ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“私立探偵 愛原学” 「正信号を探索せよ」 3

2018-11-20 19:14:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月8日12:00.天候:晴 豪華客船“正信”号 客室下階廊下]

 エレベーターが客室下階フロアに到着する。

 高橋:「あの時と同じだ。あの時も、この廊下はゾンビパラダイスでしたよ」
 愛原:「そうなのか」

 もし例え今現れても、ここには武装したBSAAの兵士が5人もいる。
 恐れるに足らんとは思うがな。

 リサ:「キレイなお屋敷みたい……」
 高橋:「俺にとってはトラウマだ。危うく、連続殺人犯にさせられるところだったんだからよ」
 愛原:「あの時か」

 高橋と私が最初に出会ったのも、こういう洋館みたいな所だった。
 そこで連続殺人事件が発生し、前科数犯で少年刑務所を出所したばかりの高橋が疑われたのである。
 それをものの見事に解決し、高橋の疑いを晴らしたことで、彼は私の押し掛け弟子となった。

 BSAA隊長:「Here.」
 愛原:「ん?」

 それは廊下に掛けられた1枚の絵画。
 先ほどの会議室内の物と同じ船の絵が描かれているが、こちらの方が大きい。

 隊長:「Hey.」
 隊員A:「Yes,sir.」
 隊員B:「Yes,sir.」

 隊長の合図で2人の隊員が絵画を外した。
 するとその下にも、会議室内にあった黄色い金庫があった。

 高橋:「うわっ、ここにもあったのかよ!?」
 高野:「こんなの分かるわけ無いよね」

 分かったところでゾンビパラダイス状態なのと、沈没寸前の状態ではゆっくり探している場合ではないだろう。
 こういうことに慣れたBSAA隊員でないと分からないわけだ。

 善場:「それでは当ててみます」

 善場さんは金庫にカードキーを当てた。
 すると、やはり読取機はそれを読み取って、ロックを解除した。

 愛原:「今度は何が入ってるかな?」
 高橋:「ロケランなんか入ってたら大儲けっスね」
 愛原:「んなわけねーだろ!w」

 隊員の1人が早速開けようとした時だった。

 リサ:「! 開けちゃダメ!!」

 リサが突然叫んだ。
 だが、時既に遅し。
 隊員は金庫のドアを開けてしまった。

 愛原:「わぁっ!?」

 金庫の中からクリーチャーが飛び出してきた。
 それは真っ白の体をしており、まるで水死体のように全身がふやけていた。

 隊長:「これはウーズか!?
 隊員C:「危ないから下がって!

 私には見たことも無い化け物であったが、このBSAA隊員達は知っているようだ。
 私達が急いで下がると、隊長が『ウーズ』と呼んだ化け物に一斉射撃を行う隊員達。
 どうやらザコ敵の一種らしく、最期にはドロドロに崩れて血だまりを作り、その中に一部の骨だけを残した。

 愛原:「ウーズって何ですか?」

 私の疑問を善場さんが通訳してくれた。
 隊長の説明によると、2005年頃に起きたバイオテロで現れたゾンビの一種らしい。
 ゾンビ化するのは人間などの哺乳類であるが、どんなゾンビになるかは感染したウィルスの種類によって異なる。
 私達が霧生市で相手にしたのは、初期の“Tウィルス”というもの。
 それに対してこのウーズというゾンビは、“Tアビス”というTウィルスを改造したものに感染した人間の成れの果てだという。
 前者のゾンビが生きた人間の肉を求めて彷徨い歩くのに対し、こちらのウーズは生きた人間の血液を求めて彷徨うのだそうだ。
 しかも体の柔らかさを生かしてダクトなどを自由に出入りし、どんな小さな隙間からでも侵入できるのがこのウーズの特徴。
 固く施錠された部屋であっても、ドアの隙間やダクトから侵入して獲物を追い詰めて行くのだという。

 善場:「2005年、地中海で起きた“クイーン・ゼノビア”事件では、このウーズがBSAAの隊員達を苦しめました」
 愛原:「そうだったのか……」
 高橋:「とんでもねぇミミックが潜んでいたもんだ。こりゃ、迂闊に金庫も開けられねぇよ」
 善場:「確かに愛原さん達が相手にしたTゾンビよりも手強い相手ですが、よく訓練されたBSAAの人達の手に掛かれば何の心配もありませんよ」

