[4月3日06:00.天候:曇 東京中央学園上野高校・新校舎]
バンッと警備室のドアを開けて入って来た者がいた。
エレーナ:「!!!」
エレーナは魔法の杖代わりのホウキの柄を向けて、思わず身構えた。
???:「はあっ!はあ……はぁ……!ウッ……!」
入って来たのは血だらけの魔女だった。
エレーナは目を見開いた。
エレーナ:「お前はゾーイ!?ゾーイだな!?」
ゾーイ:「……くっ……エレーナぁ……ッ!」
エレーナ:「何でお前がここに!?アメリカにいたんだろう!?」
ゾーイ:「ウァァァァァッ!!」
ゾーイは頭から血を噴き出していた。
どうやらそこが重傷の元らしい。
エレーナ:「誰にやられた!?」
だが、ゾーイの背後から黒い化け物が現れた。
ゾーイ:「エレーナを……殺せ……!」
エレーナ:「なにっ!?」
黒い化け物が3体、エレーナに向かって襲ってきた。
エレーナ:「お前が稲生氏を浚ったのか!?」
さすがに狭い警備室に化け物3体では戦いにくい。
エレーナは魔法を使う為、呪文を唱えた。
が……。
ゾーイ:「ブボェッ!!」
血反吐を吐いて倒れた。
と、同時に黒い化け物も消えてしまった。
エレーナ:「ゾーイ!?」
エレーナはゾーイに近づいた。
そして脈を取ってみたが、事切れていた。
エレーナ:「一体何が!?どうしてゾーイは稲生氏を浚ったの?……で、ゾーイは誰にやられた?……ワケが分からない」
さすがのエレーナも脱力するしか無かった。
だが、ここで諦めるわけにはいかない。
エレーナ:「と、とにかく稲生氏を助けに行かないと……!」
エレーナは立ち上がると、血の海ができた警備室を出た。
エレーナ:「こ、今回の件は……もしかして、全部が仕組まれたものなんじゃ……?」
エレーナは地下へ降りる階段を探そうとした。
エレーナ:「何これ……?」
そしてその階段は見つかったのだが、エレーナはその先へ進むことができなかった。
魔法の結界が張られていたからである。
それは旧校舎の入口にあったものとは違った。
エレーナ:「レベル3の結界か……。チッ、私には無理だ。張ったのはゾーイか。これを破れるのは……マリアンナかイリーナ先生、それとアンナか……。マリアンナのヤツはまだ亜空間をほっつき歩いているだろうし、イリーナ先生だけ魔界に行っちゃったっぽいし……。しゃあねぇ」
エレーナは屋上で倒れているアンナの救出に向かうことにした。
因みにどの階段でも屋上に行けるわけではなく、結界の張っている階段では最上階のフロアに行けるというだけで、そこから先は屋上に行けるわけではなかった。
エレーナ:「どこの階段だよ!?」
エレーナは苛立って最上階の廊下を駆けた。
エレーナ:「んっ?」
と、途中にトイレがあった。
もちろん、男女別だ。
その女子トイレの方から、凄まじい魔力が流れ出して来ていた。
エレーナ:「何かいるのか?稲生氏なら、ここに纏わる怖い話を知ってるんだろうけどねぇ……」
エレーナはそっと女子トイレの中に入ってみた。
エレーナ:「……あ?」
入ってみて、エレーナはトイレの中の違和感に気づいた。
それは、外に向かって流出している魔力の他に、その場に溜め込んでしまう陰湿な霊気もあった。
異形の者が2つ、このトイレの中にいるようだった。
エレーナ:「これは……」
壁に何やら染みができていた。
しかもそれは、人の顔のように見えた。
どう見ても、人の顔にしか見えない染みだ。
そして、その隣にある染みもまた人の顔の形をしていたのだが……。
エレーナ:「マリアンナ!?」
マリアに似ていた。
マリアが背中を向けて、顔だけこちらを向いているような感じだった。
エレーナ:「マリアンナ……だよね?隣のヤツは知らないけど……。まあ多分、このトイレの住民か。マリアンナ、何やってんだ?……えーと……?」
エレーナはまず、どうしてマリアがそこにいるのかを考えるのは止めた。
エレーナ:「向こうを向いているということは、だ……」
エレーナは一旦、トイレの外に出ようとした。
だが、トイレの入口のドアは、まるで鍵が掛けられたかのようにビクともしなかった。
そして、背後から迫って来る殺気と霊気。
壁の中から人の顔を象った者の正体である幽霊が出てきて……。
エレーナ:「閉まってる」
バァンッとエレーナはドアを蹴破った。
幽霊:「!!!」
幽霊はビックリして立ちすくんだ。
エレーナ:「悪いけど、急いでるからまたな!」
普通の人間が入って来たと思っていいカモだと思ったのだろうが、実際はマスター認定された魔道師だったりする。
