報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「パールと買い物」

2024-07-10 20:35:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月16日13時05分 天候:曇 東京都墨田区菊川1丁目 ライフ菊川店→ENEOSウィング菊川SS]

 パールと車でスーパーに買い物に来たリサ。
 同じ1丁目のマンションに住んでいた頃は徒歩圏内だったが、2丁目に引っ越してからは、何がしかの特売とかでもない限りは足を運ばなくなってしまった。
 何しろ4人分の食料品や雑貨品を買うとなると、それなりの荷物になる為、徒歩圏内ならまだしも、そうでない場合は車が必要になる。
 ……そこ!『だったら自転車は?』というツッコミは受け付けないぞ!自転車の積載量を考えろ!

 雲羽百三(一代法華。ナレーター兼)「……だいたい世の中、重箱の隅を楊枝でほじくるかのように細かいことを気にし過ぎる輩が多過ぎる!華麗にスルーとかもできないアホが……」
 警備員「ちょっと!店内用のマイク、勝手に使わないでー!」
 雲羽「てやんでい!何が『正しい宗教』だ!功徳無ェーっ!!」
 警備員「ちょっと事務所まで!」

 リサ「何かカントク、凄い荒れてるよ?……あーあ、連れて行かれちゃった」
 パール「どうせまた婚活に失敗したんでしょう」
 リサ「それか、またXのアカウントが凍結された?」
 パール「意表をついてBlueskyかもしれないし、マストドンのアカウントかもしれませんね」
 リサ「なるほど。フォローしていたブルマ愛好家の人のアカウントが凍結されたのかも」
 パール「それかもしれませんね」
 リサ「じゃあ、早速肉!」
 パール「その前にお野菜からです」
 リサ「ちっ……。だいたい、スーパーって入口近くに野菜があって、肉とか魚とかは奥にあるよねぇ……」
 パール「“ベタなスーパーマーケットの法則”ですね」
 リサ「法則その1が、店内の商品の配置か」

 リサは2階へ上がるエスカレーターを見た。

 リサ「『1階は食料品、2階は日用品』の法則?」
 パール「それもありますけど、ここは『1階が駐車場、2階がお店』ですね」
 リサ「なるほど」

 2人はエスカレーターで2階に上がった。
 それからリサはカゴを取り出し、カートに乗せる。

 リサ「今日の夕食は?」
 パール「すき焼きにしましょう。今日は牛肉が安いので」
 リサ「ムフフ……!」
 パール「あとはキノコですね」
 リサ「熱や光を浴びると巨大化するヤツ?」
 パール「“うる星やつら”じゃないんですから」
 リサ「“魔法のキノコ”?」
 パール「マジックマッシュルームじゃないですよ。ここで安くなっているのは、エリンギとマイタケとシイタケです」
 リサ「あいよ」

 リサは次々と食材をカゴに入れて行く。

 リサ「斉藤家にいた頃も、こんな買い物してたの?」
 パール「そこでも家事は、当番制でしたからね」
 リサ「フムフム」

 夕食だけでなく、明日の朝食の食材も購入する。

 リサ「あとは、先生のビール……。わたしの酒!」
 パール「“鬼ころし”ですね」

 それらを購入して、レジに並ぶ。

 パール「1回払いで」
 店員「かしこまりました」
 リサ「おっ、先生のカード」
 パール「普段の買い物でポイントがすぐ溜まるので、溜まったポイントが前回みたいな泊まり掛け旅行の足しや食事代になるらしいですよ」
 リサ「さすがは先生」

 会計が終わると、リサは袋詰めを手伝った。

 リサ「これでいい?」
 パール「完璧です。ありがとうございます」
 リサ「むふふ……」

 あとは、このまま帰る予定なのだが……。

 パール「荷物を車に載せててください。私は手紙をポストに入れてきます」

 スーパーの前に、郵便ポストがある。

 リサ「はーい」

 リサは4人分の食料が入った大きなレジ袋を両手でヒョイと持つと、先に車に戻った。
 その荷物はハッチを開けて、後ろに積み込む。
 ライトバンなので、荷物の積み下ろしは楽だ。
 地味なライトバンをリースしているのは、隠密行動用にも使えるようにする為。
 荷物を積み込み、車の前で待っているとすぐにパールが戻って来た。