 そういう善場さんもさすがにびっくりしたのか、少し汗をかいているように見えた。

 善場:「とにかく、愛原さん達の部屋に行きましょう。愛原さん達の部屋はどこでしたか?」
 高野:「上のフロアですね」
 善場:「さっきのエレベーターで行きましょう」

 私達はエレベーターに向かった。
 その間、BSAAの隊員達は無線で今の戦いのやり取りをしていた。
 『αチームよりHQ、船内でウーズと遭遇した』とか『鎮圧に成功』とか報告しているのだろう。
 エレベーターに乗り込むと、善場さんが言った。

 善場:「実は午後から報道陣を中に入れて取材させる予定だったんです。ですが、こんな罠が仕掛けられてるとなると、中止せざるを得ないですね」
 愛原:「バイオテロ組織から押収した船でしょう?1番いいのは、顕正号みたいに沈没させることだと思いますよ」
 善場:「そうですね」

 客室上階に着いた。

 高野:「船長の居室はこの奥にあったみたいで、船長室にあったクレセントをはめ込んでショットガンを手に入れることができたんですよ」
 愛原:「そうなのか。さっき見た時は無かったな」

 或いはこのBSAA隊員達が先に探索していたわけだから、その時にこの人達が取ったか。

 高橋:「あったぞ。この部屋だ。311号室」
 愛原:「あ、うん。確かこんな感じのドアだった」

 しかしこのドアの鍵は普通の鍵だ。
 一体、どうやって開けるのだろう?

 隊員D:「No problem.」

 隊員が取り出したのはキーピック。
 それを鍵穴に入れてガチャガチャとやる。
 すると、カチッと開いた。

 愛原:「マジかよ」

 私が呆れていると、まるで敵のアジトに突入するかのように隊員達が部屋の中に入って行った。
 そして、『Clear!』という声が聞こえてきた。

 善場:「どうやら中は安全のようです」
 愛原:「はい」

 私達は部屋の中に入った。

 高橋:「あー、あの時と同じだ」
 高野:「本当に同じ造りですね」
 愛原:「そうなのか」

 やっぱり思い出せないなぁ……。
 いや、確かにこんな部屋だったと言われればそんな気もするのだが。

 善場:「あった!この金庫です!」

 善場さんは室内の金庫を指さした。
 確かにそれは、会議室や客室下階の廊下にあったものと同じ装飾が施されていた。

 善場:「早く開けてください」
 愛原:「は、はい」

 私は早速カードキーを当ててロックを外した。
 しかしさっきのこともある。
 開けるのはBSAAの軍人さん達にお任せすることにした。

 隊長:「OK.Open!」

 隊長の合図で隊員の1人が金庫を開けた。
 中には何が入っていたと思う?

 1:ウーズが現れた。
 2:鍵が入っていた。
 3:死体が入っていた。
 4:カードが入っていた。
 5:手紙が入っていた。
 6:何も無かった。
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“私立探偵 愛原学” 「正信号を探索せよ」 2

2018-11-20 10:16:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月8日11:00.天候:曇 神奈川県横浜市中区横浜港大さん橋 正信号船橋]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は沈没した豪華客船“顕正”号とは同型の姉妹船である“正信”号を探索していた。
 高野君達曰く、『言われないと分からないくらい、そっくりな造り』とのこと。
 こうして今歩いている間、正信号は静かなものだったが、顕正号はゾンビパラダイスだったわけだ。
 これだけの大型客船なのだから、船内にはエレベーターがある。
 それで客室フロアから船橋フロアまで上がった。

 高野:「船橋に出たわ!」
 高橋:「あの時と同じセリフ言いやがって」

 さすがは豪華客船の船橋。
 船員のロッカールームにはずらりとロッカーが並び、それを過ぎると操舵室に出た。

 高橋:「先生、ここまでの記憶は?」
 愛原:「いや、無いな……」

 私は首を傾げた。
 顕正号の船橋エリアには、早いうちに訪れていたという。
 私が倒れて意識を失う前の話だ。
 だからここでは、私も元気に船橋を訪れていたはずなのだが……。

