ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“アンドロイドマスター” 「狂科学者の遺産」 3

2014-06-30 20:19:53 | アンドロイドマスターシリーズ
[7月1日14:00.東京都千代田区霞ヶ関 合同庁舎7号館 敷島孝夫、アリス・シキシマ、エミリー、初音ミク]

「聴取と調査は終わりましたが、念のためにいつでも連絡は取れるようにしておいてください」
 仏頂面の官僚達に見送られ、敷島達は不機嫌な様子で“科学技術省”こと、文部科学省の中央科学技術局(※架空の部局です)をあとにした。
「ったく。ミクのスケジュールがメチャクチャになったことへの謝罪は無しかよ!これだから公務員はァ!」
 更に続けて、
「本当は今日、朝から帝都テレビで収録があったんだぞ」
「だからそれは何度も聞いたって」
 さすがのアリスも敷島の愚痴に閉口していた。
「どうするの?アタシ、取りあえず財団本部に顔出してくるよ?」
「ああ、オレも行く。結局いつ終わるか分からんから、今日のミクのスケジュールは全部キャンセルにしちゃったからな」
「ごめんなさい、たかおさん……」
「いやいや、ミクが謝ることはないよ。えー、財団本部……新宿か。丸ノ内線で行けるな」
 庁舎を出ると、霞ヶ関駅へ向かった。
 ミクだけに千代田線か都営新宿線が良かったが、仕方が無い。
「まだ経済産業省や防衛省の担当者の方が、話が通じるよ」
「アタシらのロボットを、どう使うかで頭がいっぱいだもんね」
 つまりは、省庁間でもマルチタイプやボーカロイドをどう扱うかで、水面下のアレがあるらしい。
 特に、エミリーの取り合いが凄い。
 なので財団が介入して、何とか抑えてる状態だ。
 防衛省はエミリーを兵器に使いたいし、経済産業省はメイドロボットとかの用途で、ここに来て厚生労働省も介護ロボットとして注目しだした。
 一般財団法人である日本アンドロイド研究開発財団も、今のところは文部科学省の管轄に入っているが、おいそれと法人取り消しにできないのは、他の省庁からの引く手数多があるからだ。

[同日14:17.東京メトロ霞ケ関駅丸ノ内線ホーム 敷島、アリス、エミリー、ミク]

〔まもなく1番線に、新宿行きが参ります。乗車位置で、お待ちください。……〕

「おっ、ちょうど来た。ここでMEIKOがいたらギャグなんだが、そうもいかんか」
「あのね」
 さっきから何なのかというと、日本の地下鉄にはラインカラーがあるのと同じように、ボーカロイドにもイメージカラーがあるということだ。
 ミクは緑系。だから千代田線とか都営新宿線とか言ったのだ。
 MEIKOは赤系。だから、ラインカラーがレッドの丸ノ内線って……。
 誰ですかー?城衛って言ったの?

〔霞ケ関、霞ケ関です。日比谷線、千代田線はお乗り換えです。1番線の電車は、新宿行きです〕

「しかし、あれだな。財団の関係者とかも迎えに来てくれたらいいのに……」
「まあ、最大のツッコミは『アンタだよ』だけどね」
 敷島の肩書きはアリス研究所の事務員兼ボカロ・プロデューサーだが、実は財団仙台支部の参事というのも正式に消えていない。
 だから財団所属のロボット達は、今でも敷島の敬称に参事を付けるのである。
 電車は短い発車メロディを流した後、すぐに発車した。

〔次は国会議事堂前、国会議事堂前。乗り換えのご案内です。千代田線、南北線はお乗り換えください〕
〔The next station is Kokkai-gijidomae.Please change here for the Chiyoda line and Nanboku line.〕

「明日はミク、何か予定あるの?」
 アリスが聞いてくる。
「ラジオ東京で公開収録と、NHKのテレビとラジオ両方で収録がある」
「引っ張りだこね」
「ミクはトップアイドルだからな」
 もっとも、今は顔バレしないよう、変装している。
 帽子を被って、ダテ眼鏡という“ベタな有名人変装の法則”だ。

[同日15:00.東京都新宿区西新宿 財団本部会議室 敷島、アリス]