 パール「お待たせしました」

 そして、また車に乗り込む。

 リサ「何の手紙?」
 パール「請求書です。クライアントさん方宛ての」
 リサ「ああ!」

 そして、パールはエンジンを掛けた。

 パール「あっ……」
 リサ「ん?」
 パール「帰る前に、1つ寄りたい所が」
 リサ「どこ?」
 パール「ガソリンスタンドです。マサのヤツ、入れ忘れてる」
 リサ「あらまっ!」
 パール「ちょっと、そこ寄って行きますね」
 リサ「りょーかい。一応、先生に言っておこうか?」
 パール「お願いします」

 パールは車を出した。
 リサはスーパーで買った冷えているジュースを前のホルダーに置くと、愛原にLINEを送った。
 愛原からはすぐに返信が来た。

 リサ「オッケーだって。支払いはエネオスのカード使ってだって」
 パール「分かりました」

 まずは店の前の一方通行の道を南下し、それから新大橋通りに出る。
 新大橋通りは下り線に入り、住吉方向に向かう。
 そして、地下鉄の菊川駅と住吉駅の間ぐらいの所に、ガソリンスタンドはある。

 リサ「もう無くなってたんだ?」
 パール「半分ぐらいですね。でも、もし突然車が必要になった時のことを考えて、常に満タンにしておくようにというのが先生のお言葉です」
 リサ「なるほど」

 ガソリンスタンドで給油中の間に、雨が降ってきた。
 それに気づいたのは、給油中にリサが降りてから。
 飲み終えたジュースの空き缶を捨てに行った時の事だ。

 リサ「雨降って来た……」

 そして、車に戻る。

 リサ「雨降ってきたよ」
 パール「ええ。降る前に帰りたかったのですが、残念でしたね」

 給油が終わり、ガソリンスタンドをあとにする。
 再び新大橋通りに出て、今度は上り線を進む。

 パール「リサさんも夕食作り、手伝ってくれるんですよね?」
 リサ「もちろん!これも先生の為……」
 パール「はい、そうですね」

 雨は夕立のような降り方だった。
 サーッと強く降って来る感じ。

 パール「これでガレージのシャッター閉めてたら、マサを締める」
 リサ「あはは……」

 だが幸い、シャッターは開いていた。

 リサ「お兄ちゃん、締められずに良かったねー」
 高橋「当たり前だ、こら!」

 高橋がガレージまで迎えに来て、シャッターを閉めた。
 基本的に事務所は日曜日休みなので、シャッターは閉めておく。
 但し、クライアントからアポイントがある場合はこの限りではない。
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“私立探偵 愛原学” 「帰宅後の昼食」

2024-07-10 15:27:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月16日12時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 高橋「お待たせしました。ラーメンできたっス」
 愛原「おっ、ありがたい!曇ってるせいか、今日は涼しいからな」
 高橋「また今年の夏も、クソ暑くなるんスかね?」
 愛原「らしいな。だから、今のうちのラーメンだ」
 高橋「まあ、真夏に食うラーメンも、エクストリーム感あって美味いんスけどね」
 愛原「ガチ勢の意見だな。いや、全くその通り。リサを呼んでこよう」

 私はダイニングの内線電話を取ると、それでリサの部屋にコールした。
 コールボタンを押してる間、相手側のブザーが鳴るというものだ。
 これは前の住人が設置したものがそのままにされた結果である。
 それも、最初の住人であるという。
 なので、旧式の電話なのはその為だ。
 音色はまるで、昔の営団地下鉄の発車ブザーのようである。

 リサ「ハーイ?」
 愛原「昼飯だぞー」
 リサ「今行くー!」

 私は電話を切り、ダイニングの椅子に座ると、リサがバタバタ降りて来た。
 私服のままでも良いのだが、リサは私の気を引く為か、体操服とブルマに着替えている。

 
(“こんいろ保存会”様より画像拝借。https://bsky.app/profile/konirohozonkai.bsky.social)

 今日はシンプルに紺色のブルマのようだ。

 高橋「ほらよ。先生に感謝しな。チャーシュー5枚入りだ」
 リサ「わぁ!」
 パール「食べた後は、夕食の買い出しに行くからね」
 リサ「分かったー!」

 今日の昼食当番は高橋。
 夕食はパールとなる。
 リサは手伝うことがあるし、どちらかというと片付けをメインにしている感じ。
 私の場合は、たまに出前とか外食に連れて行く程度。