 高野:「私達が到着した時、既に船橋は蛻の殻でした。この操舵室も、操縦の為の機器が全て壊されていたのです」

 と、高野君は説明した。
 もちろん、正信号の方は無事である。
 後ろにいるBSAAの軍人さん達が、自力で航行してきたわけだからね。

 愛原:「船員達がいなかったって、一体どうしたんだ?航海士達は?」
 高橋:「要はそいつらがテロリスト達だったというわけですよ。まんまと騙されたというわけです」
 愛原:「んん?船長も?」
 高野:「船長は……」

 私達は今度は船長室に移動した。
 豪華客船の船長室は、まるでどこかの大企業の役員室並みに豪勢な造りになっている。

 高橋:「この椅子に座って死んでました。ゾンビ化するまでもなく」
 愛原:「なるほど……」

 表向きは船員達の暴動ということになっていたか。

 善場:「皆さん、そろそろいいでしょうか?」
 愛原:「はい?」
 善場:「そろそろ客室の方に移動しましょう。愛原さん達が顕正号で宿泊していた部屋に行きませんと」
 愛原:「おっ、そうでした」

 それがそもそもの目的で来たのだ。

 BSAA隊長:「Hey.Ms.Toshiba.」

 その時、BSAA隊長が善場さんに話し掛けた。

 善場:「Huh?」

 隊長と善場さんが英語でやり取りをしている。
 そして……。

 善場:「あ、すいません。その前に、せっかくこの船橋エリアに来たのですから、もう一部屋探索したい部屋があるそうです」
 愛原:「え?」

 私達はBSAA隊長に付いて行った。
 それは船長室前の廊下を進んだ先にある部屋。

 高橋:「この廊下に船員のゾンビが1人いたもんで、俺がボコしてやりました」
 愛原:「ボコす?銃は?」
 高橋:「この時はまだ無かったんですよ。取りあえず足掛けて転ばせた後、そこにある消火器で頭叩き割ってやりました」
 愛原:「やるなぁ……」
 高橋:「『流血の惨を見る事、必至であります!』」
 愛原:「……だな」

 顕正号ではボッチの船員ゾンビが徘徊していたという廊下を進み、奥の部屋のドアを開けた。
 因みに船員全員がテロリストというわけではなく、一部に裏切り者がいて、そういうテロ組織と内通していた者がいたということ。
 その部屋は会議室になっていた。
 正信号では机と椅子とホワイトボードくらいしか無いが、顕正号は色々な物があって散らかっていたという。

 高橋:「ここで俺はようやくハンドガンを手に入れることができました」
 愛原:「あったんだ!」
 高橋:「因みに船橋エリアの鍵もここにありましたよ。これで船長室のドアの鍵を開けたりしたんです」
 愛原:「へえ……。この会議室の中にはゾンビとかいたかい?」
 高橋:「いなかったですね。さっきも言った通り、そこの廊下に1匹いただけです」
 高野:「あ、でも、さっきのロッカールームも後から行ったら、ダクトの金網ブチ破ってリッカーが出てきましたけどね」
 愛原:「そうか。リッカーいたなぁ……」

 大山寺の大本堂でそいつらと、そいつらのボスである逆さ女……もとい、サスペンデッドと無双したのを思い出した。
 私達がそんなことを話していると、隊長は会議室内に掛かっている絵画を外した。
 その絵画の裏には、黄色の金庫が出てきた。

 高野:「あっ、そうだ!顕正号にもあったわ、それ!」
 高橋:「何か違和感あったんだけど、顕正号じゃ絵なんか掛かってなかったな」
 善場:「そうですか。ここにもあったんですね」

 善場さんは私が先日渡したカードキーを金庫の前に翳した。
 すると、ピーッという音と共に、ガチャとロックの外れる音がした。
 開けてみると、中にはコルトパイソンが入っていた。

 高橋:「マジかよ、ここにあったのかよ!くそっ!」
 愛原:「顕正号では何が入ってた?」
 高野:「それどころじゃなかったんですよ。先生は倒れてましたし、後で気づいた時には船は沈没し掛かってましたし……」
 愛原:「これは顕正号と生き写しの船だろ?てことは、向こうにもコルトパイソンが入っていたのかもな」
 高橋:「だからですよ。最初のうちに手に入っていたら、先生も倒れずに済んだかもしれないのに!」

