報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「色々と動き出す歯車」 2

2022-03-31 19:56:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月7日13:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 絵恋さんはあの後、何とか意識を取り戻し、迎えに来たパールと共に帰宅していった。
 それから翌日、私と高橋が事務所にいた時だった。

 愛原:「どうやら、乗客達は地元の救助隊に救助されたみたいだな」
 高橋:「良かったっスねぇ」
 愛原:「『政治と人命救助は別物だ』という主張はかの国には通用しないかもと思っていたけど、地元の町が動いてくれたよ」

 ウラジオストクは日本人も多く居住していることもあり、広大なロシアの中では比較的親日の町と言われる。
 ただ、今後はどうなるか分からないが。
 『人命救助した後は、もう政治問題だけだよね?そんじゃ取りあえず、日本人全員人質でシベリア送り』なんてことにならなければ良いが。

 高橋:「おや、先生?来客ですよ」
 愛原:「もうボスからの電話は無いから、クライアントの事前紹介とかはもう無いんだよなぁ……」

 エレベーターが到着する音が聞こえたから、来客が来たと分かった。
 因みにリサは学校だし、絵恋さんはまだショックで学校を休んでいるという。
 まあ、もう期末テストは終わっていて、2人とも赤点は取っていないから、実質的にもう春休みみたいなものだ。

 来客:「失礼します。こちら、愛原学探偵事務所さんでよろしいでしょうか?」
 愛原:「あ、はい。そうです。いらっしゃいませ。どうぞ、こちらに」

 私は来客を応接室に通した。
 来客は私と大して歳の変わらぬ男性で、ビシッとスーツを着ていた。
 そして私は、彼のスーツに着いているバッジを見て、すぐに職業が分かった。

 愛原:「弁護士の方が、探偵に何の御依頼です?」

 バッジの意匠は、天秤をデザインしたものだった。
 応接室のソファを勧め、高橋がお茶を持って来た後、私の方から口を切り出した。

 来客改め弁護士:「私は新宿で弁護士事務所を営んでおります秤田と申します」

 秤田と名乗る弁護士は、私に名刺を差し出した。
 私も自分の名刺を差し出す。

 愛原:「私は探偵事務所を営んでおります、愛原学です。よろしくお願いします」
 弁護士改め秤田:「私は五十嵐皓貴氏の担当弁護士を務めております」
 愛原:「五十嵐社長の!?……いえ、正確には元社長で今は被告人ですね」
 秤田:「そうです。失礼ですが、愛原さんは五十嵐氏についてどの程度御存知ですか?」
 愛原:「日本アンブレラの元社長で、政府機関から追跡されていた男ですね。警察のみならず」
 秤田:「五十嵐氏が昨日、私に接見を求めてきました。そして今日の午前接見したのですが、愛原さんに話をしたいので、面会に来てもらいたいと依頼されました」
 愛原:「私に話が?」
 秤田:「愛原さんは五十嵐氏の事を、それだけ御存知なんですか?」
 愛原:「個人的な付き合いはありませんし、宮城県で鉢合わせした時以外は全く接点はありませんでした。ただ、彼ら親子が逮捕される前までは、政府機関の依頼で彼らを追跡していたのは事実です」
 秤田:「それだけですか?」
 愛原:「それだけです」
 秤田:「では、愛原さんは五十嵐氏がどうして面会を求めたのか、心当たりは無いと?」
 愛原:「はい、ありません。もしも五十嵐被告が、私が白井伝三郎を追っていたことを知っていたのなら、その事を話してくれるのではないかと思いましたが」
 秤田:「……恐らくは、知っているかもしれません」
 愛原:「あ、そうなんですか?それはどうしてですか?」
 秤田:「拘置所ではラジオを聴いたり、新聞や雑誌を読むことができます」
 愛原:「それは知っています」

 高野君が収容されていた時、未決囚は本当にやることが無くてヒマでヒマでしょうがないから、ヒマが潰せる物を差し入れしてあげると、とても喜ぶのだと言っていた。

 秤田:「愛原さん達が、たまに新聞の取材を受けると、それが記事となって五十嵐氏の目に入るのですよ」
 愛原:「ああ、そうか……」

 白井を追い詰める為に、わざと新聞の取材を受けたことがあった。
 マスコミの中には、たまにコロナ禍と絡めてバイオハザードの特集をすることがあるからだ。

 秤田:「それであなたが、白井伝三郎容疑者を追う探偵だと知ったとしても、不思議ではありません」
 愛原:「そうでしたか」

 となると、五十嵐被告は白井のことについて何か話してくれるのかもしれないな。
 ……いや、待て。
 まだ、控訴審の途中だぞ?
 彼は、『あくまで自分はお飾りの社長であるから、白井伝三郎の犯行など知らん』的なことを主張しているわけだから、ヘタなことは言えないだろう。
 と、なると……?