「そうか……。“科学技術省”は厳しかったか」
「はい。とにかく、『遺産を全部集めろ』の一点張りで……」
 敷島は本部の役員に、辟易した様子で報告した。
「ここ最近、防衛省がエミリーに接触しかけてきているので、面白くないんだろう」
「ロシア政府が抗議してきませんかね?もともとエミリーなど、マルチタイプは旧ソ連の秘密兵器だったわけですし……」
「エミリーをそのまま使うわけではないよ。それを言うなら、シンディを使っていたウィリアム博士だってアメリカ人じゃないか。旧ソ連の遺産をアメリカに持ち逃げしたようなものだぞ?」
「そういった意味では、十条理事が1番賢かったわけか」
 本人は否定も肯定もしていないが、“3バカトリオ”で1人だけマルチタイプを持っていなかったとは考えにくい。
 十条もまた昔はエミリーやシンディのようなマルチタイプを抱え、使役していたと見るべき。
 恐らく後に面倒なことになるのを恐れ、処分したものと思われる。
 それをベースに作ったのが、執事ロボットのキール・ブルーだったと。
「まあ、そういうことになるかな。だけど、これは財団……いや、もう我が国の物だ。現・ロシア政府が所有権を明確に主張していない以上、エミリーは日本の財産でいいだろう」
 明確に主張できるわけがないという足元をしっかり見ている役員だった。
「とにかく今現在、エミリーは南里名誉理事の遺産を受け継いだ平賀副理事の個人財産ということになっている。そしてキミは、あくまで登録されたユーザーであり、整備者としてアリス君がいるだけのことだ」
「分かってますよ。ボーカロイドはどうします?はっきり言って兵器にするつもりは全く無いですよ?」
 なので防衛省的には、ボーカロイドには興味が無いようだ。
 ポーロカロイドに興味を持っているのは、文科省と経産省である。
「もちろん、プロジェクトとしてはそうだからね。それでいいよ」
「しっかし、何かあるたんびに霞ヶ関に呼ばれるのも鬱陶しいですな」
「まあ、財団でも何とかしてるけどね。結果的にウィリアム博士の遺産の回収に失敗したのは事実だから、その辺は受け止めないと」
「はあ……」
「ところでキミ達的にはどうなのかね?」
「は?」
「特にアリス君。キミはウィリアム博士の孫娘として、本当に何か心当たりは無いのかね?」
「あったらとっくに何かやってますよ。じー様、シンディには色々書き込んでたみたいだけど、今はもう当の本人もいないし。だいたい……あ」
「ん?」
「じー様の遺産、あった」
「どこに!?」
「つっても、どこまで価値があるかどうか分かんないよ?」
「ということはアリスは、中身も知ってるんだ」
「うん。シンディの設計図」
「……何だそりゃ」
「ね?あんま価値無いでしょ?エミリーと基本スペックは同じだし、エミリーの設計図は財団でも押さえてるもんね」
「まあ、そうだな……。基本的な造りは、エミリーもシンディも変わらんとのことだが……」
「それでも、育ての親の遺品なんだろ?回収して手元に置こうとか思わないの?」
「シンディの設計図くらいなら、アタシも持ってるしねぇ……」
「持ってたのかよ!何で言わなかったんだ?」
「だって、必要無いじゃん。エミリーの設計図があれば」
「いや、あのな!そこに、何かが書かれてるかもしれないんだぞ?」
「いやー、多分無いよー」
「見てみないと分からんだろう」
「ちょっとキミ達。すぐに他の理事達を呼んでくるから、もう少し待っててくれないか。アリス君、その話を詳しく聞かせてくれ」
「はーい」

 その頃、ヒマしていたエミリーとミクはビル1階のカフェにあるバーでピアノを弾き、ミクがそれに合わせて歌うというゲリラライブで盛り上がっていたという。
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“ユタと愉快な仲間たち” 「マリア邸の訪問者」

2014-06-30 00:08:56 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月29日15:00.長野県内某所の森の中 マリアンナ・スカーレット]