 しかし、最初から強い武器が手に入らないのが“バイオハザード”というものだからな。
 この日本で、早めのうちにハンドガンが手に入っただけでもマシというものだぞ。

 善場:「隊長、他にもこういう金庫があるんですか?」

 と、善場さんは英語で聞いたらしい。
 すると隊長は……。

 隊長:「That’s right.Follow me.」

 『その通りだ。ついてきてくれ』という意味で言ったのは何となく分かった。
 まあ、欧米人は身振り手振りも大きいからな……。
 私達は船橋エリアを後にし、客室エリアへと向かうエレベーターに乗り込んだ。
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“私立探偵 愛原学” 「正信号を探索せよ」

2018-11-18 20:18:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月8日10:15.天候:曇 神奈川県横浜市中区 横浜港大さん橋]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は横浜港までやってきた。
 今年の元日に、船旅を楽しんでいた私達を突然襲ったバイオテロ。
 船内は化け物の巣窟となり、最後には自爆装置の作動で爆発・炎上、そして沈没した。
 ところがその船には同型の姉妹船が存在しており、こちらは廃船寸前とはいえ、未だ洋上に浮かんでいたという。
 こちらもとあるバイオテロ組織が隠し持っていたらしいが、BSAAの介入により殲滅し、その船は押収された。
 そしてBSAAの船内捜索により、その安全が確保されると、日本に曳航されることとなった。
 曳航といっても、実際は自力航行である。
 今日の10時には横浜港の大さん橋に着岸するとのことで、私達は現場に向かった次第である。

 善場:「皆さん、見えて来ましたよ」

 大さん橋と言えば、多くの豪華客船が日本に寄港しようとする時、必ずと言って良いほどその接岸先になる港である。
 私達が昨年の大晦日に顕正号に乗り込んだ時も、あの大さん橋からだった。

 愛原:「おおっ!」
 高橋:「正しくあれは!?」
 高野:「顕正号ですね」

 船内の記憶が殆ど欠落している私だが、船の外観については覚えているぞ。
 うん、確かあんな感じだった。
 顕正号が戦艦大和なら、正信号は戦艦武蔵とはよく言ったものだ。

 リサ:「大きい……」

 リサが感嘆の声を上げた。
 さすがは豪華客船だ。
 大和も武蔵も巨大艦船だったことで有名であり、この顕正号……もとい、正信号も同じであった。

 愛原:「もう乗れるんですか?」
 善場:「ちょっと待ってください。今、BSAAが船橋から出てきます。BSAAの隊員達と一緒に中に入ることになってますので」

 因みに私達は、善場さんの車でやってきた。
 実際は政府の公用車なのだろうが。
 シルバーのアルファードなのだが、善場さんは助手席に座っているだけであり、運転席には善場さんの部下の男性職員が座っていた。

 警察官:「失礼します」
 善場:「今日、調査予定の善場です」

 バリケードで封鎖されている所までやってくると、警察官がやってきた。
 そこで善場が自分の身分証やら、書類やらを提示している。
 一瞬そこで警察官が、『ナイチョウ』と口走ったのを聞いて、私はやはり善場さん達は法務省とは別の省庁に所属しているのではないかと確信した。
 警察官はすぐに口を噤んだが、私の耳は誤魔化せない。
 『ナイチョウ』とは内調。
 つまり、内閣情報調査室ではないか。
 略称はCIRO(サイロ)、日本版CIAを目指して設立されたと聞いている。
 善場さんが公安調査庁の職員にしては、ちょっとなぁと思っていたが、内閣調査室の職員ならエージェントと称されても合点が行く。
 てか、そんな所が民間の探偵事務所に依頼していいのだろうか?
 もちろん、これ以上は政治的領域だから私達が首を突っ込んで良い話ではないだろう。
 しばらくしてゲートが開けられ、車は奥に進んだ。

 高橋:「先生、思い出せますか?あの船そっくりですよ」

 高橋は手持ちのマグナム44を弄りながら言った。
 今回だけは特別に所持が許可されたものである。
 別にBSAAが既に調査した後なわけだから、今さら正信号にもゾンビがいるとは思えないのだが。

