報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「リサの帰路」

2023-08-30 20:15:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月10日12時35分 天候:晴 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→マクドナルド菊川駅前店]

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 リサ達3人は最後尾の車両から、ホームに降り立った。

 小島「未だに魔王様って、電車は1番前か後ろに乗らないといけないの?」
 リサ「基本的には。グリーン車とか指定席とかに乗る場合は、事前に連絡すればオッケー」
 淀橋「メンドクサイね」

〔2番線、ドアが閉まります〕

 リサ達がホームを階段に向かって歩いている時点で、電車が走り去って行く。
 この時も強い風が巻き起こる。
 電車が出て行く時でさえそうなのだから、入って来る時はもっと風が強い。
 エスカレーター付近には、『強風注意』の貼り紙がしてあるほどだ。

 リサ「ヨドバシ、気をつけて」
 淀橋「えっ?」

〔1番線の電車は、京王線直通、各駅停車、橋本行きです。きくかわ~、菊川~〕

 ブワッと強い風が吹き、JK達のスカートがめくれ上がる。
 この駅をよく利用しているリサは慣れているので、すぐにスカートを押さえ、何となく覚えている上、3人の中では丈の長い小島もまたスカートの中が曝け出されることは防げた。
 しかし、淀橋の場合は一瞬遅れた。
 だが、『魔王軍』の『軍規』に従い、学校に復活させた緑色のブルマを穿いているおかげで、パンチラは防げた。
 但し、ブルチラはあった。

 リサ「この駅、何故か地下鉄の駅にしても、かなり風が強いんだよ」
 淀橋「そ、そうでした」
 小島「そんな短いスカート穿くからだよ。寒いのに……」
 淀橋「お母さんや伯母さんが現役だった時代、ルーズソックスが流行った理由ってこのせいかな?」
 小島「違うと思う」
 リサ「ルーズソックスか……。そういえば愛原先生、『ルーズソックスのギャルJKを無理やりヤッてみた』っていうエロ動画ダウンロードしてたな……」
 淀橋「愛原先生も好きだね」
 小島「ナイスミドルのオジ様だもんねぇ……」
 リサ「よし。今度は、ルーズソックスを流行らせよう」
 淀橋「ええっ!?ブルマでもうお腹いっぱいですよぉ……」
 小島「愛原先生の為に、来夏から採用されるはずの男女兼用ラッシュガード採用案を廃案に追い込んで、『女子は女子で、ちゃんと女子用のスク水を着用せよ』にしたのに?」
 リサ「文句あるのか?」

 リサ、ギラリと瞳を赤く光らせて、『魔王軍四天王』の2人を睨みつけた。

 小島「ひぅ……!」
 淀橋「ご、ゴメンナサイ!冗談です!……それに、わざわざ流行らせなくても、履いてるコ、いるじゃないですか」
 リサ「えっ?」
 小島「い、いや、魔王様知らなかったの?『魔王軍』でも、山田さんとか加藤ちゃんとか、小野でんとか、履いてますよ?」
 リサ「あの、弛んだソックスか?」
 小島「そう、それ!」
 淀橋「弛んだソックス……」
 リサ「なるほど。後でわたしにも買ってもらおう」
 淀橋「でも、さすがに色が違うね」
 リサ「んん?」
 淀橋「お母さん達が履いてたの、基本的に白いルーズだったみたい。だけど、山田にしろ、小野でんにしろ、黒かったり緑だったりするでしょ?」
 リサ「確かに!……先生が観てたエロ動画は、白いヤツだった……」
 小島「ま、まあ、うちのお父さん達と同じ40歳、50歳のオジさんが観るような動画なら、やっぱその時代の高校生を再現するだろうからねぇ……」
 リサ「白いヤツは売ってないの?」
 淀橋「いや、売ってるよ。フツーに売ってる。てか、アタシも1足持ってる」
 リサ「マジで!?どこで買った!?」
 淀橋「アタシんちの駅前のドンキ」
 小島「ヨドって、そういう所で服とか買うんだ……」
 淀橋「いいのが無かったら他で買うけどさ、案外結構揃ってるもんだよ」
 リサ「うーん……。こっちにドンキは……」
 小島「アキバにあるよ。この辺だと……錦糸町とかには無い?」
 リサ「錦糸町……」