 秤田:「どうでしょう?五十嵐氏に会ってみる気はありませんか?明日、朝一で面会できるようにしますが……」
 愛原:「分かりました。そうしてみます」

 私は面会を頼むことにした。
 一体、五十嵐皓貴は何を話してくれるのだろう?

[3月8日08:30.天候:晴 東京都葛飾区小菅 東京拘置所]

 私は高橋と一緒に、いつものバン車で東京拘置所に向かった。
 電車で行っても良かったのだが、何故か今回は車で行こうと思った。
 運転は高橋に任せ、私は助手席に乗る。
 また、リサは学校の為、同行していない。
 投稿拘置所の駐車場は広く、基本的に満車になることはない。
 駐車場では、既に秤田弁護士が待っていた。

 秤田:「おはようございます、愛原さん」
 愛原:「秤田先生、おはようございます」
 秤田:「それでは参りましょう。……申し訳ないのですが、助手の方はここで。五十嵐氏はあくまで愛原さんを御指名ですので、それ以外の人を連れて行くと不都合かもしれません」
 愛原:「分かりました。高橋は、ここで待っててくれ」
 高橋:「……分かりました」

 私は車を降り、秤田弁護士と一緒に拘置所内に向かった。
 もちろん、面会にはこの弁護士も立ち会ってくれる。
 こういう時、弁護士がいると心強い。

 愛原:「私の方からは質問しない方がいいですかね?」
 秤田:「そうですね。五十嵐氏の方が愛原さんに話があるということなので、まずは五十嵐氏の話を聞き、その中で何か質問があった時のみするといった感じならいいと思います」
 愛原:「分かりました」

 一体、五十嵐被告は私に何を話してくれるのだろう?
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“私立探偵 愛原学” 「色々と動き出す歯車」

2022-03-30 20:00:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日13:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 善場:「失礼します」
 愛原:「善場主任、お疲れ様です」

 私の連絡を受け、善場主任が私のマンションにやってきた。

 善場:「絵恋さんはどうしてますか?」
 愛原:「取りあえず、リサの部屋のベッドに寝かせてあります。行方不明くらいでは動じなかったコでしたが、さすがにあの事件だか事故にはショックだったようで……」
 善場:「でしょうね。失神しているだけですか?」
 愛原:「今のところは……」
 善場:「高橋助手達は?」
 愛原:「先ほど連絡して、ディズニーデートを中止させ、帰って来るように言ってあります」
 善場:「分かりました。ここまで手に入った情報によりますと、やはり件の飛行機に斉藤社長は搭乗していたようです。それも、偽名で」
 愛原:「偽名ですか」
 善場:「斎藤秀明という偽名で乗っています。チケットも法人名ではなく、個人名ですね」
 愛原:「ということは、会社の経費で搭乗したわけではなく、完全に自分のポケットマネーで乗ったということですね?」
 善場:「そういうことになります」
 愛原:「あの飛行機は成田空港から飛び立ったということですが、斉藤社長はタクシーで成田空港へ行ったのでしょうか?」
 善場:「いいえ。大宮駅に向かったことが明らかになっています」
 愛原:「やはり大宮駅ですか」
 善場:「そして、そこから電車で成田空港へ向かったと思われます」
 愛原:「ちょっと待ってください」

 私は自分の部屋から、交通新聞社発行のJR時刻表を持って来た。
 それで、“成田エクスプレス”のページを開いてみる。

 愛原:「確かに6時20分発、大宮始発の“成田エクスプレス”がありますね。これに乗ったんだ」

 これに乗ると、成田空港には8時過ぎには着く。
 そこから搭乗手続きや何やらで、9時台の飛行機に乗ったのだろう。
 そして、ハイジャックに巻き込まれてしまったと。

 善場:「問題は、どうして斉藤社長が北海道へ行こうとしていたのかです。愛原所長、斉藤社長は愛原所長方が北海道へ旅行に行くことを嫌がったそうですね?」
 愛原:「はい。どうしても、北海道以外の場所にして欲しいと言われました」
 善場:「愛原所長のことですから、北海道に足を踏み入れた場合、どうしても斉藤社長の足取りを確認したがるでしょう。それを嫌がったのでしょうね」
 愛原:「斉藤社長が冬休みの間に泊まったのは、ニセコとか倶知安の辺り……」
 善場:「やはり、あの辺を調べてみる必要がありますね」
 愛原:「私達も同行しますか?」
 善場:「いえ、それには及びません。ここまで来ると、民間の方の御協力は必要無いかと。ただ、当事者の絵恋さんには同行して頂くことになるかもしれませんね」
 愛原:「うわ、そりゃ大変だ」