「♪」
 禁忌の魔法を無断で使用した廉で、屋敷にて謹慎処分を受けたマリア。
 師匠イリーナから言い渡されたその処分は無期でも長期でもなく、ユタが通う大学が夏休み期間に入るまでという変な期間であった。
 その間は屋敷の敷地外に出てはならぬという言い渡しであったが、元々インドア派のマリアに取ってはさほど苦痛ではなかった。
 何が1番辛いかって、やはり真剣に自分に初めて愛情を向けてくれているユタと自由に会えなくなっていることだ。
 そこで謹慎期間中、マリアがやっていることと言えば……。
「うーん……」
 人形使いの資格を持つマリアは、人形作りに精を出していた。
 それも、ここ最近作っているのはフランス人形ではない。
「……よし。今までで1番出来がいいかも!」
 完成したての人形、それはユタをデフォルメ化した“ユタぐるみ”であった。
 満足の行く出来栄えに、ご満悦の表情を浮かべて抱きしめるマリア。
「ふふ……いいなぁ……。“ユタぐるみ”いいなぁ……。とはいうものの……」
 マリアは普段の居室として使用しているリビングの中を見渡した。
「ちょっと作り過ぎたかな……」
 テディベアサイズからクレーンゲームの景品サイズまで、大中小様々のサイズのユタぐるみがソファの上や棚の上に所狭しと置かれていた。
 天井から糸で吊るした(もちろん首ではなくて、背中に糸を通している)ものもあった。
「ま、いっか。どこに飾ろうかな……」
 もしかすると、フランス人形の数より多いかもしれない。
「さすがにこの部屋、師匠以外の者には見せられんねぇ……」
 と、その時だった。
「どうしたの、ミカエラ?」
 ミク人形が部屋の中に入って来た。
「……え?お客さん!?」
 既に廊下の向こうに気配がした。

[同日同時刻 マリアの屋敷 エレーナ・マーロン]

「何だかんだ言って、この屋敷に1人で住むのって大変だねぃ。えーと……確か、普段マリアンナがいる部屋はこの辺……」
 エレーナはミク人形の後で、リビングに通じるドアを開けようとした。
 すると、慌ててマリアが出て来た。
「ちょ、ちょっと待った!いきなり、何の用!?」
「あ、マリアンナ。この前、クロを直してくれた御礼をしに来たのと……」
 窓の外を指さす。
「ちょっと雨宿りさせてもらえませんか?」
 外はいつの間にかゲリラ豪雨に見舞われていた。
「わ、分かった!分かったから、その……別室で!使ってない応接室とかあるからっ!」
「い、いや、アタシなんかの為にわざわざ応接室なんて用意してくれなくていいよ。この前みたいに、そこの部屋でいいから……」
「いやちょっと今その……この部屋ちらかってて……」
「アタシの部屋も似たようなもんだよ。てか、その部屋だけで、うちのホテルのツインルームより広いし」
「いや、その、散らかってるというか……その……地雷があるかもだし……」
「何故、部屋に地雷!?何かの魔術の実験中!?部屋の中で!?」
「と、とにかく今、すぐ片づけるから、ちょっとそこで待ってて!」
「は、はあ……」
 マリアはリビングに取って返した。

 それから……。
「お、お待たせ!」
 しばらくして、マリアが廊下に顔を出した。
「お邪魔~」
 エレーナはリビングの中に入った。
「何だ。きれいな部屋じゃん」
「い、いま掃除したから……。て、適当にその辺座って」
「あ、そうそう。これ、手土産。街の方で買って来たケーキだよ」
「あ、ありがとう。でも、どうしたの、急に?」
「いや、実はさ、ポーリン先生から、クロの件ばれちゃって……」
「あらま」
「いつまでも貸しを作られたままにすんなって怒られちゃって、それで……」
「それで、こんな雨の中?別にいいのに」
「いや、アタシもいずれこの借りは返すつもりでいたんだけど、先生がなるべく早くって」
「相変わらず厳しい師匠だな、あんたの所は……。裏でこっそり『バァさん』とかないの?
ないわ~。いやー、マリアンナの所が緩すぎるだけだと思うよ」
「まあ、いい。別に私は貸しだとか、そんなことは考えていなかったから。もし『借りを返す』つもりなら、このケーキでいいよ」
「それと、クロのついでにもう1ついいっすか?」
「ん?」
「実はここに来る途中、ゲリラ豪雨に当たっちゃって……」
「確かに体全体が湿っぽいぞ?」
「少しばかりここのシャワー、たしなめさせてもらってもいいですかぁ!?」
「勝手に使え」
 マリアは半ば呆れた。

[同日16:00.同場所 マリア&エレーナ]