 愛原「早めに行くのか?」
 パール「夕方前から雨が降って来るそうですよ」
 愛原「あー、確かに何だか曇ってきたなぁ……」

 今日はも元々曇っていた。
 だが、都内は薄曇りという程度で、雨の心配はしていなかった。

 高橋「成田の方は降ってるみたいっス」
 愛原「なに、ホントか?」

 実際どんより曇っていたのは、成田空港周辺。
 とはいえ、航空ダイヤに影響は無い。
 雲の上に出てさえしまえば、特にフライトに支障も無いので。
 両親を例に取れば、沖縄までどんよりとした雲が続いているわけでもないし。
 天気予報では関東地方ではぐずついた天気になるものの、沖縄は絶好の行楽日和とのことである。

 高橋「はい」
 愛原「早めに飛行機で出発して良かったな。で、俺達もとっとと帰って良かったよ」
 高橋「そうですね」
 パール「先生、車借りてもいいですか?」
 愛原「ん?マルエツじゃないの?」
 パール「今日はライフの方で、牛肉の特売をやっているそうです」
 リサ「ピクッ!」👂

 リサ、右耳だけ鬼形態となる。

 愛原「そうなのか。そういうことなら、いいよ。リサも行きたがってるし!」

 リサはチャーシュー麺を思いっ切り啜っていた。
 いや、啜るというより、丼飯をガバガバ食う感じだ。
 元人間とはいえ、鬼型の生物兵器が人間の食いモン、ガバガバ食いやがって……。
 だが、それがいい。

 愛原「それよりリサ、頼んでいた斉藤早苗の私服写真は?」
 リサ「エレンに頼んでるけど、まだ送って寄越さない。催促したら、『今日は塾だから待ってて』だって」
 愛原「塾通いか……。大変だな」
 リサ「今のエレンの家、カネ無いはずなのに……」
 愛原「まあ、塾通いだと仕方が無い。忙しいからね」
 リサ「先生も塾通いしてたの?」
 愛原「ああ……まあね」
 高橋「羨ましい限りっス」
 パール「ホントですね。うちは毒親育ちなので、ロクに学校も行けなかったくらいです」
 愛原「まあ、互いにガチャ失敗した例がここに。俺は塾通いしても、そんなに成績が上がらず、有名大学は軒並み落ちたアホだから」
 高橋「い、いぇ、そんなことは……」
 リサ「なるほどねぇ……」
 愛原「リサは俺と違って、赤点を1回も取ったこと無い優等生なんだから塾に行く必要は無いな」
 リサ「フーム……」
 愛原「まあいいや。絵恋から写真送られてきたら、教えてくれ」
 リサ「分かった」

[同日12時30分 天候:曇 愛原家3階ダイニング→リビング]

 リサ「昼休みとかあるだろうに、エレンのヤツ、全く返信してこない」

 リサはキッチンの流しでラーメン丼を洗いながら言った。

 愛原「忙しいんだよ。本来の高校3年生なんて、そんなもんだ。ましてや、絵恋さんは国立大学狙ってるテイなんだろ?」
 リサ「東京中央学園大なら、一緒に通えるのにねぇ……」
 愛原「学生寮あるんだっけ?」
 リサ「留学生の受け入れとかもできるように、設置したみたいだよ。でも、レイチェルは帰国しちゃうからムリ」

 BSAA北米支部の養成学校は、4年制である。
 このうち、他国支部への留学は1年ないし2年である。
 最初の2年は一般教養であって、実際のBSAA隊員としての本格的な訓練は3年次以降に行われる。
 とはいえ、1年次・2年次は全くしないというわけではなく、レイチェルも毎週土曜日はBSAA極東支部日本地区本部や北米支部日本派遣隊の駐屯地に行って、戦闘訓練を積んだりしているという。

 パール「先生、食後のコーヒーをお淹れしますよ」
 愛原「ああ、助かるよ」
 高橋「先生の御両親、さすがに沖縄に着きましたよね?」
 愛原「そうらしいな。レンタカー屋に向かって、あとはレンタカーで移動するらしい」
 高橋「マジっスか!いいっスね!」