 愛原:「いや……。実際に中に入ってみないと分からないだろうな」

 そして車は、タラップの前で止まった。
 すると船内から、フルフェイスのヘルメットを被った軍服姿の者達が5人ほど降りて来た。
 顔が分からないので、日本人なのかどうかは分からない。
 極東支部日本地区本部が存在することから、そこに所属していれば日本人なのだろうが。

 善場:「さあ、早速乗りましょう」

 善場さんは真っ先に車を降りた。
 そして、自分の身分証を高く掲げた。

 善場:「日本政府の善場と申します!今回、特別に船内調査を許可された者です!」

 と、英語で喋ったことから、多分そこにいる特殊部隊員達は日本人ではないのだろう。
 実際、ヘルメットを取った1人の兵士は白人男性だった。
 善場とにこやかに握手をしながら、英語で何か言っている。
 善場さんの英語はゆっくりだったので、何となく意味は分かったのだが、兵士の方は完全にネイティブなので、逆に聞き取りにくい。

 愛原:「高橋、何て喋ってるんだ?」
 高橋:「分かりませんねぇ。全く、ここに日本なんだから日本語で喋れってんだ」

 日本人の9割方の意見(ソース無し)。

 高野:「取りあえず、船内の方は異常無しみたいなことを喋ってますね」
 愛原:「高野君、分かるのか?」
 高野:「一応、これでもTOEICは取ってますので」
 愛原:「おおっ、さすがだ」
 リサ:「私も分かるー。んーとね、テロ組織が色々と船内を改造していたところは、顕正号と変わらないって言ってるよ」
 愛原:「ええっ、マジで!?」

 日本人離れした顔立ちだなと思っていたが、実はやはりハーフか何かなのか?

 善場:「お待たせしました。それでは彼らが船内を案内してくれますので、付いて行きましょう」
 愛原:「よ、よろしくお願いします」
 BSAA隊長:「オーッ、ヨロシクー!」

 ヘルメットを取った白人の隊長は、にこやかな笑顔で私と握手した。
 これで銃とか持って無ければ、爽やかな好青年なのになぁ……。
 あ、いや、年齢は私と大して変わらないだろうが……。

 高橋:「まだ10ヶ月しか経って無いのに、まるで昨日のことのようです」
 高野:「ホントにねぇ……」

 タラップを上がって船内に入る。
 廃船寸前の状態だったせいか、船内はあちこち老朽化している。
 しかしそれさえ無ければ、往時はVIPやセレブ客で賑わっていたことを偲ばせる何かが節々に現れていた。
 ただの廊下にも天井からぶら下げられているシャンデリアとか……。

 高橋:「そこからゾンビが2体ほど、ドアをドンドン叩いていたんですよ」

 高橋はとある木製の客室のドアを指さした。
 もちろん、今は静かなものである。

 愛原:「ダメだ。全然思い出せない……」
 高野:「慌てなくても大丈夫ですよ。でも確かに、同型の姉妹船というだけあって、ほぼ顕正号と同じ造りですね」
 善場:「ですよね」
 愛原:「それで、この船内のどこを探索するのです?」

 できれば全部見てみたいところだが、さすがにそこは時間が許さないだろう。

 善場:「それは……」

 1:船橋エリア(操舵室や船長室)
 2:カジノ(VIPルーム含む)
 3:プロムナード(レストラン街や免税店街)
 4:大ホール(各エリアに通じるホテルの吹き抜けロビーみたいな所)
 5:顕正号で愛原達が宿泊していた部屋
 6:船内プール
 7:それ以外
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“私立探偵 愛原学” 「一夜明けて」

2018-11-17 10:09:52 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月8日02:33.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 マンションの屋上に出たリサは、クリーチャーへと変貌した。
 もしかしたら暴走したのかもしれないと思い、私は急いで自分の部屋へ取って返した。
 そして……。

 愛原:「高橋!高橋!大変だ!起きてくれ!」

 私は高橋の寝室に入ると、すぐに高橋を叩き起こした。

 高橋:「んん……何ですか、先生?随分と賑やかな夜這いですねぇ……。どうぞ、俺の隣空いてますんで」
 愛原:「アホか!こんな騒がしい夜這いがあるか!そうじゃねぇ!リサが大変なんだ!」
 高橋:「えっ!?」

