報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

本業が忙しいので……

2017-08-31 23:53:34 | 日記
52歳の女性小説家、バイク事故で死亡…愛知

 簡単な雑記だけで今日の更新は終わりにしたい。
 もっとも、隊長も7月には率先して熱中症で倒れていることから薄々感じてはいたのだが、ついに支隊長……もとい、副隊長の私も帯状疱疹を発症したことで、デスマーチの勤務表を何とかしないといけないと思ったらしい。
 9月からは公休日がかなりバラけるようになった。
 現場としては万々歳なのだが、そこに狙いを付けるのは本部……もとい、会社。
 現場にとっては余計な仕事である臨時警備を隙間にバンバン入れてこようとする。
 私は帯状疱疹になったことを理由に、最初から決まっていた前現場へのヘルプ以外はお断わりにしておいた。
 取りあえず9月1日は休み。
 ようやくデスマ終了である。

 デスマーチとは、システムプログラマー辺りが納期が迫って休日出勤・深夜残業当たり前の期間に突入していることを言うらしいね。
 転じて、似たような状態に陥っている警備業界でも使うことがある。

 さて、冒頭の記事はさっき見つけてきたもの。
 本当は8月31日は初音ミクが公式で稼働を開始した日ということで、『ミクさん生誕祭』なんてネット界で行われたことを取り上げようと思ったんだが、デスマのせいで間に合わなかった。
 彼女が稼働を開始してからまだ10年しか経っていないらしい。
 実年齢は26歳ってことになるね。
 しかし彼女の設定年齢は16歳。
 本当の意味で『永遠の16歳』なのである。
 人間のアイドルと違って劣化することも無いし、スキャンダルを起こすことも無い。
 そこが素晴らしい。
 実はこの辺り、ネタに考えているんだけど。
 あとは、どうこね回そうか考えている。

 ……そう。牧原のどか先生も、きっと新ネタを考えながらバイクを駆っておられたのだろう。
 私はアマチュアであり、このプロフェッショナルのことは実は存じ上げない。
 しかし、作家の考えていることは何となく分かる。
 本当に好きで書いているのなら、常に頭の中はネタで一杯のはず。
 ましてや、プロなら四六時中なのではないだろうか。
 私の場合は電車やバスの中でボーッと景色を見ながらネタ出しをするのだが、最近は本業の仕事の帰り際、ビール引っ掛けてネタ出しをするそれとて1つの手ばかり使っているとネタが枯渇してしまう。
 牧原先生はバイクで走りながらネタ出しをしておられたのだろう。
 事故原因は調査中とのことだが、もし完結していない作品があったとしたら、さぞかし無念であっただろう。
 プロフェッショナルならファンも大勢いたはずで、そのファンの人達も非常に残念であろう。
 どういう作風のものを書かれていたのかは存じ上げ無いが、もしSF・ファンタジー・ホラーのいずれかであるのなら、是非ともこれを機に作品を手にしてみたいものである。

 宗派はどこかは知らないが、もしも私が信仰者だったら勤行の際に回向できたのに、これもまた残念だ。
 今の顕正会や日蓮正宗が、私にとって居心地の良い所であったならと思うと非常に残念である。
 破門前の創価学会や妙信講だったら、居心地の良い所だったのかもしれない。

 居心地の良し悪しで決めるのか?
 その通り。
 教義の正邪なんて関係無い。
 教義の正邪だけが大事だとするならば、そもそも教団という団体など必要無い。
 しかし、宗教法人たる関係者達は自分達の団体に入れという。
 ならばその組織は、新入りにとって居心地の良い所でなければならない。
 居心地、悪かったね。
 香月車楽さんの主張は正しい。
 しかし、いおなずんさん達の主張も正しい。
 では、どうして対立するのか。
 先鋭化された正論は既に正論でなくなっていることに、盲信者達が気づいていないから。

 いおなずんさんなどの穏健派は、ちゃんとした日蓮正宗としての正論を言っている。
 だけど恐らく、盲信者達は「何を甘っちょろいことを言ってるんだ」とでも思っているのだろう。
 香月車楽さんにはもちろん、穏健派の論すら効かないみたいだけどね。
 でも、香月車楽さんの反論もその通りなんだ。
 鎌倉時代の教えが、既に現代に通用しなくなっている。
 差し当たり、日蓮正宗は御書を現代語訳して出した方が良い。

 盲信者達の日蓮大聖人の御金言引用、あの古文がアンチには物凄く嫌味ったらしく見えるから。
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“Gynoid Multitype Sisters” 「3日目の朝」

