み物を購入してホームに行くと、既に10両編成の列車が発車を待っていた。
 確か、昨夜の最終列車が東京駅到着後、車両基地に引き上げず、そのままこのホームで夜明かしして、今日の始発として運転されるのだった。
 これを『夜間滞泊』という。
 私達は定員の少ない最後尾に乗り込んだが、もちろんリサがいる為。
 自由席にしたのは、東京駅始発だし、朝一の始発からそんなに混まないだろうと思ったからだ。
 案の定、東京駅からは余裕で座れた。
 3人席に並んで座る。
 高橋だけ喫煙所で、タバコを吸い溜めしに行ったが。

 愛原「もう駅弁食べるのか?」
 リサ「うん。お腹空いた」
 愛原「さすがだな」

 リサは牛肉弁当の蓋を開けた。
 そして、マスクを取ると、牙を剥き出しにしてガツガツと食べ始めた。

〔「6時4分発、東北新幹線“やまびこ”51号、盛岡行きです。お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕

 ホームから発車ベルが聞こえてくる頃、高橋が戻って来た。

 高橋「戻りましたー」
 愛原「ギリギリだったな」
 高橋「あざっす」

 高橋は通路側の席に座った。
 そして、甲高い客扱い終了合図のブザーの音が聞こえてくると、エアーの音がしてドアが閉まる。
 それから数秒間のブランクがあって、列車が走り出した。
 尚、東海道新幹線のホームの隣なので、窓の外には東海道新幹線も見える。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は、“やまびこ”号、盛岡行きです。次は、上野に止まります。……〕

 私も駅弁に箸を付けた。
 私は幕の内弁当である。
 こういうのでいいんだよ、ここういうので。

 高橋「仙台に着いたら、先生の御実家に?」
 愛原「ああ。母親が後輩にも頼んで、卒業アルバムを確保してくれたらしい。70年代前半でヒットしなかったら、振り出しに戻ることになるな」
 高橋「そ、それはマズいっスね」
 愛原「そうなんだよ」

 まあ、デイライト側の調査だから、間違ってはいないと思うけどな。

 愛原「当時の卒アルには住所録もあったから、それで実家を突き止め、凸するという計画だ」
 高橋「お任せください!」
 愛原「殴り込みに行くわけじゃ、ないからな?」

 上野医師が東北のどこへ行こうとしていたのかは分からない。
 だが、最終的には桧枝岐村に落ち着いていたわけだから、北東北ということはないだろう。
 東北方面の列車といったって、よほどのことが無い限り、途中下車しようとは思わないかもしれない。
 少なくとも、宛ての無い旅だったら、私は終点まで乗るかな。
 あー、いや、でもなぁ……。
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“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園上野高校文化祭」 当日終了

2023-03-30 11:50:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日15時00分 天候:晴 東京中央学園上野高校1階・美術室]

〔「これにて、第○×回、東京中央学園上野高校文化祭を終了致します。……」〕

 私は美術室で、『魔王様の肖像画』を観賞していた。
 他にも、来年の作品として、ラフ画も展示されている。
 いずれにせよ、ブルマ姿のリサが描かれていた。

 愛原「あ、ここで終わりか」

 コミケの感覚で16時までと思っていたのだが、高校の文化祭は早めに終わるのだ。
 その代わり、開始時間も1時間早いのだが。

 桜谷「それじゃあ、片づけの準備入ります。愛原先生も手伝ってください」
 愛原「え、俺?」
 淀橋「そうですよ」
 小島「何言ってるんです?」
 リサ「先生。PTA会長」
 愛原「だから代行だって!」
 善場「私は事務作業がありますし、PTA役員ではありませんので、これで失礼致します」
 愛原「善場主任!?」
 リサ「わたしと同じ、『鬼』だから、腕力はあると思うんだけどね」
 善場「さて、何のことかしら?」
 愛原「高橋は手伝ってくれよ?」
 高橋「う、うス」
 リサ「片付けやすいように、皆で着替えよう」
 小島「はーい」
 淀橋「はーい」