 その時、善場主任のスマホが鳴った。

 善場:「失礼します」

 善場主任は電話に出た。

 善場:「……はい。……はい。そうですか。……はい。分かりました。ありがとうございます」

 そして、電話を切る。

 善場:「斉藤社長は生存者の中にいるそうです」
 愛原:「ええっ!?」

 そりゃ良かった。

 善場:「飛行機は確かに墜落しましたが、どちらかというと、胴体着陸に近い状態で墜落したとのことで、乗客の殆どが生存しているそうです」
 愛原:「おおっ!?」
 善場:「ただ、殆どが重軽傷とのことですが……」
 愛原:「日本からの救助隊は?」

 私がそれを聞いた時、主任は苦虫を噛み潰したような顔で首を振るだけだった。
 あのロシアが戦争状態で、日本からの救助隊を受け入れるわけがない。
 日本政府もまた、ロシアを侵略国として非難する声明を出しているので尚更だ。
 ハイジャック犯の生存率はどれくらいか分からないが、もしかしたら、ハイジャック犯だけ連行して、あとは知らんなんてことも考えられる。

 善場:「ロシアの救助隊がどれだけ動いてくれるか、です。ウクライナ侵攻前でしたら期待しても良かったのですが、今の状態ですと……」

 政治的な問題にもなりかねないということだ。
 まさかとは思うが、『日本国が民間機を使って、我が国ロシアに“カミカゼ攻撃”をしてきた。よって、これを宣戦布告と見做す』と、プーチン大統領が言ってもおかしくない。
 いくら日本側が、『ハイジャックのせいだ!』とか言っても、『ハイジャックを阻止できなかった責任を取れ』とか言われたら、反論できないだろうな……。
 最悪、『墜落したのは中国夏冬航空の旅客機なんで、日本の飛行機じゃなくて、中国の飛行機でーすw』とでも言うか。

 善場:「とにかく、国際的な問題に発展する可能性が非常に高くなった以上、国内の仕事をする我々はお手上げです。あとは外務省などの管轄になると思います」
 愛原:「飛行機は危ないんで、新幹線で行った方がいいかもしれませんね?」
 善場:「そのつもりです。いえ、飛行機が怖いのではなく、斉藤一家は新幹線で北海道に向かったそうですね?普通は飛行機で行くでしょうに、あえて陸路を取ったことに何か意味があるのかもしれません。それを確認したいのもあります」
 愛原:「分かりました。私で何かお手伝いできることはありますか?」
 善場:「ありがとうございます。今のところは、絵恋さんのことを看ていてあげてくださいといったところでしょうか」
 愛原:「今はリサが看病しています」
 善場:「お付きのメイドさんが帰ってきたら、自宅へ帰った方がいいかもしれませんね」
 愛原:「ええ、そうしましょう」

[同日15:00.天候:曇 東京都葛飾区小菅 東京拘置所]
(ここから三人称になります)

〔「……大日本製薬代表取締社長の斉藤秀樹氏が搭乗していたと思われる、サマー・ジャパンの旅客機ですが、ロシアのウラジオストク郊外に墜落し、多数の重軽傷者が出ています。それに対し、地元当局によりますと……」〕

 拘置所内に流れるラジオのニュース。
 拘置所では午後にラジオを聴くことができる。
 その独居房に収監されているこの男も、そんなラジオ放送を聴いていた。

 五十嵐皓貴:「ふむ……。斉藤のヤツ、ついにロシアに渡ったか……」

 それは、日本アンブレラの元社長の五十嵐皓貴。
 日本アンブレラが国内で起こした事件の数々について、その使用者責任や指示の有無を巡り、裁判で係争中である。
 宮城県内で拘束されたが、その後、東京に移送されている。
 そして東京地裁で有罪判決が出たのだが、今度は東京高裁に控訴して、今はそこで争っている最中なのである。
 なので拘置所内での立場は、未決囚ということになる。
 雑居房に入らなかったのは、息子の元副社長も同じ容疑で裁判中であり、一緒に収監できないこと、社会に与えた影響が大きいことから、他の一般未決囚と同居はさせられないと拘置所側が判断したからである。

 五十嵐:「ちょっと、すいません」
 刑務官:「何だ?」
 五十嵐:「弁護士先生への接見をお願いしたいのですが……」
 刑務官:「は?」

 一般の面会者と違い、弁護士との接見は大きな制限は無いとされるが……。
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“私立探偵 愛原学” 「斉藤秀樹の安否」

2022-03-30 15:09:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日11:26.天候:曇 東京都千代田区大手町 呉服橋バス停→都営バス東20系統車内]