 両親のインスタグラムには、両親が那覇空港からレンタカーショップに向かう送迎バスの画像が映っていた。
 他の空港でもそうだが、レンタカーショップが空港から徒歩圏内に無い場合、ショップが無料送迎バスを運行していることがある。
 私は仙台空港のイメージなので、ワンボックスやマイクロバスでの送迎かと思っていたのだが、両親が利用したショップは大規模店のようで、中型路線バスと同等の車種を使用しているようだった。

 愛原「リサの修学旅行の時も、レンタカー借りることになるんじゃないかな?」
 高橋「マジっスか?」
 愛原「緊急用に借りることがあるって聞いたことがあるよ。特に、交通の便が悪い所とか……。急に生徒が具合悪くなったり、ケガをして病院に連れて行かなきゃいけなくなった時とかね」
 高橋「あっ、なるほど。そういうことでしたか。中等部代替修学旅行の時は借りませんでしたが……」
 愛原「あれは出発が夜行列車だったこともあるし、最初がスキー場だったからね。その後はバス旅行だったから、レンタカーの出番が無かったんだよ」
 高橋「そういうことでしたか」
 愛原「まあ、緊急用に1台キープするだけだから、ライトバン1台でいいんじゃない?」
 高橋「それもそうっスね」

 13時頃にはリサとパールは、車で買い物に出かけて行った。
 その際、さすがにリサはパーカーとスカートを上に着て行った。
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“私立探偵 愛原学” 「成田空港より帰京」 2

2024-07-08 21:39:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月16日09時19分 天候:曇 東京都墨田区江東橋 JR総武本線780F列車5号車内→JR錦糸町駅]

〔まもなく錦糸町、錦糸町。お出口は、右側です。総武線各駅停車と地下鉄半蔵門線は、お乗り換えです。錦糸町から先は、各駅に止まります〕

 成田空港から1時間20分、私達は無事に錦糸町駅へと到着した。
 ここから更にバスに乗り換えるのだが、JRの駅としては、ここが最寄り駅となる。

 愛原「さーてと、やっと降りる駅だ」
 リサ「今頃、先生のお父さんとお母さん、空の上だね」
 愛原「ああ、そうだな。来月には、俺達も空の上だ」
 リサ「うふふ……」

 電車がホームに止まると、ドアチャイムと共に片開きのドアが開いた。

〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、馬喰町に、停車します〕

 ここで電車を降りる。

 愛原「ちょっとバスの時間まで、空きがあるんだ。トイレ休憩したり、タバコ休憩したりして時間を潰そう」
 高橋「分かりました」

 ホームからコンコースに下りると、私達はトイレに向かった。

 リサ「電車のトイレ、きれいだったよ」
 愛原「そりゃ、新型のE235系だもんな」

 トイレを済ませると、改札を出て南口へ。
 駅前広場にある喫煙所で、高橋夫婦は一服。
 私とリサは、NewDaysで飲み物を買って水分補給した。

 愛原「帰ったら、ゆっくりするか」
 リサ「わたし、宿題やる」
 愛原「ああ。そういうのは、さっさと片付けた方がいい」
 リサ「ところで、善場さんから電話は?」
 愛原「いや、まだ無いな。まさかとは思うが、日曜日出勤してしたりしてな」
 リサ「エージェントになると大変だなぁ……
 愛原「そうだよ。最悪、バイオハザードたけなわの所を走り回らなきゃいけなくなる」
 リサ「やだねぇ……」
 愛原「今は、そんな大規模でバイオハザードも起こってないから大丈夫だろ。日本国内では、斉藤早苗……つまり、白井伝三郎を捕まえれば」
 リサ「うん、確かに」

[同日09時47~09時52分 天候:曇 錦糸町駅前バス停→都営バス錦11系統車内]

 高橋夫婦の一服が終わり、まだ少し早いが、バス停に行くことにした。
 1時間に2本しかない。
 バス運転手不足による減便というよりは、乗客が少なくなったから減便になったのだろう。
 かつては東京駅丸の内北口に向かう東20系統もあったのが、こちらは廃止されてしまった。

 高橋「先生、お昼は何にしましょう?」
 愛原「そうだな……。ラーメンでも作ってくれないか?この前買った袋麺あるだろ?」
 高橋「分かりました」
 リサ「ラーメンか。なるほど……」
 愛原「リサにはチャーシュー麺で」
 高橋「了解です」