2017-08-29 19:09:22 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月13日07:00.天候:晴 ホテルメトロポリタン仙台・客室]

 シンディ:「社長、朝ですよ。起きてください」

 シンディは敷島を起こしに来た。
 エミリーは平賀に付いていたので、今夜の同衾護衛はシンディである。

 敷島:「……あと5分」
 シンディ:「ダメですよ。早く起きて頂きませんと、七海式強制起床法発動しますよ?」
 敷島:「おおっと!そいつァ危険だ!起きよう起きよう」
 シンディ:「おはようございます」

 因みに七海式強制起床法とは、平賀の試作したメイドロイド七海が稼働実験中にやらかした平賀への起床法である。
 具体的には平賀を起こす際、寝起きの悪い平賀の口をこじ開け、醤油を流し込むというもの。
 誰かに教えてもらったわけでもないのに、どうして七海がこの起床法を思いついたのか未だ不明である。
 さすがのエミリーやシンディも、そのポンコツぶりには呆れた。
 今ではだいぶ学習能力も向上し、日本初のメイドロイドとして、量産機の後輩達からハウスキーパー扱いされるほどになっているとか。

 尚、七海式強制起床法がメイドロイド達の間に流行したことがあり、平賀達が火消しに走ったこともある。
 これは平賀が七海を連れてメイドロイドのプレゼンを行った際、七海式強制起床法の話でユーザー達が大ウケしたことにより、メイドロイド達が大いなる誤解をした為だということになっている。
 ユーザー達は単なる笑い話としてウケただけなのだが、メイドロイド達は「そうすることで御主人様達が喜ぶ」と誤解した為。

 敷島:「……ってか、ホテルの客室に醤油は無いだろ」
 シンディ:「その通りです。さ、早く朝のお支度を」
 敷島:「全く……」

 敷島はバスルームに入った。
 その間、シンディは敷島の寝ていたベッドを整える。
 ホテルなのだから別にそこまでしなくてもと思うだろうが、それが彼女達の習慣なのである。

[同日07:30.天候:晴 同ホテル2F]

 井辺:「社長、おはようございます」
 敷島:「ああ、おはよう。一緒に食べるか。今日は和食にしようと思ってるんだけども」
 井辺:「はい。御相伴に預かります」

 敷島と平賀はテーブル席に向かい合って座った。

 井辺:「エミリーさんは戻らなかったようですね」
 敷島:「そうなのか。メイドロイドを簡素化したものとはいえ、それが暴走したってんだから大変だろうな」
 井辺:「その暴走ロイドは見つかったのでしょうか?」
 敷島:「いや、まだだろうな。テレビでもやってなかったし、何よりGPSを搭載していないもんだから捜しようがない」
 井辺:「KAITOさんは無事でしたか?」
 敷島:「何かあったらすぐにSOSを発信するように言っておいた。で、来る時に様子を見たけど、何にも無い」
 井辺:「何も無いというのも、それはそれで少し不安ですね」
 敷島:「いや、全く」
 井辺:「今日はどのようにしますか?」
 敷島:「じゃあ、今度は俺がMEIKOとLilyに付こう。Lilyのヤツ、MEGAbyteとしてのユニットよりMEIKOとのユニットの方が活き活きしてるな」
 井辺:「はい。正直言ってMEGAbyteとしての活動よりも、あの2人ユニットの方がいいような気がします。元々LilyさんはMEGAbyteとしてのユニットに乗り気では無かったので」
 敷島:「そうだな。……ん?あの、おもしろ博士はどこにいるんだ?」
 井辺:「おもしろ博士?」
 敷島:「村上教授とポンコツ執事のロイ」
 井辺:「私は存じ上げませんが……。あ、因みに私は今日、鏡音さん達に付こうと思います」
 敷島:「分かった。よろしく」

[同日08:00. 天候:晴 宮城県仙台市太白区 天守閣自然公園(オートキャンプ場)]

 キャンプ場の炊事場で朝食を作るのはロイと、もう1人。

 有泉:「ロイ君、キミは料理も上手いね」

 村上の助手で20代の男、有泉である。

 ロイ:「メイドロイドでもキッチンメイドがいるのです。コックは男ですよ」
 有泉:「キッチンメイドは本来、料理はやらないんだけどね」
 ロイ:「さあ、できました。ベーコンエッグにグリーンサラダ、ご飯と味噌汁です」
 有泉:「和洋折衷だね。よし、早速教授に持って行こう」