 『魔王軍』のメンバーは、徐に制服を脱ぎ始めた。
 その下には体操服とブルマを穿いている。

 リサ「先生。この役得で手伝ってくれる?」
 愛原「うーむ……考えるなぁ……」
 淀橋「山田!体操服の裾、引っ張らない!」
 山田「だって、男子達の視線が……」
 愛原「ブルマのサイズが合ってないんじゃない?お尻に食い込んでるよ?」
 山田「だって、こういうの穿くの、初めてで……」
 リサ「わたしの前穿いてたブルマと同じサイズくらい?それじゃキツいよ」
 愛原「同じMサイズやLサイズでも、メーカーや形式によって、だいぶ違ったりするみたいだからな」
 桜谷「これで愛原先生、手伝ってくれますね?」
 愛原「うむ。しょうがないな」
 高橋「マジっスか、先生!?JKガキのブルマ程度で手伝うんスか!?」
 愛原「やかましい!昨夜、俺とリサがいない間にパールを家に連れ込んで、【イチャイチャ】【ラブラブ】してんじゃねぇ!」
 高橋「! な、何故それを……?!」
 リサ「わたしの寄生虫。まだ生きてる」
 高橋「こ、この……!」

 新たに生まれなくなったというだけで、それまで生産・稼働していた寄生虫については、今でも稼働中。

 リサ「あとは皆で打ち上げやる」
 愛原「明日も学校だろう?」
 リサ「遅くはならない程度に」
 愛原「そうか……」
 リサ「先生も一緒に」
 愛原「俺も!?」
 リサ「奢ってくれたら、昨日皆で泊まった時の写真あげる。因みに、これはヨドバシの写真」

 

 愛原「女子校のノリで、こんな際どい写真撮ったのか!」
 リサ「あと、こんなのもある」

 

 リサ「これはサクラヤの写真」
 桜谷「魔王様!まさか、愛原先生に?」
 リサ「片付け手伝ってもらう上に、打ち上げの奢りの報酬では、これでも安いくらい」
 桜谷「そんなぁ!」
 リサ「因みにこれは、ヤマダの写真」

 

 愛原「こんなものまで!?」
 リサ「ガチJKのエロ写真です」
 愛原「う、うーむ……、これは貴重だ……!」
 高橋「おい、リサ。てめぇの写真は無ェのか?」
 リサ「わたしのは写真なんか無くたって……」

 リサは私の手を取ると、自分のスカートを掴ませた。

 リサ「先生だけは直接どうぞ」
 愛原「リサ!?」
 リサ「わたしは先生のお嫁さん。だから、直接どうぞ」
 愛原「分かった分かった。手伝うし、打ち上げの費用も出すよ」
 リサ「おー!交渉成立!」
 淀橋「さすがは魔王様!」

 JK達にたかられてしまった。
 
[同日21時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 JK達にたかられた後、ようやく帰宅した私達。

 愛原「あー、やっと着いた……」
 高橋「出費が大変っしたね……」
 愛原「といっても、一次会がサイゼ、二次会がカラオケ館な辺りがたかが知れてて可愛いかったけどね」
 リサ「先生、ごちそうさま!」
 愛原「『魔王軍』のメンバーからは、それなりの『対価』はもらったけど、リサからはまだだな」
 高橋「そうだそうだ!責任者は責任を取るのが仕事だって、常日頃から先生が仰ってるだろ!」
 リサ「だから、体で払います」
 高橋「聞きました?おりゃ!」
 リサ「きゃっ!」

 高橋、リサをズダ袋を持ち上げるように抱え上げた。

 高橋「おめー、少し重くなったな!あぁ!?」
 リサ「下ろしてーっ!」

 身長180cmの高橋に持ち上げられるリサ。
 しかし、電撃を使おうとはしない。

 高橋「オメーもJKパンツくらい、先生に見せやがれ!」
 愛原「高橋。どうせブルマ穿いて……ねぇな!」

 リサの制服のスカートの下は、ブルマではなく、直接黒いショーツであった。
 もちろんランジェリーのようなド派手なものではなく、腰のゴムの所にスポーツメーカーの名前が入っているタイプのものである。

 愛原「あれ、どうしたんだ!?」
 リサ「どうせ作業終わったら帰るだけだし、汗かいたから脱いだの!」
 高橋「先生、校則違反ですぜ?」
 愛原「しょうがないな。しばらくの間、電撃は禁止!」
 リサ「うぅ……。しょうがない」
 愛原「というわけで高橋、下ろしてやれ」
 高橋「うス」

 私にとっては、リサのパンモロよりも、電撃禁止の約束を取り付けられたことの方が大きかった。
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“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園上野高校文化祭」 当日の昼

2023-03-29 21:03:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日12時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校1階・保健室]