「ふう、さっぱりした……」
 シャワールームから出て来るエレーナ。
「あんたの服、乾かしておいたから」
 と、マリア。
「さすが!持つべきものは弟子友(でしとも)ですな!」
 エレーナは歓喜しながら、畳まれた下着から着始めた。
 黒い服が基調のエレーナだが、下着は白系を着用するらしい。
(良かった。この分なら、“ユタぐるみ”がばれることは無さそうだ)
 マリアはエレーナの様子を見ながら、少しホッとした。
 そこへまたミク人形がやってくる。
「どうしたの?え?電話?ユウタ君から!?」
 謹慎処分を受けているマリアだが、別に外部との通信まで制限されているわけではない。
 マリアは急いで、電話の場所まで向かった。

「うーん……。まだ、よく髪が乾いてなかったな……。ごめーん、マリアンナ。タオルもう1枚貸して……」
 シャワールームからリビングに戻って来たエレーナ。
 しかし、そこに屋敷の女主人の姿は無かった。
「あれ?」
 そこへミク人形が代わりにやってくる。
「マリアンナはどこ?……電話中?……ああ。マリアンナ、彼氏持ちだったっけ。しゃあない。タオルくらい自分で探すか。えーと……そこにあるの?」
 エレーナはクロゼットを開けようと、取っ手に手を伸ばした。
 すると、急に無重力感に包まれる。
「あれ?アタシ、浮いてる」
「浮いてるねぇ!」
 いつの間にか、魔法でエレーナを浮かび上がらせていたマリアだった。
(まずい!そのクロゼットの中には“ユタぐるみ”が!)
「あの、アタシ、タオル1枚貸して欲しいんだけど……」
「たっ、タオルね!い、今持って来るから、ちょっと待ってて!」
「そんなに慌てなくていいよ?」
 エレーナが目を丸くするほどだった。

 そして……。
「お、お待たせ……」
 バスタオルを持ってきたマリア。
 カーペット敷きの床で滑ってタオルを放り投げ、それは広がってエレーナの頭に覆い被さり、マリアは勢い余って、クロゼットの観音扉にぶつかった。
 その衝撃で扉が大きく開いてしまい、中から……。
「!」
「!?」
 大量の“ユタぐるみ”が雪崩落ちて来た。

 気まずい空気が流れる。

 最初に口を開いたのは、エレーナだった。
 頭にタオルを乗せたままである。
「これ、人間の男がモチーフだよね?何で同じ物が沢山?」
「そ、それはその……」
「ああ、そうか!分かった!」
 エレーナはポンと手を叩いた。
「な、何が?」
「これがマリアの彼氏だね。で、練習とかしてて、いつの間にかこの量になったと。そういうことだね?」
 図星であった。
「確かにこの広い部屋でも、これだけあると置場に困るだろうねぇ……。それでさっき『散らかってる』って言ってたんだ?」
「あ、ああ……」
 マリアは観念することにした。
 だがエレーナは、けしてバカにするような態度は取らなかった。
「マリアンナは今、魔道師の中の人形使いなんだし、その人形使いの家が人形で散らかってるのは、ある意味ベタな法則なんだって。だから、そんなに気にする事ないよ!」
 あまりにもあっけらかんとしているエレーナに、
「そ、そう?」
 ホッとする一方、
(なに1人で騒いでたんだろう……?)
 一瞬自己嫌悪に陥ったマリアであった。
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“ユタと愉快な仲間たち” 「時を駆ける魔道師」

2014-06-28 19:23:34 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月29日09:00.さいたま市中央区 ユタの家・裏庭 威吹邪甲&威波莞爾]

 木刀の打ち合いの音が響く。
「……教科書通りとは違う、自分流とやらが見えて来た……かな」
「恐れ入ます、先生」
 汗を拭く妖狐師弟。
 仏間からはユタの勤行の声が聞こえて来た。
「今日は日曜日でも、天候が不安定とのことで、あまり出歩けないかもしれませんね」
「オレが封印される前とは、だいぶ気候が変わったな。夕立が何倍も強くなって、それが夕方だけじゃなく、朝も昼も降るなんて初めてだぞ」
「まあ、そうですね」
 家の中に戻る。
「魔界の影響か?」
「そこまでは存じ上げませんが……」
「これからの朝餉は何だ?」
「昨夜のカレーが残ってますが、どうしますか?」
「カレーか。翌朝のものは何気に美味い。それにしよう」
「分かりました」
「それにしても、ユタの拝んでいる本尊だが、仏の像ではなく曼荼羅というのが違和感だな……。まあ、今更だが」
「宗祖の日蓮聖人は修行時代、仏像を拝していたはずですが、今は宗門専用の曼荼羅以外に合掌してはならないという教義らしいですよ」
「ふむ……」
「まあ、鎌倉時代は、先生がお生まれになる更に何百年も前の話ですからね」
 カンジはカレーの残りを火に掛けた。
「もっとも、その頃生きていたはずの魔道師が何も言及していないという違和感もありますが……」
「あいつら、その頃は日本にいなかったんだろう?」
「中世の時期こそ、魔道師達にとってアジアよりヨーロッパが活動圏内だったのでしょうね」