 リサは首を傾げた。

 淀橋「何かありそうな気はする雰囲気の町だけどね、あそこ。まあ、いいや。早いとこ、マックに行こう」

 淀橋は地上に向かうエスカレーターや階段を上る時、いつも以上にスカートの裾を気にした。

 リサ「ブルマ穿いてるんだから、そんなに気にしなくてもいいだろう?」
 淀橋「いや……その……魔王様には申し訳ないんだけど、ブルマ復活前のスパッツよりも、何だか気になるっていうかぁ……」
 小島「パンツと同じ形だから、本当に下着のパンツが隠れてる気がしないんだよね、スパッツよりも」
 リサ「しかし、先生の世代はフツーにそれで体育やってた」
 小島「だから、不思議な時代だったんだなぁ……って」
 リサ「リンみたいな陸上部は、もっとハイカットなブルマで競技会とか出てるよ?」
 小島「あれは、実用性を追及した結果だからね。凛ちゃんも納得して、あのユニフォームで大会とか出てるわけだし……」
 淀橋「そうそう。別に、普通の部活からして、あの恰好をしてるわけじゃないからさ」

 たまに女子陸上選手で、日焼け痕の形が異なっていることがあるのはこの為。

 リサ「だけど、『魔王軍』にいるうちは、全員ブルマ着用な?」
 淀橋「ふ、冬場だけはカンベンしてください。さすがにアタシ達、フツーの人間なんで、ガチで寒いんで……」
 小島「ええ。魔王様がこの季節でも、体育はブルマで受けている所は尊敬してますから」
 リサ「だらしのないヤツらだ」

 そして、駅前のマクドナルドに到着する。
 昼時ということもあって、店内は賑わっていた。

 小島「これ、多分、上の席は満席だと思いますが?」
 淀橋「結構、小さい店だからね」
 リサ「分かってる。テイクアウトにして、家に持って帰ろう」
 淀橋「その方がいいねー。で、魔王様は何にする?」
 リサ「ビッグマックのセット」
 淀橋「想定内。行きましょう」
 リサ「何だ、それ……。ヨドバシとコジマは?」
 淀橋「アタシはチキンフィレオ」
 小島「私はてりやきで」
 リサ「皆して、ダイエット中?」
 小島「い、いや……」
 淀橋「全然。リサも?」
 リサ「いや、わたしがダイエットなんかしたら、自我が無くなって暴走する」
 小島「東京がゾンビパラダイスになるわけですね。それはカンベンです」
 リサ「そういうこと」

 3人はレジに並んだ。
 昼時で混雑していたからか、多少待つことになってしまったが、それでも何とかお目当ての物をゲットすることができた。
 そして、今度は愛原家へと向かった。
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“愛原リサの日常” 「BSAAからのアメリカ人留学生」

2023-08-29 20:18:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月10日11時30分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 今日は始業式だけなので、学校は始業式とオリエンテーションだけで終わりである。

 坂上「それじゃ、明日から通常の授業が始まります。今月中旬には、中間テストがあるので、けして気を抜かないように」

 ということで、下校となる。

 淀橋「冬休みの宿題、真面目にやった人はテスト免除とかにして欲しいよね」
 小島「いや、そりゃ無理っしょ。進級とかには関係無い実力テストには、そうして欲しいけどね」
 リサ「赤点さえ取らなければ、進級できる」
 淀橋「魔王様、余裕っすね。赤点を取らないようにするのが、苦労なんですよ」
 小島「それにリサさん、付属の大学に行きたいんでしょ?3年生からは成績上位何名とかに食い込まないと、推薦枠貰えないってよ」
 リサ「3年生になってから考える。取りあえず、帰って御飯にする」
 小島「リサさん、買い食いですか?」
 リサ「先生は今日は事務所が忙しいから、お昼は途中で食べるか、買って食べることになる。こんな時、学食が開いてたら助かるんだけどね」

 学食が本格的に始動するのは、明日からである。

 淀橋「ところで、魔王陛下!『四天王』リーダーとして、1つ頼みがございます!」
 小島「いつの間に、『四天王』のリーダーになったよ……?」
 リサ「なに?」
 淀橋「冬休みの数Ⅱの宿題、ちょこっと手を貸して下さいませんかねぇ……?」
 リサ「は?」
 小島「ヨドさん、まだ終わってなかったの……」

 東京中央学園では教科ごとに冬休みの宿題が出される為、その提出期限は新学期が始まって、最初のその授業までである。

 淀橋「この通り、愚かな『四天王』めに制裁を……」
 リサ「分かった。じゃあ、家に来い」
 淀橋「あざざざざーっす!!」
 小島「心配だから、あたしも付いて行くわ……。いいでしょ?」
 リサ「いいよいいよ」
 小島「あくまでも私は、ヨドの監視役ってことで」
 リサ「いいだろう。ヨドバシ、わたしへの報酬は昼マックのセットと、オマエの血を少々でヨロシク」
 淀橋「お安い御用です!200mlでも400mlでも、どうぞ!」
 小島「献血かよ……」
 リサ「じゃあ、5リッター頂く」
 淀橋「さすがにそれは死にます!」

 リサ達は教室から出ようとした。
 その際、後ろのドアから出る為、レイチェルの後ろを通ることになる。
 レイチェルは、片耳にインカムを着けていた。

 レイチェル「...Roger that.So let’s start investigating.Over.」
 リサ(一体、何を話してるんだろう?)