 愛原「うーん……」

 私は訳の分からぬ夢を見て目が覚めた。

 愛原「うーん……」

 地獄に堕ちて、鬼達に責められる夢。
 その陣頭にリサがいた。
 地獄の鬼よろしく、虎柄のビキニを着て……。

 リサ「オマエみたいな邪淫は、衆合地獄だ!」

 なんて……。

 高橋「先生、大丈夫ですか!?」

 どうやら高橋が近くにいたようだ。
 私が目が覚めたと知って、駆け付けてきてくれたようだ。

 愛原「高橋?ここは……病院か?」
 高橋「いえ、学校の……東京中央学園の保健室です」
 愛原「そうなんだ」

 どうやら私が倒れた後で、誰かが保健室まで運んでくれたらしい。

 高橋「一体、何があったんスか?俺が何度先生のスマホに連絡しても、全く返信無いんで、心配しましたよ」
 愛原「ああ、悪かったな。えーと……」

 私はスマホを探した。
 ところが、心当たりを探しても、全く見つからない。

 愛原「あれ?どこかで落としたかなぁ?」
 高橋「ええっ!?」
 愛原「確かここに来た時にはあったんだよ。リサと合流する時、LINEを確認したからね。すると、リサから電撃を食らって倒れた時に落としたのかもしれない」
 高橋「電撃!?あいつ、先生が気絶するくらいの電撃をやりやがったんですか!?フザけた野郎だ!」
 愛原「まあ、リサも気が立っていたんだろう。それに気づけなかった俺にも責任はある」
 高橋「いや、でもですね……」
 愛原「まあいいから。リサはどこにいる?」
 高橋「新聞部の部室にいるそうですよ」
 愛原「ああ、そうか。オマエ、『魔王軍』のツアーには参加したか?」
 高橋「いいえ、それどころじゃなかったんで」
 愛原「そうか……」
 高橋「それに、ねーちゃんも一緒です」
 愛原「え!?善場主任が!?」
 高橋「はい。リサの出し物が気になるってんで、見に行ってますが……」

 まさかとは思うが善場主任、イベントに参加してるのではあるまいな?
 そう思っていると、ハンドガンの発砲音が聞こえてきた。

 高橋「おわっ!?な、何だ!?」
 愛原「やっぱり……」

 私は溜め息をついた。

[同日12時15分 天候:晴 同学園・教育資料館(旧校舎)裏]

 リサ「さっきのは演技ですよぉ!」
 善場「そんなことだろうと思ったわ」
 栗原蓮華「す、凄いですね……」

 私と高橋は、銃声がした方へ向かった。
 このツアーは旧校舎裏手の呪われた桜の木で終了するコースで、解散直前にリサが『暴走』する台本になっていたはずだ。
 で、本来なら蓮華さんが模造刀の脇差で『倒す』パターンのはずだったが、善場主任が手持ちのハンドガンでリサに発砲したようである。
 だが、リサの制服はそんなに汚れてはいなかった。

 愛原「何かあったんですか!?」
 リサ「先生!」
 高橋「ねーちゃん、近所迷惑だぜ!」
 善場「あら?BOWの暴走は超A級の非常事態です。緊急車両が緊急走行中、サイレンを鳴らすのと同義ですよ」
 高橋「屁理屈過ぎるだろ!」
 愛原「本当にリサに発砲したんですか?善場主任」
 善場「しましたよ。空包ですけどね」
 愛原「空包!?」

 確かに私が参加の時は、私のハンドガンを他の参加者が撃ってリサを『倒す』ことになっている。
 しかし実弾は危険過ぎるので、殺傷能力の無い空包を装填している。
 これなら発砲音は本物っぽく聞こえても、リサに向けて撃つ分には実弾よりも危険性は低い。
 流れ弾の危険は無いからだ。
 空包でも被弾の仕方によっては命を落とす危険性もあるのだが、リサに当たる分には平気である。

 善場「暴走のタイミングが良すぎるのと、何より……本当に暴走したら、アプリが自動起動するはずですからね」

 善場主任は自分のスマホを取り出した。
 BSAAが開発したアプリには、付近の危険なBOWが近くにいる場合、それを知らせる機能が付いている。
 また、特定のBOWの情報を登録しておけば、それの暴走状態により、緊急アラームを鳴らして教えてくれる仕様にもなっている。
 もちろん、リサも登録されていた。

 善場「それが全く無かったので。イタズラする子には、お仕置きです」
 リサ「ちぇーっ……」
 愛原「それで思い出した!リサ、俺のスマホ知らないか?」
 リサ「はい」