普通なら霊力で閉ざされたドアをこじ開けることはできないのだが、エレーナほどの魔道師ならこうやって蹴破ることは可能。
もっとも、蹴破るという発想自体がなかなか魔女にすら無く、当然この幽霊も想定していなかったので、【お察しください】。
エレーナは女子トイレから出ると、今度は男子トイレに入った。
エレーナ:「ああ、やっぱり」
女子トイレの壁の反対側は男子トイレの洗面台があった。
そしてその鏡の中にマリアが閉じ込められていた。
エレーナ:「これ、割ったらマズい?」
マリア:「・・・・・・・!・・・・・・・!!」
エレーナ:「何言ってるかさっぱ分かんねぇ。いいや、ブチ破るから下がっといて」
エレーナはシッシッとやるジャスチャーをして、マリアにガラスから離れるように合図をすると……。
エレーナ:「うりゃっ!!」
手持ちのホウキで鏡を突き破った。
マリア:「わあっ!?」
鏡の中からなだれ出るようにして飛び出してくるマリア。
エレーナ:「うおっ!?」
マリアがエレーナを押し倒すような形となった。
エレーナ:「おい、私ゃレズビアンじゃない!とっとと離れろ!」
マリア:「お互い様だ、コノヤロ!無茶しやがって……!」
エレーナ:「あの亜空間、絶対罠だよ!」
マリア:「今さら言ってもしょうがない。てか、ここどこ!?」
エレーナ:「稲生氏の母校の新校舎4階の男子トイレだ。屋上にアンナが倒れてるし、地下階に稲生氏が倒れてる」
マリア:「何だって!?」
エレーナ:「んでもって、稲生氏を浚ったのはゾーイだよ。知ってるだろ?アメリカを拠点としてる、はぐれ者のゾーイだ」
マリア:「名前だけなら聞いたことがある。何でここに?」
エレーナ:「知らんよ。もう死んだし」
マリア:「死んだ!?」
エレーナ:「誰かにボコられたらしい。誰がやったかは知らないけどね」
マリア:「……!と、とにかく私はユウタを助けに行く!エレーナはアンナを助けに行ってくれ!」
エレーナ:「その方が良さそうだ。因みに地下階に行く階段の入口には、ゾーイが張ったと思われる結界が張ってある。だけど、マリアンナの力なら破れると思う」
マリア:「分かった」
2人の魔女はトイレから出ると、エレーナは屋上に、マリアは地下へと向かった。
この後、どちら視点の話を聞きたい?
①地下へ向かったマリア
➁屋上へ向かったエレーナ
バンッと警備室のドアを開けて入って来た者がいた。
エレーナ:「!!!」
エレーナは魔法の杖代わりのホウキの柄を向けて、思わず身構えた。
???:「はあっ!はあ……はぁ……!ウッ……!」
入って来たのは血だらけの魔女だった。
エレーナは目を見開いた。
エレーナ:「お前はゾーイ!?ゾーイだな!?」
ゾーイ:「……くっ……エレーナぁ……ッ!」
エレーナ:「何でお前がここに!?アメリカにいたんだろう!?」
ゾーイ:「ウァァァァァッ!!」
ゾーイは頭から血を噴き出していた。
どうやらそこが重傷の元らしい。
エレーナ:「誰にやられた!?」
だが、ゾーイの背後から黒い化け物が現れた。
ゾーイ:「エレーナを……殺せ……!」
エレーナ:「なにっ!?」
黒い化け物が3体、エレーナに向かって襲ってきた。
エレーナ:「お前が稲生氏を浚ったのか!?」
さすがに狭い警備室に化け物3体では戦いにくい。
エレーナは魔法を使う為、呪文を唱えた。
が……。
ゾーイ:「ブボェッ!!」
血反吐を吐いて倒れた。
と、同時に黒い化け物も消えてしまった。
エレーナ:「ゾーイ!?」
エレーナはゾーイに近づいた。
そして脈を取ってみたが、事切れていた。
エレーナ:「一体何が!?どうしてゾーイは稲生氏を浚ったの?……で、ゾーイは誰にやられた?……ワケが分からない」
さすがのエレーナも脱力するしか無かった。
だが、ここで諦めるわけにはいかない。
エレーナ:「と、とにかく稲生氏を助けに行かないと……!」
エレーナは立ち上がると、血の海ができた警備室を出た。
エレーナ:「こ、今回の件は……もしかして、全部が仕組まれたものなんじゃ……?」
エレーナは地下へ降りる階段を探そうとした。
エレーナ:「何これ……?」
そしてその階段は見つかったのだが、エレーナはその先へ進むことができなかった。
魔法の結界が張られていたからである。
それは旧校舎の入口にあったものとは違った。
エレーナ:「レベル3の結界か……。チッ、私には無理だ。張ったのはゾーイか。これを破れるのは……マリアンナかイリーナ先生、それとアンナか……。マリアンナのヤツはまだ亜空間をほっつき歩いているだろうし、イリーナ先生だけ魔界に行っちゃったっぽいし……。しゃあねぇ」