 3人は帰る前に、学校のトイレに立ち寄った。
 リサが個室に入っていると……。

 レイチェル「Excuse me.少し、質問いいですか?」
 女子生徒「な、何でしょう?」
 レイチェル「この学校にBOW……Ah……怖い……Monsterみたいなモノはいませんか?」
 女子生徒「も、モンスターですか!?」
 リサ(やべっ!BSAAの女、来たーッ!)
 女子生徒「この学校、色々モンスターが多いので……」
 レイチェル「So...ならば、そのモンスターの中でもボスクラスのモンスターはどこにいますか?」
 リサ(日本語ヘタか!自己紹介の時はスラスラ喋ってた癖に!)

 もしかすると、挨拶の所だけ事前に練習していたのかもしれない。

 女子生徒「それはやっぱり、生活指導の比田先生ですかね。怒らせると、モンスターのように怖いですよ」
 リサ(“学校の七不思議”の1つに登場する先生だ。……でも、フツーに人間の匂いしかしないけどね)
 レイチェル「分かりました。比田先生はどこにいますか?」
 女子生徒「普段は生活指導室にいますけど、たまに職員室にいたりとかもします」
 レイチェル「Thank you.アリガトウ」
 女子生徒「い、いえ……」

 レイチェルはトイレから出て行った。
 その時、リサの耳には、ガチャガチャと銃器に銃弾をリロードするような音が聞こえたような気がした。

 リサ「ふー、危なかったー」

 リサはホッとして個室から出て来た。

 リサ「どうも、ありがとね」
 女子生徒「ど、どうも……」

 他の個室に入っていた淀橋や小島も出て来る。

 小島「な、何か顔を見てないと、声だけなら、とても威圧感があるよね」
 リサ「どうやら、BSAAの養成学校に通ってるという話は本当みたいだな……。ヨンヒもそういう所、あったもんね」
 淀橋「確かに……」
 リサ「命あっての物種。さっさと家に避難しよう」
 淀橋「了解です」

 3人は学校をあとにした。

[同日12時11分 天候:晴 同地区内 JR上野駅→山手線1129G電車・最後尾車内]

〔まもなく3番線に、東京、品川方面行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください〕

 リサ達は上野駅・国電ホームに移動する。
 秋葉原駅乗り換えの都営新宿線だが、ちょうどやってきた山手線に乗ることにする。

〔うえの~、上野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、御徒町に、停車します〕

 3人は最後尾に乗り込む。
 ちょうど3人並んで座れる席が空いていなかった為、3人は乗務員室の窓の前に立った。
 山手線は上野駅などのターミナル駅では、1分くらいの停車時分を取っていることがある。

〔「お待たせ致しました。山手線外回り、東京、品川、目黒方面行き、まもなく発車致します」〕

 女性車掌が妖艶な声で、車内放送を行う。
 このままグリーンアテンダントも務まりそうなきれい所である為、リサはこの場に愛原がいなくてホッとした。
 そして、車掌が発車ベルを鳴らす。
 上野駅の発車合図は、メロディではなく、ベルである。
 在来線特急ホームだけは、“あゝ上野駅”が流れる。

〔3番線の山手線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 ホームドアと電車のドアが閉まる。
 駆け込み乗車があったが、何回か再開閉してようやくドアが閉まった。

 リサ「!」

 その時、リサはホームを歩く1人の人物に気づいた。

 淀橋「どうした?」

 電車が動き出す。

 リサ「レイチェルだ」

 乗務員室の窓ガラス越しにホームを見ると、そこを歩くレイチェルを確かにリサは見た。
 そして、リサはレイチェルと目が合った。
 一瞬だけ見ると黒く見える瞳だが、リサと目が合った時、青く見えた。
 吸い込まれるような程に澄んでいるが、しかし冷たい色のようにも見えた。

〔この電車は、山手線外回り、東京、品川方面行きです。次は御徒町、御徒町。お出口は、左側です。都営地下鉄大江戸線は、お乗り換えです〕

 リサ「あの人の目……鬼斬りセンパイの目に似てる……」
 淀橋「えっ?」
 小島「鬼斬りセンパイって、栗原先輩のことでしょ?全治3ヶ月は見ないといけないって聞いたけど……」
 淀橋「でもその後は、リハビリとかあって、1年以上は入院しないといけないみたいだよ?」
 小島「大学進学、大丈夫なのかな?」
 淀橋「さあねぇ……」
 リサ(わたしがBOWだってバレたら、射殺されるかな?)