 キャンピングカーの中にはキッチンもあるのだが、あえてオートキャンプ場に泊まって、共同炊事場を使う。

 有泉:「教授、おはようございます」
 村上:「うむ。清々しい朝じゃの」

 昨日の自爆行為はどこへやら。
 そんなこと無かったかのように、にこやかに朝を迎える村上だった。

 村上:「今日は東北工科大学で、ワシの講演会がある。この車ごと乗り込むぞ」
 有泉:「はい」

 運転は有泉がやっていたようだ。
 村上は車内のオーディオを入れた。

〔「ハァ〜♪ドバッと出たもんだ〜♪……」〕

 年齢柄、演歌を流すのは理解できる。
 できるが……。

 有泉:(何故、ミッチーの“ゴエモン音頭”!?)
 村上:「おっ、そう言えば敷島社長の所の……」
 ロイ:「敷島エージェンシーさんが、どうかなさいましたか?」

 村上が食事を2〜3口運んでから言った。

 村上:「何と言ったかな……。最年少でありながら、こぶしの効いた歌い方のできる……」
 ロイ:「鏡音リンですね。ソフトウェアが同じの鏡音レンも、そういう歌い方ができるはずですよ」

 その為、鏡音リン・レンには演歌のリリースもあったりする。

 村上:「ふむ。是非とも、あのコ達の演歌が聴いてみたいものだ」
 ロイ:「今度、お願いしてみましょう。食後のお飲み物は何になさいますか?」
 村上:「渋みの効いた緑茶で頼む」
 ロイ:「かしこまりました」
 村上:「それにしても、昨日のロボット、一体どこに行ったんだろうなぁ……」
 ロイ:「あのマルチタイプ様ですら捜索不能では、私のような一介の執事ではお手上げです」
 村上:「うむ、そうだな」

 と、そこへ……。

 バージョン4.0A:「ワッショイワッショイワッショイ」
 バージョン4.0B:「ワッショイワッショイワッショイ」
 バージョン4.0C:「ワッショイワッショイワッショイ」

 ザッザッザッとテロ用途ロボットがキャンプ場の前の通りを通過して行った。
 しかも、何かを持ち上げながら移動している。

 ロイ:「教授、バージョン達がお祭りゴッコやってますよ(っ´∀`c)」
 有泉:「何かを担いでいるようですね」
 村上:「問題無い。別に、テロを起こすようでなければ放っておいても。それとも爆弾でも抱えているのかね?」
 ロイ:「スキャンした結果、別のロボットを抱えているようですね」
 村上:「ほお……」
 有泉:「故障した仲間のロボットですかね?どこへ運んで行くのやら……」
 村上:「どこへ運んで行くんじゃろうなぁ……?」
 ロイ:「ズームして見ましたが、ただのロボットじゃなく、ガイノイドのようですね」
 村上:「そうなのか。ロイ、ちょっと事情を聞いて来んか?もし故障して困ってるのなら、ワシの気紛れで修理してやろう」
 ロイ:「かしこまりました」

 ロイは靴を履き替えた。
 ブースター付きのブーツである。

 ロイ:「では、行って参ります」
 村上:「うむ。もし奴らが発砲してきたら、遠慮なく逃げるのじゃぞ」
 ロイ:「はい。自爆して来たらどうしますか?」
 村上:「縁起でも無いこと言うな!」
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“Gynoid Multitype Sisters” 「ショーウィンドーのレイチェル」 3

2017-08-28 19:21:38 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月12日16:45.天候:雷雨 宮城県仙台市青葉区 某高級ブティック前]

 MEIKO:「エミリーとシンディに現況通信したわ。何とか取り押さえて、あの2人に突き出そう!」
 Lily:「了解です!ロックって感じですね!」
 MEIKO:「そうかな?……ま、いいや。行こう」

 既に店の周りには人だかりができていた。

 ロイ:「ちょっと待ったーっ!」

 と、そこへ人ごみの中から現れたのは、執事ロイドのロイと製作者の村上大二郎博士であった。

 MEIKO:「村上博士!」
 ロイ:「アイドルの皆さんが戦う必要はありません。ここは村上博士が一肌脱いで下さるそうです!」
 MEIKO:「マジで!?それは助かる!」
 Lily:「博士、よろしくお願いします!」
 村上:「任せたまえ。あー、そこのお嬢さんや。こんなにも大勢の人々を騒がせたその罪、ちと償ってもらおうかの」
 レイチェル:「私は……KAITO様に……」
 村上:「取りい出したるは、全ロイド緊急停止リモコンじゃ!これをポチッと押すだけで、周りのロイドに緊急停止信号が送られるという寸法ぢゃ!」
 MEIKO:「ちょっと待って、博士!それって私達も危ない……」
 Lily:「ロック過ぎるぞ、爺さん!」
 村上:「ポチッとな!」

 チュドーン!