 そんなことを話しているうちに、バスがやってくる。
 成田空港のターミナル間無料循環バスで乗ったのと同じ車種だった。
 違うのは、車椅子スペースの跳ね上げ席が跳ね上げられていないことだ。
 バスに乗り込み、後ろの席に座る。
 マスコットキャラクター“みんくる”のイラストが入っている。

 高橋「夜はどうしますか?」
 愛原「夜は……鍋にでもするか?スーパーで適当に食材買ってきてさ……」
 高橋「分かりました」
 愛原「買い出しにはリサに手伝ってもらえばいい」
 リサ「分かった」
 高橋「それはいいっスね」

 発車の5分前にやってきたバスだが、だいたい発車前になると、席が粗方埋まっている。
 本数は少ないが、需要に見合っているのだからしょうがない。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 バスは発車の時刻になると、グライドスライド式の前扉を閉め、都道465号線を南に走り出した。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは森下駅前、浜町中の橋経由、築地駅前行きでございます。次は錦糸堀、錦糸堀でございます。警備会社の全日警、東京中央支社へおいでの方は、菊川一丁目でお降りになると便利です。次は、錦糸堀でございます〕

 愛原「なあ、リサ」
 リサ「なーに?」
 愛原「もしも斉藤早苗が成田に向かったとしたら、何の為だろうな?」
 リサ「高飛びじゃない?沖縄にいたんじゃ、デイライトの人達に見つかるからでしょ?」
 愛原「わざわざ、そのデイライトの近くの成田にか。まあ、羽田よりはマシだと思うけど」
 リサ「ジェットスターって安いんでしょ?それとか?」
 愛原「予算の都合でLCCにしたんたなら、他にもLCCは飛んでるからな。ピーチとか、ソラシドエアとか。それで別の地方に行けば、デイライトからは逃げられる。デイライトは六大都市にしか事務所を構えてないからだ」
 リサ「どっちみち、東京以外の大都市にも事務所があるんだったら、地方に逃げても無駄なんじゃないの?」
 愛原「普通はそうなんだが……」
 リサ「霧生市に向かったとか?」
 愛原「だとしたら、何らの目撃情報があってもいいはずなんだ」
 リサ「善場さん達、成田に向かったのかな?」
 愛原「分からん。日曜日返上で行ったのなら、本当に大変なことだ」

 ある意味、公権力の出番なので、それが使えない民間の探偵業者たる私らの出番は無い。

[同日09時59分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 菊川駅前バス停→愛原家]

〔「ご乗車ありがとうございました。菊川駅前です」〕

 バスが新大橋通り沿いのバス停に停車する。

 愛原「ここまで来たら、帰って来たも同然!」
 高橋「全くですね」
 リサ「買い物はいつ行くの?」
 高橋「昼飯食ってからでいいだろ。どうせ、すぐ近くのマルエツだ」
 リサ「なるほど」

 リサはリサで、何か買いたい物があるようだ。
 一瞬、交差点角にあるコンビニの方を見ていた。
 それはスーパーでも売ってるものなのだろう。
 私は私で、情報収集でもしよう。
 これから新婚旅行の思い出辿りの両親には申し訳無いが、あの2人にも協力してもらおう。
 斉藤絵恋、もしかしたら、いつの間にかひょっこり沖縄に戻ってるかもしれないからな。
 何も知らない人が、何気に目撃していたりするものだ。
 とはいえ、さすがにブルマ画像を送るのはどうかと思った。

 愛原「リサ。後で絵恋さんに、制服か私服姿の斉藤早苗の写真送ってくれるように伝えてくれないか?」
 リサ「分かった」
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“私立探偵 愛原学” 「成田空港より帰京」

2024-07-08 14:34:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月16日07時59分 天候:曇 千葉県成田市三里塚御料牧場 JR成田空港駅→成田線(空港支線)780F列車5号車内]

 

〔「2番線に停車中の電車は7時59分発、快速、東京行きです。都賀までは、各駅に止まります。4号車と5号車は、グリーン車です。乗車券の他に、グリーン券が必要です。発車までご乗車になり、お待ちください」〕

 私達は成田空港の地下にある駅から、東京に向かう電車に乗り込んだ。

 