 リサの存在は、少なくとも極東支部では公認である。
 日本政府機関の庇護下にある為、リサが暴走しない限りは、BSAAも手出しはしないという取り決めになっている。
 だが、他の支部はどうなのだろうとは思う。

 リサ(後で先生に報告しよう)
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“愛原リサの日常” 「新学期の始まり」

2023-08-29 15:20:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月10日07時45分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校2年5組]

 リサ「これが成田のお土産、これが那須塩原のお土産、これが日光のお土産、これが熱海のお土産……」
 淀橋「すご……!さすがは魔王様、近場だけど、色々行ったんですね」
 リサ「えっへん!」
 小島「成田空港でわざわざお土産買うって……」
 リサ「滅多に行かない所だから」
 小島「あー、まあ、飛行機に乗らないと、基本行かない場所だからねぇ……」
 リサ「荷物多いから、電車は早めの時間のヤツに乗って来た」
 淀橋「でも、帰りは荷物無いから楽でしょ?」
 リサ「もち」

 と、そこへ、1人の男子生徒が入って来る。

 男子生徒A「おい、皆!今日からうちのクラスに、転校生が来るらしいぞ!」
 男子生徒B「なにっ!?」
 男子生徒C「ぬねの!」
 男子生徒D「クレしんか!……で、男子か女子か?それとも男の娘か!?場合によっちゃ、『流血の惨を見る事、必至であります』!」
 男子生徒A「ちょっと待て。今、ググるから」
 男子生徒B「何でググるんだよw」
 男子生徒C「フェイクか?」
 男子生徒A「いや、転校生はガチ」
 小島「魔王様、転校生だって」
 リサ「そうか……。(鬼の兄妹みたいなヤツじゃないといいけど……。あとは、聖クラリスにいた鬼もどきとか……)」

 リサは少し緊張した。
 それからしばらくして、始業式の前のホームルームが始まる。

 坂上「皆さん、明けましておめでとうございます。無事にこうして、クラス一同再会できて何よりです。2年生最後の学期です。3年生になったら、それぞれ進路を確定しなくてはなりません。この学期は今後の進路を決める重大な期間だということを、よく心得ておいてください。それでは、体育館に移動してください」
 リサ「あれ?」

 リサは首を傾げた。

 リサ「坂上先生、転校生は?庄子が、『今日から転校生が来る』って言ってた」
 庄子(男子生徒A)「あ、愛原さん!シーッ!」
 坂上「こら、庄子!紹介まで黙ってろと言っただろ!」
 庄子「さ、サーセン……」
 リサ「それで転校生は?」
 坂上「始業式が終わったら、紹介するから」
 リサ「やっぱりガチバナだった」
 淀橋「さすがは魔王様」

[同日09時45分 天候:晴 同学園2年5組]

 始業式が終わって、再び教室に戻るリサ達。

 坂上「それでは改めて、転校生を紹介します。それでは、入ってきてー」

 ガラガラと扉を開けて入って来たのは、見覚えのあるセーラー服を着た女子生徒だった。

 リサ(あれは聖クラリスの……!)

 リサはすぐにそれが、聖クラリス女学院の制服だと分かった。
 本来、敬虔なクリスチャンの女子生徒が通う御嬢様学校のはずだが、日本版リサ・トレヴァー『1番』の侵食と、それによってガナード化した梅田ミキによって学院全体が汚染されたと聞いている。
 BSAAの介入で、様々なワクチンが関係者全員に投与されたり、滅菌・消毒作戦が実行されたと聞いたが……。
 だが、問題は彼女の服ではなく、姿である。
 明らかに、日本人ではなかった。
 やや暗い色の金髪に、目鼻立ちが特徴である。
 金髪をポニーテールにしていた。

 坂上「聖クラリス女学院から来たレイチェル・グラハムさんです。元々はアメリカからの留学生でしたが、聖クラリスで色々な事件に巻き込まれてしまい、その後の処理が済んだ後、うちに来ることになりました。アメリカのBSAA北米支部養成学校からの留学生です」
 リサ「BSAAの養成学校……!」
 淀橋「あれだよね?前、うちに来てたパク・ヨンヒと同じだよね?」