 MEIKO:「!!!」
 Lily:「!?」

 村上が爆風で高く上がり、地面に落下した。

 村上:「ぎゃん!……ろ、ロイ!服に火が点いたぞ!早く消すんじゃ!」
 ロイ:「はいはい!」
 MEIKO:「何しに来たのよ、アンタわ!?」
 Lily:「ロック過ぎたぜ、爺さん!」

 幸いロイの消火活動と大雨により、村上の自爆による自火災は小火で済んだ。

 MEIKO:「爺さん博士と天然執事に任せてられないわ!私達で何とかしよ!」
 Lily:「は、はい!」

 が!

 MEIKO:「って、ドサグサに紛れてレイチェルが消えた!?」
 Lily:「き、きっとまだ近くにいるはずです!探しましょう!」

 Lilyが先に立って走り出した時だった。

 Lily:「痛っ!?……ごめんなさい!」

 何か柔らかいものに当たったのだが、それはシンディの胸だった。
 Lilyはそんなに身長は高くない為、高身長のシンディの胸に当たったのだった。

 シンディ:「何やってんの、アンタ?」
 Lily:「シンディさん!」
 シンディ:「社長達が遅いから、アタシが先に来たよ。で、暴走マネキンは?」
 MEIKO:「天然コンビのおかげで、取り逃がしちゃったのよ」
 シンディ:「全く。ホント、余計なことしてくれる……」
 MEIKO:「社長達が遅いというより、この騒ぎのせいで有名人のKAITOが近づけなくなっちゃったって所でしょ?」
 シンディ:「まあね。それよりMEIKO、アンタもそろそろ逃げないと」
 MEIKO:「えっ?」

 人だかりができていたのは、何もレイチェルの暴走が原因ではなかった。
 MEIKOにスマホやカメラを向ける人達が目立って増えていた。

 MEIKO:「ヤバみ、顔バレしたし」
 Lily:「早く行きましょう」

[同日18:00.天候:曇 ホテルメトロポリタン仙台]

 敷島は部屋でテレビを見ていた。
 テレビでは早速、レイチェルが暴走して脱走したことが報道されていた。

 敷島:「平賀先生も大変だな」

 平賀はDCJの外部執行役員である。
 とはいえDCJの関係者でもある以上、無関心ではいられなかった。

 シンディ:「それにしても社長、レイチェルとやらはどこに行ったのでしょう?」
 敷島:「メイドロイドなら辛うじてGPS搭載しているのに、その廉価版には搭載していないとは……」
 シンディ:「見つけ次第、ぶっ壊していいですか?」
 敷島:「待て待て。捕まえて、あのブティックに引き渡さないと。もっとも、店側としてはそんな危険なロボット、もう要らないってことにはなるだろうがな」
 シンディ:「何でKAITOにベタ惚れしたんでしょうね?」
 敷島:「バージョン5.0が率先してミクのライブでヲタ芸やるのと似たようなものだろう」

 今でもDCJ関係施設をボーカロイド(特に初音ミク)が訪れると、セキュリティロボット達が駆け寄ってサインや握手をねだりに来る。
 その度にエミリーやシンディが怒鳴りつけて追い払っているほどだ。

 敷島:「KAITOの追っかけに人間の女性ファンだけでなく、そっちの方も対策しないとな」
 シンディ:「人間の女性はともかく、ロイドでしたら私達で何とかしますよ」
 敷島:「ともかくって……」
 シンディ:「私達の立場では、人間に手荒なことはできませんわ」
 敷島:「ま、そりゃそうだが……。レイチェルの場合は単なる追っかけじゃなく、ストーカーになるかもしれないってことだ」
 シンディ:「だったら尚更、私達で鉄塊にしてやりますよ」
 敷島:「だから捕まえるだけでいいって。……ん?そういえば村上教授達は、どこに泊まるんだ?」
 シンディ:「キャンピングカーで来られてたわけですよね?どこにでも泊まれそうですね」
 敷島:「マイクロバス改造車だから、場所は選ぶことになると思うぞ。普通の駐車場には止まれないだろう」
 シンディ:「そうですね。村上博士自ら運転されて?」
 敷島:「んなワケ無いだろう。ってか、マジで誰が運転してるんだ?ロイだったりして?」
 シンディ:「私達にはまだ運転免許は交付されることは無いはずですけど」
 敷島:「それもそうだな」