 成田空港から錦糸町駅までは、およそ1時間20分ほど。
 特急列車みたいな設備の車両なら、ラクに移動できるというわけだ。
 今度はそんなに大きな荷物は持っていなかったので、平屋席ではなく、2階席に座ってみた。
 まもなく発車時刻になろうとするが、車内は空いている。
 もっと本数の多い京成に客が流れるのか、或いはバスの方に流れるのかもしれない。
 千葉市内に行くのなら、この電車が1番便利なのだが。

〔この電車は、総武快速線直通、快速、東京行きです。停車駅は都賀までの各駅と、千葉、稲毛、津田沼、船橋、市川、新小岩、錦糸町、馬喰町、新日本橋、東京です。グリーン車は、4号車と5号車です。グリーン車をご利用の際には、グリーン券が必要です。グリーン券を車内でお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください〕

 乗った電車は新型車両ということもあり、グリーン車には充電コンセントがある。
 また、WiFiも飛んでいる為、リサにとってはありがたいことだろう。

 愛原「今頃、両親も飛行機の中だ」
 リサ「もう離陸した?」
 愛原「いや、8時10分だからまだだろう。でもまあ、搭乗時刻にはなっているから、今頃もう乗り込んでいると思うよ」
 リサ「そっか……」
 愛原「高橋達も付き合ってもらって悪かったな」

 私は通路を挟んで進行方向右側に座る高橋達に言った。

 高橋「いや、いいっスよ。俺達も先生の御両親には、お世話になりましたし」
 パール「その通りです」
 愛原「そうか」

〔「お待たせ致しました。7時59分発、快速、東京行き、まもなく発車致します」〕

 ホームから発車メロディが聞こえて来る。
 地下のホームなので、かなり響いた。
 曲名は“Esperanza(希望)”というらしい。

〔東京行き、快速電車が、発車します。ドアが閉まりますから、ご注意ください〕

 車掌が吹いているのか、ピィーッと笛を吹く音も聞こえて来た。
 それからドアチャイムを鳴らして、片開きのドアが閉まる。
 そして、電車が動き出した。

〔次は空港第2ビル、空港第2ビル。お出口は、右側です〕

 簡易的な放送なのは、下車客の事は想定していないのだろう。
 第2・第3ターミナルに行くのなら、ターミナル間無料循環バスが頻繁に運転されている為、わざわざ運賃を払ってまで電車に乗る客などいないからである。

 愛原「あれ?」

 その時、私のスマホに着信があった。
 見るとそれは、善場係長からだった。
 日曜日だというのに、仕事されているのだろうか?
 政府のエージェントは大変だな。

 リサ「どうしたの?」
 愛原「善場係長からだ。ちょっと、デッキに行ってくる」

 私はスマホを片手に、デッキに向かった。
 デッキといっても、乗降口と2階席・1階席を繋ぐ階段は扉で仕切られているわけではないので、本当にデッキと言えるかどうかは不明だ。
 平屋席はドアで仕切られているのだが。

 愛原「はい、もしもし?」」
 善場「愛原所長、おはようございます。善場です」
 愛原「おはようございます。係長」

 因みにこのやり取りをしている間に、電車は空港第2ビル駅に到着した。
 私は開かないドアの前に立ち、乗車客の邪魔にならない所に立った。

 善場「今、お電話大丈夫ですか?」
 愛原「はい、大丈夫です」
 善場「今、成田空港にいらっしゃると思います」
 愛原「はい。ただ、両親の見送りは終わりましたので、もう総武線の電車に乗っているところですが」
 善場「昨日から滞在されておられたんですよね?」
 愛原「はい、そうですが?」
 善場「空港内外で、斉藤早苗は目撃されませんでしたか?」
 愛原「いいえ……?あの、リサの言う“トイレの花子さん”ですよね?見ませんでしたよ」
 善場「そうですか……」
 愛原「もしかして、空港にいる可能性があるんですか?」
 善場「まだ、目撃情報は那覇空港においてですが」
 愛原「はあ……」
 善場「那覇空港では、彼女に似た者が、成田行きのジェットスターに乗ったという目撃情報があるのです」
 愛原「ジェットスター……」
 善場「令状が無ければ、航空会社側に乗客名簿の開示を求めても断られます。辛うじてようやく、那覇空港の監視カメラの映像を確認できただけです」
 愛原「何でも、沖縄中央学園に派遣した調査員さん達が行方不明になったとか?」
 善場「機密ですので、それは口外なさらぬようお願い致します」
 愛原「あっ……」
 善場「斉藤早苗は、しばらく学校に来ていないようです。あとは成田空港の監視カメラを映像を確認するだけです。所長方のGPSを確認させて頂いたところ、ジェットスターが離着陸する第3ターミナルにいらっしゃったようで、もしかしたらと思ったのですが……」
 愛原「いえ……申し訳ないですね。我那覇絵恋が送って来た画像が本当なのであれば、斉藤早苗の顔はそれで分かるのですが、ちょっと気が付かなかったですね……」
 善場「そうですか。それは残念です」
 愛原「まさか、成田空港にいるとは思いませんから……。後でリサにも聞いてみます」
 善場「よろしくお願いします」