 リサは何食わぬ顔して、私のスマホを制服のブレザーから取り出した。

 愛原「オマエが持ってたんかい!」
 リサ「だって、先生が落とすだもん。ああ、一応、電源は切っといたよ」
 愛原「それで高橋からの連絡が、全く通じなかったわけか」
 高橋「先生に電撃食らわせるとは、フザけやがって!」
 リサ「先生が他の女見るからだよ」
 善場「それにしても、意識不明にして保健室送りはやり過ぎです」
 蓮華「善場さん、やっぱコイツ、首刎ねるべきですよ」
 高橋「俺のマグナムも、2~3発追加でシクヨロ」
 善場「そうですね……」
 リサ「先生の『マグナム』なら欲しいかもw」
 一同「こらぁーっ!!」

[同日12時45分 天候:晴 同高校1階・3年3組]

 私達は昼食に、蓮華さんのクラスの出し物である鉄板焼きを食べることにした。
 教室にホットプレートを持ち込み、それで焼きそばやお好み焼きを作っている。
 因みにお好み焼きは、関西風のものだった。

 蓮華「さぁさぁ、先生方は座って待っててください!私が焼きそばとお好み焼きのセットをお作りします!」
 愛原「よろしく頼むよ」

 このクラスの女子生徒も可愛い子が多いと思っていたら、どうも面食いが多いらしく……。

 女子生徒A「あの、良かったら、LINEの交換をしてもらえませんか?」
 女子生徒B「歌舞伎町のホストの方ですか?」
 女子生徒C「彼女はいますか?」

 高橋がほぼ独占してしまっていた。

 高橋「先生、助けてください!リサ、こいつら追い出してくれよ!」
 リサ「ムリ!3年生には手が出せない」

 『魔王軍』には3年生がいない為。
 実はリサ、3年生にも手を出そうとしたのだが、蓮華さんに成敗されかかり、豪快に断念したという経緯がある。

 愛原「あーあ、ハーレム羨まし」

 リサはリサで、女子生徒達が高橋の方に行くおかげで、私がそちらの方に目を向けられなくて助かっているようだ。

 リサ「凄い!鬼斬りセンパイ、本当に屋台の人みたい!」
 愛原「うーむ……。手慣れたもんだ」
 蓮華「隅田川花火大会の時、うちでも屋台を出すんで、よく手伝わされたもので」
 愛原「なるほど、そういうことか」

 ということは、その屋台は焼きそばとかお好み焼きなどを出しているのだろう。
 コロナ禍で中止になったりしてはいたが、それでも腕は鈍っていないというわけだ。
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“私立探偵 愛原学” 「東京中央学園上野高校文化祭」 当日の朝

2023-03-29 14:28:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日07時00分 天候:晴 東京都台東区上野 上野アーバンホテル→東京中央学園上野高校]

 昨夜は特に何も無かった。
 BSAAのアプリがアラームを鳴らすことも、リサからの緊急連絡が来ることも、善場主任から緊急連絡が来ることもなかった。
 拍子抜けた感じで、私は朝目が覚め、出発の支度してチェックアウトをした。
 それから、徒歩数分先にある学園に向かう。
 さすがにまだ正門は開いていないものの、生徒通用門は開いていて、そこから既に登校している生徒達の姿を確認することができた。
 リサ達『魔王軍』のように泊まり込むほどではないにせよ、夜遅くまで準備していたり、こうやって朝早くから準備したりするのもまた、文化祭ならではと言えよう。
 尚、文化祭前日だけは下校時刻も有名無実化するという。
 テスト前日は部活動禁止となる為、それの意趣返しか。

 愛原「えーと……家庭科室に行けばいいんだな」

 家庭科室は家政部が活動拠点としている場所だが、ちゃっかり『魔王軍』の食事提供場所にもなっている。
 そこに行くと、昨日と同じ、カレーの匂いがした。

 リサ「先生、おはよう」
 愛原「おー、リサ。おはよう」

 リサは昨日と同じ、制服を着ていた。

 リサ「朝食べに来たんだね?嫌がってたのに……」
 愛原「い、いや、ここのカレーは美味しい。せっかくの文化祭なんだから、楽しませてもらうよ」
 リサ「だって」

 すると『魔王軍』メンバーで、家政部員の女子生徒が、何やら用紙を持って来た。

 家政部員「PTA会長推薦ということで、レビューをお願いします」
 愛原「おいおい。私は代行だぞ」
 リサ「でも来年度には、正式に会長でしょ?」
 愛原「他に適任者がいるはずなのになぁ……」

 どこの学校も、保護者はPTA役員をやりたがらない。
 況や会長をや、か……。
 この学園は、比較的業務委託化が進んでいて、まだ仕事は楽な方だと思う。
 もっとも、業務委託先に私の事務所が含まれているところが何とも……。
 急な学校からの呼び出しに対応できるよう、会社員や公務員では務まりにくい為、必然的に自営業者が選ばれることが多い。