 BSAA極東支部にも養成学校はあり、それは韓国地区本部が運営している。
 わざわざ極東支部と冠していたということは、他の支部にも養成学校はあると思っていたが、本当にあって、しかも、また別の所から来るとは……。

 リサ「嫌な予感しかしない……。しかも何か、誰かを探してる素振りだし……」
 小島「ヨンヒみたいに、リサ様でしょ?」
 リサ「うう……」
 坂上「それでは、自己紹介して」
 男子生徒B「翻訳機翻訳機!」
 男子生徒C「ボクはアメリカ留学経験があるので」
 男子生徒D「グーグル翻訳!」
 レイチェル「皆さん、初めまして。アメリカから来たレイチェル・グラハムです。宜しくお願いします」
 男子生徒B「おかしいな。『自動通訳魔法』がいつの間にか配備されている!」
 男子生徒D「それ、別の作品じゃね?」
 レイチェル「日本語は頑張って勉強してきました。表現がおかしかったりしたら、ゴメンナサイ」
 リサ(で、何の目的で来た?)
 レイチェル「私は大統領経験者でもあるベン・グラハムの孫で、叔母がバイオテロに巻き込まれたこともあり、BSAA北米支部の養成学校に入学しました」

 BSAA養成学校は、日本で言えば高等専門学校のような扱いである。
 卒業後はそのままBSAAに入隊したり、大学に編入することもある。

 リサ(グラハム大統領……バイオテロ……)
 レイチェル「聖クラリス女学院には、交換留学で来ていたのですが、そこでバイオテロに巻き込まれてしまい、尚一層、バイオテロやBOWを憎むようになりました」
 リサ(あ……これ、わたしの正体がバレたらヤバいヤツ……)
 レイチェル「この学校には、日本のBSAAが公認する『完璧に制御された』BOWがいるということで、その観察も兼ねて、留学期間の延長を申請し、ここに入ることにしました」
 リサ(やっぱり!ヨンヒとほぼ同じじゃん!……てか、ということは、わたしの正体、既にバレてる?)
 レイチェル「まだ入ったばかりで、どこにBOWがいるのか分かりませんし、この学校のこともまだ分かりません。どうか皆さんの協力、よろしくお願いします」

 レイチェルは日本式のお辞儀をした。
 そこで拍手が起こる。
 リサも慌てて拍手をした。

 坂上「えー、それでは空いている席に……。1番後ろの席で、大丈夫かな?」
 レイチェル「はい。視力は2.0あるので、大丈夫です」
 男子生徒B「すげぇ!」

 リサも後ろの方の席ではあるが、だいたい真ん中の列である。
 それに対し、レイチェルは本当に1番後ろの、ドアに最も近い席が宛がわれた。

 リサ「まだ、わたしの正体に気づいていない?」
 淀橋「そこはヨンヒと違いますね……」
 小島「どうする?自己紹介しちゃう?」
 リサ「い、いや……。BSAAは面倒臭い。取りあえず、しばらく黙ってておこう。他の『魔王軍』の皆にも、その件よろしく」
 淀橋「了解」
 小島「分かった」
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“私立探偵 愛原学” 「任務の後の一息」

2023-08-27 15:30:37 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月9日15時40分 天候:晴 東京都港区新橋 都営バス『新橋』停留所→業10系統車内]

 デイライトでの話が終わると、私達は事務所に戻ることにした。
 デイライトの事務所の近くのバス停から、菊川まで乗り換え無しで帰れるバスがあるので、それに乗って行くことにする。
 バスがやってくると、私達は前の乗客に続いて前扉から乗り込み、後ろの2人席に座った。
 私の隣には、リサが座った。
 さすがに断熱バッグは、それごと善場主任に渡しているので、帰りの荷物は自分達の私物だけである。
 1泊だけなので、リサ以外はそんなに大きな荷物ではない。
 リサのバッグも、膝の上に載せるだけで良かった。

 愛原「お前だけ荷物多いな?」
 リサ「一応、着替えとかね。見る?」

 リサはファスナーを開けて、使用済みの下着などを見せた。

 愛原「ここで出さない」

 私はたしなめた。

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスは乗客を乗せると、折り戸式の前扉を閉めて発車した。
 だいたい、席が埋まるほどの乗車率だった。
 もっとも、これから先、都心でも賑わう銀座などを通る為、この路線は概して利用客が多く、その為、本数も多い。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用くださいまして、ありがとうございます。このバスは銀座四丁目、勝どき橋南詰、豊洲駅前経由、とうきょうスカイツリー駅前行きでございます。次は銀座西六丁目、銀座西六丁目でございます。日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、本所吾妻橋で。日蓮正宗常泉寺と本行寺へおいでの方は、終点とうきょうスカイツリー駅前でお降りになると便利です。次は、銀座西六丁目でございます〕