 善場主任との話が終わった私達は、その足で最寄りのバス停に向かった。
 東京駅日本橋口の前には永代通りという大通り(国道1号線)が通っており、その向かい側の歩道に都営バスの停留所がある。
 高速バスは『東京駅日本橋口』なのだが、都営バスは『呉服橋』。
 バス会社が違うと、バス停名も変わるという例である(そのような例はさいたま市内にも存在する)。

 絵恋:「あーあ……。お父さんのせいで、とんだ無駄な時間だったわ」
 愛原:「お疲れさま。ちょうどお昼時だ。向こうに着いたら、何かお昼でも御馳走するよ」
 リサ:「ほんと!?」
 愛原:「どっちみち、高橋もパールも夕方までは帰って来ないからな。マックでも買って帰るか?」
 絵恋:「そうですね。早いとこ、リサさんの部屋でゆっくりしたいので……」
 リサ:「いや、リビングでゲームでもしようよ?」
 絵恋:「ええっ!?」
 愛原:「仲いいね~」

 そんな事を話していると、バスがやってきた。
 このバス停からは、錦糸町駅前行きが出ているのだが、系統番号に注意だ。
 東20系統と東22系統。
 後者は菊川駅前を通らないので注意だ。

 愛原:「お願いします」

 前扉からバスに乗り込み、先にICカードで運賃を払う。
 さすがにこれには、リサもすっかり慣れた。
 1番後ろの席は既に先客がいたので、2人席に2人の少女が座り、その前の1人席に私が座った。
 東22系統よりも本数が少ないので、その分空いてはいる。

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスは永代通りを東へ進んだ。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。この都営バスは、門前仲町、東京都現代美術館前経由、錦糸町駅前行きでございます。次は日本橋、日本橋でございます。地下鉄銀座線、東西線ご利用の方は、お乗り換えです。次は、日本橋でございます〕

 私達が乗ったバスでは、運転席の後ろにモニタが設置されている。
 これは電車の乗降ドアの上に設置されているモニタと似たような用途で、広告や天気予報、ニュースや鉄道の運行情報が流れている。
 やはり速報なのか、ハイジャックされた中華系の旅客機がロシアのウラジオストク郊外に墜落したということを流していた。
 何だか、大変だな。
 私もスマホを開いて、ニュースを見てみることにした。

 リサ:「このバス、Wi-Fi入るよ」
 絵恋:「そうね」

 高校生のスマホプランでギガ数が制限されている場合、Wi-Fiが繋がるのはありがたいことだ。
 私のは仕事用でもあるので、ギガ数が多いプランに入っている。
 一般の路線バスでWi-Fiが入るのは珍しい。
 それでニュースアプリを立ち上げ、ハイジャック機墜落事故について閲覧してみる。
 内容が更新されており、犯人グループはヤング・ホーク団というマイナーなテロ組織らしい。
 過去にはアメリカでも国内線航空機をハイジャックしたことがあり、それもまた墜落事故を起こしているが、同乗していた日本人乗客らの尽力により、墜落時の死亡者はいなかったという。
 犯行に及ぶ際、抵抗の有無を問わず、乗員全員を射殺する残忍な手口が彼らの手法だ。
 また、彼らの警告に従わない乗客も躊躇無く殺すらしい。
 てか、そんなことするから飛行機が墜落するのではないか?
 過去にハイジャック事件で、機長を殺したのは全日空機の1人しか私は知らない。
 もちろんそれは、ハイジャック犯が自分で操縦できるので、パイロットは却って邪魔だから殺したのだろうが。
 それにしても、日本国内の国内線で外国人テロ組織によるハイジャックとは……世も末だ。
 犯行声明によれば、ロシアのウクライナ侵攻はプーチン大統領をも陰から操る黒幕のしわざであり、両国に平和を訪れさせる為、その黒幕を討ちに行くのだということだったが……。
 その行き先がウラジオストク?どういうことだ?
 その黒幕さんとやらは、ウラジオストクにでもいるのだろうか???
 テロ組織の考えることは分からん。
 ……分からん方が良い。

[同日12:15.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 菊川駅前でバスを降り、菊川駅前交差点の角にあるマクドナルドで昼食を買う。
 昼時なのでレジも少し混んでいたが、何とか目当ての物を買うことができた。
 それを手に、マンションへ向かう。

 愛原:「どうぞ」
 リサ:「サイトー、ウェルカム」
 絵恋:「お邪魔しまーす!」

 ダイニングのテーブルに買った物を置いた。

 愛原:「食べる前に着替えて来たら?」
 リサ:「うん、分かった。……体操服とブルマがいい?」
 愛原:「私服でいいから!」
 リサ:「分かった。もしも先生が『体操服とブルマに着替えて』って言うんだったら、サイトーも着替えてもらう」
 絵恋:「ええっ!?」
 愛原:「親友を巻き込むな!」