 私は手短に状況を話した。
 すると今度こそ高橋も飛び起きた。

 高橋:「マジっすか!ついにあのガキもやってくれましたか!お任せください!」

 高橋は室内のクローゼットを開けると、その中からある物を取り出した。

 

 高橋:「こいつでフッ飛ばして見せます!」
 愛原:「お、オマ……こんなものどこで……?」

 44口径のマグナムだな。
 それも2丁ある。
 2丁撃ちのガンマンたる高橋ならではだ。
 しかし……。

 高橋:「顕正号です!」
 愛原:「マジか……」

 私も善場氏にお願いして、ハンドガンの1つでも装備させてもらおうか……。

 高橋:「行きますよ!」
 愛原:「ああ……」

 ゲームの中の『リサ・トレヴァー』には、マグナムすら効かない。
 その流れで今、同居している派生型且つ完成版とされるリサにも効かないだろうと私は見ていた。
 だがもしかすると、少しは効くのかもしれない。
 私は淡い期待を込めて、エレベーターに乗り込んだ。

 高橋:「いいですか、先生?屋上に出たら一気に攻撃します。ここは俺に任せて、先生はエージェントに電話でもしていてください」
 愛原:「ああ、分かった」

 そして、エレベーターが屋上に到着し、ドアが開いた。

 高橋:「エレベーターホールには誰もいない……」
 愛原:「ホールってほどのものじゃないな」

 せいぜい、四畳半ほどの広さの風除室があるくらいだ。

 高橋:「ではやはり屋上に!?」
 愛原:「だろうな」

 私はスマホを取り出した。
 善場氏も寝ているだろうが、止むを得まい。

 高橋:「うらぁーっ!!」

 高橋はバンッとドアを蹴破るように開けると、ハンドガンを両手に構えた。

 リサ:「きゃっ!?」
 愛原:「!?」
 高橋:「あ!?」

 リサは人間の姿に戻り、服を着ているところだった。

 高橋:「慌てて人間の姿に戻ろうったって、そうは行かねぇぞ、あぁ!?」
 愛原:「いや、普通に人間の姿に戻ってるんだからいいだろ!……どうしたんだ、リサ?」

 リサは急いでTシャツを着ると、こう言った。

 リサ:「たまに正体を曝け出して、スッキリしたくなるの……」
 高橋:「何だそりゃ!?」
 愛原:「じゃあなに?暴走じゃなかったの?」
 リサ:「正体を曝け出している時はすっごい気持ち良かったけど、記憶はあるよ」
 高橋:「オ〇ニーかよ!」
 愛原:「気持ちは分かるけど、紛らわしいからやめなさい!」
 リサ:「はーい……」
 高橋:「〇ナニーがしたいのなら、俺のDVD貸してやるからよ」
 愛原:「どうせ男がシコッてるヤツだろ?女の子のリサが参考になるか!」
 高橋:「あ、先生、観ます?」
 愛原:「観ねーよ、アホか!」

 このことについては後日、高野君に任せることにした。
 女の子の性教育については、女性に任せるべき。

[同日07:00.天候:晴 愛原のマンション]

 昨夜はエラい目に遭ったなぁ……。

 高橋:「先生、おはようございます」
 愛原:「ああ、おはよう。昨夜は大変だったなぁ」
 高橋:「全くですよ。中坊の夜中家出はよくあることですが、それ以上にエクストリームでしたね」
 愛原:「別に家出じゃないんだがな」

 私は洗面所に行った。
 そこで顔を洗ったりヒゲを剃ったりしていると、リサがやってくる。

 リサ:「愛原さん、おはよう」
 愛原:「おう、リサ。昨夜は大変だったな?」
 リサ:「ごめんなさい。ムラムラが抑え切れなかったの」

 リサは自分の唇に自分の人差し指を当てて言った。

 愛原:「ふーむ……第二次性徴後の心理か。こういうのも相談した方がいいかも……」

 オリジナル版の『リサ・トレヴァー』は14歳でクリーチャーに変貌し、あとはそのまま体が成長することも老化することもなかったという。

 愛原:「俺が中学生の時も、高橋みたいなヤツがいてだなぁ……」
 高橋:「え、何ですか!?俺、御指名ですか!?」
 愛原:「いいから、オマエは朝飯作ってろ!……オリジナルの場合は精神が病んでいたから、思春期ならではの事件は無かったみたいだけど、こっちのリサは人間の状態を完璧に保っていられるので、こういうことも発生するということだな」