 運転手がロボットになることよりも、そもそも車自体がロボット化されつつある時代だ。

 敷島:「……いや、案外あの車、ロボットだったりして」
 シンディ:「ええっ?」
 敷島:「今度あのキャンピングカー見たら、スキャンしてみろ?」
 シンディ:「わ、分かりました」
 敷島:「そういえば村上教授は、アンドロイドよりも、本当はもっと実用性のあるロボットの方の研究をしている人だった」

 執事ロイドにあっては村上曰く、「メイドロイドを男にしただけ」だそうで、執事ロイドは村上の集大成ではないらしい。

 敷島:「変形ロボットの車とか、マジで造りそうだぞ、あの人」
 シンディ:「それはそれで面白そうですね」

 シンディは近未来、ロボット化された高級車の後ろに乗り込む敷島を思い浮かべた。
 自分は秘書として助手席に座る。
 そして無人の運転席では、見えない運転手が敷島エージェンシーに向かってハンドルを切る。
 どのくらい先の未来になるか。

 シンディ:「そのロボットカーに乗れる時まで、私を使ってくださいね。私、役に立ちますから」
 敷島:「いいだろう」

 敷島は大きく頷いた。

 敷島:「せめて都道と市区町村道はロボットカーが走ってもOKという条例くらい作ってもらうよう、勝っちゃんにお願いしてみよう」

 敷島の旧友で東京都議会、若手議員連盟の勝又。
 最近、登場していない。
 尚、エミリーは現在、平賀の護衛中である。
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“Gynoid Multitype Sisters” 「ショーウィンドーのレイチェル」 2

2017-08-27 20:13:07 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月12日15:00.天候:曇 宮城県仙台市青葉区台原森林公園 スリーエム仙台市科学館]

 敷島:「えー、それでは皆様、大変長らくお待たせ致しました。これより我が敷島エージェンシーの誇る『美人過ぎるアンドロイド』こと、エミリーとシンディの姉妹によるデュエット演奏を披露させて頂きたいと思います。ピアノはエミリー、フルートはシンディであります。……」

 敷島が自ら挨拶を行う。

 敷島:「それでは最初にお聴き頂きますのは、かつてまだロボットだった頃のエミリーのテーマでありました、“人形裁判 〜人の形弄びし少女〜”です」

 尚、楽曲の殆どが“東方Project”系であったことは【お察しください】。

 敷島がステージ裏に行くと、井辺が結月ゆかりと未夢に対してバッテリーを交換していた。

 敷島:「どうだった?」
 井辺:「未夢さんの天然ぶりと、結月さんのドジっ娘ぶりにお客様方の掴みは上々でした」
 敷島:「よし。よくやったぞ。ピアノとフルートのデュエットではあるけども、けして二重奏だけで終わらせない。あのマルチタイプ達の演奏に合わせて、彼女達にも歌わせよう」
 井辺:「そうですね」

[同日同時刻 天候:晴 同市同区国分町 某高級ブティック]

 レイチェル:(遅い……遅い……KAITO様……遅い……!)
 技術員A:「それでは6号機のレイチェルは修理が完了しました」
 技術員B:「こちらが作業報告書になります」
 店長:「原因は『人工知能の不具合』とかありますけど、本当に大丈夫ですか?」
 技術員A:「ええ。御心配要りませんよ」

[同日15:30.天候:晴 仙台市科学館]

 敷島:「ありがとうございました。“パンデモニックプラネット”でした。こちらは今のエミリーのテーマでもあります。こちらのピアノ奏者のエミリーは、あることをきっかけにロボットの仮面を脱ぎ捨ててロイドになった者です。即ち、ただ単に人間の命令を聞くだけのロボットではなく、ちゃんと自分で考えて行動するという、人間と同じ行動ができるアンドロイドということですね。それでは次の曲ですが、今度はボーカロイドの結月ゆかりと未夢にも手伝ってもらおうかと思います。彼女達の生演奏に合わせて歌ってみるというものです。何かリクエストはありますかー?」

 その時、ステージ裏から顔を出している者がいた。

 敷島:(KAITO?……あっ!)