 リサは自分の部屋に行った。

 絵恋:「……ゴクッ!」
 愛原:「絵恋さん、いくら親友でも、故意の覗きはどうかと思うよ?」
 絵恋:「ちちち、違うますぅ!そんなんじゃないですぅ!!」
 愛原:「でも、アレだな。もしも私が、『体操服とブルマに着替えて』って言ったらリサはそうして、絵恋さんにもそうしてもらうって言ってただろ?」
 絵恋:「そうですね」
 愛原:「もしも私が、『スクール水着に着替えて』って言ったら、そうするのかな?」
 絵恋:「何考えてるんですか!?変態!」
 愛原:「いや、だから、もしもの話だってば!」

 私は慌ててリビングのテレビの電源を入れた。
 それで、情報バラエティ番組のチャンネルに切り替える。
 情報バラエティなので、速報でハイジャック事件のことをやっていた。

 リサ:「先生、着替えて来た」
 愛原:「おー!じゃ、食べようか」

 リサは白いTシャツに黒いプリーツのミニスカートというラフな格好に着替えて来た。

〔「えー、ここで続報が入ってきました。多くの日本人乗客を乗せたハイジャック機墜落事故ですが、乗客の中に、大日本製薬代表取締役社長の斉藤秀樹氏が入っているとの情報が入って来ました」〕

 愛原:「ええっ!?は?!」
 絵恋:「!!!」
 リサ:「サイトーのお父さんが?」

〔「乗客名簿の中に斉藤秀樹社長の名前は無かったのですが、その後のロシア当局の情報によりますと、大日本製薬株式会社の代表取締役社長、斉藤秀樹氏がいるとの情報が入っております。何故、乗客名簿に無かったのか、それは不明であり、また、現在は本人確認の最中であります」〕

 絵恋:「お、お父さんが……」
 愛原:「今の話だと、生きてるんだか死んでるんだか分からんな……。あっ!」

 絵恋さんは呆然としていた。
 当然だろう。
 父親が行方不明になったと思えば、何故か飛行機に乗っていて、しかもその飛行機がハイジャック後にロシアで墜落していたというのだから。

 リサ:「サイトー、どうした?」

 リサがポンと肩を叩くと、絵恋さんはそのまま体を震わせて、バタッと床に倒れた。

 愛原:「わあっ!?大丈夫か!?」
 リサ:「サイトー、お腹空き過ぎて倒れた?」
 愛原:「そうじゃない!ショックで失神したんだ!取りあえず、部屋で休ませろ!リサの部屋でいいな?!」
 リサ:「いいけど……。サイトーの分のハンバーガーは?」
 愛原:「取りあえず置いとけ!早く絵恋さんをベッドに運ぶんだ!俺は善場主任に連絡する!」

 私は自分のスマホを取り出すと、それで善場主任に電話を掛けた。
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“私立探偵 愛原学” 「東京駅日本橋口」

2022-03-28 19:59:40 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日10:30.天候:曇 東京都千代田区丸の内 丸の内中央ビル2Fスターバックスコーヒー]

 JR東海新幹線鉄道事業本部が入居するビルのテナントとして出店しているスタバ。
 そこで善場主任は、絵恋さんに事情聴取をしていた。

 善場:「……それではあなたは、お父さんが北海道にいる間、1人で行動していたのは知ってるのね?」
 絵恋:「はい。でも、どこへ行ったかは知りませんし、聞いても教えてくれませんでした」
 善場:「ふむ……」
 リサ:「おー!この店、Wi-Fi入る!ネット使い放題」
 愛原:「今時、こういう所じゃ、Wi-Fiは当たり前だろう」

 リサの方は全く緊張感が無い。

 善場:「今朝のお父さんの行動について、絵恋さんは何か聞いていましたか?」
 絵恋:「全然聞いていません。ただ、父はよく付き合いでゴルフに行ってたりしてるので、それだと思いました」
 善場:「メイドさんに事情は聴いてくれた?」
 絵恋:「は、はい。ダイヤがそれを知っていました。6時ぐらいに、父がタクシーで出て行く所を見たそうです」
 愛原:「タクシーで?ハイヤーじゃないんだ?」
 絵恋:「そのようです」
 善場:「どこのタクシー会社?」
 絵恋:「それが、いつもと違う会社だったそうです」
 愛原:「社長が契約しているタクシー会社は、日本交通だよね?」