 私はそれで電話を切った。
 電車は空港第2ビルを発車し、成田駅に向かっている。
 京成線もそうだが、JRもまた、駅間距離の長い区間である。

 愛原「ただいま」

 席に戻ると、座席はまだ空席が目立っていた。
 やはり、快速で東京に向かう需要は少ないのだろう。

 リサ「善場さん、何だって?」
 愛原「何でも、斉藤早苗が成田空港にいたかもしれないんだって」
 リサ「えっ、そうなの!?」
 愛原「そうかもしれないって話。何でも、那覇空港から成田行きのジェットスターに乗ったそっくりさんがいたらしいよ?」
 リサ「ジェットスターって、先生のお父さんやお母さんが乗った飛行機?」
 愛原「そう。俺は見てないんだけど、リサは見た?」
 リサ「いや~……」

 リサは首を傾げた。

 リサ「普通にかわいい子だと思うけど、それだけのコって、案外そこら辺にいたりするもんね」
 愛原「そうなんだよな」

 リサと斉藤早苗は顔は似ていないが、それでも似ているように思えるのは、髪型が同じということも去ることながら、リサもまた、『そこら辺にいる、ある程度かわいい子』だからであろう。
 『雰囲気そっくりさん』とでも言うのか?
 この2人が白い仮面を着けて現れれば、どっちがどっちだか分からなくなるだろう。

 愛原「まあ、目撃はしなかったということで。係長に報告しておこう」

 私はスマホを取り出した。
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“私立探偵 愛原学” 「両親の見送り」

2024-07-07 20:49:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月16日07時10分 天候:曇 千葉県成田市取香 成田空港第3ターミナル→成田空港交通ターミナル間無料循環バス車内]

 朝食を食べ終えると、両親達は国内線用の保安検査場に向かった。

 父親「離陸の1時間前だ。そろそろゲートに向かうとするよ」
 愛原「じゃあ、気を付けてね」
 父親「お土産は宅急便で送るよ。ちんすこうとか紫芋タルトとかでいいかな?」
 愛原「俺達はそれでいいんだけど、リサがなぁ……」
 父親「肉が好きなんだったな。分かった。ラフテーのレトルト食品とかあったら、それにしよう」
 リサ「ありがとうございますぅ!」🤤
 愛原「リサ、よだれ」

 マスクをしていて良かったナ……。
 こうして、両親は保安検査場を通過していった。
 一応、搭乗ゲートのあるサテライトに向かう所まで見送る。
 姿が見えなくなると……。

 愛原「じゃ、そろそろ帰ろうか」
 リサ「見送らないの?」
 愛原「ん?もう見送ならしただろう?」
 リサ「あの、飛行機が離陸するまで」
 愛原「ああ、そういうことか。第3ターミナルには展望デッキが無いんだ」
 リサ「そうなの?」
 愛原「隣の第2ターミナルにはあるんだが、そこからだと第3ターミナルは遠くて見えないらしいな」

 全く飛行機が見えないわけではないのだが、例えばこのターミナルをハブとしているジェットスターでさえ、ターミナル本館とサテライトを結ぶブリッジからなら飛行機がよく見えると案内しているほど。
 つまり、両親のように、これから搭乗する客しか見れないというわけだ。

