報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「修学旅行2日目」 6

2024-09-02 11:23:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月9日19時00分 天候:晴 沖縄県国頭郡恩納村 シェラトン沖縄サンマリーナ・リゾート・メインタワー]

 

 夕食の後は自由時間。
 但し、ホテルの敷地からは出ないようにとの条件。
 ただ、広いホテルなので、十分だろう。
 ホテルの中は、色々アクティビティが楽しめるそうだし。
 私が部屋に戻ったのは、善場係長との定時連絡の為だった。

 愛原「現在、恩納村のシェラトン沖縄です。今のところ、特に異常はありません」
 善場「お疲れ様です。体調の方は大丈夫ですか?」
 愛原「はい。おかげさまで。ただ、例の船のことを思い出そうとすると、激しい頭痛とフラッシュバックが起こります」
 善場「そうですか……。私は1度、本格的な検査をオススメしますね」
 愛原「はい。帰京したら、そうしたいと思います」
 善場「脳神経クリニックですが、1つ候補が見つかりました。私の父も都内の総合病院の脳神経外科に掛かっていたことがありまして、そのツテで知ったクリニックです」
 愛原「なるほど。いきなり総合病院には行けませんからね。そこは、初診でも大丈夫な所なんですか?」
 善場「はい。脳ドッグも予約無しで行ける所です」
 愛原「そうですか。では、係長オススメの所にさせて頂きますか」
 善場「かしこまりました。後ほどクリニックを紹介させて頂きます」
 愛原「ありがとうございます」
 善場「それと……今、所長の周囲にはリサがいますか?」
 愛原「いえ、今はいません。友達と、食後のカラオケでもしているのではないかと」
 善場「それでは大丈夫ですね。……上野利恵が言っていた、『秋田方面から来ている』という『鬼の末裔』の話ですが、半分は本当のようです」
 愛原「半分は本当とはどういうことですか?」
 善場「秋田で有名なのはナマハゲですが、それとは別に鬼の伝説はあります。それで『鬼とされた一族の末裔』のコは、確かに今リサと同い年で、秋田県の高校に通い、そして今、修学旅行で沖縄に来ているところまでは分かりました。それが上野利恵の言っていたコかどうかまでは、確定ではありませんが」
 愛原「鬼の末裔なんて、そうゴロゴロいるわけではないでしょうから、ほぼほぼそれで確定なのでは?」
 善場「99%、そうでしょうね。おかげさまで、白井が国内で何をしようとしていたのかも分かりましたよ」
 愛原「えっ?」
 善場「その『鬼の末裔』の家に問い合わせてみたら、確かに日本アンブレラ関係者を名乗る者が現れて、『血を取らせて欲しい』と頼まれたと言ってました」
 愛原「白井は何をしようとしていたんですか!?」

 確か、永遠の命に興味があったらしいが……。

 善場「リサみたいなBOWを造ろうとしたのかもしれませんね。Gウィルスは、今やリサしか保有していませんし、特異菌よりも制御が難しいですから」

 ここにいるリサを含め、他のリサ・トレヴァー達も白井には反抗的だった。
 非人道的な実験や観察を受けさせられたことが、反抗心を煽ったのだろう。

 善場「当然ながら、秋田県の家は断ったそうです」
 愛原「でしょうな。……そこは、リサと敵対することは無さそうですか?」
 善場「恐らく無いでしょうね。リサの方が敵対しなければ……」
 愛原「ああ……。リサには後で言っておきます」

 どうやら普段はリサと同様、人間として暮らしているらしい。

 愛原「今、そのコは沖縄のどこにいるんですか?」
 善場「那覇市内のホテルらしいですね。幸い、東京中央学園と宿泊先が被ることは無いです」
 愛原「そうですか。それなら……」

 こちらは特に心配することは無さそうだな。

 愛原「斉藤早苗はどうですか?」
 善場「今のところ、まだ現れません。私共を警戒しているのかもしれませんね」
 愛原「なるほど……」
 善場「……あっ、何かあったようです。一旦切ります」
 愛原「分かりました。失礼します」

 私は電話を切った。
 どうやら、何か情報でも入ったかもしれない。

 高橋「先生。俺の知り合いが、闇で脳ドッグ受けさせてくれる病院見つかりましたんで」
 愛原「何で闇なんだよ!?普通に受けるわ!」
 高橋「いや、しかし……」
 愛原「善場係長が紹介してくれるクリニックに行くわい」
 高橋「まじっスか……」
 愛原「マジだよ!ほら、俺達もせっかく来たんだから、ホテルの中を歩いてみるぞ」
 高橋「は、はい!」
 愛原「カードキー忘れるな」
 高橋「もちろんです」

 私達は部屋を出た。

 高橋「どこに行きますか?」
 愛原「まずは1階に下りよう」
 高橋「ういっス!」

 私達はエレベーターホテルに向かった。
 因みに客室前の廊下だが、その前は吹き抜けになっている。
 1階からの吹き抜けで開放的だ。

 愛原「まるで、豪華客船の船内だな……」
 高橋「俺にはイオンモールの店内に見えます」
 愛原「何でオマエはそんな安っぽい想像しかできんのだ?」
 高橋「豪華客船なんて乗ったこと無くて……」
 愛原「オマエ、顕正号には……っく……!」

 また激しい頭痛が……。

 高橋「先生!だからここはイオンモール的って思っといた方がいいですって!」
 愛原「う、うるさい……!」

 私達はエレベーターホールに着いた。

 愛原「とにかく、1階に下りるぞ!」
 高橋「は、はい」

 エレベーターは外観タイプになっていて、吹き抜けの方を向いている。
 残念ながら屋上は無いのだが、クイーン・ゼノビア号においては、まるでオペラハウスのような吹き抜けホールからエレベーターで展望台に上がれたそうだ。

 愛原「留守番してるパールとかに、お土産を買って行くといいだろう」
 高橋「ここで買って行くんスか?」
 愛原「高級ホテルの売店で買った土産なんて喜ぶぞ」
 高橋「た、確かに。でも、かさばりませんかね?」
 愛原「だったら宅急便で送ればいい」
 高橋「な、なるほど」

 売店ではお土産物の他、スナック菓子や飲み物なども扱っている。
 リサなど、絶対に立ち寄りそうだ。

 高橋「あ、俺、先にタバコ買い足しておきます」
 愛原「そうか」

 私は土産物が並んでいるコーナーに行き、高橋は日用品などが並んでいるコーナーへと向かった。
 仙台の実家にも送ってあげるか。
 ここから宅急便で送れそうだ。

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