 その時、敷島は思い出した。

 敷島:(しまった!KAITOにマネキンロイドのこと言ってない!)
 シンディ:「……あ、はい。“千本桜”ですね。やはり大人気のボカロ曲ですものね。社長?……社長!」
 敷島:「……おっ?」
 シンディ:「おっ、じゃないでしょ。“千本桜”のリクエスト来たわよ」
 敷島:「あっと!これは失礼しました!それではリクエストにお応えして、張り切って参りましょう!レッツゴー・ミュージック!」
 ゆかり&未夢:「大胆不敵に♪ハイカラ革命♪来々磊々♪反戦国家♪」

 敷島は急いでステージ裏に戻った。

 敷島:「KAITO、お前どうしてここへ?」
 KAITO:「次のラジオの収録まで時間があったので来ちゃいました。ホテルに戻ってた方が良かったですか?」
 敷島:「よくここに入れたな?」
 KAITO:「受付の女性の方に事情を伝えたら、快諾してくれました」
 敷島:「イケメン無罪か、この野郎!……っと、それよりだ!お前、エミリーから何か聞いてるか?」
 KAITO:「は?何がですか?」
 敷島:「勾当台公園駅近くのブティックに行けって指示だよ!」
 KAITO:「いえ、何も聞いてません。……えっ?えっ?何かそこでお仕事でも入ってましたか?」
 敷島:
 KAITO:「まさかのダブルブッキング!?」
 敷島:「か、完……。バッドエンドだ……

 勝手にバッドエンドにされては困る!

[同日16:00.天候:雨 仙台市科学館]

 敷島:「えー、本日はお日柄も良い中起こし頂きまして、ありがとうございます」
 エミリー:「社長、外、雨です!」
 敷島:「正に夏の日差しが眩しい中、熱中症には十分気をつけて頂いて……」
 シンディ:「だから社長、外、雨!」
 敷島:「『マルチタイプの演奏会』、平和なうちに終了とさせて頂きます。またの機会をどうぞお楽しみに!ありがとうございました!」

 敷島、ステージ裏に戻ると、真っ青な顔をした。

 敷島:「KAITO!次の仕事行くぞ!」
 KAITO:「あ、はい」
 シンディ:「次の仕事?KAITOは18時くらいにラジオ局入りでいいんじゃないの?」
 敷島:「シンディは黙ってろ!エミリー、あのマネキンロイドの話だよ!」
 エミリー:「ああ、あれですか。何もそんなに慌てなくても……」
 敷島:「俺は約束を破っちまったんだぞ!急がないと!」
 エミリー:「そもそもがワガママなんです。もしゴネるようでしたら、私がバラバラに……」
 敷島:「KAITO、行くぞ!井辺君、悪いけど後を頼む!」
 井辺:「は、はい!」

[同日16:30.天候:雷雨 某高級ブティック]

 レイチェル:「KAITO様、今会いに行きます……!」

 敷島の懸念通り、勝手に電源が入ったレイチェル。

 Lily:「MEIKO先輩、お疲れさまでした!」

 近くのライブハウスでの仕事を終えたボーカロイドが2機。

 MEIKO:「お疲れー。やっぱLilyはロック向きだね」
 Lily:「先輩の方がよっぽどロックだと思います。……あっ、先輩!エネオス寄って、新型オイル飲んで戻ろ!あれは美味いぞー!」
 MEIKO:「はいはい」

 ガソリンスタンドに、エンジンオイル目当てで立ち寄るロイドが散見されるこの世界。
 そして、2人は例のブティックの前に差し掛かった。

 MEIKO:「? ねぇ?何か変な音しない?」
 Lily:「変な音?……近くで改装工事でもしてるんですかねぇ?」
 MEIKO:「いや、この店からだね。……臨時休業なのに、中か音が?」
 Lily:「だから、改装工事とか?」
 MEIKO:「んん?」