 さいたま市では100%出資の子会社、日本交通埼玉であるが、しかしタクシーチケットなど相互利用が可能である。

 絵恋:「そうです。うちのメイドはそんなにタクシーには詳しくないのですが、屋根に『大宮』と書かれた看板のタクシーだったそうです」
 愛原:「大宮!」

 恐らく地元のタクシー会社で、『大宮』と名の付く会社だろう。
 しかし、何だって社長はハイヤー契約しているタクシー会社ではなく、全く無関係のタクシー会社を予約したのだろう?
 さいたま市という所は、基本的にタクシーは流し営業を行っていない(さいたま市のタクシー会社の中には、採用情報に『東京都内と違い、流し営業は行いません』と謳っている所もある)。
 駅やホテルなどのタクシー乗り場や、繁華街で客待ちしているタクシーを拾うか、或いは予約して来てもらう方式である。
 ましてや今日は日曜日。
 それも、社長が乗ったのは早朝だ。
 ただでさえ都心でもタクシーが少ない日なのに、ましてや住宅街をタクシーが流し営業しているとは思えない。
 ということは、社長はあえてタクシーを予約した可能性が高い。

 愛原:「多分、『大宮自動車』か『大宮交通』のどちらかですね」

 私は自分のスマホで検索してみた。
 善場主任は自分のスマホを取ると、どこかに連絡した。
 そして、私が今言ったタクシー会社に行って、聞いてくるように指示を出した。

 愛原:「どうして社長は日本交通にしなかったのでしょう?」

 ハイヤーも基本的には事前予約制だから、急な利用には対応していないことが多い。
 なので社長も急用にはハイヤーを利用できず、止む無くタクシーを呼んだのだろう。
 それにしても、普段からハイヤー契約をしている会社の方が予約もサービスもスムーズだろうに、どうしてだろう?

 善場:「2つ考えられます。本当に急な予約だったので、いかにハイヤー契約をしている会社であろうが、すぐには配車できなかったことです。もう1つは……なるべく足が付かないようにしたのかもしれません」
 愛原:「うわ……何か後者っぽい。タクシーに乗って、どこに行ったのでしょうか?」
 善場:「タクシー会社を突き止めて、それからですね。絵恋さん、本当に心当たりは無いの?」
 絵恋:「無いです」

 と、その時、私のスマホが震えた。
 何らかの通知だ。
 LINEではない。
 チラッと見ると、それはニュースアプリの通知。
 何か速報が来たようだ。

 愛原:「えっ!?東北上空で飛行機がハイジャック!?」
 善場:「日本の航空機でですか?」
 愛原:「そのようです」

 私はニュースアブリを起動させた。

 愛原:「成田空港発、新千歳空港行きの中国夏冬航空がハイジャックされた!……って、何で中国の航空会社が日本の国内線を?」
 善場:「恐らく、子会社の日本法人でしょうね。確か、サマー・ジャパンとか言いましたか。海外の航空会社でも、現地法人を設立して国内線航空機を飛ばすことはできるのです」
 愛原:「それでも、国内線で中国の飛行機はやだなぁ……」
 善場:「まあ、あまり中国の航空会社は国際的な評価は芳しくないですからね」
 愛原:「でしょうなぁ……」
 善場:「とにかく、普通のハイジャック事件なら、私達の出番はありません」

 しばらくして、善場主任のスマホにまた連絡。

 善場:「えっ、斉藤社長の足取りが掴めた?大宮駅ですって?分かったわ。今度は大宮駅の監視カメラの解析をお願い」
 愛原:「早っ!」
 善場:「元々、監視カメラの画像から社長の足取りは追えていたようです。社長は午前6時前、地元のタクシー会社を利用して大宮駅西口まで行っています。運転手の証言では、その後そのまま真っ直ぐ大宮駅構内に入ったとのことです」
 愛原:「なるほど。でも、素直に電車に乗ったとは限りませんね?東西自由通路があるから、そのまま東口に抜けたかもしれません」
 善場:「確かに。ですので、急いで駅の監視カメラの画像を確認する必要があります」
 絵恋:「ねぇ。だったら、もう行っていい?私の話はもう終わったでしょ?」
 リサ:「サイトーはお父さんのこと、心配じゃないの?」
 絵恋:「心配なんかしてないわ。警察……だか公安だか知らないけど、善場さんって、本当はそういう関係の人なんでしょ?」
 善場:「警察とも公安とも違いますが、しかしまあ、似たようなものです。愛原所長と違うのは、私は国家公務員だということです。意味が分かりますね?」
 愛原:「私のような民間の探偵は、クライアントから依頼が無いと動けないが、国家公務員はそんなの無くても動けるということさ」
 絵恋:「そんな人達から追われるなんて、どんな悪い事したのよ。もう知らない」
 愛原:「まあ、確かに社長の行動は怪しいけど……」

