報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「修学旅行3日目」 3

2024-09-07 16:36:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月10日11時00分 天候:曇 沖縄県国頭郡本部町 海洋博公園(美ら海水族館)]

 オキちゃん劇場にて、イルカショーを見物する。

 リサ「あれは魚じゃない!」
 愛原「そりゃイルカは哺乳類だからな。漢字で『海豚』と書く」

 体型的にはマナティーの方がよっぽど豚って感じなのだが、イルカの方が海の豚扱いされてしまっている。

 愛原「イルカかぁ……イルカなぁ……」
 高橋「どうかしたんスか?」
 愛原「いや……仙台に、イルカがマスコットキャラのパチンコチェーンがあるんだ」
 高橋「はあ……パラディソですかね」
 愛原「うん……。 出なかったわぁ……。大赤字叩き出して、当時の給料使い果たして両親にメチャクチャ怒られたわ……」
 高橋「た、大変でしたね……」
 愛原「あの時は凄いパチンカスだったから……」
 高橋「お、俺もです!」
 愛原「今でもあのCMを見る度に、『嗚呼……どうしてあそこで席を立たなかったのか』と悔やまれる……」
 高橋「お、俺もです!」
 愛原「嗚呼……」
 高橋「嗚呼……」
 淀橋「リサ、先生達、また具合悪いみたいだよ?」
 リサ「大丈夫。たまにパチンコの話して、お兄ちゃんと一緒に頭抱えてること、あるから」
 小島「パチンコ依存症?」
 リサ「それなら、多分ここにはいない」
 小島「それもそうか」
 リサ「それよりも……」

 リサは口を少し開けて牙を覗かせた。

 リサ「あれはどこで食べられるの?」
 イルカ「ピ!?」
 淀橋「イルカは食べ物じゃないっスよ、魔王様?」
 リサ「え、でも哺乳類なんでしょ?」
 小島「魔王様にとっては、肉食獣も食料だからね……」
 リサ「肉食獣は、さすがにマズいね。人間の肉は美味そうだけど……」
 淀橋「わ、私は不味いですよ。ハハ……」
 小島「お、同じく……」
 リサ「遠慮しなくていいのにぃ……!」

 リサは瞳を鈍く赤く光らせた。

 淀橋「マズッ!」
 小島「目を見ちゃダメ!」
 リサ「ちっ、バレたか……」
 レイチェル「Hypnosis!?」
 小島「そうよ!」
 淀橋「え、何て?」
 小島「催眠術かって」
 淀橋「似たようなもんだね」
 リサ「寄生虫が使えなくなったから、代わりに……」
 レイチェル「Vampireみたいなこと、できるようになりましたねぇ……」
 リサ「ねー?まだ寄生虫使ってる方がBOWって感じだったよね」
 レイチェル「……自分で言いますか」

[同日12時00分 天候:曇 美ら海水族館・カフェオーシャンブルー]

 巨大な水槽の前にあるカフェで昼食を取ることにする。

 リサ「おー!」
 愛原「こういう所で食う機会は滅多に無いからな、ここで食おう」
 リサ「あの水槽の中から、食べる魚選ぶの?」
 愛原「寿司屋じゃねーよw」

 さすがに水槽の前の特等席は、指定席らしく、テーブルチャージが掛かるようだ。
 そこから離れた普通席であっても、別に水槽は見える。
 私達はソファ席とテーブル席に、それぞれ別れて座った。
 引率者が、生徒達と一緒に食べるのはどうかと思ったからだ。

 愛原「凄いな。青いカレールーのシーフードカレーとか」
 高橋「たまに、海軍カレーとかでこういうのありますよね」
 愛原「そうだったか?」
 高橋「少し前、東京湾フェリーに乗りましたよね?あの時、土産物コーナーで見ましたよ」
 愛原「あー……そういえばあったかもしれんなぁ……」
 高橋「どうします?」
 リサ「あのジンベイザメの活け造り」
 淀橋「何人分ですか!」
 レイチェル「また捕鯨すると、ゲルマン連中が文句言いに来ますよ」
 愛原「あ、やっぱあれ、ゲルマン系だったのね」

 レイチェルはれっきとした白人だが、あの言い方ではゲルマン系ではないようだ。
 アメリカ人は旧称インディアンと呼ばれた民族以外は、移民ばかり。
 レイチェルも先祖はヨーロッパからの移民だと思うが、どこから来たのか。
 後で聞いてみよう。

 愛原「決めた!『美ら海シーフードカレー』」
 高橋「ドリンクはどうしますか?セットで付けられるみたいっスけど?」
 愛原「アイスコーヒーにしよう。高橋は?」
 高橋「あ、俺も同じので。ちょっと、注文してきます」
 愛原「ああ、頼む」

 高橋は注文カウンターへと向かった。
 リサ達も決まったようだ。

 愛原「リサは何にするんだ?」
 リサ「『青いチキンカレー』!」
 愛原「やっぱり肉にするか」
 リサ「もち!本当は、あのサメ食べたかったけど」
 ジンベイザメ(;゚Д゚)
 愛原「だから、生け簀じゃないって!」

 これだからリサは、水族館とか動物園には連れて行けないんだ。
 ペンギンも絶対お持ち帰りして食べようとするだろうな。

 高野芽衣子「『青いカレー』だけじゃなくて、たまには“青いアンブレラ”のことも思い出してね?」
 愛原「分かってるって。……え?」

 私はバッと後ろを振り向いた。

 高野「お久しぶりです、愛原先生」
 愛原「高野君!?どうしてここに!?」
 高野「もちろん、BOW対策の為ですよ」
 愛原「リサは大人しくしてるが……。まあ、今現在、あそこで泳いでるジンベイザメ食べたがってるけど、人食いしようしているわけじゃない」
 高野「ええ、ええ。もちろん、リサちゃんじゃないですよ。今、“青いアンブレラ”では、沖縄本島全域が警戒区域ですから」
 愛原「そ、そうなのか」
 高野「特に那覇市内はご注意ください」
 愛原「県庁所在地がヤバいのか」
 高野「何しろ今回のBOWは、エブリンみたいに人間に化けてますからね」
 愛原「エブリンか。リサと同じだな」
 高野「今夜は那覇市内にお泊りでしょう?お気をつけくださいね」
 愛原「おいおい。そんなこと言うんだったら、そっちで掴んでる情報、こっちにもくれよ」
 高野「多分、BSAAで掴んでる情報と五十歩百歩だと思うので、それは向こうのテーブルに座ってるBSAAに聞いてください。では」

 そう言うと、高野君は悠然と去って行った。
 何故か、高橋の方に目配せしていたような気がするが……。
 確かに、午後は再び那覇市内に戻って、そこのホテルに宿泊するんだった。
 最初に泊まったホテルとは、また違うホテルである。
 ランキング的には、沖縄ホテル以上シェラトン沖縄未満といったところか。
 そして、ホテルに荷物を置くと、夕食まで市内散策。
 明日の最終日は、空港へ集合まで自由行動である。

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