[同日10:00.東京都江東区森下 ワン・スター・ホテル エレーナ・マーロン]

「うーん……」
 チェック・アウトの業務も終わり、週に1度のオフの日がやってくる。
 無論それまでもホテル業務のバイトばっかりしていたわけではなくて、幻想郷の穴について調べていた。
 しかしいくら調べてみても、赤羽付近にそれらしいものは見当たらなかった。
 これではまるで、時空の歪みが偶然発生しただけになってしまう。
 何としてでも、マリア達が押さえている常時開放状態の穴を見つけなければならない。
「参ったなぁ……」
「エレーナ。飛ぶ練習するニャ」
 使い魔として存在する黒猫のクロが、部屋の机で考え込むエレーナを促した。
「そうするか……って、外、雨なんだけど?」
「んニャッ!?」
 江東区には大雨・雷・洪水注意報が発令されていた。
 今日はゲリラ豪雨が発生しやすいという。
「“魔女宅”のキキは、雨でも飛んでたニャ?」
「その後カゼ引いて寝込んで、魔力まで低下するのはカンベンだよ。ていうか、何回雨に降られてんだよ、あの魔女はァ……」
 現代の魔女はインターネットで天候の情報を収集する……って、おい!
「魔道師なら、天気くらい自分で言い当てるニャ」
「うっさいね!」

[同日同時間帯 ヨーロッパのどこか? イリーナ・レヴィア・ブリジッド&ポーリン・ルシフェ・エルミラ]

〔「魔道師なら、天気くらい自分で言い当てるニャ」「うっさいね!」〕

 老魔女に化けたポーリンは、アジトにしている小屋で、弟子の修行の様子を水晶玉で見ていた。
「うむうむ……。魔道師の修行は、かくも厳しいものよ……」
「なーにカッコつけてんのよ、姉さん?」
 後ろから(ポーリンにとって)ムカつく声が聞こえて来た。
 ポーリンはすぐに老魔女の姿から、30歳くらいの女性の姿に戻る。
 そして、振り向く。
 そこには、かつての妹弟子であったイリーナがにこやかな顔で立っていた。
 ポーリンは不快そうな顔になり、低い声で言った。
「クスリ買って、さっさと帰れ。買わないんだったら、今すぐ帰れ」
 魔道師……魔女の仕事の1つが、妙薬作りである。
 これに1番長けているのは、弟子も含めて、ここにいるポーリンである。
 本当はムカつく妹弟子とその弟子並びに仲間達に譲りたくはないのだが、さしものポーリンも頭が上がらない大師匠から、そのような販促制限は反則との指導を受けてしまった為、仕方無く売っている。
「そんな怖い顔しなさんな」
「妙薬なら、あいにくと売り切れ中さ。材料なら裏にあるから、自分で作ったら?池にタニシもいるしさ。あんた、タニシとか食べるでしょ?」
「食ってたまるか!それより、いい加減、弟子イジメもやめなよ」
「何が?」
「あのナッパー・バット、あんたが召喚魔法の実験に失敗しただけの話じゃない。むしろ、そのフォローしてくれたエレーナを褒めてあげなよ」
「うっさい!タニシ食わすぞ!」
「……翻訳。『アタシは忙しいから、代わりにあんたがエレーナを褒めてあげて』。うん、分かった。じゃあ、来週までに例の薬作っといてね」
「勝手に翻訳するな!納期決めるな!」
 ……実は仲いいんじゃないのか、この姉妹弟子。

[現地時間同日 同時間帯 アルカディア王国・魔王城 国賓の間 安倍春明&大師匠]