 このバスを終点付近まで乗ると、栗原家の道場まで行ける。
 鬼の男に全身火傷を負わされた蓮華は、意識を回復したが、卒業式はもちろん、大学の入学式の出席すら絶望的だと言われている。

 リサ「家に着いたら、洗濯できるかな?」
 愛原「自分で洗うのか?」
 リサ「先生のも洗ってあげようか?」
 愛原「で、どこに干すんだ?」
 リサ「わたしの部屋」
 愛原「……後でちゃんと返してくれよ?」
 リサ「うん!」
 高橋「先生。夕飯はどうしますか?」
 愛原「悪いけど、作ってもらえる?リサにはステーキでも焼いてやってさ」
 高橋「分かりました」
 リサ「……!」

 ガシッ!と無言で私に引っ付くリサ。
 どうやら、かなり嬉しいらしい。
 リサの場合、肉さえ大きければいいので、それこそ安い外国産の硬い肉でも大丈夫だ。

[同日16時31分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 都営バス『菊川駅前』停留所→愛原家]

〔ピンポーン♪ 次は菊川駅前、菊川駅前でございます。都営バス、築地駅、錦糸町駅、亀戸駅方面と都営地下鉄新宿線ご利用のお客様は、お乗り換えです。次は、菊川駅前でございます〕

 リサ「はい」

 リサ、降車ボタンを押す。

〔次、止まります。バスが停車してから、席をお立ちください〕
〔「菊川駅前です」〕

 引き戸式の中扉が開き、私達はここでバスを降りた。
 他にも、ここで降りる乗客は多い。

 高橋「先生。俺達はそこのマルエツで買い物してから帰りますので」
 愛原「分かった。じゃあ、俺達は先に帰るよ。お前達の荷物、持って行こうか?」
 リサ「大きいのだけ、持って行くよ」
 高橋「サーセン」
 パール「じゃあ、よろしくお願いします」

 私は高橋の荷物を預かり、リサはパールの荷物を預かった。
 高橋とパールはバス停前のスーパーに入り、私達は路地に入って事務所兼住宅に向かった。

 愛原「ガレージは開けなくていいな。どうせ今日は祝日で事務所は休みだ」

 というわけで、横の正面玄関であるガラス戸を開ける。
 高橋曰く、このガラス戸のガラスは防弾ガラスになっているらしい。
 ただの強化ガラスだと防犯性は低い為、それを上げるには更に防弾性を持たせる必要がある。
 そういうガラスなのだそうだ。
 単なる防犯目的でそのようにしたのであればいいのだが、他の窓ガラス全てがそうなっているということで、かつては暴力団の組事務所だったのではないかと言われている。
 何せ外から開けるのに、小さな鍵でボックスの蓋を開け、カードキーを当てた後で、正しい暗証番号を入れてようやく鍵が開くというシステムだ。
 停電時は、ドアに直接付いている鍵穴に大きなカギを差し込み、それで開けられるようになっている。
 さすがにリサのカードキーでは、開けられない。
 中に入って、すぐ目の前には上階に向かう階段がある。
 そして右側にはもう1つグレーに塗られた鍵付きの鉄扉があり、そこを開けるとガレージとエレベーターがある。
 エレベーターを起動させて乗り込み、3階のボタンの横にある鍵穴に鍵を差し込んで、3階のボタンが押せるように設定する。
 ついでに、4階もである。
 それでエレベーターが事務所のある2階だけでなく、居住区でもある3階や4階にも行けるようになる。

 愛原「洗濯機回すんだっけか?」
 リサ「うん。先生の服と下着も入れといてね。うへへへ……」
 愛原「おい、変なことしたら怒るぞ?」
 リサ「はーい……」

 そして、エレベーターが3階に到着した。

 愛原「寒いな。暖房を点けよう」

 私はエアコンの暖房を入れた。
 その後で、脱衣所にある洗濯機に行く。

 リサ「これは先生の下着~。下着はネットに入れて洗う~」
 愛原「男の下着なんて、普通に洗濯機にぶん投げて洗っていいんだよ」

 洗濯はリサに任せ、私は自分の荷物を置きに4階へ向かう。
 エレベーターで上がってもいいし、ビル側の階段で上がっても良い。
 明日からの平日も結構忙しいので、今から書類の準備をしておこうと思った。

[同日18時00分 天候:晴 愛原家3階]