 リサ「ヤマダ、早く先生にお食事を」
 山田「かしこまりました」

 先ほどの家政部員さん、山田さんと言うのか。
 んっ?さんの指摘通り、『魔王軍』のメンバーって、家電量販店……ゲフンゲフン。

 山田「一晩寝かせたカレーです」
 愛原「ありがとう。ここ最近は涼しく、夜は肌寒くなったりする日もあるけれど、常温保存はあまり良くないらしいよ?」
 山田「もちろん、冷蔵庫に保管して、今朝温め直しています」
 愛原「それなら大丈夫か」

 私は朝食にカレーを頂くことにした。
 これとは別に、今日、来校者に振る舞う新しいカレーの調理なんかも行われていた。

 愛原「文化祭の開始は何時から?」
 リサ「9時から。9時から15時まで」
 愛原「まあまあだな。まあ、撤収とかもしないといけないからか」
 リサ「そう」

 対比としてコミケを上げてしまった。
 コミケの開始時間は10時、終了は16時。

 愛原「警備員時代、コミケの警備に駆り出されたものだよ」
 リサ「面白そう!」
 愛原「いやいや、仕事だから。遊びじゃないんだよ」
 リサ「ううん。そうじゃなくて、その時の話」
 愛原「そっちか」
 リサ「面白いエピソード無いの?」
 愛原「も、もちろん、ビキニアーマーの女戦士のコスプレや、海物語のマリンちゃんのコスプレが見られた時は嬉しかった」
 リサ「電撃……

 リサ、右手から火花を散らす。
 他の『魔王軍』メンバーが驚いて、テーブルから離れた。

 愛原「いやいや!昔の話だよ!リサと会う前の話だから、時効……時効ですらねぇーっ!」
 リサ「! それもそうか」

 リサ、電撃の準備をやめる。

 愛原「ま、全く……」

 と、その時、廊下をビキニアーマーの女戦士が歩いているのを見た。

 愛原「! あれは?!」
 淀橋「あれは演劇部の衣装ですね。講堂では演劇部が何かやるんで」
 小島「確か、『大魔道師の弟子』ですよ。主人公の稲生勇太が、魔界に迷い込んで、そこで出会ったビキニアーマーの女戦士と旅をするというストーリーです」
 愛原「ちょっと間近で見てみよう」

 私が席を立った時、突然体に電気が走った。
 リサが電撃をお見舞いしてきたのだ。

 リサ「先生!わたし以外の女、見ちゃダメだって言ったでしょう!」
 愛原「い……いいぢゃないか……それくらい……」
 リサ「まだ言うか!」

 バリバリバリバリバリ

 愛原「ぎゃああああっ!!」
 淀橋「フム。ちょうど直流100ボルトか。さすがは魔王様」

 科学部の淀橋さん、何故か電流計を持っている。

 小島「それよりも愛原先生、生きて……ますね」
 愛原「生きてまーす……」
 リサ「電撃使うとお腹空く。カレーおかわり」
 山田「か、かしこまりました。魔王様」

 私はしばらく動けなかったが……。

 上野凛「愛原先生、大丈夫ですか?」

 上野凛が助けに来てくれた。
 彼女もまた制服姿である。
 女子陸上部ではあるのだが、さすがに文化祭では陸上部としての出し物は無く、クラスの出し物や『魔王軍』のイベントに参加するだけのようである。

 愛原「起こすの手伝ってくれ……」
 凛「はいはい」
 リサ「フン。しばらくは痺れて動けないよ」

 私は凛に抱え起こされた。

 凛「石丸さんも手伝って」
 石丸「はいはい」

 手の空いている別の『魔王軍』メンバー2人に抱えられる。
 因みに『魔王軍』メンバーは、女子生徒しかいないので念の為。
 それにしても……この石丸さんってコ、何部だかは知らないが、結構グラマーな体つきだ。
 中肉とぽっちゃりの間の、ちょうど良いバランスの所の体型を保っている。
 上野凛は陸上部員ということもあってか、腹筋が割れている筋肉質な感じなのだが……。
 胸のサイズは……Gカップくらいあるかな?

 リサ「先生……?どこを見てるの!」
 凛「まずい!石丸さん、離れて!」
 石丸「ええっ!?」

 バリバリバリバリバリ

 愛原「ぎゃあああああ!!」

 再び電撃を食らった私は、ついに意識を失った。
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