エレーナは屋上で倒れているアンナの救出に向かうことにした。
因みにどの階段でも屋上に行けるわけではなく、結界の張っている階段では最上階のフロアに行けるというだけで、そこから先は屋上に行けるわけではなかった。
エレーナ:「どこの階段だよ!?」
エレーナは苛立って最上階の廊下を駆けた。
エレーナ:「んっ?」
と、途中にトイレがあった。
もちろん、男女別だ。
その女子トイレの方から、凄まじい魔力が流れ出して来ていた。
エレーナ:「何かいるのか?稲生氏なら、ここに纏わる怖い話を知ってるんだろうけどねぇ……」
エレーナはそっと女子トイレの中に入ってみた。
エレーナ:「……あ?」
入ってみて、エレーナはトイレの中の違和感に気づいた。
それは、外に向かって流出している魔力の他に、その場に溜め込んでしまう陰湿な霊気もあった。
異形の者が2つ、このトイレの中にいるようだった。
エレーナ:「これは……」
壁に何やら染みができていた。
しかもそれは、人の顔のように見えた。
どう見ても、人の顔にしか見えない染みだ。
そして、その隣にある染みもまた人の顔の形をしていたのだが……。
エレーナ:「マリアンナ!?」
マリアに似ていた。
マリアが背中を向けて、顔だけこちらを向いているような感じだった。
エレーナ:「マリアンナ……だよね?隣のヤツは知らないけど……。まあ多分、このトイレの住民か。マリアンナ、何やってんだ?……えーと……?」
エレーナはまず、どうしてマリアがそこにいるのかを考えるのは止めた。
エレーナ:「向こうを向いているということは、だ……」
エレーナは一旦、トイレの外に出ようとした。
だが、トイレの入口のドアは、まるで鍵が掛けられたかのようにビクともしなかった。
そして、背後から迫って来る殺気と霊気。
壁の中から人の顔を象った者の正体である幽霊が出てきて……。
エレーナ:「閉まってる」
バァンッとエレーナはドアを蹴破った。
幽霊:「!!!」
幽霊はビックリして立ちすくんだ。
エレーナ:「悪いけど、急いでるからまたな!」
普通の人間が入って来たと思っていいカモだと思ったのだろうが、実際はマスター認定された魔道師だったりする。
普通なら霊力で閉ざされたドアをこじ開けることはできないのだが、エレーナほどの魔道師ならこうやって蹴破ることは可能。
もっとも、蹴破るという発想自体がなかなか魔女にすら無く、当然この幽霊も想定していなかったので、【お察しください】。
エレーナは女子トイレから出ると、今度は男子トイレに入った。
エレーナ:「ああ、やっぱり」
女子トイレの壁の反対側は男子トイレの洗面台があった。
そしてその鏡の中にマリアが閉じ込められていた。
エレーナ:「これ、割ったらマズい?」
マリア:「・・・・・・・!・・・・・・・!!」
エレーナ:「何言ってるかさっぱ分かんねぇ。いいや、ブチ破るから下がっといて」
エレーナはシッシッとやるジャスチャーをして、マリアにガラスから離れるように合図をすると……。
エレーナ:「うりゃっ!!」
手持ちのホウキで鏡を突き破った。
マリア:「わあっ!?」
鏡の中からなだれ出るようにして飛び出してくるマリア。
エレーナ:「うおっ!?」
マリアがエレーナを押し倒すような形となった。
エレーナ:「おい、私ゃレズビアンじゃない!とっとと離れろ!」
マリア:「お互い様だ、コノヤロ!無茶しやがって……!」
エレーナ:「あの亜空間、絶対罠だよ!」
マリア:「今さら言ってもしょうがない。てか、ここどこ!?」
エレーナ:「稲生氏の母校の新校舎4階の男子トイレだ。屋上にアンナが倒れてるし、地下階に稲生氏が倒れてる」
マリア:「何だって!?」
エレーナ:「んでもって、稲生氏を浚ったのはゾーイだよ。知ってるだろ?アメリカを拠点としてる、はぐれ者のゾーイだ」
マリア:「名前だけなら聞いたことがある。何でここに?」
エレーナ:「知らんよ。もう死んだし」
マリア:「死んだ!?」
エレーナ:「誰かにボコられたらしい。誰がやったかは知らないけどね」
マリア:「……!と、とにかく私はユウタを助けに行く!エレーナはアンナを助けに行ってくれ!」
エレーナ:「その方が良さそうだ。因みに地下階に行く階段の入口には、ゾーイが張ったと思われる結界が張ってある。だけど、マリアンナの力なら破れると思う」
マリア:「分かった」
2人の魔女はトイレから出ると、エレーナは屋上に、マリアは地下へと向かった。
この後、どちら視点の話を聞きたい?
①地下へ向かったマリア
➁屋上へ向かったエレーナ