 夕食の時間になり、私は4階から3階へと下りた。

 リサ「夜中までには乾くからね?」
 愛原「ああ。ありがとう」

 冬場の乾燥している今だからこそ、であろう。
 リサにとっては、乾いた洗濯物を届けに行くことで、私の部屋に行く口実のつもりなのだ。

 愛原「ステーキ、焼けましたよ。リサのはレアでいいんだったな?」
 リサ「えー、ブルーだよぉー?」
 愛原「それ、全然焼いてない肉だからダメだ」
 リサ「先生の肉、小さくない?」
 愛原「俺のはこれでいいんだよ」

 後でパッケージを見たら、リサのはやはりアメリカ産の牛肉で、大きさの割には安いものであったが、私のは国産のヒレ肉になっていた。
 硬めの肉であろうが、それでもリサはガツガツ食べていた。
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“私立探偵 愛原学” 「愛原達の任務の正体」

2023-08-25 21:58:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月9日12時31分 天候:曇 静岡県熱海市田原本町 JR熱海駅→東海道線1874E列車5号車内]

 発車の時刻になり、ホームから発車メロディが聞こえて来る。
 特に変わったメロディではなく、汎用のメロディである。
 何なら、一部の車両では乗降促進用としてのメロディとして搭載されているほど。

〔ドアが閉まります。ご注意ください〕

 合成音声のイントネーションのややおかしい自動放送で持って、乗客の乗車が終わる。
 そして、JR東海のものとは明らかに違うドアチャイムと共にドアが閉まった。
 ガチャンと景気良く閉まるのは、ドアロック機構が通勤用と比べて違うのだろうか。
 その後で、列車がゆっくりと動き出す。
 今は電車だが、ゆっくり動き出す所は、まるで機関車牽引の客車列車のようだ。
 そして、スーッと加速する。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は東海道線、上野東京ライン、高崎線直通、普通電車、高崎行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、湯河原です〕

 愛原「さーて……車内販売のお姉ちゃんは、どんな人かなぁ……」
 リサ「

 パチッ(リサ、愛原に静電気程度の弱い電撃を行う)

 愛原「いでっ!?」
 リサ「先生は、わたしだけ見ててね?」

 リサ、ギラッと赤い瞳を光らせて言った。

 愛原「……はい」
 グリーンアテンダント「失礼します」

 そこへ、グリーンアテンダントがやってきた。
 最初は車内改札である。
 かつては専務車掌が乗り込んでいたが、今は全てグリーンアテンダントに委託されている。
 だが……。

 リサ「すいません。車内販売は?」
 グリーンアテンダント(♂)「後ほどお伺い致します。失礼します」
 愛原「…………」( ゚д゚)
 パール「あら、イケメンね」
 高橋「おい!」
 パール「冗談よ」
 愛原「皆、次の列車に乗り換えるぞ」
 高橋「ええーっ!?」
 パール「それには反対します」
 リサ「メイドさんに一票!」

 まさかの全員命令拒否。
 いいもんいいもん……。

 グリーンアテンダント「お待たせ致しました。車内販売でございます。何になさいますか?」
 リサ「ポッキーと、つぶつぶ白桃ください」
 グリーンアテンダント「ありがとうございます」
 リサ「先生はァ?何にするのぉ?」
 愛原「……缶コーヒー微糖……グスン」
 高橋「じゃあ、俺は無糖のコーヒー」
 パール「コーラ」
 愛原「支払いは私のICカードで……」
 グリーンアテンダント「ありがとうございました」
 リサ「♪~♪」(^^♪

 リサは喜んで、ジュースのボトル缶とお菓子の箱を開けた。

 リサ「冬休み最後の旅行、楽しかったよ。ありがとう、先生」
 愛原「どう致しまして……」
 パール「普通の電車の車内販売で、酒やらつまみやら売ってるって凄いね」
 高橋「温泉旅行帰りのオヤジ達に売れそうだぜ」
 愛原「そして平日は平日で、サラリーマン達に売れるそうだ」
 高橋「やっぱり……」

 新幹線では車内販売は売れずに廃止、しかし在来線普通列車のグリーン車では盛況と。
 この違いは一体何なのだろうか?