 すると、また私のスマホにニュースアプリから速報が届いた。

 愛原:「うわっ!ロシアに墜落したって!?こりゃマズいな……」
 善場:「墜落ということは、乗員乗客の安否は絶望的ということですか。また、仮に生存者がいたとて、あのロシアとは……」
 愛原:「ウクライナと戦争中だで?そこへ日本人満載の中国の旅客機が突っ込んで行ったということは……」
 善場:「外務省の人達には、徹夜して頂くことになるでしょう。では、話の続きです」

 外務省関係が他人事ということは、善場主任が所属する国家機関とは外務省が管轄しているわけではないということが分かった。
 やはり、総務省とか内閣府辺りだろうか?
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“愛原リサの日常” 「お笑いテロ組織ヤング・ホーク団」

2022-03-27 20:09:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月6日10:30.天候:晴 東北地方某所上空 某航空会社旅客機内]

 首都圏から北海道に向かう、とある国内線旅客機。
 そのビジネスクラスに着席しているのは、斉藤秀樹。
 エコノミークラスよりも大柄な座席に座り、彼は手帳に何かを書き込んでいた。

 斉藤秀樹:(3月6日10時30分。東北地方○○県上空。○×航空○△□便。私は交通の選択肢を間違えたようだ。どうやら、私の命運はここで尽きたらしい。何故なら……)
 テロリストA:「おい、お前!何をしている!?両手を頭に上げろと言っただろ!」

 覆面をしたテロリストAが、ショットガンを秀樹の頭に突き付けた。

 秀樹:「ぐ……!どうせ最期だろうから、今から手記を書いているのだ。悪いか?」
 テロリストA:「それは閣下の許可を得ていないからダメだ!」
 秀樹:「閣下?閣下とは……?」

 その時、ガチャリと近くのトイレのドアが開けられた。

 ジャック・シュラ・カッパー:「ふー。スッキリスッキリ!快食快便で功徳~~~~~!」
 テロリストA:「カッパ閣下!」

 パーン!(シュラ・カッパーが発砲した音)

 シュラ・カッパー:「なぁんですって~?今、人のこと『修羅河童』と言いましたね?怨嫉謗法は即地獄行きですよ?我が総統、ダイ・サーク様の教えであります!」
 テロリストA:「ち、違います!私は、カッパー閣下と申し上げたのです!」
 シュラ・カッパー:「極めて単純な事ですが、以後慎みなさいね。それより、乗客の皆様に御挨拶をせねば」

 シュラ・カッパー、機内放送のマイクを取る。

 シュラ・カッパー:「あっ、あー!えー、御乗客の皆様、こんにちは。私達は世界平和を目指す正義の使者、ヤング・ホーク団でございます。私はリーダーのジャック・シュラ・カッパーと申します。以後、お見知りおきを」
 秀樹:(ハイジャック団の団長の名前がジャック……w)
 テロリストA:「おい、キサマ!何を笑っている!?」

 テロリストA、わざと秀樹の前でショットガンをリロードしてみせる。

 秀樹:「わ、笑っていませんよ。それより、あなた達は何が目的なのですか?」
 テロリストA:「今、これから閣下が申される!黙って聞け!」
 シュラ・カッパー:「当機は只今より、ロシアのウラジオストクへと参ります。皆様はロシアのウクライナ侵攻を御存知ですね?知らないとは言わせませんよ。しかし、これは陰謀なのです。私達は正義の使者として、この陰謀を止めに行くのであります!ですので皆様には、その片棒を担いで頂きたいのであります!」
 乗客A:「何を勝手なことを……」
 乗客B:「狂っている……」

 パン!パーン!

 乗客A:「ぎゃっ……!」
 乗客B:「!!!」
 乗客C:「きゃあああああっ!!」

 乗客AとBの頭をテロリスト達が撃ち抜いた。
 機内に轟く銃声と叫喚。

 シュラ・カッパー:「御協力頂けない場合……残念ですが、先に堕獄して頂くことになります。当然です。怨嫉謗法は厳に慎まなくてはなりません。それができない人は地獄に堕ちる。極めて単純なことですね」
 秀樹:「まさか、最初の銃声は……?」
 テロリストA:「そうさ。俺達がガンコ機長はもちろん、スッチーも全員殺したんだ。分かってるな?」
 秀樹:「くっ……!」
 シュラ・カッパー:「我々の信念に、皆様の御協力は不可欠なのであります!なに、何も難しいことではございません。皆様はただ、静かにウラジオストクに着くまで、おとなしく着席していて下さればそれで良いのです。それでは皆様が退屈なさらぬよう、功徳を語ります。【何か、ワックスが売れたとかクソダリィのでカット】功徳~~~~~~~!!!」