 愛原「こういうのも含めて、LCCなんだろうな」
 リサ「ふーん……」
 愛原「なので、第3ターミナルの見送りはここまで。あとは帰るぞ」
 高橋「どうやって帰ります?」
 愛原「行きは京成だったろ?帰りはJRにしよう。JRの快速に乗って、錦糸町からのバス乗り換えだ」
 高橋「了解です」
 愛原「本数が少ないから、バスで第1まで行くぞ」
 高橋「えっ?」
 愛原「どうせなら始発駅から乗りたい。グリーン券なら奢るから」
 高橋「そういうことでしたら。バス代は……」
 愛原「いや、羽田空港も含めて、成田空港のターミナル間循環バスも無料だから」
 高橋「それはいいですね!……ちょっと、一服してきていいですか?」
 愛原「いいよ」

 保安検査場のすぐ近くにトイレがあり、その隣に喫煙所がある。

 愛原「沖縄に行く前に、沖縄の土産とか……w」
 リサ「確かに面白いね。ねぇ、先生」
 愛原「何だ?」
 リサ「都内にも、沖縄料理のお店とかあるよね?」
 愛原「あるなぁ」
 リサ「『予習』のつもりで、食べてみるというのは?」
 愛原「ははは、面白い発想だな。まあ、考えておこう」
 リサ「よろしくね」

 その後、高橋夫婦の一服タイムが終わり、私達はターミナルの外に出た。

 

 愛原「第1ターミナル行き、3番乗り場だそうだ」

 ターミナル間無料循環バスは、黄色く塗装されたノンステップバスが充当されている。
 但し、大きな荷物を乗せられるようにと、車椅子スペース席は予め収納されており、基本的にそこに座ることはできない。
 始発便は朝の5時23分発で、終バスは22時40分。
 その間5分~7分間隔とのことで、時刻表は掲示されていない。
 何故ならこの路線、貸切扱いである為、一般乗合のバスとは違うからである。
 バスに乗り込んで、後ろの席に座る。

 リサ「都営バスみたいだね」
 愛原「まあ、車種は同じだからな」

 発車の時間になったか、前扉と中扉が閉まる。

〔発車します。ご注意願います〕

 バスは第3ターミナルを出発した。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ まもなく、第2ターミナル1階到着ロビー8番バス停に到着致します。国際線ご利用の方は、こちらでお降りください〕

 発車して、すぐに第2ターミナルに差し掛かる。
 少し歩くが、それでも第3ターミナルから第2ターミナルは通路が繋がっているということもあり、徒歩連絡が可能な距離だ。
 それをバスで行くと、あっという間に到着する。
 あえて『国際線』と言っているわけだから、『国内線』のバス停は、また別にあるということだ。
 実際路線図を見ると、第2ターミナルには2ヶ所止まることになっている。
 尚、この全ターミナルに止まるバスであるが、基本的にはどのターミナルも乗車客がある為、降車ボタンを押さなくても停車してドア扱いをする。
 例外なのは、東成田駅。
 ターミナル間循環バスだから意外に思うかもしれないが、東成田駅のバス停にも停車する。
 しかしそれは、かつての駅前ロータリーではなく、空港敷地外の公道に設置されたバス停である。
 東成田駅は殆ど関係者しか利用しないということもあり、それはバス停も例外ではない。
 まさかとは思うが、降りたい場合はちゃんと降車ボタンを押さないと、乗車客がいない場合は通過してしまう。
 そこは注意が必要である。
 殆ど関係者しか利用しないとはいえ、一般人の利用が禁止されているわけではないので、別にそのバス停で乗降しようと思えばできるし、東成田駅で乗降もできる。
 ただ、徒歩で一旦空港の敷地内に入ることになる為、警備会社の警備員が警備している検問所を通らなくてはならない。

[同日07時45分 天候:曇 千葉県成田市三里塚 成田空港第1ターミナル]

 第2ターミナルで乗客の乗降があり、バスは第1ターミナルに向かった。
 座席は全部埋まり、吊り革や手すりに掴まる乗客もいる。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ まもなく、第1ターミナルに到着致します。国際線ご出発の方は、4階出発ロビー。国内線ご利用の方は、南ウィング1階へお進みください〕

 因みに日本語の他に、英語と中国語、朝鮮語が流れる。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく第1ターミナルです。お忘れ物、落とし物にご注意ください」〕

 バスは第1ターミナルに到着した。
 前扉と中扉、両方開く。
 後ろの席に座っていた私達は、中扉から降りた。

 愛原「じゃ、この足で駅に向かうぞ」
 高橋「はい!」

 ターミナルの中に入ると、成田空港駅に向かった。
コメント
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