 すると、ショーウィンドーにレイチェルが現れた。

 MEIKO:「あー、スタッフがいるわ。やっぱ改装工事か棚卸しか」
 Lily:「そうかもです」

 2人は店の前を通り過ぎようとした。
 が、背後で大きな音がした。
 ガラスの割れる音だ。

 MEIKO:「!?」
 Lily:「なに!?」

 振り向くとレイチェルがガラスをブチ破って外に出ていた。
 防犯センサーが付いていたのだろう。
 店の中からは防犯ベルの音が響いてくる。

 Lily:「先輩、あれ、ロイドです!」
 MEIKO:「何ですって!?」

 するとレイチェルが、ギギギという音をしてMEIKO達を見た。

 レイチェル:「ボーカロイド……MEIKO……!」
 MEIKO:「何故にバレてるし!?変装してるのに!?」
 Lily:「人間は誤魔化せても、ロイドでスキャナー持ってるヤツが相手だと誤魔化し切れないようです」
 レイチェル:「KAITO様と別れて!」
 MEIKO:「は?なに?KAITO……様?どういうこと?あんた、KAITOの知り合い?」
 レイチェル:「知ってる。オマエが誑かした。体で!」
 MEIKO:「は?」
 レイチェル:「NTR!淫乱赤女!」
 MEIKO:「な、何かよく分かんないけど、取りあえず捕まえてエミリーかシンディに突き出そう」
 Lily:「そ、そうですね!何か無制御状態っぽいですし!」

 MEIKOとLilyが戦闘態勢に入った。
 と、そこへある者がやってきた。
 それは誰だったと思う?

 ①エミリー
 ➁シンディ
 ③バージョン4.0
 ④ロイ&村上大二郎

(※バッドエンドはありません)
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“Gynoid Multitype Sisters” 「ショーウィンドーのレイチェル」

2017-08-26 19:51:18 | アンドロイドマスターシリーズ
[8月12日13:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 定禅寺通り]

 敷島:「あー、食った食った。ごちそーさんっと」
 エミリー:「それでは地下鉄で、旭ヶ丘駅まで向かいましょう。勾当台公園駅が近いです」
 敷島:「そうだな」

 敷島は昼食を取ると、エミリーを伴って定禅寺通りを歩いていた。

 敷島:「ん?」

 すると途中にブティックがあった。
 どうやら今日は休業日のようだが、何故か敷島は気になった。
 作業服を着ている男が2人入って行ったのだが、その作業服はDCJ技術員のユニフォームだった。
 背中に赤いアルファベット大文字で、『D.C.J』と書かれている。

 敷島:「高級ブティックにDCJ?何だか合わないなぁ……」

 東北一の大都会だ。
 ここにDCJの支社や支店があってもおかしくはない。

 エミリー:「社長。急ぎませんと、科学館様との事前打ち合わせに遅れます」
 敷島:「それもそうだな。俺は営業畑。技術のことは技術屋さんら任せればいい」

 敷島はそう言って平賀の顔を思い浮かべた。
 そう言えば平賀も科学館にいるはずだ。
 一緒に打ち合わせに出ることになっている。
 敷島達がそのブティックの前を通り過ぎようとした時だった。

 技術員A:「うわなにをするやめr」
 技術員B:「暴走だ!捕まえてくれ!!」
 敷島:「!?」
 エミリー:「!?」

 店の方を見ると、若い女性が店の外に飛び出そうとしていた。
 エミリーは即座にスキャン。

 エミリー:「ロボット!?」

 エミリーは行動素早く、そのガイノイドを捕まえた。
 まるでバージョン・シリーズを相手にするかのように、エミリーは殴りかかろうとしたので、

 敷島:「エミリー、やめろ!壊すな!!」

 敷島が慌てて制した。

 エミリー:「はい!」

 エミリーは振り上げた右手の拳は引っ込めたが、押さえつけるのだけはやめなかった。

 技術員A:「も、申し訳ありません!」
 技術員B:「ありがとうございました!」
 敷島:「いえいえ。取りあえず報酬は、平賀太一外部執行役員に……」
 エミリー:「社長!」
 敷島:「冗談だよ。何ですか、このロイドは?」
 ガイノイド:「放して!放してください!放して!」
 エミリー:「黙れ!おとなしくしないと、右腕をへし折るぞ!!」
 敷島:「お嬢さん。今あなたを押さえつけているのは、アンドロイドの世界では女帝の1人、マルチタイプ1号機のエミリーだ。ここはおとなしくした方がいいぞ」
 エミリー:「あと1人は?」
 敷島:「シンディに決まってんだろ!……ああ、因みにアルエットは女帝見習いな」
 店長:「申し訳ありません。あなた様は敷島エージェンシーの敷島社長でいらっしゃいますね。ボーカロイド専門の芸能事務所の……」
 敷島:「私もいつの間にやら有名になっていたようですね」
 エミリー:「あれだけマスコミに出れば、そうなります。いいか、お前?少し押さえつける力を弱めるが、逃げようとしたら……分かってるな?」