 先日、初潮を迎えたというし、妊娠・出産もできるということだろう。
 ん?そういえば“バイオハザード”シリーズで、そういうヤツいなかったか?

 私は朝の身支度を整えると、ダイニングに向かった。

 高橋:「今朝はベーコンエッグに御飯と味噌汁、サラダです」
 愛原:「さすがだな、高橋」
 高橋:「少年刑務所で習ったものです」
 愛原:「何度も聞いたよ。それじゃ頂きます」
 リサ:「頂きまーす」

 私達は朝食に箸をつけた。

 愛原:「これからの予定だが、8時半になったら事務所に行くぞ。そこで高野君と合流する」
 高橋:「はい」
 愛原:「9時になったら善場さん達が迎えに来るから、その車に乗って横浜港に向かうって計画だ」
 リサ:「はーい」
 高橋:「分かりました。政府エージェントの車だから、さぞかしVIP待遇でしょうね」
 愛原:「どうだかねぇ……」

 ま、防弾ガラスくらいにはなっているのだろう。
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“私立探偵 愛原学” 「連休2日目の終わり」

2018-11-15 19:27:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月7日18:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。

 愛原:「え、なに?あのゲームにリサが?」
 リサ:「うん……」

 夕食を囲みながら私は、リサと斉藤さんがどうして寝入っていたのか聞いていた。
 因みに斉藤さんはもう帰宅している。
 迎えが来たのはいいのだが、それが本当にメイド服を着たメイドさんなのだから驚いた。
 どうやら本当に大金持ちの御嬢様らしい。
 私立の中学校だから、そういうコが通学していてもおかしくはないが、そんな所にリサを入れて良かったのだろうか少し不安になった。

 高橋:「あのゲームをやれば、如何に『リサ・トレヴァー』がクソ化け物か分かるってものですよ、先生」
 愛原:「ふーん……」
 高橋:「おい、リサ。ガンサバイバーの方はやったのか?」
 リサ:「それはまだ……」

 ゲームの中に出て来る自分のオリジナルが、どういう経緯で化け物となったのか説明される。
 そして、その末路も……。
 それがとても可哀想で、いくら自分は派生型の完全版とはいえイメージが重なってしまい、涙が止まらなくなってしまったそうだ。
 それに斉藤さんももらい泣きして、2人で一緒に泣きじゃくり、泣き疲れて寝てしまったとのことである。

 高橋:「ガンサバイバーをやれば、こいつのオリジナルがどうなったのか分かりますよ」
 愛原:「そうなのか」
 リサ:「オリジナルの『リサ』は、やっとママと再会できたんだけど、飛び降りて死んじゃったんだよ?」

 オリジナルの『リサ・トレヴァー』は生き別れた母親を捜すという目的の為に、ただ洋館の敷地内を歩き回っていただけだ。
 白骨死体と化した母親を見つけ、その頭蓋骨を抱えて奈落の底へ飛び降りて『リサ・トレヴァー』戦は終了する。

 高橋:「甘い。外伝のガンサバイバーでは、それでも死に切れず、今度はアンブレラの関係者を皆殺しにしてやろうと動き回るんだ。アルバート・ウェスカーを主人公としてな。で、最後には洋館の自爆装置に巻き込まれて今度こそ死んだってことになったらしいぜ?」
 愛原:「何だか信じられないなぁ。マグナムを撃ち込んでも死ななかったのに、建物の爆発くらいで死ぬかね?」
 高橋:「さすがに体をバラバラにしてやれば死ぬでしょう」
 愛原:「うーん……」