〔「勝手に翻訳するな!納期決めるな!」〕

「……本当は仲がよろしいのではないでしょうか?」
 水晶玉で直弟子達の様子を覗き見る大師匠。
 それを覗き込む安倍。
 大師匠は黒いローブに黒いフードを深く被っている。
 しかし、顔の上半分はフードに隠れていても、下半分は見える。
 深い皺が刻まれ、白と黒の混じったあごひげを蓄えているので、老人のようである。
「うむ。『仲良きことは美しき哉』だ」
「それは武者小路実篤の……」
「『君は君 我は我なり されど仲良き』と、指導していたのだが……」
「それも武者小路実篤の名言ですね」
 つまり、イリーナはイリーナ、ポーリンはポーリン。
 既に大師匠からいずれも免許皆伝を受けたのだから、例え魔道師として方向性の違いから、それによる対立はしても最終的には仲良くやれということだ。
 その教えは孫弟子たるマリアやエレーナにも伝え、孫弟子達は素直に受け止めようとしているようだが……。
「それで大師匠殿。件の話ですが……」
「構わぬ。イリーナとポーリン。既に免許皆伝し、私の手から離れておる。逐一、私の許可を取る必要は無い。直接、彼女らを勧誘するが良い」
「恐れ入ります」
「2人とも優秀な弟子ではあるが、元が人間であるため、全ておいて一長一短あるのは否めぬ。それも踏まえた上で、どちらにするか、じっくりと選考し、宮廷魔導師に迎え入れるが良い」
「かしこまりました。それと、もう1つ……。大魔王バァルが倒しに向かったという“邪悪なる者”の正体について、何かご存知ではないでしょうか?」
「……人間達から見れば、それは神にも仏にも成り得、しかし悪魔にも悪鬼にも成り得る存在だ。それしか、申すことはできぬ」
「ええっ?あ、あの、恐れ入ります。できればもう少し具体的に……」
「そろそろ退出の時間だ」
「大師匠殿!お待ちを!大魔王バァルは、いつ頃戻ってきそうですか?」
「あやつのことだ。しばらくは戻らぬ。では、さらばだ!」
「大師匠殿!」
 大師匠は何の呪文の詠唱も無く、部屋から鈍い光を放って消えた。
「私の分析によりますと、大魔王バァルと互角に戦えるのは大師匠殿のみですね」
 控えていた共和党の横田理事の冷静な分析に反応しなかった安倍だった。
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気楽な人生

2014-06-28 17:12:49 | 日記
 http://irorio.jp/asteroid-b-612/20140627/145176/

 今日は久しぶりに顕正会本部会館へ行ってきた。
 といっても、顕正会に復帰したわけではない。
 あの反社会的な活動(ガサ入れ何回も食らってる宗教が社会的なワケないだろう)は楽しく、今の信心は全然楽しくないのだが、そんなことはどうだっていい。
 “乗り鉄”と“乗りバス”の一環で立ち寄っただけのこと。
 かつての上長さんは元気かなと思ったが、私の小説じゃあるまいし、そうそう偶然なことが起ころうはずもない。
 土曜日ということもあって、参詣者はそこそこ多そうだったが、ヒマそうな毒男・毒女がゴロゴロだ。
 え?法華講も似たようなもんだろって?まあ、私は確かに他人のことは言えないけどねぇ……。
 久しぶりに国際興業の導守循環に乗っただけだよ。
 現役時代は、これでよく参詣に行ってたもんだ。
 せっかく大石寺が新富士駅に広告看板2つも掲げたんだから、顕正会もバスや大宮公園駅に広告でも出したら面白いのにと思う。
 もし顕正会が本当に大宮公園駅とバスに広告を出したら、宗門もうかうかしてられないぞ?
 富士急バスにも広告を出さないとw
 でも、あれだ。
 確か顕正会、本部付近の電柱には広告出してるんじゃなかったかね?
 自分もちょっとうろ覚えなのだが……。
 バス停から行くと見つからないのかな?
 あ……今書いてて思い出した。
 消火栓の標識だ!今あるかは確認していないが、私が現役だった頃、本部付近の消火栓の標識に顕正会の広告看板があった。
 確か産業道路沿いだったから、バス停から行った方が分かりやすい。
 が、消火栓の標識って、道路標識よりもっと上の方にあるもんだから、ちょっと上の方を注意しないと気づかないかも。
 てか、実際今回は気づかなかった。