 エミリーは両目をギラリと光らせて威嚇した。

 ガイノイド:「…………」
 敷島:「一体、どうしたというんですか?彼女、まるでメイドロイド並みの出来ですが、何かあったんですか?」
 技術員A:「はあ……」
 敷島:「私はこう見えても、ボーカロイドを連れて営業している者です。その知識を利用して、何かお役に立てるかもしれません」
 ガイノイド:「私はレイチェルと申します」
 エミリー:「レイチェル!?7号機の!?」
 ガイノイド:「? いいえ。私は6号機です」
 敷島:「いや、エミリー。マルチタイプ7号機のレイチェルとは違うだろ。てかもうあれ、アルエットにぶっ壊されたし」
 店長:「ショーウィンドーのマネキンに代わって、デイライトさんの方で安価で出来の良いロボットが開発されたというので購入したんです」
 技術員B:「メイドロイドを簡素化させたものです。そうすることで、さらに安価に提供できるというものです」
 敷島:「マネキンにメイドロイドの廉価版?それでも何か勿体無い気がするが……。まあ、いい。それでこのレイチェルとやら、どこが調子悪いんですか?」
 店長:「シャットダウンしようとしても、弾かれるんですよ」
 敷島:「は?」
 エミリー:「キサマ、命令違反か!」
 店長:「敷島社長も御存知の通り、こういうロボットはかなり電気を食べます」

 その為、ボーカロイドやマルチタイプの充電は、深夜電力や合法的にタダで充電できるコンセントを使用している。
 東日本大震災直後は電力不足の為、ボーカロイドは稼働休止を余儀無くされ、初音ミクだけが何とか稼働できたくらいだ。
 それでも1日たった3時間という制約で。

 店長:「ですので閉店時間や休業日は電源を落とすようにしているんですが、何故かこの3連休に入ってからシャットダウン操作しても弾かれてしまうんです」
 敷島:「分かりました。そこはロイド同士、エミリーに尋問させましょう。……拷問はしなくていい!」
 エミリー:「は?」

 エミリー、既に電気鞭を取り出して地面にピシッと叩き付ける仕草をしようとしていた。

 エミリー:「拷問は禁止されたが、私に尋問する権限は与えられた。さあ、どうしてシャットダウン命令を拒否したのか?答えろ」
 レイチェル:「…………」
 エミリー:「あと10秒以内に答えないと左の指一本ずつへし折るが、良いか?」
 敷島:「だからエミリー、拷問は……」
 エミリー:「答えろ!!」
 レイチェル:「……KAITOさん」
 敷島:「ん?」
 レイチェル:「KAITOさんの歌が聴きたいです」
 敷島:「……あっ!」

 敷島はKAITOの予定表を見た。

 敷島:「……この近くのライブハウスで、MEIKOやLilyとは別にライブやることになってる。なに?キミ、KAITOのファンなのかい?」
 レイチェル:(´∀`*)
 エミリー:「フザけるなよ……!」

 エミリーはレイチェルの胸倉を掴んだ。

 敷島:「待て待て。よくよく考えてみたら、バージョン4.0や5.0の中にもミクのファンがいるくらいだ。逆にガイノイドがKAITOのファンになったっておかしくはないぞ」
 エミリー:「ですが、社長。だからといって、マスターの命令を違反して良い理由にはなりません」
 敷島:「それもそうだな。じゃあ、こうしよう。KAITOにライブハウスの仕事が終わったら、ここに寄るように伝えておこう。握手でもサインでもするように言っておく。但し、ちゃんと今後はマスターの命令を聞くと約束すること。それが条件だ」

 すると、レイチェルの動きが止まった。

 エミリー:「シャットダウンしましたね。何て単純なヤツだ」
 敷島:「今後はKAITOのファン対策に、ガイノイドも入れなきゃいけなくなりそうだ」
 エミリー:「あっ、社長!それより打ち合わせ!」
 敷島:「ああっと、そうだった!取りあえずまた後で様子を見に来させてもらいますから!」
 店長:「あ、ありがとうございました」
 敷島:「急げ!仙台市科学館だ!」
 店長:「裏口からですと、勾当台公園駅への近道です」
 敷島:「おおっ、助かります!KAITOもそこから入ってもらうようにしよう」

 敷島達は店の裏口から出ると、急いで地下鉄の駅に向かった。

 技術員A:「凄いですね、主任」
 技術員B:「さすがは修羅場を何度も潜ってきた人達には恐れ入る」
コメント (5)
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