[同日14時14分 天候:晴 東京都港区新橋 JR新橋駅→NPO法人デイライト東京事務所]

 富士宮から半日掛かりで、ようやく目的地の新橋駅に到着した。
 途中、海が見える区間では、リサがしばらくトッポを齧るのを忘れるほどに見入っていた。
 どちらかというと山育ちのリサは、海を見ることが珍しいようである。

〔しんばし~、新橋~。ご乗車、ありがとうございます。次は、東京に、停車します〕

 私達は荷物を手に、電車から降りた。
 グリーン車とはいえ、やや座席は硬めである。
 それでも長距離利用を意識しているということもあり、普通車よりも腰を傷めずに済んだ。
 改札口を出て、築地方面へと向かう。
 その途中に、デイライトが入居しているビルがある。

 善場「お疲れさまです。皆さん」
 愛原「例の物、お持ちしました」
 善場「ありがとうございます。それでは、報酬は後ほど振り込ませて頂きます」

 私達は事務所内の応接会議室に通された。

 高橋「先生、本当に大丈夫なんスか?いくら何でも、もう融けちゃってるんじゃ?」
 愛原「アイスじゃないぞ。あれでいいんだ」
 善場「ええ。中身は無事でしたので、良い仕事をしてくださいました。どうぞ、喫煙所で一服してきてください」
 リサ「わたしもトイレ」
 愛原「行ってこい行ってこい」

 部屋には私と主任だけが残された。

 愛原「たまには鈍行列車の旅も、いいものですな」
 善場「愛原所長は、お気づきになりましたか」
 愛原「まあ、この仕事も長くやらせて頂いておりますので。他の3人は気づいていない様子でしたけどね」
 善場「それでも、どこかの誰かが引っ掛かって……こんなこと言っては不謹慎なのですが、愛原所長方を襲撃してくれれば、もっと成功でした」
 愛原「あいにくと、そんなことは無かったですね」
 善場「怪しい人物もですか?」
 愛原「そうです。少なくとも、私の目線で見た限りでは、ですが」
 善場「かしこまりました」
 愛原「この件の真相、あの3人に話しても?」
 善場「結構です。何でしたら、私からも説明させて頂きます」
 愛原「分かりました」

 しばらくして、3人が戻って来た。

 リサ「またジュース買っちゃった。ここの自販機、安いから……」
 善場「構いませんよ」
 高橋「なあ、姉ちゃん。さすがに、ちょっと怪しいぜ。あんな大事なもの、各駅停車でゆっくり運ぶなんて有り得ねーよ」
 善場「いい質問です。まずは、愛原所長から説明させて頂きます」
 愛原「結論から言うと、俺達が運んだのは『偽物』だよ」
 高橋「ニセモノぉ!?」
 愛原「そうだ。本物はとっくのとうに、BSAAの手に入っているよ。それこそ、高橋の予想通り、ヘリで運んだってわけ」
 高橋「ええっ!?」
 愛原「民宿をタクシーで出た時、途中で黒塗りのハイエースとすれ違ったの、覚えてないか?」
 高橋「いやぁ……」
 パール「あー、確かにいましたね」
 善場「あの車に、私が乗っていたのですよ」
 高橋「はあ!?」
 善場「あの車で、『本物』は回収しました。そして、それからヘリポートに運んで、BSAAのヘリに引き渡したというわけです。今頃、本物はBSAAの研究機関に渡っているはずです」
 愛原「主任は主任で、その後で新幹線の駅まで行き、そこから新幹線で先に帰京したというわけですかね?」
 善場「そんなところです。皆さんに在来線を利用して頂いたのは、私達と鉢合わせにならないようにする為と、なるべく『偽物』を長く運搬して頂いて、それを狙う組織を誘き寄せる為です。……まあ、そこまでは上手くいかなかったようですが」
 愛原「高野君も強かですから、『さすがにそんなのに引っ掛かるわけないでしょう』なんて言いそうですね」
 善場「まあ、“青いアンブレラ”はどうでもいいです。それより、もっと別のバイオテロ組織ですよ」
 愛原「そんなのが未だにいるんですね」

 さすがにそれがどういう組織なのかまでは、主任は教えてくれなかった。

 愛原「あんな大事な物を、民間の探偵業者に運ばせるわけないじゃん。指示の内容自体がおかしかったんだから、私はそこで見抜きましたよ」

 なので、恐らく高野君も見抜いていただろう。
 だから、私達に全く接触してこなかったというわけだ。

 高橋「ちぇーっ!」
 愛原「まあ、そういうなよ。これも立派な仕事なんだから」
 善場「そうですよ。ちゃんとした契約に基づくものです。任務が無事完了しましたので、後ほど報酬はお支払いさせて頂きます」
 愛原「ほら」
 高橋「へーへー」
 リサ「わたしは冬休み、最後の旅行に行けて良かったかな」
 善場「明日から学校、頑張ってくださいね」
 リサ「はい」

 というわけで、私達の任務は完了した。
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