 大宮公園駅から乗った電車は8000系。
 未だこっちの10000系や60000系に乗ったことがない。
 この8000系、JR東日本なら既に全廃されていておかしくないほどに年季の入ったものだ。
 人間界での鉄道会社で廃車された旧型車両をこぞって使用するという設定の冥界鉄道公社や魔界高速電鉄でも、東武8000系は走行していない。
 ボツネタで、アーパーラインで走行していた3000系や5000系が登場したことはあった。
 私はあいにくこの釣り掛け駆動の形式に乗ったことは無いが、ポテンヒットさんならおありだろうか?
 私は鉄ヲタでも、釣り掛け駆動の電車は路面電車しか乗ったことが無い。

 冒頭のURL?
 まあ、現実に目を背けるなってことかな。
 せっかく遊びに行ったのに、ケンショー女子ときたら相変わらず【お察しください】。
 パラパラ茜さん、カンベンしてくださいよ!
 え?何スか?何なんスか?……だったらオメー、法華講の【クミゴン】を何とかしろって?
 え?あ……い、いや、支部違うんで、何とも……あハハハハ……(乾笑)

 うだつの上がらない男に折伏掛けてみることがある。
 まあそこは類友ってヤツで、私自身がうだつが上がらないから、そういうのを折伏する機会も多いのだろうが……。
「心配すんな。うちの支部も非モテのむっさい男がゴロゴロいるから。友達作りには苦労せんよ」
 と言ってやると、
「それ、入信する意味あんのかよ」
 と、返される。
 もはや折伏ではなく、ただの入信案内である。すると、
「この前、学会員に勧誘されて、活動している写真とか見せられたんだけど、可愛い子、結構多かったよ」
 とのこと。そこで私は、
「破門した時に、きれいどころ、ごっそり持って行かれたかねぇ……」
 と、返してやったが。
 高速太郎さん、学会員は折伏する時に、活動中の写真とか見せるんですか?
 聖教新聞とか創価新報のことかな?でも、だとしたら『写真』と言わずに、『新聞』と言うか。

 んでもって今気づいたのだが、私が素で折伏しても全然成果が出ないぞ?
 まあ、沖浦さんみたいに素で功徳が語れればまだいいんだろうけどねぇ……。

 これで大白法で煽られても困るよw
コメント

“アンドロイドマスター” 「狂科学者の遺産」 2

2014-06-28 14:35:32 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月28日14:00.仙台市泉区 アリスの研究所 敷島孝夫]