 シラける乗客達。
 と、そこへ……。

 秀樹:「ん、何だ?操縦席が騒がしくないか?」

 ビジネスクラスはコックピットに近い位置にある為、秀樹はすぐに気づいた。

 テロリストA:「操縦席、操縦席!何があった?応答しろ!操縦席!」

 テロリストAが持っていた無線機で操縦席とコンタクトを取る。
 機長も副操縦士もテロリスト達が殺したのだから、代わりにそいつらが操縦しているはずだ。

 テロリストB:「すいません、閣下!さっきの乱気流の揺れで、ジュースやら弁当やらコックピットにぶちまけてしまって、ショートして操縦不能になりました」
 テロリストC:「てへてへ」
 シュラ・かっぱー:「なにぃぃっ!?だからあれほど操縦席では飲食禁止って、事前の作戦会議で言ったでしょーが!」
 テロリストB:「このままでは墜落します。ちょうど自分ら、パラシュート持ってるんで、これで脱出させて頂きます!」
 テロリストC:「さ、さいなら~!」
 シュラ・カッパー:「あっ、こら!待ちんしゃい!」
 秀樹:「お、おいおい、どうなってるんだ?仲間割れか!?」
 テロリストA:「あのバカ共め!おい、他に操縦できる奴はいないのか!?おい!」

 しかし、応答する仲間はいなかった。

 シュラ・カッパー:「やだよぉ!死にたくないよぉ!助けてよぉ!カヨ~~~~~っ!」
 秀樹:「あ、あいつ、日本人妻でもいるのか?」
 テロリストA:「確か、2番目だか3番目の妻だったかな……」
 秀樹:「はあ!?なに1人で何回も結婚してるんだ!私なんか1人の妻だけなんだぞ!?」
 テロリストA:「そ、そんなこと俺に言われても……。俺なんか、未だに独身だぜ?」
 秀樹:「そ、それは悪かった。そ、それより、何とかしないと……」
 テロリストA:「何とかって、アンタにできるのかよ?」
 秀樹:「一応、セスナまでなら操縦できるが……」
 テロリストA:「セスナじゃ無理だろ!いいから、俺が許可してやるから、遺書でも書いてろ!」
 秀樹:「諦めるはまだ早い!」

 秀樹はシートベルトを外した。
 そして、うずくまってメソメソ泣いているシュラ・カッパーの首根っこを掴んで立たせた。

 秀樹:「おい、貴様!」
 シュラ・カッパー:「は、はいぃぃっ!?」
 秀樹:「お前、リーダーなんだろ!?閣下なんだろ!?偉いんだろ!?だったら、こんな所でメソメソするなっ!」
 シュラ・カッパー:「で、でもォ……。ワシ、操縦免許なんて持ってないしぃ……」
 秀樹:「免許が無いからって諦めるのか!いいからコックピットまで来い!」
 シュラ・カッパー:「は、はい……」

 秀樹、無理やりシュラ・カッパーをコックピットに連れて行く。
 そして、他にも部下を呼ばせて応急処置をさせた。

 シュラ・カッパー:「い、一応、取りあえず応急処置は済んだが……。こんなんで本当に上手く行くのか?」
 秀樹:「大丈夫だ。もしダメなら、皆一斉に地獄行きだ」
 シュラ・カッパー:「そ、そんなぁ!よよよ……!」
 秀樹:「いちいちメソメソすんな!もう一度カヨに会いたいんだろ!?だったら、生き延びることを考えろ!」
 シュラ・カッパー:「そ、そうだ。ワシには帰りを待っているカヨとアミバがおるんじゃった」
 秀樹:「私にも家族がいる。一緒に生き延びよう!」
 シュラ・カッパー:「で、どうすればいい?」
 秀樹:「私が合図をするから、それと同時に操縦桿を思いっ切り引くんだ。いいな?」
 シュラ・カッパー:「了解した……」

 飛行機はぐんぐん高度を下げて行き、ついには地面が見えて来た。
 その地面が日本なのかロシアなのか、はたまた実は中国なのか北朝鮮なのか、それは分からない。

 秀樹:「今だ!操縦桿を引けーっ!」
 シュラ・カッパー:「ぐおお……!だ、ダメだ……!凄く…カタいです……!」
 秀樹:「諦めるな!カヨとアミバの顔を思いだせ!」
 シュラ・カッパー:「か、カヨ!うぉぉぉぉ!こなくそぉ……!!」

 地面が目の前に迫って来た。

 秀樹:「うわっ?!さすがにやっぱりダメか!!」

 地面に大きな衝撃と爆発音が響いた。
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