 私が腑に落ちないでいると、リサが私の肩を叩いた。

 リサ:「愛原さん、あれ!」

 リサがテレビを指さした。
 今、ニュースを観ようと思ってテレビを点けていたのだが……。

 〔「……正信号は明日午前10時頃、横浜港に入港する予定です」〕

 愛原:「ありゃ?テレビでやってるぞ?秘密じゃなかったのか?」
 高橋:「さすがにあんなデカ物を内緒でこっそり横浜港に入港させるわけにはいかないので、ある程度の情報は流しているんでしょうね」
 愛原:「なるほど、そうか」

〔「……正信号は今年元日、太平洋沖で発生したバイオハザードの後、沈没した顕正号と同型の姉妹船で……」〕

 愛原:「あんな感じだったのかぁ?」
 高橋:「ま、あんな感じですね」

 テレビには現役時代の正信号の内部の映像が出てきた。

 高橋:「バイオハザード発生前の顕正号もあんな感じでしたよ」
 愛原:「あんまり思い出せないなぁ……」

 私は首を傾げた。

 高橋:「まあ、先生はずっと意識を無くしておいででしたから……」
 愛原:「うーん……」

〔「……尚、正信号にはBSAA関係者並びに一部の関係者しか内部に入れません。これは顕正号が如何にしてバイオテロに巻き込まれたか、その検証を行う為に同型の姉妹船である正信号を使うというのが理由であり……」〕

 高橋:「実際に乗ってみれば、きっと先生の記憶も戻りますよ」
 愛原:「そうだといいなぁ……」

[10月8日02:02.天候:曇 愛原のマンション]

 私は夜中にふと目が覚めた。

 愛原:「ん……トイレ……」

 私は寝ぼけ眼でそっと部屋を抜け出し、トイレに向かった。

 愛原:「うう……」

 明日……いや、もう日付が変わって今日か。
 いくら姉妹船とはいえ、あのバイオハザードが起きた船と全く同型の船に乗り込めるということで、少し緊張しているのかもな。

 愛原:「!?」

 その時、玄関のドアが開け閉めされる音がした。
 玄関のドアには鍵が掛かっている。
 それなのに、開閉した音がしたということは……。
 誰かが出て行った?
 高橋か?
 私はトイレから出ると、玄関の方を見た。
 すると、サンダルが無くなっている。
 で、玄関の鍵が開いていた。
 いくらエントランスがオートロックだからって、これは不用心だな。
 私は玄関の外に出た。
 そして、周りを見渡す。

 愛原:「!?」

 夜中で薄暗くなっているエレベーターホール。
 そこからエレベーターに乗り込むはリサ。
 一体、どこへ行こうというのか。
 私が後を追うと、エレベーターは意外にも上へ向かっていた。
 そして、着いたのは屋上。
 LED表示のインジゲーターに、『R』と出ているから間違いない。
 私は上のボタンを押して、エレベーターを呼び出した。
 こんな真夜中に他にエレベーターに乗ろうとしている住人や訪問者がいるはずがなく、すぐにエレベーターは下りてきて、このフロアで上行きに変わった。

 愛原:「こんな時間に、屋上に何しに行くんだ?」

 昼間に寝てしまったから、眠れないのかもしれない。
 私がそう思っていると、エレベーターはすぐに屋上に着いた。
 そして、屋上に出るドアを少し開けて私は固まった。

 愛原:「!?」

 リサが着ていた服を脱ぎだしたのだ。
 まだ体の線が硬く、胸もようやく膨らみ出したかどうか分かる程度のリサの裸体。
 あれだけ見ていると、普通のローティーンの少女という感じだが……。
 私が更に固まったのは、リサの体が見る見るうちにクリーチャーに変化していったからだ。
 背中からは巨大なサソリの尻尾のような触手が2本生え、更に黒い触手が3本程鞭のようにしなる。

 リサ:「キャハハハハッ!」

 月明かりに向かって高くジャンプしたその姿は、正に異形。
 しかも、上空に飛んでいたコウモリを2匹捕まえると、それをそのまま口に運んだ。

 愛原:「な、何という……」

 これは……どうしたらいいものだろうか?
 リサは暴走してしまったのだろうか?
 一体、どうしたらいいのだろう?

 1:高橋を呼んで来る。
 2:もうしばらく様子を見る。
 3:リサに声を掛けてみる。
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