 ザァーと強い雨の降る中、敷島が研究所に戻って来た。
「ただいまァ」
「あっ、プロデューサー。お帰りなさい」
 小さなエントランスホールのソファに、KAITOが座っていた。
 敷島の姿を見ると立ち上がって出迎える。
「さっきまで晴れてたのに、タイミング悪かったですねぇ……」
「こんなん、いちいち気にしてたらキリが無いよ」
「アリス博士は?」
「財団や中央科学技術局の役人と口ゲンカしてるよ。科学者と官僚間で、俺みたいな事務方は蚊帳の外だよ」
「『だからあれは想定外だって言ってんでしょ!ただの事故よ!事故!』って、ところかしら?」
 奥からMEIKOがニヤけた顔でやってきた。
「あいつもワンパターンなんだよ。あれ?整備してくれてんの、誰?」
「奈津子博士です」
「ああ、そうか」
「ほい、次はKAITOだって」
 MEIKOはボカロ試作機仲間の肩をポンと叩いた。
「了解。じゃ、ちょっと行ってきます」
「ああ」
 KAITOは奥の研究室に向かった。
 敷島は隣の事務室に入る。
「はー、涼しい」
 ジメジメした中、エアコンの効いた事務室は別世界のようだ。
「で、エミリーが連行されたのはいいけど、何でミクまで?可哀想じゃない」
 一緒に入ってきたMEIKOが文句を言った。
「連行とか言うな。まあ……ミクの歌がきっかけだったのは事実だからねぇ……」
「ミクはただ、スケジュール通りに番組で歌ってただけじゃん?」
 もっとも、敷島がラジオを受信したからというのは華麗にスルーされた。
「遺産捜索じゃなくて、俺はプロデューサーらしく、ミクについていてやれば良かったかな……」
「今更そんなこと言って……」
「まあまあ」
「アッ、敷島参事」
 そこへマリオがやってきた。
 ウィリーが開発した無差別テロロボット“バージョン・シリーズ”を、後継のアリスが再開発したバージョン5.0が原型で、更に“アリス・オリジナル・ヴァージョン”として、今では財団のかませ犬……もとい、ベタな昼行燈キャラの法則アリス研究所の世話役として稼働している。
「何だ?この前みたいにベニテングタケの大量生産はカンベンだぞ?」
 アリスが製作したのは2機。
 兄弟という設定で、それが任天堂の不朽の名作“スーパーマリオ・ブラザーズ”のマリオとルイージをイメージしたということで、赤い塗装をした方をマリオと呼んでいる。
「イエ、チョット居住区デ雨漏リガ発生シマシタノデ、修理ヲ行イマス」
「またかよ?改築したばっかなのに……」
 敷島は席を立った。
「この前なんか、シャワーが水漏れしたんだって?」
 と、MEIKO。
「ソレはルイージが直シマシタ」
「今度はどこが雨漏りしたんだ?案内してくれ」
「ハイ。コチラデス」
「ったく、どうなってんだよ、藤谷組ィ!ちゃんと施工しろよ、藤谷組ィ!頼むぞ、藤谷組ィ!」
 敷島が事務室から出ると、外線電話が鳴った。
 MEIKOが電話を取る。
「はい、アリス研究所でございます。……あ、はい。いつもお世話に……え?……プロデューサーからお電話を差し上げると言ってまだ来ない!?申し訳ありません!大至急すぐに……はい!……申し訳ありません!失礼します!」
 電話を切るMEIKO。
 そして、
「ちょっとプロデューサー!アンタこそ番組制作会社の担当さんに電話忘れてんじゃんよ!?どうなってんだよ、プロデューサー!ちゃんと仕事しろよ、プロデューサー!頼むぞ、プロデューサー!」

[6月28日18:00.アリスの研究所 敷島孝夫]

「え?まだ終わらないの?そんなに事情聴取掛かるかねぇ……」
 敷島は事務室で、アリスからの電話を受けていた。
「ミクはうちのトップアイドルなんだから、早いとこ解放してもらわないと困るよ。来月は都内で収録やミニライブが目白押しなんだから」
{「ちったぁ、アタシの心配もしろ!」}
「いや、俺はプロデューサーだから……。で、役人さん達、何だって?」
{「遺産全部回収しないことには、財団法人の資格を取り消してやるって」}
「そりゃ横暴だな。いくら天下の文部科学省でも力の強い中央科学技術局だからって……。別名、“科学技術省”だから、あれ」
 ※もちろん、架空の局です。
{「何それ?」}
「いや、中央省庁の一部局のくせに、力がそれこそ1つの省庁並にあるもんだから、俺達、財団の事務方は“科学技術省”って呼んでるんだよ」
{「そんなのどうだっていいわ。それよりこの分だと、もう一回潜るハメになるわね」}
「潜って何か見つかるものでもないだろう。爆発したんだから……」
{「アタシ的には爆発した原因が、本当に初音ミクの歌のせいなのかってことよ」}
「あー、そうそう。俺も気になってた。ミクが仙台市内のテレビ局で歌ってたわけだ。その時、俺達は宮城県沖、太平洋フェリーの航路の近くにいたわけだろ?いくらボカロの歌が何か作用があるったって、そんだけ離れてりゃピンポイントで宝箱を爆発させるわけないだろ」
{「アタシもそう思うのよ」}
「まあ、肝心の宝箱が爆発しちゃあ、世話無いけどさ……」
{「エミリーが土壇場で回収した破片を調べるしか無いね」}
「そもそも、あれは中身があったのか?」
{「……What?」}
「いや、だってエミリーが土壇場で回収したのは宝箱の破片だけだろ?中身の破片くらい回収できても良かっただろうに……」
{「そうか……。そうだよね」}
「何気にダミーだったりしてな。まあ、あそこまでやってダミーでしたってのもヒドいオチだけどな。じゃ、まあとにかく、科学的な論戦についてはお前に任すよ。一応こっちはネットで対策しておくから」
 敷島がネットでどんな対策をしようというのかは【お察しください】。
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